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乳がん術後 病理についての質問です

[管理番号:6032]
性別:女性
年齢:53歳
はじめまして。
昨年12月に乳がんの全摘手術を致しました。
病理の結果がでましたので、
よろしくお願いいたします。
(術前病理はきいていません)
硬癌
腫瘍径0、9センチ
リンパ転移1
level2までとりました。
ER10%~50%
pgR1%未満
グレード2
ハーツー+1
ki20%から30%
主治医の治療方針としては、ルミナールAかBか微妙なとこだが、腫瘍径が0、9センチ、リンパ転移ありなので
ホルモン+抗ガン剤(TC)をすすめるということでした。
もしくは、オンコタイプDXをしてみてはどうかということですが、高額のため迷っております。
私は効くならホルモンにしても、抗ガン剤にしても頑張りたいと思っています。
1、こちらのページを拝見していると、染色性(pgR)は当てにならないと
のことですが、ERもあてにならないですか?
染色性はあてにならないため、
私のER.pgRともに高くはない数値ですが、病理のセカンドオピニオンした場合に、すべてが陰性になりサブタイプがトリプルネガティブになる可能性もあるのでしょうか?
2、1の続きになりますが、オンコタイプDXをした場合のほうが、ホルモン剤がどのくらいきくかなど病理より正しい判断がされるのでしょうか?どちらのほうが正確なのでしょうか?
その場合も病理でホルモン陽性と出てても陰性となることもあるのでしょうか?
3、リンパ節をlevel2までとり、のちにlevel3が局所再発おこすこともありますか?
4、ER、pgRが低値の場合、高値よりも再発率が高くなるというのは、低いほうがホルモン剤の効果がでにくいからですか?
その場合、抗ガン剤をすることにより同等くらいになるのでしょうか?
5、pgRが低い場合、再発リスクになるそうですが、遠隔転移してる方は、pgR.が低い方が多いのですか?
6、早期発見のために毎年検診をうけていたのですが、腫瘍0、9センチ、リンパ転移1個という結果にあせりしかありません。
早期発見できなかったということになりますよね?
再発率、生存率を教えてください?
7、リンパ転移があるとステージがあがってしまいますが、リンパ転移と遠隔転移は別ルートなのにどうしてなのでしょうか?
お忙しいなか申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「私は効くならホルモンにしても、抗ガン剤にしても頑張りたい」
⇒これであれば、(高額ですが)OncotypeDXしなくては、はっきりしないのです。
「1、こちらのページを拝見していると、染色性(pgR)は当てにならないとのことですが、ERもあてにならないですか?」
⇒10-50%であれば問題ありません。
「病理のセカンドオピニオンした場合に、すべてが陰性になりサブタイプがトリプルネガティブになる可能性もあるのでしょうか?」
⇒それは、ありません。
「2、1の続きになりますが、オンコタイプDXをした場合のほうが、ホルモン剤がどのくらいきくかなど病理より正しい判断がされるのでしょうか?どちらのほうが正確なのでしょうか?」
⇒どうやら勘違いしてらっしゃるようです。
 ERやPgRの数値(%)と「ホルモン療法がどの位効果があるのか?」は全く無関係です。
 ホルモン療法や化学療法の上乗せは、ERやPgRの%で解ることではありません。(つまりホルモン感受性%と予後には相関が全くないのです)
 それに対し、遺伝子検査であるOncotypeDXにより(遺伝子発現レベルにより)分類することで、「それらの分類と予後(化学療法による上乗せを含めた)は相関することが解っている」ということなのです。
「その場合も病理でホルモン陽性と出てても陰性となることもあるのでしょうか?」
⇒ありません(経験的に)
「3、リンパ節をlevel2までとり、のちにlevel3が局所再発おこすこともありますか?」
⇒(このメールの記載からは)センチネルリンパ節転移1個のみで、追加郭清(レベル1~2)に転移がないようですから、起こらない筈です。
『今週のコラム 119回目 『(エコーで認識されてから、腋窩郭清されるまでの)「3年間が勝負(その後の遠隔転移の出現の有無)を決めた」私は、そう考えるのです。』の図でいえば、一番最後に示した郭清をしていることになります。
「4、ER、pgRが低値の場合、高値よりも再発率が高くなるというのは、低いほうがホルモン剤の効果がでにくいからですか?その場合、抗ガン剤をすることにより同等くらいになるのでしょうか?」
⇒前提として…
 ER, PgRの陽性率を再発率と結び付けていることに誤りがあります。
 ERなどの陽性率と再発率に相関はありません。
「5、pgRが低い場合、再発リスクになるそうですが、遠隔転移してる方は、pgR.が低い方が多いのですか?」
⇒それ自体誤りです。(PgRの陽性率が単体で予後不良因子とはなりません)
「早期発見できなかったということになりますよね?」
⇒pT1b, pN1は2期であり、十分な早期と言えます。
「再発率、生存率を教えてください?」
⇒ルミナールタイプについては…
 ルミナールAかBかによって変わってくるので、「ルミナールタイプでそれらの数値を知りたい場合には、OncotypeDXしてください」と(最近の)QandAでは一貫しています。
「7、リンパ転移があるとステージがあがってしまいますが、リンパ転移と遠隔転移は別ルートなのにどうしてなのでしょうか?」
⇒想像してもらえば解ります。
 ステージを構成する要因が「腫瘍径(浸潤径)」と「リンパ節転移」であることはご承知ですか?
 質問者は「リンパ節転移」だけに今回焦点を当てていますが、(質問者の疑問に答えるためには)「腫瘍径(浸潤径)」と「リンパ節転移」と「ステージ(予後と相関するわけだから「遠隔転移のリスク」とも言いかえられます」の3つを理解しなくてはなりませんよね?
 ★答えは簡単、あくまでも「遠隔転移のリスク」と相関する因子として(統計学的に)「腫瘍径(浸潤径)」と「リンパ節転移」が知られているということです。
  単純に考えれば、「遠隔転移のリスク」を時間軸と捉えると「腫瘍が小さい人よりは大きい人」「リンパ節転移が無い人よりは有る人」の方がそれぞれ、時間が(比較すれば)経過している⇒遠隔転移のリスクが(比較すれば)高い
  これは概念的に理解できると思いますが、実際に統計学的に証明されているのです。
  「リンパ節転移が(別ルートだから)直接血行性転移を起こす訳ではない」ことは「腫瘍径が大きいからと言って、それが直接血行性転移を起こす訳ではない」と同様に事実なのです。