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トリプルネガティブ 乳がん再発について

[管理番号:5926]
性別:女性
年齢:59歳

初めまして。
お忙しいところ恐縮ではございますが母の乳がんについて先生のご見解をいただきたいと思いメールいたしました。

母は現在59歳となります。
2年前の2015年に左胸に2cmのしこりができ、乳首にも異変が出きました(切れてジュクジュクしたような乳首になりました)ので、検査したところ癌であることが判明しました。

しかし、乳腺外科の先生に「発癌の仕方やエコーの写り方が乳がんとは違うような感じで、見ただけでははっきりしたことはわからないので手術して詳しく検査しましょう」ということで、2015年4月にしこりと乳首を切除、リンパも確認のため数個取りました。
その後の検査の結果、乳がんではなくおそらく皮膚がんだろうと診断されました。
特に浸潤やステージ、グレード等の話もなかったように記憶しています。
乳腺外科の先生方や多数の分野の先生方、県内の大学病院の先生にも見ていただき、皮膚がんと診断したとのことです。
ただ、それでもおそらくとのことでした。
病理検査も細かく行ったようです。

転移はなく(リンパも転移なし)、手術後は放射線や抗がん剤治療はせず、乳腺外科と皮膚科で半年ごとの経過観察(CT、腫瘍マーカー等)となりました。
2017年7月の定期検査で異常なしと言われた後、2年前に手術をした場所(付近)にしこりと胸に違和感を感じ不安になり、1月予定の定期検査を待たずに10月に検査し局所再発と言われ、12月に左胸を全摘出しました。
その後、前回のことがあったためさらに細かく詳しく調べた結果、乳がんであると診断されました。

診断の詳細は下記の通りとなります。
・浸潤性乳管癌
・腫瘍径 3cm(正しくは2cmのしこりと胸の下半分に広がっていた数個の小さいものを合わせて3cmとのことです)
・組織型:硬癌
・波及度:f
・組織学的異型度:グレード2
・リンパ管侵襲:陰性
・血管内侵襲:腫瘍内陽性
・ER:0%
・PgR:0%
・HER2:0
・MIB-1:22%

2018年1月下旬から全身再発を1/2に低下させることを目的に抗がん剤治療が始まります。
AC療法(アドリアシン、エンドキサン)3週ごと4回→DTX療法3週ごと4回。
その後、6ヶ月ごとの経過観察(CT、超音波、右胸マンモグラフィ)とのことです。
また2年前の腫瘍を再検査しているそうです。(これは意味があるのでしょうか?)
私は手術後の検査結果説明に行っていないのですが、特に医師からは今後(予後等)に関することで不安になるようなことは何も言われなかったそうです。
ただ、全身再発を予防するために抗がん剤治療をしましょうと説明を受けたようです。

ここで質問なのですが、母はトリプルネガティブ の乳がんになるかと思います。
2年前の腫瘍が再検査の結果乳がんとなった場合、トリプルネガティブ は再発の治療が困難で余命が数ヶ月とのことですが、今回が初めての抗がん剤治療の場合は治療はどの程度期待できるのでしょう?
母の予後や再発・転移、生存率はどのようになるのでしょうか?
しこりが急激に大きくなったように思うのですが、進行が早いのでしょうか?
検査から手術まで期間が空いているのですが、転移は大丈夫でしょうか?(咳をすると転移ではと不安になるようです)
使用するのは強い抗がん剤なのでしょうか?
私は2年前の術後の結果を信用し、何も治療しなかったことを非常に悔やんでいます。

母や家族は不安で仕方ありません。
どうかよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

極めて常識的に考えれば…
「Paget’s disease」だったということです。

これは「乳管開口部の乳癌」であり、(診療経験豊富な)乳腺外科医であれば(一瞬の迷いも無く)診断できるものです。
今回の流れは「Paget’s」の局所再発という、「極めてシンプル」なものです。

「2年前の腫瘍が再検査の結果乳がんとなった場合、トリプルネガティブ は再発の治療が困難で余命が数ヶ月とのことですが、今回が初めての抗がん剤治療の場合は治療はどの程度期待できるのでしょう?」
⇒とんどもない勘違いをして、無駄な心配をしていますね?
 あくまでも「局所再発(初回手術の取り残しが2年間で成長しただけ)」です。
 普通に手術をして、再発予防として(サブタイプに応じた)治療をするだけです。

