乳がんプラザ|乳がんの手術は江戸川病院・東京


[管理番号:4324]
性別:女性
年齢:65歳

先生、はじめまして。

こちらのHPを見つけ、縋る思いで質問させて頂いております。

お忙しいところ大変恐縮ですが、宜しくお願い申し上げます。

65歳の母が、昨年の11月に大学病院にて皮膚筋炎と診断されました。

TIF1-γ抗体陽性が出た為、全身を調べたところ、12月下旬に乳がんが見つかりました。

今年1月末に左乳房全摘出の手術をしました。

病理結果として、
・腫瘍サイズ7㎜と2㎜の二つ、湿潤癌のもの
・全体は1.8cm(癌の大きさとしては7㎜と考えて、と)
・センチネンタルリンパ節は5つあり、5つとも除去
・リンパ転移はなし
・遠隔転移も見られない
・ER,PGR、HR2はマイナスのトリプルネガティブ
・KI67は80%
・組織学的グレードは3で質が悪い
と説明されました。

(病理結果の紙を貰いたかったのですが、個人情報につき渡せないと言われたので聞き取れた情報は以上のものだけです)

主治医より、
「ステージは1だが組織学的には悪いもので、抗がん剤治療必須のトリプルネガティブ」と言われ、何度も「質が悪いから」と繰り返されました。

当人の母は、治療に積極的で抗がん剤治療を希望しています。

しかし、皮膚筋炎の症状は現存しており、手術後直ぐに抗がん剤治療を始めず、先ずは皮膚科で皮膚筋炎のステロイド治療を受けることになりました。

抗がん剤治療に関しては、「今すぐ始めなくても大丈夫だけれど、2か月3か月も遅らせたくない」と言われました。

皮膚科からは、ステロイド治療は時間がかかると言われているので心配です。

抗がん剤に関しては、アンスラサイクリンを4回実施し、その後タキサンを4回~12回(聞き間違えかもしれません)実施すると説明されました。

アンスラサイクリンは生涯に13回しか使えないと言われたので、もし再発したらどうなるのか・・・と聞いたところ、「再発したらもう薬では効かない・手遅れ」の様な言葉を呟かれました。
(ここも会話の脈絡は繋がっていないかもしれませんが)
生存率について聞くと、「ステージ1は95%ですが、人其々ですし、質の悪いものですから」と繰り返し言われました。

しかし、「質の悪いものほど抗がん剤はよく効きますよ」とも言われ、混乱しています。

質問ですが、母の場合
①抗がん剤治療が2か月も3か月も遅れた場合は再発の可能性が高くなってしまうと言う事でしょうか?
(皮膚科も同病院でかかっているので、ドクター同士で相談してはもらえますが不安です)
②「再発したらもう薬では効かない」とはどう言う事でしょう。

ステージ1とは言え、グレード3で質が悪いと何度も言われた為、再発してしまうケース(再発率が高い)なのかと不安でいっぱいです。

主治医は前向きに、「とにかく今は転移してないんだから!」
「抗がん剤で、あるかもしれない癌を全身から叩いていきましょう」と説明してくれます。
主治医の言われる事は分かっているつもりでも、家族としては不安に駆られて心休まりません。

先生に教えて頂ければ、と思い質問致しました。

どうか宜しくお願い申し上げます。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

担当医は「早期である事」と「トリプルネガティブであり化学療法が必要である事」の(一見)矛盾するかのような内容を納得させるために「上手に伝わっていない」ようです。
物事はシンプルに考えなくてはなりません。

単純に行って(核グレードが3であろうとKi67=80%であろうと)7mmの癌(pT1b, pN0)大変な早期です。
説明としては、(このまま気づかずに放置されていたら、大変なリスクに曝されるところを)「非常な幸運で極めて早期で発見されて良かったですね」ただ、「治療は(早期とかは無関係に)サブタイプで決まるので化学療法が必要」となります。
それでいいのです。

わざわざ「早期だけど、性質が悪い、だから抗癌剤が必要だ」みたいな言い方をすることはセンスが悪いと思います。

○一つ指摘しておきたいのは(トリプルネガティブでも)NCCNのガイドラインでは、浸潤径≦1cmでは化学療法を『考慮する』となっています。(必須ではないのです)

「アンスラサイクリンを4回実施し、その後タキサンを4回~12回(聞き間違えかもしれません)実施すると説明されました。」
⇒所謂(トリプルネガティブに対する)gold standardである「アンスラタキサン」です。

