乳がん手術は江戸川病院・東京


[管理番号:2553]
性別:女性
年齢:46歳

田澤先生
初めまして、よろしくお願いします。

1月半ばの乳がん検診(毎年受診)で5mmの新出のしこりが見つかり
精査の結果、乳がんと判定されました。

MRIで結節は長径6mmでした。

組織検査結果には
Histologic grade 1に相当する。

ERスコア:3b
PRスコア:3b
HER2:0
Ki-67:5%
と書いてあります。

ほかにも10年ほど前から脂肪腫、過誤腫があります

紹介状をもらい、実績の多い民間中堅病院で手術をお願いすることにしました。

昨日、初診を受け、そのままCTなど手術に必要な検査を受けてきました。

全切除を希望していたので、その旨を伝えたら
主治医となる先生はびっくりされて
6mmと小さく、位置も良い、温存しないなんてもったいない、と何度も何度も仰って・・・・

私も温存に心揺れていたのですが
照射を受けるのが困難(連続して休みにくい)
照射が怖い(CTを何度も受けているので被ばくを避けたい)
局所再発が怖い
という気持ちがあり、切除を希望しました。

私の希望ならもちろん切除するけれど
再発率は10年で10%レベル。
再発したら切除すればいいのに、
もったいない、と何度も仰り、気持ちが揺れ始めています。

その病院は入院日数も温存なら3泊、切除なら10日~14日であり

小学生と春に中学生になる子供がいて
夫は単身赴任不在で、留守は高齢の母に来てもらう予定ですが
母の体調のこともあり、入院は短いに越したことはありません。

先生のQ&Aを読み、最後は患者の価値観、ということは頭でわかっているし
ノートにメリットと懸念事項を書き
自分の気持ちを書き・・・と客観的になろうとしていますが
一日の大半は切除、でも時々温存を・・と揺れてしまいます。

どうしたらいいのかわからず、抑えきれなくなって一人で泣いています。

手術は4月の半ばの予定ですが
近日中に決断しないとなりません。

たくさんの患者を診てこられた田澤先生に、何かヒントのようなものをいただければ、と思い、メールを出しました。

小さなしこりで過剰に揺れ動き、申し訳ありません・・・。

以下のことを教えていただけないでしょうか?

①断端陽性の場合、照射でどの位再発が抑えられるものでしょうか?

②切除も温存も生存率は変わらないと聞きますが、断端陰性陽性と転移は無関係なのでしょうか?

③放射線照射は部分的なので無害なのでしょうか?
トータル50グレイの身体への負荷がよく分かりません。

④過誤腫がありますが、主治医の先生はこの過誤腫のMRIを診て、広がりではないか?とPETを提案してきました。
(断りました)
10年来のもので、早期乳がんの発見にとても力を入れているクリニック(すぐに生検をする)で脂肪腫・過誤腫と言われたものですが・・・
過誤腫でない可能性もあるのでしょうか?
主治医は触診で、過誤腫・・かなぁ、やっぱりと言っていました。

⑤針生検査の結果は一時的なもので、術後の病理検査で、この内容が変わることがあり、そちらが正確なタイプだということは認識しています。

検診クリニックの先生の「比較的おとなしいタイプだと思う」の言葉にすがりながらいますが、先生のご経験上、どの位変わるものでしょうか?

⑥このレベルで切除と言っている私は、ヒステリック気味なのでしょうか・・・。

お忙しいところ、また多くの不安な人たちのいる中、大変恐縮ですが、ご意見をいただけると嬉しいです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「MRIで結節は長径6mmでした。組織検査結果にはHistologic grade 1に相当する。ERスコア:3b PRスコア:3b HER2:0 Ki-67:5% と書いてあります。」
⇒pT1b(6mm), pN0(間違いないでしょう), luminal A, HG1

これは究極に「低リスク」です。
 日頃から、「治療する側からは、患者さん本人が全摘を希望するのであれば、全摘で何ら問題なし」と思っている私でさえも、
 「6mmと小さく、位置も良い、温存しないなんてもったいない、と何度も何度も仰って」という担当医の気持ちも(この場合は)理解できます。
 

「照射を受けるのが困難(連続して休みにくい)照射が怖い(CTを何度も受けているので被ばくを避けたい)局所再発が怖い」
⇒(誤解しないでほしいのですが)私は質問者を(温存術へ)無理やり説得するつもりはありませんが…