「母の予後や再発・転移、生存率はどのようになるのでしょうか?」
⇒10年生存率は84%  再発率は15%となります。

「しこりが急激に大きくなったように思うのですが、進行が早いのでしょうか?」
⇒局所再発まで2年かかっているので、決して「早くはない」と思います。
★ Paget’sを知らない乳腺外科医に当ってしまったことが不運だったとは思いますが、Paget’sは「乳管内癌」なので、この2年間の間に(残っていた乳管内癌が)浸潤してしこりを形成したということです。

質問者様から 【質問2 抗がん剤 副作用】

性別:女性
年齢:60歳

田澤先生、いつもお世話になっております。
先日、母の病状についての質問に真摯にご回答いただきまして、ありがとうございました。
前回、再発ではと質問させていただきました。

その後、病院にて「最初のガンは皮膚ガンで、今回は乳がん。
同じ場所に出たものであるが因果関係はわからない」と説明を受けました。
とりあえず、今回の乳がんは確定とのことで、1月下旬から抗がん剤治療を開始し、4回目が終了しました。
脱毛、味覚障害、1クール目に熱が出ましたが、倦怠感や吐き気はありません。
ただ、赤血球がかなり減少しているようです。
(白血球も減少していますが許容範囲とのこと)

また、味覚障害の時期以外は食欲不振ではないのですが、体重が治療を始めた時より4㎏減っています。
病院の先生からは抗がん剤治療中に体重減少する人はあまりいないと言われました。
抗がん剤は治療前の体重で調合していたようで、4回目から今の体重に変更したようです。
病院の先生から抗がん剤で体重減少する人はあまりいないと言われたのがとても気になるのですが、副作用と考えていいのでしょうか?
声の掠れや咳も出ています。

他の方への回答を読んでいると先生は咳=転移は考えすぎだと回答しておられますが、声の掠れも転移ではないと考えていいのでしょうか?病院の先生や看護師に話すと、珍しい症状だねと言われ不安になります。
肺転移の場合はどのような症状が出るのでしょうか?

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「★ Paget’sを知らない乳腺外科医に当ってしまったことが不運だったとは
思いますが、Paget’sは「乳管内癌」なので、この2年間の間に(残っていた乳管内癌が)浸潤してしこりを形成したということです。」
この内容に、いささかも変更はありません。

「病院の先生から抗がん剤で体重減少する人はあまりいないと言われた」
⇒誤り。
 実際は副作用(特に口内炎や吐き気)で食事量が減り(もともと間食していた人は、それが減ることも大きい)体重が減少して(次の)抗癌剤の量を減らすことは「珍しくも何ともない」ことです。

「副作用と考えていいのでしょうか?」
⇒1000%間違いありません。
 ★抗癌剤の副作用が出ている時にその症状を(副作用と考えずに)「転移かも?」
みたいな発想は(私には)どうにも不自然に思いますが如何ですか?(もっと、常識的に考えましょう)

「先生は咳=転移は考えすぎだと回答しておられますが、声の掠れも転移ではないと考えていいのでしょうか?」
⇒あたりまえです。
 「声がかれる転移」など見たこともありません。(考え過ぎ)

「肺転移の場合はどのような症状が出るのでしょうか?」
⇒余程「大きくなったり、数が増えない限り」症状は出ません。
★担当医の不可解な言動に惑わされずに、「冷静に、常識的に」考えましょう。

質問者様から 【質問3 抗がん剤 副作用2】

性別:女性
年齢:60歳

田澤先生、いつもお世話になっております。
前回は不安のあまり、拙い質問をしてしまい申し訳ありません。
しかし、先生の回答のおかげでとても心穏やかになりました。
ありがとうございました。
そして今回も、抗がん剤治療中の母親の副作用の件で質問させていただきます。

現在、ドセタキセルを2回投与し、6月(上旬)日に3回目となります。
1回目は足裏の痺れがひどく、とても苦労しましたが2回目は足裏の痺れはあまり出ませんでした(念のため、保湿でワセリンを塗っています)
そして現在、顔の右側が痺れた状態になっています。
(痺れているだけで、むくみなどはありません)
本人は当初は「唇が歯医者の麻酔がかかってる感じ」と言っていましたが、そのうち右耳に膜が張っているように感じ、今は右側の唇から頬、耳のあたりが痺れているようです。
右耳を耳かきしてみても何も感じないとのことですし、ご飯なども右側で噛むと味がしないそうです。
(耳に関しては突発性難聴かとも思い、耳鼻科に行き検査した結果、特に異常はありませんでした)
また、昨日の仕事中に突然、痺れている右顔が冷たく感じられ頭痛をおこし、吐いたようです。
(数時間、安静にしていたら落ち着きました。)
普段は食欲もあり元気なのです。
最近は仕事も忙しく夕方遅くまで働いていましたので、疲れかなと思いたいのですが…

前回のACがあまり副作用が出なかったこともあり、とても不安になってしまいます。
この痺れは何か対処法などあるのでしょうか?

