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温存手術をうけました。

[管理番号:395]
性別:女性
年齢:43歳
乳がん検診を受けるようになってから、よく拝見させて頂いておりました。
3年前乳がん検診を初めて受けました。石灰化が見られるとの事で要検査になりました。
その後専門病院で1年に1度検診をしましたが、たまたま生理不順から婦人科でピルを1年間飲んでおり、その後の検査ででホルモン補充療法をすることになり、ディファストン、ジュリア錠を飲むこになり相談をした所、乳腺外科の検診は6か月ごとに検診に来て下さいと言われました。そして6か月目に検診に行ったところ前回なかった所に白く写っているので、針を刺して細胞をとる検査をすることになりました。前回もしこりがあって採った所、良性だった・・・と思っていたのですが、今回はがんでした。との結果にただただ落ち込む毎日でした。MRIとCT、レントゲン等の検査をして先月末温存手術を受けました。
ちょうどしこりの位置が中央、乳首の下と言う事で乳首上ギリギリを脇にかけて10センチ前後切りました。乳首は血流が戻るか壊死しないかという感じで薬を塗っておりましたが、今月6日無事退院しました。
連休を挟んでいることから病理の結果はまだ出ておりません。
ただ手術前の話では前回の検査から6か月しかたっておらずしこりも6×6という1㎝に満たないものですので、ステージ0から1位だと思います。MRIやエコーの検査からリンパの腫れも見えないですので、多分リンパは大丈夫でしょうとの説明でした。
手術後家族が説明を受けた際に「3個のうち1個が青く染まり、光ったように見えたんですが、まあ多分大丈夫だと思いますが念の為病理に出します。もし病理の結果で問題あったら抗がん剤治療になる事も有ります。まあ大丈夫かと思われますが」との事でした。
その後、回診の時「術前のお話しとほぼ同じく問題なく終わりましたから大丈夫ですよ」みたい感じのお話が私にはさらっとありましたが、正直え!抗がん剤治療?リンパが染まったとか1個病理に出すとか、それってリンパに転移の可能性があるってこと?と1人悶々としてしまっております。
娘もまだ10歳で1人で育ててることから、まだまだ死ぬわけには行かない・・・。
転移や再発があったらどうしようって思うと眠れない毎日を過ごしておりました。
傷もまだチクチクと痛んだり、傷のない腕の付け根というか脇らへんが痛く触るとポコとしてたり固くなってたりデコボコしてる感じで痛いです。
傷がまったく痛まないのはどの位先なのか、乳首もまだ黒っぽいかさびたの所と地肌の所があります。これは壊死とか大丈夫なのか・・・すみません話がまとまらず。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 おはようございます。田澤です。
 メール内容を拝見するに、「全く心配ない状況」だと思いますが、どうも診療内容に問題があるようです。
 それがもとで「質問者を悩ませているようなので、その点をはっきりさせたいと思います。

回答

「針を刺して細胞をとる検査」
⇒細胞診で「確定診断として手術をしている」ようですが、本来はリスクのある事です。(つまり、実際は癌では無い:偽陽性がありえるのです)
 術前検査が細胞診であるので、「術前に非浸潤癌なのか、浸潤癌か不明」の状態であるため、全体として「説明内容があいまい」となっているようです。
 
「3個のうち1個が青く染まり、光ったように見えたんですが、まあ多分大丈夫だと思いますが念の為病理に出します。もし病理の結果で問題あったら抗がん剤治療になる事も有ります」
⇒この記載は全くの誤りです(と、いうかご家族の勘違いもあるかもしれません)
 「術中色素法でセンチネルリンパ節生検」を行っているわけですが、「1個が青く染まり」とは当たり前の話であり、「青く染めることでセンチネルリンパ節を同定(確認)」し、それを通常は「術中迅速病理診断」を行うのです。
◎「青く染まる=センチネルリンパ節である」という関係であり、「青く染まる=転移かもしれない」では全くありません。
 もしも「ご家族の勘違い」ではなく、「担当医がそのように考えているとしたら(あり得ないとは思いますが…)とんでもない大問題」です
★おそらく「院内に病理医が不在もしくは(乳腺病理ができない)」事で、通常なら推奨されるべき「センチネルリンパ節の術中迅速病理診断が行われていない」様です。
 