 「照射を受けるのが困難(連続して休みにくい)」とありますが、照射自体は「数分で終了」しますし、「仕事を休む必要はない」と思います。(通院時間がどの程度なのかの事情が解らないですが、殆どの方は仕事を続けながら照射しています)
 「照射が怖い」「局所再発が怖い」 このあたりは「ゼロにはなりませんが、条件的にリスクが低い事だけは間違いありません」
 

「①断端陽性の場合、照射でどの位再発が抑えられるものでしょうか?」
⇒断端陽性であれば「追加切除すべき」です。

 断端陽性での照射による制御は「どの程度(範囲など)の断端陽性なのか」に大きく影響され、数字はありません。
 ○ただ「6mm」であれば「断端陽性にはならない」可能性が高いとは言えます。
 

「②切除も温存も生存率は変わらないと聞きますが、断端陰性陽性と転移は無関係なのでしょうか?」
⇒無関係です。
 あくまでも「局所再発のリスク因子」なのです。
 

「③放射線照射は部分的なので無害なのでしょうか?トータル50グレイの身体への負荷がよく分かりません」
⇒放射線は「局所療法」なので、「効果も副作用も局所だけ」なのです。

 基本的には「皮膚の日焼け」程度です。
 

「④過誤腫がありますが、主治医の先生はこの過誤腫のMRIを診て、広がりではないか?とPETを提案してきました。(断りました)」
⇒質問者を支持します。

 馬鹿馬鹿しい提案です。

「10年来のもので、早期乳がんの発見にとても力を入れているクリニック(すぐに生検をする)で脂肪腫・過誤腫と言われたものですが・・・過誤腫でない可能性もあるのでしょうか?主治医は触診で、過誤腫・・かなぁ、やっぱりと言っていました。」
⇒10年来であれば、間違いありません。
 

「⑤針生検査の結果は一時的なもので、術後の病理検査で、この内容が変わることがあり、そちらが正確なタイプだということは認識しています。検診クリニックの先生の「比較的おとなしいタイプだと思う」の言葉にすがりながらいますが、先生のご経験上、どの位変わるものでしょうか?」
⇒腫瘍径6mmでは、「殆ど変化なし」だと思います。

 想像してもらうと解りますが、「100gの中の1g」と「10gの中の1g」では同じサンプリングでも「病変を代表している確率が全く異なります」
 

「⑥このレベルで切除と言っている私は、ヒステリック気味なのでしょうか・・・。」
⇒そんなことはありません。

 乳房(全)切除が「間違った選択」だとは思いません。(最も確実な方法であることはまちがいありません)
 ただ、「実際のリスクの程度を理解された上での」選択であればいいのです。

 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生

先週はご回答をありがとうございました。

検診の先生、担当の先生から自分の状態についてあまり説明を受けておらず、
検診医の「比較的おとなしいタイプだと思う」の言葉と組織検査結果の簡単な記述を基にこちらのサイトなどを読みながらいろいろ推測していました。

なので先生の解説と回答はとても嬉しく、心強かったです。

温存リスクのコメントもありがとうございます。

断端陽性は再切除なのですね。

私は乳房が小さいので四方1センチのマージンを取ったら変形がひどいだろうと思い、担当医にそう伝えたら
「しこりは小さいのでちょっとだけ切るだけなので、ほとんど変形しない」と言われ、マージンを十分にとらないのか?とか
陽性だったら追加照射で対応もしている例もある病院のようなので一層再発の不安が増していました。

