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両側乳がん・浸潤性小葉がん

[管理番号:6145]
性別:女性
年齢:49歳
田澤先生
初めて質問をさせて頂きます。
いつも乳がんプラザを拝見しながら思うのは、皆さんが、田澤先生のお言葉に支えられ、勇気づけられ、前向きに進もうとされていることです。
主治医の先生の役割は?などと考えていました。
私は8年前に乳がん(右胸)になり温存手術、その後、放射線(30回)、ホルモン治療2年間をやりました。
その際は、腫瘍の大きさ1.1×1.1×0.8cm,
1.1×1.1×0.8cm, リンパ節転移なし、ER(7), PgR(6), HER2 (0), 核グレード2でした。
今年の1月に乳がん(左胸)がみつかり、2月温存手術実施。
その結果、断端陽性になり3月末に再手術(全摘・同時再建)実施予定。
詳細は以下の通り。
・肉眼的な腫瘍の大きさ:1.7×1.4×1.3cm
・浸潤癌の大きさ:1.0×0.9×0.8cm
・Pt分類:Pt1b
・in situ病変を含めた大きさ:3.2×2.3×1.3cm
・HER2 :FISH(2+ ?陽性)
・ER(7), PgR(7)
・Ki67 index:35%程度
・E-cadherinは陰性→浸潤性小葉癌。
・核グレード3
・乳管内病変の程度(++)
・リンパ癌侵襲:1y0
・静脈侵襲:v1
・リンパ節転移:陰性、センチネル(0/3)
以下の点、教えて頂きたく宜しくお願いいたします。
1) 今回、原発性ではあるものの、2回目の乳がんになります。
また全摘(左胸)を予定していますが、今後の再発・転移対策として検査はどの程度(検査内容・頻度)実施したらよいのでしょうか?
また食生活も含めてどのような対策をしたらよいのでしょうか?
2) 今回、本来はおとなしいはずの小葉癌にもかかわらず、私の場合は核グレード3、及びHER2陽性となります。
全摘を予定していますが、ハーセプチン(+抗がんがん剤)、及びホルモン剤(5年?)が必要になるかと思います。
仕事をしながらの治療を予定しているので、抗がん剤の副作用がなるべく小さい方法での治療ができないか、考えています。
どのような治療が最適でしょうか?(勿論、治療効果がないような治療はする必要はないことは承知しておりますが)
3) 抗がん剤は体へのダメージが大きいと認識しています。
それでもメリットのほうがでデメリットを上回ると理解して進めるべきなのでしょうか?
以上、どうぞ宜しくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「検査はどの程度(検査内容・頻度)実施したらよいのでしょうか?」
⇒ホルモン療法で3カ月に1回通院するのだから、3カ月毎に診察エコーしてもらうといいでしょう。(採血は半年)
「また食生活も含めてどのような対策をしたらよいのでしょうか?」
⇒特別なものは不要です。
「ハーセプチン(+抗がんがん剤)、及びホルモン剤(5年?)が必要になる」
⇒「・HER2 :FISH(2+ ?陽性)」という表記が曖昧ですが…
 HER2 2+でFISHを行い「陽性」だったということならば、そうなります。
「どのような治療が最適最適でしょうか?」
⇒非アンスラサイクリンレジメン(TC+HER, weekly PTX+HER)など。
「メリットのほうがでデメリットを上回ると理解して進めるべきなのでしょうか?」
⇒勿論です。
 抗HER2療法は再発率を半分にするのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2 ハーセプチンのリスク】

