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乳がん肺転移の治療方法の選択枝について

[管理番号:6110]
性別:女性
年齢:58歳
 
 初めて質問させて頂きます。
H20年11月右乳がん初発、H21年1月右乳房全摘手術、センチネンタルで1個、リンパ節レベル2までかくせい、多発(最大1.9cm、5個あり、ほか微小も)ER(+)PgR(-)HAR2(2+)フィッシュ検査にて陰性
 
その後、抗ガン剤ECを6クール、フェマーラ再発まで服用す
 症状もなくマーカーも範囲内で落ち着いたのですが、H29年12月会社の健診胸写にて両肺に多発、結節の所見あり。
翌日、CT撮影、右鎖骨下リンパ節にも転移あり,生検結果、乳がん多発肺転移、右鎖骨下野リンパ節転移が解る。
PETにて肝臓にも陰影があるもMRIの結果、(水膿?)様子観察。
 
病理の所見
  浸潤性管がん、核グレード2、ER95%PgR0%、
  HER2(2+)フィッシュ検査にて陽性
  MIB 25%
H29年12月(下旬)日フェソロデックス(1回目)開始する。
2月(中旬)日(4回目)のフェソロデックス注射するが右鎖骨下のリンパ節転移部の腫脹増悪、痛み+の為、フェソロデックスが奏功していないものと思われ、3月(上旬)日に胸部造影CT行う。
(上旬)日に結果説明と治療方針を決める予定です。
 
 主治医の話では、フェソロデックスが効いていないなら、ハーセプチン+抗がん剤になる可能性が高く、私が「もう使えるホルモン剤はないのですか?」と尋ねると、「あるけれど、、多分効かないだろう」とのことでした。
 
 私としては、このまま、がんが大きくなるのが一番怖いです。
早く叩いてがん細胞を小さくし、転移カ所をこれ以上増やさないようにしたいのですが。
抗がん剤を使い、効かなくなったら、次の抗がん剤、また次のと、、そのうち使えるのが無くなってと不安ばかりがつのります。
あと1年経てば10年になり、晴れて無治療になれるとばかり思っていたので、とても辛いです。
 
 それで、無知な私に、田澤先生に助言を頂きたいのですが
①フェソロデックスが効いていない場合、次の治療方法として、どのような物がありますか?
(投薬の種類、投薬方法、投薬の期間など、解らないので教えてください)
 
②その中で、今の私の場合、どれが一番良いと思われますか?
 (もし、田澤先生のご家族だとしたらどれをお薦めになりますか?)
 3月(上旬)日(〇曜日)に結果を聞き、治療方針を決めます。
私も家族も何をどうしたら良いのか、どう考えたらよいのか、迷っています。
お忙しい中、申し訳ありませんが、助言を宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
そもそもHER2陽性なのに、ホルモン療法(フルベストラント)としたのは、ご本人の希望なのでしょうか?
 
「①フェソロデックスが効いていない場合、次の治療方法として、どのような物がありますか?」
「その中で、今の私の場合、どれが一番良いと思われますか? (もし、田澤先生のご家族だとしたらどれをお薦めになりますか?)」

⇒そもそも・
 私であれば、ホルモン療法(フルベストラント)ではなく、当然「抗HER2療法」を行います。
 第1選択はpertuzumab + trastuzumab + docetaxelとなります。
 
 他の候補はpertuzumab + trastuzumab + eriblin
Bevacizumab + paclitaxel
Trastuzumab + (capecitabine, vinorelbineなど)
  沢山あります。
  
 ★抗HER2療法⇒(可能なら)cCR⇒ホルモン療法±パルボシクリブで維持というビジョンが必要です。

 
 

 

質問者様から 【質問2 乳がん肺転移の治療方法の選択肢について】

性別:女性
年齢:59歳
病名:乳がん、両肺転移、鎖骨下リンパ節転移
症状:乳がんにより症状は無し。抗がん剤治療による副作用がある。倦怠感、便秘、下痢、胃潰瘍、爪周囲炎、手指のしびれ