「病理の結果で問題あったら抗がん剤治療になる事も有ります」
⇒6mmの癌では、おそらく可能性はほぼ無いでしょう。
 このような説明になってしまっているのも、(術前診断が細胞診だけで)サブタイプなどが不明だからです。
 
「リンパが染まったとか1個病理に出すとか、それってリンパに転移の可能性があるってこと?」
⇒先ほどお話ししたように、「センチネルリンパ節生検は、リンパ節を染めるために色素を入れている」ので「無事にセンチネルリンパ節を同定(確認)できた」というだけの話です。
 「病理に出すことを前提として」センチネルリンパ節生検を行っているので、「転移の可能性があるから、病理に出すではなく」『(もともと)病理に出さなくてはいけない』のです。
★リンパ節転移の可能性がある訳ではありません。
 
「転移や再発があったらどうしようって思うと眠れない毎日を過ごしておりました。」
⇒転移も再発もおよそ、考えられない状況です。
 「担当医の説明不足(そもそも細胞診だけで手術を行っている事も含めて)」が原因で「無駄な心配」をさせているとしか思えません。
◎病理結果を安心してお待ちください。
 
「傷がまったく痛まないのはどの位先なのか」
⇒この辺りは(いくら乳頭に近いとはいえ)手術技術の問題です。
 創痛の改善は「手術手技」によるので解りませんが、それでも2カ月位すれば改善する筈です。
 
「乳首もまだ黒っぽいかさびたの所と地肌の所があります。これは壊死とか大丈夫なのか」
⇒「痂皮」となっていれば治癒まで時間はかかるけど壊死は大丈夫だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ご回答ありがとうございます。
 
先生のご説明を聞いて不安いっぱいで毎日子供の寝顔をみては、この先の事が不安で泣いてばかりでしたが少し安心いたしました。
早々のご回答本当にありがとうございます。
 
術後の話を聞いた家族が高齢であるのと気持ち的にも動揺していたのもあるので、センチネルリンパに関して、先生のご回答を合わせながら一つ一つ聞いていった所、センチネルリンパに関して家族がきちんと理解できていないようで、術中リンパ節の転移の確認はしているようでした。その中で転移は見受けられなかったが念のため病理にという話で、万が一ないと思いますが結果次第では抗がん剤投与になる事もあります。多分大丈夫と思われます。という話だったようです。
また書き方が悪くてすみません、手術前の段階では転移、再発はありませんでした。ただ乳癌は早い時期に遠隔転移や再発があるとネットで見かけるので、この先の事を考えると不安からか息苦しい感じで落ち着かない日を過ごしておりご質問させて頂きました。
 
まだ病理の検査結果が出ていないので、詳しいタイプが解らないのですが、表現が有っているかわかりませんが悪性度の低い、再発や遠隔転移の可能性が少ないものであれば良いなと祈る毎日です。
お忙しい中ご回答いただきましてありがとうございます。
 

田澤先生から 【回答2】

 内容を読ませてもらいました。
 「センチネルリンパ節生検」についてはご家族の誤解もあったようで「結局、きちんと行われていた」事に安堵しました。
 
 ただ、私の印象を敢えて言わせてもらうと
 「6mmの癌」で「術中センチネルリンパ節迅速診断も陰性(当たり前ですが…)」なのに「万が一ないと思いますが結果次第では抗がん剤投与になる事もあります」という余計なひと言が『質問者やご家族を無駄に心配させている』と思います。
 「医師の何気ない一言」が「如何に患者さんを不安にするのか?」
 私も考えさせられました。
 
