乳がんプラザ|乳がんの手術は江戸川病院・東京


[管理番号:4275]
性別:女性
年齢:37歳

初めて質問いたします。
よろしくお願いします。

自己検診にてしこりを見つけて近くの乳腺クリニックで受診、超音波検査の結果、両胸ともに1cm以下のしこりが3-4個点在していました。
最も大きい箇所の細胞針の結果、がんの疑いとなり、更に針生検を行った結果、粘液癌と診断されました。

その病理組織所見に書かれたことを記載いたします。
「粘液塊と乳腺組織があり、間質の硝子化を伴う粘液湖多数形成され、粘液内に腫瘍性細胞が小胞巣や小乳頭状に存在しています。

粘液湖周囲を被覆するように腫瘍細胞があり、一部が乳管内でDCISの可能性もありますが、免染CD10,p63,CK5/6で検討したところ一部は二相性確認されますが、多くは二相性は明らかでは有りません。
粘液癌(+DCIS)と判断します。

一応核異型スコア2、核分裂数スコア1、腺管形成スコア2で核グレード1、組織学的グレード1です。

ER:J-score3bで陽性、Allred score 3+5=8、PR:J-score3bで陽性、Allred score3+5=8、HER2:陰性(0)」
色々と先々が心配で乳がん診察ガイドライン2016年度版の本を買って勉強しておりますが、なかなか理解できず、セカンドオピニオン的な質問になってしまい大変恐縮ですが、どうか教えて下さい。

1.上記所見で粘液癌という診断は正しいと思われますか?(乳腺クリニックから外部の病院に組織検査を依頼しているようで、そのコピーをもらいました)

2.粘液癌は発症率3%程度で、通常の癌より性質が良い、ただし転移すると厄介と先生が話されてました。
性質が良いというのは進行が遅いことのようですが、転移すると厄介というのは直りが悪い/進行が早いということでしょうか?

3.上記所見の二相性というのは何のことでしょうか?粘液癌混合型の
ことでしょうか?

4.この結果を元に、仙台市立病院にて乳腺内の癌の分布や全身への転移を調べるためのCT, MRI, 骨シンチを受けています。
この結果を元に詳細な術式・治療方針を2/(上旬)に説明を受けますが、すでに手術日は2/(中旬)に確定しています。
順番が疑問ですが、早く手術してもらえるのは良いこととも考えるようにしています。
流れとして問題ないでしょうか?

5.ER陽性・PR陽性とのことでホルモン療法が効くと思いますが、手術前にホルモン療法を行って完治する、または、全摘出から一部摘出に術式を変えられる可能性はあるでしょうか?
よろしくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「1.上記所見で粘液癌という診断は正しいと思われますか?(乳腺クリニックから外部の病院に組織検査を依頼しているようで、そのコピーをもらいました)」
⇒正しいと思います。

「2.粘液癌は発症率3%程度」
⇒そんなものかもしれませんが…

 特別「珍しい」感覚はありません。
 どちらかというと、「特殊型の中ではポピュラーな部類」と考えて結構です。

「通常の癌より性質が良い」
⇒これは間違いありません。

 しかも質問者は「核分裂1(10視野で5個未満)」でルミナールタイプ(Ki67はおそらく低値でルミナールAとなりそうです)です。
 「非常に大人しい」という解釈で全く問題ありません。

「ただし転移すると厄介と先生が話されてました。」
⇒「転移」とは「遠隔転移」ですか?
 「遠隔転移すれば厄介」なのは、どんな組織型でも同じです。(粘液癌の転移が特別厄介ということはありません)

「転移すると厄介というのは直りが悪い/進行が早いということでしょうか?」
⇒担当医が何を「厄介」と意味しているのか不明です。

 粘液癌だから特別厄介などということはありません。(上記の通り)

「3.上記所見の二相性というのは何のことでしょうか?粘液癌混合型のことでしょうか?」
⇒「癌」だということです。

 正常乳腺組織は「腺上皮は必ず筋上皮に裏打ちされている」のです。この「腺上皮と筋上皮の二相性」が保たれていると表現します。
 これに対し、「癌は(筋上皮は伴わずに)腺上皮が癌化して腺上皮だけが増殖」するのです。これを「二相性の消失」と表現し、「癌である所見」なのです。

「4.この結果を元に、○○市立病院にて乳腺内の癌の分布や全身への転移を調べるためのCT, MRI, 骨シンチを受けています。」
⇒「CTと骨シンチ(全身への転移」は不要です。(勇気を出して断りましょう)

 早期乳癌で「遠隔転移」などありません。
 無用な医療被曝を37歳の女性に簡単に行うべきではありません。

「流れとして問題ないでしょうか?」
⇒MRIを撮影し、「拡がり診断」を行い、術式決定をすればいいのです。
 ♯CTや骨シンチのような無用な医療被曝をルーチンにする姿勢は賛成しません。