 田澤先生、前回、質問にお答え頂き有難うございました。

お礼が遅くなっておりながら、申し訳ないのですが、また、お教え頂きたくこちらへ来させて頂きました。

 前回、抗がん剤治療の選択の質問にご回答頂き有難うございました。

主治医の指示する抗がん剤と田澤先生の回答と同じものだったので、躊躇なく治療を受ける事が出来ました。
迷うことなく受けれるという事は幸せな事だと思います。

現在、パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセルを10回受けました。

 質問の前に、前回で少し私の説明不足があったので書かせてください。

「なぜ、HAR2陽性なのにホルモン療法をしたのか?本人の希望なのか?」と田澤先生が書かれておりましたが
初回時はフィッシュ検査で陰性でした。
転移時にリンパ節より生検した
フィッシュ検査の結果がまだ出来ておらず、「イブランスも出来ない」
「ハーセプチンも出来ない」という状況で、ホルモン療法(フェソロデックス)が始まったのです。
「これが標準の選択です」と言われ、疑問も持たず、フェソロで癌が小さくなる事を願っておりました。

3ヶ月後CTの結果、増悪しており抗がん剤治療に変更になりました。

 今さらですが、フィッシュ検査の結果が出てHAR2陽性と解った時点で、HAR2療法に変えるべきだったのでしょうか?そこまで思いが至りませんでしたが。

質問①この場合、田澤先生だったら即、変更してますか?
   それとも、フェソロの効果をみてからなのでしょうか?
   (私の身内も癌闘病中です、今後の参考に出来たらと思い聞い 
    ておきたいです。)

 現在、HAR2療法が10回終え、それなりに副作用があります。

癌の状態  3ヶ月後 多発の中に大きい物1.7cm→0.9cmに縮小
      6ヶ月後 少し小さくなっている
           陰影も薄くなっている
結果、画像上のクリアとはならないが、分子標的薬、抗がん剤の奏功はあるとのことでした。

で、ドセタキセルは副作用が酷かったり、止めても元に戻らず残ったりするから、通常6回位で止めるとの事。

私は、癌が消えて欲しいと望んでおり、副作用もキツイ時もありますが、我慢できる位で、積極的な治療をお願いして今日まで至ったのですが、これ以上は無理のようで、、、
ドセタキセルを止めて様子みて維持出来たらそのまま続行、増悪したら他の方法(抗がん剤)を検討するそうです。

質問② このような場合、田澤先生ならどのように考えられます?
    (一旦、癌が消えたなら気持ちも落ち着くのですが、「癌との
     共存は仕方ない」と思いながらも先を考えてしまって辛いも
     のです。)

質問③ 新薬も出ているとの事で、もし、増悪した場合の抗がん剤の種
    類や組み合わせなどを教えて頂けたら、この先の私の光となり
    ます。

    (ドセタキセルも次増悪した時に使えるとの事。)

質問④ 前回の最後の所で
    抗HAR2療法→(可能なら)cCR→ホルモン療法±パルボシクリブ
    で維持というビジョンが必要です。

    と、田澤先生が書かれていますが、パルボシクリブはイブラン
    スのことですか?
    HAR2陽性でも使えるのですか?
    私の理解力が足りず、良ければ今一度、ご説明頂けたらと思い
    ます。

 筆不精で文章も拙く解りずらいと思いますが、田澤先生からの助言を頂き前向きに進んでいけたらと思っています。
宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

質問者が疑問に思っていることの根本は

遠隔転移の際に、「化学療法(抗HER2療法を含む)を最初から積極的に使うべきか?」

まさに、それに終始します。

多くの医師達の中には「ホルモン療法で粘れるだけ粘って、(いよいよ悪くなったら)抗がん剤を使おう」という意識の人たちが存在します。(質問者の担当医もその一人でしょう)
それに対して、私は(多くの患者さんを治療してきて実感しているのは)「まず最初に抗がん剤でいい状態を作って、それを維持したほうがよい」という考え方です。
今週のコラム 138回目 効果と副作用のバランスがとれた抗がん剤で「いい状態を維持」するやり方があることを知ってもらいたいのです。』をご参照ください。

★HER2陰性であっても抗がん剤を最初から積極的に使いますが、ましてや(抗HER2療法という抗がん剤が非常に期待できる状況で)「ホルモン療法で、まずは始める」というのは『ありえない』

Pertuzumab(PER) + trastuzumab(HER) + docetaxel(DTX)が有効であっても…
副作用の問題で当然DTXの継続は困難となるはずです。(質問者はこの状況ですね?)

そうすると、私であれば…
(画像上、いったん消失すれば)PER+HERとしますが、(まだ効果が不十分と考えれば)PER+HER+eriblinとします。

「抗HAR2療法→(可能なら)cCR→ホルモン療法±パルボシクリブで維持というビジョンが必要」
⇒失礼しました。
 パルボシクリブ(イブランス)はHER2陰性のみです。

 修正すると
 抗HER2療法(抗がん剤をDTX⇒eriblinなどに変更したりして)可能ならcCR⇒PER+HER(抗がん剤併用無)で維持