担当医ともう少し話ができるといいのですが、待合室には大勢の患者さんがいるので、あまり時間がいただけず、です。

病理結果の変化のお話も、とても分かりやすい説明でした。

照射の話も、実質1,2分だとは聞き知っていたのですが
勤務が終わってからでは通院に間に合わず、休みを取ることになりそうです。

子供がいるので、有給休暇の残りが不足することも避けたいと思っていました。

日焼け程度という説明に安心しました。

再発リスクを不安と取るか僅かと取るか、まだ悩みますが、よく考えてみます。
ありがとうございます。

もう2件ほど質問させていただいてもよろしいでしょうか。

①手術の日までかなり時間があります。

(先日受診したら4月中旬頭の予約が下旬に変更されました)
検診が1月中旬
針生検とMRIが2月中旬(2月下旬に告知)
手術が4月下旬です。

検診時のエコーが5mm
MRIで6mm
先日の検診で7mm
着々と大きくなっているように思えます。

担当医は「誤差範囲内」と言っていますが、
自分で触ると、以前はお米粒感触だったのに、今は小豆粒に感じます。

針生検のあと(1か月位経過)がまだ時々痛むので、腫れているのかなと思ったりもしますが素人的にはとても不安になります。

ノルバデックスを処方され服用して1週間になりますが、副作用もほとんど出ず、果たして効いているのか?と思ったりもしています。

ノルバデックス処方の理由についても説明はなく、質問しましたが理由はわからず、帰宅後田澤先生のQ&Aで「推奨はされないが、手術まで時間が空くので・・」と知りました)

検診を1か月遅く受けたと思い込もうとしていますが、なかなか思考が切り替わりません。

手術待ちの時間が長い患者さんに共通の悩みかと思いますが
しこりが見つかってから3か月半、生検から2か月半と長いので不安です。

②センチネルリンパの実施について教えてください。

1個検査している方と数個検査している方がいらっしゃるように思えますが、何が違うのでしょうか?
見張りリンパ数の個人差(身体差?)でしょうか。

それとも腫瘍径などから決めているのでしょうか?

震災の日に、多くの人がとても辛いことにあった日に、悩んでも仕方ないことで不安になり、情けないのですが、よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「照射の話も、実質1,2分だとは聞き知っていたのですが勤務が終わってからでは通院に間に合わず、休みを取ることになりそう」
⇒勿体ないですね。

 江戸川病院のように「夜10時まで」やっていれば、何ら問題ないのですが…
 

「検診時のエコーが5mm MRIで6mm 先日の検診で7mm 着々と大きくなっているように思えます。」
「担当医は「誤差範囲内」と言っています」
⇒担当医のいうように「誤差範囲内」です。
 

「自分で触ると、以前はお米粒感触だったのに、今は小豆粒に感じます。針生検のあと(1か月位経過)がまだ時々痛むので、腫れているのかなと思ったりもします」
⇒その通りです。

 針生検による影響でしょう。
 

「ノルバデックスを処方され服用して1週間になりますが、副作用もほとんど出ず、果たして効いているのか?と思ったりもしています。」
⇒「効果と副作用は無関係」です。

 副作用の軽い患者さんは「そのように考えがち」ですが…
 

「手術待ちの時間が長い患者さんに共通の悩みかと思いますがしこりが見つかってから3か月半、生検から2か月半と長いので不安です。」
⇒重々気持ちはわかります。

 私自身の今一番の悩みも、そこです。
 手術待ちの期間をお話するたびに「患者さんのがっかりする顔」を見るのが忍びない思いです。
 個人的には「この春からの手術枠の拡大に期待」(病院の会議次第ですが… あくまでも私も一職員にすぎないのです)しています。
  

「②センチネルリンパの実施について教えてください。1個検査している方と数個検査している方がいらっしゃるように思えますが、何が違うのでしょうか?」
⇒本来の「センチネルリンパ節は1個(リンパ管から一番最初に到達するリンパ節)」です。

 きちんとした精度で行っていれば「1個で十分」なのです。

「センチネルリンパ節生検ができていない」と危惧する施設では(念の為)「これかもしれない。こっちかもしれない」と複数取っているのです。
 ただし、「この行為」は「リンパ管を余計に破壊」していることなので、術後浮腫などの原因となりえる行為なのです。
 

「見張りリンパ数の個人差(身体差?)でしょうか。」
「それとも腫瘍径などから決めているのでしょうか?」
⇒どちらでもありません。

 単純に「手術の精度」なのです。

 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生

お忙しいところ、ご回答をありがとうございました。

待ち時間が長くて不安、なんて、先生に相談してもどうにもならないことなのに
丁寧にコメントを下さり、ありがとうございます。

先生の立場からの「手術待ち時間の長さに対する歯がゆさ」も書いてくださって、患者さんを思いやる気持ちが伝わり、勇気づけられました。

田澤先生に担当してもらえる患者さんは本当に幸せです。
その中に入りたかったな、と
少し悲しくなりますが
先生の患者でもない私たちの不安や質問に丁寧に答えてくださることに深く感謝します。