「5.ER陽性・PR陽性とのことでホルモン療法が効くと思いますが、手術前にホルモン療法を行って完治する、または、全摘出から一部摘出に術式を変えられる可能性はあるでしょうか?」
⇒術前ホルモン療法は推奨されていません。(ガイドライン C2)

 もしも「小さくして温存」という目的ならば(ホルモン療法が効くタイプであろうが)「術前化学療法を選択」するしかありません。(ルミナールAだから、あまり効果は期待できないとは思いますが…)
 ○そもそも「術前に行って完治」とありますが、(ホルモン療法にしろ抗癌剤にしろ)「術前に行っても術後に行っても、予後は同じ」なのです。

 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号4275で質問されていただきました。
田澤先生には、丁寧に御回答を頂いてとても安心しました。
本当に有難う御座いました。

先日検査結果が出て他臓器への転移無しという結果となりひとまず安心しております。
合せて手術方法を相談しました。
温存も検討したのですが、MRIや超音波で診断する限り半分ほど切除しなければならないほど広範囲に広がっているため、温存後の美観や放射線照射のことも考えて左乳房乳頭温存乳腺全摘術にすることとなりました。
そこで質問です。

・乳頭温存乳腺全摘術では放射線治療は不要とのことですが正しいでしょうか?
乳頭は大丈夫でしょうか?(今のところ超音波では認められない)
・今回、針生検をしたのは左乳房のみで、右乳房に対しては全くの別物なので手術不要と言われました。
初診の超音波検査時には右乳房にも石灰化が認められる所見だったので、今頃になって右乳房は大丈夫なのかと不安になってきました。
こちらも針生検による組織検査をしないと癌かどうか、手術が必要かどうか、判断出来ないのでしょうか?
・他臓器への転移無しという結果は、現時点で目に見える転移は認められない(=目に見えない転移はあるかもしれない)との認識です。
手術にてセンチネルリンパ節生検を行って、ここに転移が認められなかった時点で他臓器への転移無しと確定できると考えるべきでしょうか?
・乳腺全摘を行い、かつ、センチネルリンパ節生検でリンパ節への転移無しと認められた場合には、術後の治療には何が考えられるでしょうか?

どうぞよろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「先日検査結果が出て他臓器への転移無しという結果」
⇒これは、37歳の早期乳癌の女性に「CTとか骨シンチなどの無用な医療被曝」を行ったということですね?
 私は全く賛成しません。

「乳頭温存乳腺全摘術では放射線治療は不要とのことですが正しいでしょうか?
乳頭は大丈夫でしょうか?(今のところ超音波では認められない)」

⇒本来の「乳頭温存」は、「腫瘍径が小さい」かつ「乳頭からの距離が十分にある」である必要があります。
 術後照射が原則としてないので、(上記適応を満たさないのに)「無理やり乳頭を残すとしたら(画像所見を実際に診ていないので不明ですが…)リスクが生じる」ことは心に留める必要があります。

「こちらも針生検による組織検査をしないと癌かどうか、手術が必要かどうか、判断出来ないのでしょうか?」
⇒右と左は全く無関係だから、「画像所見が怪しいなら、組織診すべき」となります。

「手術にてセンチネルリンパ節生検を行って、ここに転移が認められなかった時点で他臓器への転移無しと確定できると考えるべきでしょうか?」
⇒これは完全な誤解があるようです。

 転移は(血管を通って起こる)「血行性転移(遠隔転移)」と(リンパ管を通って、リンパ節へ転移する)「リンパ行性転移」があり、それぞれ「全く別のルート」です。
 ○つまり「リンパ節転移が無ければ血行性転移(遠隔転移)がない」と考えるのは理論的に全くの誤りであり、逆「リンパ節転移があれば、遠隔転移もある」というのが誤りなのと同様です。

「・乳腺全摘を行い、かつ、センチネルリンパ節生検でリンパ節への転移無しと認められた場合には、術後の治療には何が考えられるでしょうか?」
⇒物事はシンプルに考えましょう。

 あくまでも「局所療法」と「全身療法」に明確にわけましょう。

「局所療法」
 ⇒手術と放射線がありますが、全摘しているので原則放射線は不要です(放射線の適応はリンパ節転移4個以上あった場合となります)
  つまり、
①「センチネルリンパ節生検で転移なし」⇒照射不要
②「センチネルリンパ節生検で転移あり追加郭清したら、リンパ節転移は3個以内だった」⇒照射不要
③「センチネルリンパ節生検で転移あり追加郭清したら、リンパ節転移が4個以上だった」⇒照射必要

「全身療法」
 ⇒ルミナールタイプなのだから
   A(Ki67低値)⇒ホルモン療法
   B(Ki67高値)⇒ホルモン療法+化学療法

  センチネルリンパ節生検で転移があっても、無くても上記となります。
(但し、リンパ節転移が4個以上の場合にはたとえ、ルミナールAでも化学療法を追加すべきか、一応議論とはなります。必須とは思いませんが…)
 





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