 再度のメールありがとうございました。
 もしよろしければ、「術後の病理結果」がでたところで再度「Q and A」に投稿していただければ幸いに思います。
 江戸川病院 乳腺センター 田澤
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先日はお忙しい中、お返事を頂きましてありがとうございます。
手術後、不安の中にいましたのでご回答を頂きまして、落ち着いて結果を待つことができました。
検査の結果 
ステージ1 浸潤性乳管がんでした。
今回の手術できちんと取り切れており、リンパ節転移は見られませんでした。
ER 80% 陽性  PgR 30% 陽性 HER2過剰発現ななし Nuclear grade 1
という結果で次の日よりタオスミン20ミリ 1錠を飲んでおります。
これは5年間服用予定だそうです。
又近隣の病院の放射線科を予約して25日受診予定で、その際骨シンチの検査要請の紙も入っているようです。
乳がんになる前は生理不順や不妊治療と婦人科にかかることの方が多く、乳癌発覚前もホルモンの量が減って来ていて生理が起きないことから補充療法をしており、乳がんがわかり、ホルモン療法を中止に行ったときに先生より「乳がんに効くお薬で子宮に負担のあるお薬あるので、体癌の検査も欠かさずしてくださいね」と言われました。正直婦人科系は昔から自信がないため、今回処方されたお薬を飲むことになり体癌や卵巣がんのリスクが不安でしかたありません。
それと同時にもともとめまいを発症することがあり(メニエールまでは数値が悪くない)めまいや、ネットにも色々副作用が書かれているので再発や転移を考えると、もちろんちゃんと飲んでおりますが、不安で不安でしかたない状態です。
乳癌のことも乳首の真下と言う事で乳首の裏側も削ったというお話で、ちゃんととり切れています。と回答を頂いたものの温存で、乳首も残したこと、また反対の胸より再発を考えると手術前にあんなに考えて決断しはずなのに毎日不安です。
ネットで見ると2~3年で再発や遠隔転移をされる方をよく目にします。
娘もまだ小さいですし、一人親なので再発したら、遠隔転移したらどうしよう・・。骨シンチで引っかかったらどうしよう等今も不安に押しつぶされそうになる事がよくあります。
私の結果より先生の御経験からみての今後のご意見をうかがえたらと思いメールさせて頂きました。
お忙しい中いつもまとまりのないメールになってしまい申し訳ありません。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 病理結果は最高の結果ですね。
 何も悩む必要はありません。

回答

「今回処方されたお薬を飲むことになり体癌や卵巣がんのリスクが不安でしかたありません」
⇒タモキシフェン(タスオミン)内服により「子宮内膜の肥厚が起こり、子宮体がんのリスクが若干上昇」します。
 但し、10年間で0.4%増加する程度であり、「乳癌再発のリスク低減効果に比べて1/30程度」でしかありません。
 「健診を定期的に受けていれば全く問題ありません」
 因みに「卵巣癌のリスク」はタモキシフェンにより上昇はしません。
 
「ネットにも色々副作用が書かれている」
⇒確かに「副作用の出る人」も居ますが、「継続できないような副作用」ではありません。
 
「乳首の真下と言う事で乳首の裏側も削ったというお話で、ちゃんととり切れています」
⇒この点は「主治医を信頼」してください。
 
「ネットで見ると2~3年で再発や遠隔転移をされる方をよく目にします」
⇒「再発、転移した人がブログを書いている」だけの話です。
 「再発していない人は、その事でブログをわざわざ書かない」ものです。
 質問者はステージ1, luminal Aという「恵まれた」状況に居ます。
 余計な心配は不要です。
 
「再発したら、遠隔転移したらどうしよう・・。骨シンチで引っかかったらどうしよう」
⇒全く心配する必要はありません。「骨シンチ」も当然、「異常無し」という結果でしょう。