 「アンスラサイクリンを含むレジメン:AC or EC」(3週間に1回を4回)⇒ ドセタキセル(3週間に1回を4回)もしくはパクリタキセル(毎週投与で12回)

「アンスラサイクリンは生涯に13回しか使えないと言われた」
⇒アンスラサイクリンは(心毒性のため)「生涯投与量が決まっている」のです。
 E(ファルモルビシン)なら800-900mg/m2
 A(ドキソルビシン)なら450-500mg/m2
  を超えると、心毒性が高率となるのでそれ以下に抑える必要があるのです。

「再発したらもう薬では効かない・手遅れ」
⇒正確な表現ではありません。

 再発した場合には、様々な抗癌剤の適応が出てきます。(当然、効果のあるものもあります)
 ただ、再発後の根治は難しいという表現のようです。

「①抗がん剤治療が2か月も3か月も遅れた場合は再発の可能性が高くなってしまうと言う事でしょうか?」
⇒全くそんなことはありません。

 あくまでも「努力目標」ということです。
 実際には(NCCNのガイドラインでは)抗癌剤は必須ではないのです。

「②「再発したらもう薬では効かない」とはどう言う事でしょう。」
⇒再発後の根治は難しいという表現のようです。

 要は(再発してからではなく)「再発する前の治療(術後補助療法)こそ重要」と言いたいのでしょう。

「ステージ1とは言え、グレード3で質が悪いと何度も言われた為、再発してしまうケース(再発率が高い)なのかと不安でいっぱい」
⇒余計な不安を煽られたようですね。

 実際はステージこそ重要、ただし治療は(ステージではなく)サブタイプで決めるのです。

「家族としては不安に駆られて心休まりません」
⇒物事はシンプルに理解しましょう。

 あくまでも「超早期」ただし、効果の有る治療は「抗ガン剤」
 ご本人が「抗ガン剤にしり込みしない」のであれば、「抗ガン剤すべき」です。
(70歳未満であるため)

 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生、前回は質問に直ぐにお答えくださり大変助かりました。

術後の抗がん剤治療について、また質問させてください。

術後、母に示されていた抗がん剤治療法は、先生のおっしゃった通り、標準の「アンスラ+タキサン」でした。

しかし先日、主治医より、教授を交えたカンファレンスで話し合い「TCを4回実施する治療法に変更しました」と言われました。

何故標準の治療法から変更したのか疑問です。

アンスラタキサンが標準なら(母も積極的ですし)そのままの治療法で進めてくれた方が安心できるのに、と思いました。

もしかして、再発しやすいタイプなので、再発後の治療法としてとっておくのか??とよく分からない気持ちまで出てきています。

主治医から、「体力があればアンスラタキサンでいきたいけれど、(母は筋炎の影響でシャワー等も介助を要するので)患者の状態を考え、比較的副作用の少ないTC療法を選んだ」と言われました。

(私は主治医からの説明の場に同席していないので詳しくは聞けていませんが)

前回先生が、母の腫瘍の大きさだったら、本来抗がん剤治療は必須ではない・考慮の範囲と教えてくださいました。

先生でしたら、母のような場合、TC療法を選びますか?やはりアンスラタキサンの方が良いのでしょうか?
もし、アンスラタキサンの方が今後の心配が少なくなる様でしたら、今一度主治医と今後の治療について話をしたいと思います。

質問
①母の場合、TC療法が第一選択となるのでしょうか?
②再発しやすいタイプなのでアンスラタキサンは次回の時の為にまわされた、という事はないでしょうか?

シンプルに考えようと努めていますが、②の様な考えがよぎってしまい、やっぱり再発しやすいタイプなんだ・・・と落ち込んでしまいます。

ご助言いただけましたら幸いです。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「①母の場合、TC療法が第一選択となるのでしょうか?」
⇒そうは思いません。

 Low risk であること。
 皮膚筋炎という基礎疾患があること。
 年齢

 上記を総合すると「抗がん剤なし」の方が寧ろ自然です。
 私であれば「無治療」を提案し、(その上で)患者さんサイドから「抗がん剤をしておきたい」との要望があれば、「weekly PTX」とします。

「②再発しやすいタイプなのでアンスラタキサンは次回の時の為にまわされた、という事はないでしょうか?」
⇒全く「考え過ぎ」です。

 どう考えても「low risk」です。
 

「シンプルに考えようと努めていますが、②の様な考えがよぎってしまい、やっぱり再発しやすいタイプなんだ」
⇒冷静になってください。

 私の経験上も「小さい事は最大の武器」なのです。

 
 