性別:女性
年齢:50歳
田澤先生に頂いた回答をもとに、主治医と話をし、非アンスラサイクリンレジメン(weekly PTX+HER)を選択し、治療中です。
化学療法との併用という観点ではあと残すところ1回となりました。
治療を振り返ってみると、治療の時以外は仕事を休むことなく、副作用もほとんどなく(最初の2回は便秘、たまに「これは味覚障害?」と思う程度の味覚障害)元気に生活しております。
毎週通院は必要になるものの、
weekly PTXの選択は私の場合、大正解でした。
ありがとうございます。
さて今後はハーセプチン単独+ホルモン剤になりますが、以下の点、ご教示頂きたく宜しく御願いいたします。
1)
ハーセプチン単独の場合でも「20人に一人の割合で「心不全」の症状があらわれる」、という記載(国立がんセンター)がありますが、(非常にアバウトな質問で恐縮ですが)どの程度心配する必要があるのでしょうか?ハーセプチン開始前に心臓の検査は実施しており、既に(抗がん剤との併用で)4回投与が終わっておりますが、今のところ特に問題なくきております。
ただし、今後9か月(14回)はハーセプチンを投与し続けるので、心不全をはじめその他の心機能低下に対しての認識を持っておきたいと思っております。
現在は化学療法中なので海外出張は
控えておりましたが、仕事柄海外出張も多い為、リスク面と事前対応方法を確認させて頂きたくお願いします。
また心毒性は回数を重ねる毎に増すのでしょうか?
上記質問の背景としては、会社関係者から「心不全、もしくは新機能低下のリスクがある人を海外駐在(現在、先進国に単身赴任中)させたり、そこから更に出張にだしたり(主に発展途上国)することは危険と感じる。
常に誰かがそばにいて、様子をみて何かおきた時にすぐに対処できる体制をとる必要がある。
海外駐在の継続は難しいのでは?」と言われています。
化学療法が終わり、やっとこれから出張もできると思っていた矢先に、上記のコメントでショックを受けております。
2)
また「トリプルポジティブの場合(特にHER2陽性の部分で)、非常に悪性度が高く、再発と隣り合わせなのでとにかく安全に治療に専念できる環境(家族がいる日本での生活)が大切なのでしょうか?(ちなみに現在の赴任地は医療制度・サポートシステムも大変しっかりしており全く問題ない状態です。
質・サービス面でも日本以上に良いと思うことも多いです)
いつも田澤先生のメッセージを読ませて頂きながら、あくまでもサブタイプは今後の治療の為に必要であり、腫瘍径のほうがその何倍も重要、
との認識でおりましたので、「非常に悪性度が高く・・・」と会社関係者に言われクラクラしてきました。
3)
生存率、再発率のサイトを見る際に、「ステージ」と「サブタイプ」の両方がありますが、ステージ1でも、サブタイプが悪い(トリプルポジティブ)と、生存率、再発率が相当落ちるのでしょうか?私の場合の生存率、再発率はどのくらいになるのでしょうか?
乳癌罹患者は働く世代・子育て世代が多い中、乳癌になることで仕事生活が制限されたり、子育てに影響があったり・・・等々あるかと思います。
心は前を向きたいのに、治療、周りからの理解を得られないなど直面する課題も多く、ストレスを抱えながら生活をしていく場面が多いです。
ただこの経験をぜひ前向きに捉えたいと思っています。
毎日、サイトを拝見し(楽しみな日課になっております)、田澤先生のアドバイスを非常に励みにしております。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「1)ハーセプチン単独の場合でも「20人に一人の割合で「心不全」の症状があらわれる」、という記載(国立がんセンター)」
→全くのでたらめです。
 現実に、当院では、この4年間でハーセプチンを百人以上やっているはずですが、
(心機能低下は)1人もいません。
「心毒性は回数を重ねる毎に増すのでしょうか?」
→前の病院での10年間の経験(とんでもない数の患者さんがハーセプチンんをしていますが)その中で「心機能低下してハーセプチンを中止」した人は、(私の記憶では)わずか1名です。
 ハーセプチンによる心毒性は(アンスラサイクリンとは異なり)「可逆性(止めれば元通り回復する)」であることが解っていますが、その通りでした。(比較的速やかに改善しました)
「どの程度心配する必要があるのでしょうか?」
→全く不要。
「安全に治療に専念できる環境(家族がいる日本での生活)が大切なのでしょうか?」
→全く無関係
 
「ステージ1でも、サブタイプが悪い(トリプルポジティブ)と、生存率、再発率が相当落ちるのでしょうか?」
→無関係
 そもそも、HER2陽性は(ハーセプチンが補助療法として認可される前は)予後不良因子と言われていましたが、「抗HER2療法が術後補助療法として導入」されてからは、寧ろ「再発率が低い」と思います。(再発率を半分にするわけだから当然ですが…)
「私の場合の生存率、再発率はどのくらいになるのでしょうか?」
→NewAdjuvant.comがメンテナンス中なので不明です。