先生の回答は、実績事実に基づく明確なものですが、行間に優しさや励ましのようなものを感じます。

告知からずっと鬱々としていました、担当医の対応にも鬱々として不信感がありました。

でも冷静に思い返すと何度か担当医なりに励ましの言葉や配慮もしてくれていたな、私が無反応で自分の都合ばかり考えていたな、と反省しています。

田澤先生のおかげでずいぶん落ち着きました、ありがとうございます。

夜遅くまで放射線治療が受けられることに驚きました。

(私がお世話になる病院は16時までです)
今後、江戸川病院のように患者の都合に寄り添って対応してくれる病院が増えることを切に願います。

あと少しだけ、お聞きしてもよいでしょうか。

照射が有給休暇で対応できる可能性が出てきて、また少し迷いが復活しました。

(局所再発の不安は消しきれませんが)
①腫瘍切除のマージン
腫瘍は乳首から9時の方向(外側)1.8cmの所にあります。

担当医の「腫瘍の部分をちょっと切るだけだから」という言葉がとても引っかかっています。

手術をうける病院は温存で有名な先生がいるようで、遠方から温存したい患者さんがたくさん来ているようで、
私はその有名な先生の担当ではありませんが、スタンスとして美容を重視しているように感じています。

温存にする場合はもちろん陽性にならないように切除するでしょうけれど、もしかして最低限しか切らないのか、
十分なマージンを希望したら聞いてもらえるのかな・・と不安になります。

7mmの腫瘍の場合、断端陰性に持ち込むために、田澤先生ならどの位マージンを取りますか?

②断端陽性だった場合、追加切除より照射増しになりそうな気がします。
その場合、江戸川病院に転院すれば追加切除に対応していただけますか?

③手術まで日にちがあるためか、とりあえず「皮下乳腺全摘術」とされました。

(詳細な説明は次回受診時のようです)。

切除術というと、今はこれが一般的なのでしょうか?
ネットで調べると、浸潤ガンには推奨されないという記述や、乳腺が1、2割残ることが多く、再発リスクはそれなりにある、という記述を見ます。
乳頭は残さないつもりですが、そうなのでしょうか?(手技の腕前によるのでしょうか・・?)

知れば知るほど、次の疑問が出てしまいます、お忙しいところ何度も何度も申し訳ありません、よろしくお願いします

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「腫瘍は乳首から9時の方向(外側)1.8cmの所」「7mmの腫瘍の場合、断端陰性に持ち込むために、田澤先生ならどの位マージンを取りますか?」
⇒私は2cm以上とります。

 しかも、「乳頭側」にかんしては「乳管内進展が乳頭方向に向かう」ことを経験上知っているので(乳頭から18mmの距離であれば)間違いなく(乳頭の裏を通り)「乳頭の逆側(この場合は内側まで)まで切除」します。
 ♯つまり、(乳頭方向以外は2cmマージンでも)乳頭方向だけは、マージンを大きくしているのです。
 

「②断端陽性だった場合、追加切除より照射増しになりそうな気がします。その場合、江戸川病院に転院すれば追加切除に対応していただけますか?」
⇒「画像所見」「病理所見」「手術所見」があれば対応できます。(同様の患者さんは実は結構いらっしゃいます)
 

「③手術まで日にちがあるためか、とりあえず「皮下乳腺全摘術」とされました。」
⇒これは(乳頭乳輪も含めて乳腺を全切除する)「乳房全摘」に対して「乳頭乳輪温存乳房全摘」という意味です。
 

「切除術というと、今はこれが一般的なのでしょうか?」
⇒乳房再建を前提とした「乳房全摘」です。

 つまり(やや形成外科的視点からみた)「乳房全摘」であり、本当の意味の乳房切除(乳腺組織を全切除する)ではありません。
 ○乳頭を温存するということは、その内部にある乳管を残す事になるのです。
 

「ネットで調べると、浸潤ガンには推奨されないという記述」
⇒一応の基準はあります。
 ①腫瘍径が十分小さい… これは質問者はクリアしてますね。
 ②腫瘍乳頭間の距離が十分にある… ここの解釈が別れそうです。
 

「乳腺が1、2割残ることが多く、再発リスクはそれなりにある、という記述」
⇒(症例数や年数が十分ではありませんが…)

 上記①②を満たす場合には、「安全性は証明」されています。





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