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ステージについて

[管理番号:5717]
性別:女性
年齢:68歳
68歳の母が乳がんと診断されました。
左の乳房の乳首の近くに、2つほど潰瘍ができて気付いたそうです。
遠方に住んでいるため娘の私は診察には同席できておらず、少し疑問があるので先生のご意見を頂きたいです。
○針生検結果
浸潤性乳管癌
左乳房に6センチの腫瘤
ER 3/3%
PR 3/3%
HER2 0
Ki67 15%
腋窩リンパに転移あり(細胞診している)
と記載されています。
その後、遠隔転移の有無を確認するためCTと骨シンチ、血液検査を受け、下記の結果が出ました。
○CT結果
左乳癌(+)、Φ5cm
皮膚に浸潤しています。
娘結節をともなっています。
左腋窩に複数のリンパ節(+)。
少なくともレベル1の1つは円形であり、転移と考えられます。
他は、反応性との鑑別が困難です。
遠隔転移を疑う初見はありません。
食道裂孔ヘルニア(+)
肝嚢胞(+)
両腎嚢胞(+)
大腸鼓室(+)
○骨シンチ
全身骨にて明らかな転移初見ありません。
○腫瘍マーカー
CEA …1.8
CA15-3 … 11.8
BCA225 …44.3
全て基準値より下
主治医は「この程度であれば乳癌初期の状態。まずは手術してから検査し、治療方針を決める。おそらくホルモン療法になると思う」と言っていたそうです。
ステージの説明はなかったとのこと。
遠隔転移を覚悟していたので結果にはホッとしたのですが、腫瘍が5センチあり皮膚浸潤を伴っているので、乳癌初期の状態という説明はおかしい気がします。
ステージ的には3Bの局所進行乳癌に該当するのではないでしょうか?
それとも、潰瘍を伴っていても広範囲でなければあまり気にすることなく、腫瘍径5cmと腋窩リンパの転移という点でステージ2b程度と判断されたのでしょうか?
潰瘍を伴っているのに初期 という医師の発言で、信用できるのかと不安になってしまいました。
局所進行癌でも潰瘍が広範囲でなければすぐにオペでき、根治は狙える状態ということでしょうか?
また腫瘍が大きいのですが、術後の病理検査でルミナルa の場合、田澤先生ならどのような治療をなさいますか?
色々と質問してしまい申し訳ありません。
ご意見をいただきたいです。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「主治医は「この程度であれば乳癌初期の状態。まずは手術してから検査し、治療方針を決める。おそらくホルモン療法になると思う」
⇒私も同意見です。
 確かにステージとしては(潰瘍形成があれば)cT4b, cN1, cStage3Bとなりますので「早期」にはあたりませんが…
 ☆重要なことは「手術ができて(手術不能状態ではない)、術後に抗癌剤も不要」という意味では正しい表現なので(患者さんを安心させるために)「この程度なら、初期の部類」という医師のコメントには大いに賛成します。
「ステージの説明はなかったとのこと」
⇒逆に(質問者に)聞きますが…
 患者さん(お母さん)に「あなたはステージ3、進行しています」と言って欲しいですか??
 私は、その医師に大いに賛成です。(患者さんに無駄な心配をさせることは「百害あって一利なし」です)
 この場合、「必要以上に軽くいうことで、治療方針に狂いが生じる」と問題となりますが(冒頭でコメントしたように)「どっちみち、やること(治療法)は同じ」なのです。(希望があることで)「治療にモチベーションをもってもらうこと」それが重要です。
「腫瘍が5センチあり皮膚浸潤を伴っているので、乳癌初期の状態という説明はおかしい気がします。」
⇒(上記で)ご理解いただけましたか?
「ステージ的には3Bの局所進行乳癌に該当するのではないでしょうか?」
⇒その通りです。
 ただし治療法は「ステージ1と何ら変わらない」ことも事実です。
「それとも、潰瘍を伴っていても広範囲でなければあまり気にすることなく」
⇒その通りです。
 きちんと「取れればいい」のです。
「腫瘍径5cmと腋窩リンパの転移という点でステージ2b程度と判断されたのでしょうか?」
⇒実質的な「予後」は、その程度となります。
「潰瘍を伴っているのに初期 という医師の発言で、信用できるのかと不安」
⇒それは違います。
 医師は(必要以上に)患者さんにショックを与えることで「後の治療に支障をきたす」ことは避けるべきなのです。
「局所進行癌でも潰瘍が広範囲でなければすぐにオペでき、根治は狙える状態ということでしょうか?」
⇒まさに「その通り」です。
 ここ江戸川でも(特に高齢者は)同様な状態で初診となることがしばしばあります。
 それらの方達は、(確かにステージ3Bですが)きちんと手術すれば、再発もなくホルモン療法だけで元気に通院されている。それも厳然たる事実なのです。
「また腫瘍が大きいのですが、術後の病理検査でルミナルa の場合、田澤先生ならどのような治療をなさいますか?」
⇒無論…
 ホルモン療法単独です。(抗癌剤などしません)
 ただし、「リンパ節の状況(4個以上あったなら)」や潰瘍の状況などで「放射線治療」は候補となります。(70代後半なら省略するかもしれませんが、元気な60歳代なら当然適応となります)
 