また、赤血球がかなり減っており、これ以上減ると抗がん剤ができないと医師から言われています。
(本人は貧血はあまり感じず、ふらふらすることもないです)
3回目の投与の時は、薬を減量してもらうなどしたほうがいいのでしょうか?

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
耳に関しては「耳管閉塞」ですね。(タキサンにはよくある副作用です)

「この痺れは何か対処法などあるのでしょうか?」
⇒薬剤(リリカやビタミン剤や漢方)もありますが、無論速効性はありません。
 
「3回目の投与の時は、薬を減量してもらうなどしたほうがいいのでしょうか?」
⇒その時の(ご本人の)自覚症状や(それとは無関係に)検査データによります。

質問者様から 【質問4 抗がん剤治療中の飲酒】

性別:女性
年齢:60歳

田澤先生、いつもお世話になっております。
いつも丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。
母の抗がん剤治療ですが、6月27日に全ての抗がん剤治療を終えることができました。
しかし、治療を終えたのですが、母のことで少々お聞きしたいことがございます。
よろしくお願いいたします。

ドセタキセル3クール目の際に飲酒をしてしまいました。
飲んだのはアルコール3%ほどの缶チューハイなのですが、色々調べると抗がん剤の効果が薄れるとありました。
また、母は眉毛が少し生えてきたと言っております。
最後の治療の副作用も終わっていないのに生えてくることがあるのでしょうか?

もしかしたら、3クール目に飲んでしまったアルコールのせいで効果が弱くなっているのではないかと思ってしまい…
これはやはり効果が弱くなっているのでしょうか?
また、その際はどのようにしたらいいのでしょうか?

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

「ドセタキセル3クール目の際に飲酒をしてしまいました。」「アルコール3%ほどの缶チューハイ」
→全くかまいません。(薬剤性肝障害になっていなければ)

「色々調べると抗がん剤の効果が薄れるとありました。」
→全く「馬鹿げた」情報です。(無視しましょう)

「また、母は眉毛が少し生えてきた」「最後の治療の副作用も終わっていないのに生えてくることがあるのでしょうか?」
→これは「よく」あります。(我々にとっては常識です)
 「アンスラサイクリン→タキサン」にすると(おそらくアンスラサイクリンよりは脱毛作用が弱いことにより)「髪の毛が生えてきたんだけど大丈夫?」よく、患者さんから言われます。

「もしかしたら、3クール目に飲んでしまったアルコールのせいで効果が弱くなっているのではないかと思ってしまい…」
→違います。(上記)

「これはやはり効果が弱くなっているのでしょうか?」
→全く違います。(わかりましたね?)

質問者様から 【質問5】

頭蓋骨転移について
性別:女性
年齢:65歳
病名:
症状:
投稿日:2023年3月3日

いつもお世話になっております。
数年前に母の乳がんの件で質問させていただきました。
今回も気になることがあり、何卒お力添えをいただきたく質問させていただきます。

2017年にトリプルネガティブ乳がんのため、左胸を全摘し、抗がん剤治療を行いました。
その時点では転移は見られません。
その後も今に至るまで半年に一度定期検査を行なっています。

今回は質問3でもご相談しました、顔の痺れについてです。

この顔の痺れが今に至るまで続いており、自宅付近にある脳神経外科を受診しました。
検査の結果、「脳には異常ないが、頭蓋骨に腫瘤が見られ、これが脳を圧迫していることが痺れの原因」とのことで、近いうちに大学病院にて精密な検査をすることになりました。

これを聞いてから母がみるみる元気をなくしてしまい(それまでスポーツジム行ったりと活発に動いていました)、最近はめまいもすると訴えています。

この腫瘤は転移になるのでしょうか。
他に転移のような症状は見受けられません。

転移であるならば、どのような治療をしていけばいいのでしょうか。

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「脳には異常ないが、頭蓋骨に腫瘤が見られ、これが脳を圧迫している
⇒これが本当であれば「骨転移」ということになります。
通常は照射しますが、(本当に脳を圧迫しているのであれば)脳外科医による手術が最適であることは言うまでもありません。
脳外科医と相談しましょう

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<質問が5回に達した方>
・次の質問(6回目)から、1か月空けてください。
・再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/4/8
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