 

質問者様から 【質問3】

先生、お返事ありがとうございました。

主治医より治療について明日説明があると言われましたので、その前に先生に質問したく、再度宜しくお願い致します。

トリプルネガティブは、アンスラタキサンが標準と言う事でしたが、TCでも効果はきちんと期待できるのでしょうか?
アンスラタキサンにした場合と、TCにした場合で、再発率は何%くらい違うのでしょうか?
また、先生が提示されたweeklyPTXとTCでは、再発率は何%くらい違うのでしょうか?
より再発率の低い方を、家族としては願ってしまいます。

以前のアンスラタキサンを提示されていた当時に主治医から、「タキサンを週1回にすると毎週通院しなければいけないので、3週に1回の方にしよう」と言われていました。
(通院に1時間かかる為)
そう言う理由になると、PTXも同様に勧められないでしょうか?

また、アンスラタキサンが標準なのに、何故TCを選択されたのでしょうか?
筋炎の影響とは大雑把に聞いていますが、本当にTCで良いのか不安です。

ステージ1の早期の場合、TCという選択肢はトリプルネガティブでもあり得ますか?

治療法について色々調べていますが、「トリプルネガティブはアンスラタキサンしか効かない」「アンスラは弊害がある」「TCは期間も短く比較的副作用が軽い」「TCやるならトリネガはとにかくアンスラタキサンだ!」等々書かれており分からなくなってきました。

治療法について、先生ならば「weeklyPTX」を提示されました。

トリプルネガティブの標準は、アンスラタキサン。

母に提示されているのは「TC療法」です。

母は、主治医が進めているならば期間も短いTCで良いや、と言っております。
しかし家族としては、TCを選択したことで効果が標準治療より得られずに、後悔をしないか心配です。

質問
①TC療法を選択した場合、アンスラタキサンとの再発率の違いは何%でしょうか?同じく、TCとweeklyPTXでも何%違いますでしょうか?
②アンスラタキサンが標準ですが、TCでも効果はきちんとあるのでしょうか?トリプルネガティブでもTC療法は(早期なら?)あり得るのでしょうか?TCを選択された理由は何でしょう?

先生のお力をお借りしたく、再度質問させて頂きました。

どうか宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「アンスラタキサンにした場合と、TCにした場合で、再発率は何%くらい違うのでしょうか?」
「また、先生が提示されたweeklyPTXとTCでは、再発率は何%くらい違うのでしょうか?」

⇒直接比較などは存在しません。

 あくまでも「高いエビデンス」を持っているのは「アンスラタキサン」です。それに対して「この位、早期であれば、これでもいいのではないか…」として、「TC」や「weekly PTX」が存在すると考えてください

「①TC療法を選択した場合、アンスラタキサンとの再発率の違いは何%でしょうか?同じく、TCとweeklyPTXでも何%違いますでしょうか?」
⇒上記でコメントしたように…

 直接比較など存在しません。

「②アンスラタキサンが標準ですが、TCでも効果はきちんとあるのでしょうか?トリプルネガティブでもTC療法は(早期なら?)あり得るのでしょうか?TCを選択された理由は何でしょう?」
⇒上記コメント通りです。

 もともと「アンスラサイクリン単独」に対して、「より効果の有る治療を」として成立したのが「アンスラタキサン」でした。
 それに対して、「心毒性を嫌う欧米の考え方」から発展して「タキサン単剤」で「アンスラサイクリン単独を打ち負かした」のが「TC」であり、「最も副作用が楽」なのが「weekly PTX」なのです。

 それらのうち、どれを選択するのかは「匙加減」にすぎません。





「 乳がん Q and A 」直近の更新









サイト内検索

記事や皆様の質問の検索には、「サイト内検索」を使用してください。

例)乳がん しこり
例)脇の下 しこり
例)しこり 痛み
例)線維腺腫 (←誤字に注意)
例)乳腺症

*検索したい文字を正確に入力してください。
「石灰化」で検索したい場合…
(○)石灰化
(×)石灰か *「か」だけ「ひらがな」になっている。
(×)せっかいか *「ひらがな」になっている。



乳がんや乳腺の疾患に関する質問を受け付けています。

乳がんや乳腺の疾患に関する質問はこちらかどうぞ。