 

 

質問者様から 【質問2 今後の治療方針、予後について】

性別:女性
年齢:68歳
ステージについて
管理番号5717
11月に質問させていただいた者です。
その節は大変お世話になりました。
ありがとうございます。
母は先月、左胸の全摘手術とリンパ節郭清をしました。
病理検査の結果、
癌の大きさ術前5cm→ 術後7cm
リンパ節転移5/20
ki67 術前15→術後30%
ER 3/3%
PR 3/3%
HER2 0
ステージ3の診断でした。
癌の大きさが思っていたより大きく、リンパ節転移も多かったため、抗がん剤(EC療法4回、その後タキサン系を4回)→放射線治療→ホルモン療法 という治療順で行なっていく(ただ、現在歯の治療をしているのでホルモン療法を先に始めて、治療が終わったら抗がん剤)と言われたそうです。
術後の病理結果が思ったより悪くショックです。
ki67 が30パーセントなので、ルミナールBの可能性もありますよね…。
質問は下記3点です。
1.田澤先生なら今後どのような治療をしていきますか?
2.このような状態での5年生存率、10年生存率はどの程度のものでしょうか?
3.春からもうすぐ一歳になる子供を連れて母と同居予定なのですが、保育園に入るので風邪をもらってきそうです。
抗がん剤治療をする母との
同居は避けた方が良いですか…?
平均寿命まで生きていてほしい気持ちでいっぱいです…。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

今日は。田澤です。
「1.田澤先生なら今後どのような治療をしていきますか?」
⇒OncotypeDXを勧めます。
 
「2.このような状態での5年生存率、10年生存率はどの程度のものでしょうか?」
⇒70-80%位でしょう。
「抗がん剤治療をする母との同居は避けた方が良いですか…?」
⇒考え過ぎです。
 気にする必要は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3 今後の治療方針】

性別:女性
年齢:68歳
田澤先生
いつも乳がんの勉強にはQ &Aを拝見しています。
母の今後の治療方針について、お忙しいところ申し訳ありませんがご意見をいただきたいです。
術後の病理検査では
癌の大きさ術前5cm→ 術後7cm
リンパ節転移5/20
ki67 術前15→術後30%
ER 3/3%
PR 3/3%
HER2 0
ステージ3の診断でした。
田澤先生にご意見を頂き、母にオンコDXを勧めましたが、できる治療は全てやっておきたいとのことで
EC→タキサン→放射線→ホルモン療法の予定でした。
ただ、ECを1クール行ったところ、嘔吐や吐き気の副作用がものすごく酷く出てしまい(こんなに酷い人はまれと言われたそうです)、1クールで中断になりました。
現在は放射線治療とホルモン療法で体力の回復を待っています。
今後の治療方針としては、CMF療法を6クール。
そのあとホルモン療法とのことです。
母のように進行した状態で、CMF療法だけでも大丈夫なのでしょうか…。
タキサンの治療もしないようです。
田澤先生ならどのような治療方針にしますか?
EC療法ができなくなってしまいとても不安ですが、母がうつ病になりかけるくらい酷い副作用だったので諦めるしかありません。
度々質問してしまい申し訳ありません。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「母のように進行した状態で、CMF療法だけでも大丈夫なのでしょうか…。」
⇒そもそも…
 私は「抗癌剤ありき」ではありません(前回、OncotypeDX勧めましたよね?)
「田澤先生ならどのような治療方針にしますか?」
⇒本当に抗癌剤が必要なのか?
 OncotypeDXしましょう。(前回の回答に変更ありません)
☆もしも、私の意見とは異なり、「どうしても抗癌剤をさせないと不安」なのであれば…
 (必須だとは思わない)私が、そこまで回答するのも「お節介」かもしれませんが
 weeklyPTXなら「何の問題も無く、完遂できる」でしょう。(CMFをするよりは)