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乳房温存術後の治療について

[管理番号:4358]
性別:女性
年齢:43才
昨年12月末に乳管内乳頭腫の疑いで腫瘍摘出術を受けました。
(経緯)
4年程前に、右胸の乳輪下に3mmのしこりと乳頭1ヶ所からの透明な分泌液に気付く。
毎年マンモとエコー受診、
1年目;のう胞(年に一度の要経過観察)
2年目;のう胞(年に一度の要経過観察)
3年目;乳管拡張(要精密検査)→細胞診と分泌液の検査(悪性所見なし)
4年目;3年目と同じ検査をし、結果も同じであったが、乳頭からの分泌が続くのが嫌で摘出を決める。
しこりの大きさは3年目と4年目で大差なく、1cm強でした。
組織診の結果、悪性で、病変は乳管内に存在するが、ごく一部に乳管の壁内への浸潤傾向が見られるとのこと。
医師から、断端陰性で浸潤していた可能性も低いが、
最初に切除した範囲が悪性と想定していなかったので小さいため、追加切除するかを聞かれ、
1月(中旬)日にもう少し範囲を拡げての追加切除術とセンチネルリンパ節を2個調べてもらいました。
現状
○2回目も断端陰性
○2回目に採った組織からは悪性なし
○リンパ節の転移なし
○ホルモン感受性の高いタイプ
○核グレード1
○来月から放射線治療を受ける
そこで、いま悩んでおりますのが、乳管の壁内への浸潤傾向が見られたとの結果から、浸潤している可能性がゼロでは無いのか、そうであればホルモン療法も受けたほうが良いのか、ということです。
医師からは、人それぞれ考え方があるからと、治療方針を示してもらえていません。
抗がん剤はやり過ぎな気がするとは話されていましたが。
1度乳癌になると、また乳癌になる確率が高いのでしょうか…
セカンドオピニオンを使うのが望ましいのでしょうか…
回答お待ちしております、何卒よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
担当医は全く病状を理解していない。
ただそれだけです。
物事はシンプルに考えなくてはなりません。
生検で「組織診の結果、悪性で、病変は乳管内に存在」「2回目に採った組織からは悪性なし」
⇒これが事実です。
 つまり「大人しい非浸潤癌が小範囲に存在」しているだけで「浸潤癌ではなかった」ということです。
 これで術後の薬物療法を行うとしたら全く馬鹿げています。
「抗がん剤はやり過ぎな気がするとは話されていました」
⇒と、いうか…
 「適応外」です。
 はっきり「抗がん剤は全く不要であり、適応外です」といいきれないとしたら、本物の乳腺外科医とは言えません。
「浸潤している可能性がゼロでは無いのか」
⇒ゼロです。
 非浸潤癌でした。と言えない様では乳腺外科医失格です。
「そうであればホルモン療法も受けたほうが良いのか」
⇒全く不要です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

2回目の質問です。
前回は問い合わせ後す
ぐに回答していただき有難うございました。
とても心強かったです。
そこで、乳房温存術後の治療について、再度先生の見解をお聞かせ願いたく…。
昨日、傷の具合を見せに担当医のところを受診しまして、組織診の結果報告書をいただいてまいりました。
結果は、前回お伝えしたとおりで、少し言葉は変わるかもしれませんが、
○1回目の組織診
「拡張した乳管内に病変は存在するが、ごく一部で壁内への浸潤傾向を有する。
病変剥離面への腫瘍露出は見られない。」
その下に、医療用語で、沢山書かれていました。
Right breart cancer, lumpectomy
#Invasive ductai carcinoma w/
predominant intraductal
component
病変構成細胞は、びまん性に
synaptophysin 陽性で、WHOでは
solid papillary carcinoma,
invsive に分類される。
g, EIC(?), Comedo pattern(?),
Nuclear atypia:mild. Mitosis:
2/10HPF, NG1
免役染色では、ER(3b:100%),
PgR(3b:100%), HER2(1+), Ki-
67LI:9.8%
○2回目の組織診
Cancer tissue の遺残を認めない。
nI(?)[0/2](センチネル節を含む)
となっていました。
担当医からは、私の癌は、おとなしいタイプで特別な増殖能も持っていないホルモン感受性の高いタイプと、今日もまた説明を受け、先般、田澤先生に回答いただいたとおり、ホルモン療法はしない方向で考えていると伝えたのですが、ホルモン療法も抗がん剤も適応が有るように言われ、切除した組織も全ての断面を調べれている訳ではないから、浸潤している可能性もゼロでは無いとの事。
ステージを聞いてみると、限りなくゼロに近い1と言われました。
放射線治療後、どうするのが正しいのか、
医療用語の中に何か説明を受けずに理解できていない事が隠れているのか、不安で少し混乱しております。
同じことをお聞きしてしまうこと恐縮なのですが、組織診の全ての結果を踏まえての田澤先生の見解を再度お聞かせ願いたく、
何卒よろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
Solid papillary ca は最近増えている(病理医の認識が広まっているだけですが…)診断名です。
私の場合、乳管腺葉区域切除をかなりの数行っているので、非常に沢山の症例が集まります。(乳管内病変が中心なので乳頭分泌と関係して見つかる事が多い組織型なのです)
質問者はpT1mi, pN0であり、ホルモン療法も不要と思います。(適応がないわけではありませんが、限り無く無駄でしょう)
「ホルモン療法も抗がん剤も適応が有るように言われ」
⇒これは質問者の勘違いですよね?(そう思いたい)
 幾らなんでも「抗癌剤の適応は(逆立ちしたって)ありません」
 理由は
 1.浸潤径がほとんどない(微小浸潤相当)
 2.そもそも(Ki67=9.8%であり)「明らかなルミナールA]
  ♯これで本当に「抗がん剤の適応がある」などと(もしも)言ったとしたら「専門医の資格」は取り上げなくてはなりません。
「切除した組織も全ての断面を調べれている訳ではないから、浸潤している可能性もゼロでは無い」
⇒理屈は解ります。
 それでも「微小浸潤」(実質、非浸潤癌)と考えるべきです。(証明されていない以上)