乳がんプラザ|乳がんの手術は東京の江戸川病院乳腺外科|ブログ


[管理番号:4522]
性別:女性
年齢:44歳

乳房温存術の約2週間後、病理検査の結果を以下の通り知らされました。

・腫瘍の大きさは1.4cmで取り切れており、リンパ節転移もなく(術中のセンチネルリンパ節生検でも転移認めず)、術前からstage1であったが変わらず。

・術前の針生検では浸潤性小葉癌であったが実は浸潤性乳管癌であったとわかった。

・ルミナールAで分子標的療法は無効であるがホルモン療法も抗がん剤療法も有効。

・核異型度は3。

その日から、タモキシフェン20mgの投薬が開始になりました。
リュープリンも考えても良いかもしれないくらいには勧められましたがとりあえず見合わせました。
抗がん剤はあまり積極的に勧められませんでした。
今後は放射線治療開始予定で、また首下~骨盤上の範囲に転移がないことは確認できているがそこ以外は検査してないので骨シンチを受けるようにと指示されています。

以上から質問させて下さい。

①「術前の針生検では浸潤性小葉癌であったが実は浸潤性乳管癌であった」ということはありうると主治医の先生はおっしゃいますが、そうなのでしょうか。

②某乳腺クリニックのサイトにて
「乳癌は発生時ないし発生後ごく初期の時点で遺伝子染色体の蓄積の枠組みや悪性度の枠が決まっています。つまり、乳癌は最初から悪性度や予後が決定しているのです。
小さな早期癌でも死亡する事があるのはこの理由です。
患者様は臨床病期(Stage分類)で予後を判断される方が多いと思いますが、乳癌はどちらかと言えば、この核グレードで予後が分かるとかると言える重要なものです。」
とあり、核異型度が3段階の最悪で不安で仕方ないのですが、それでいてサブタイプは比較的進行の遅い(イメージの)ルミナールAということで、そんなことがあり得るのかなと思ってしまいました。

主治医の先生にも、核異型度3は気にしないといけないけれど予後因子の一つにすぎず過度に神経質にならなくて良くてホルモン療法の効きそうなおとなしいタイプと思われることなど他のことも併せて総合的に考えて、と言われております。
先生も予後に大切なのはStageとお考えのようですが、
御見解を伺えればと思います。

③他が同条件として、核異型度が1ないし2の場合と比較し、どのようなリスクが考えられますか。
骨シンチを勧められたのも関係があると思われますかわれますか。

④放射線療法をいつ頃までには始めるべきかどれくらい間隔を開けても良いかといったことに明確な決まりはないと言われておりますが、事情があってできるだけがあってできるだけ開始を遅らせたいのですが、先生はいつ頃までにはと思われますか。

御多忙の折、長々と申し訳ございませんが、御返答頂けますと幸いです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「骨シンチを受けるようにと指示されています。」
⇒無用な被爆です。
 自分の身体の事を考えたら、無用どころか有害です。

「①「術前の針生検では浸潤性小葉癌であったが実は浸潤性乳管癌であった」ということはありうると主治医の先生はおっしゃいますが、そうなのでしょうか。」
⇒その通りです。 (そもそも、そこは拘るポイントでも何でもありません)

「患者様は臨床病期(Stage分類)で予後を判断される方が多いといと思いますが、乳癌はどちらかと言えば、この核グレードで予後が分かるとかると言える重要なもの」
⇒私は全く反対です。

 それは私ほど多くの症例を見ていれば解ります。(やはり、ステージが重要なのです)
 この件で(その某クリニックの医師と)議論をするつもりは全くありません。

「核異型度が3段階の最悪で不安で仕方ない」
⇒そもそも、「核異型度が3が最悪」などということはありません。(その考えにしがみつくならば、この乳がんプラザは参考にならないでしょう)

 一番解り易いのは…
 「核グレード3」の癌は「増殖が速い」と仮定し、「核グレード1」の癌は「増殖がゆっくり」と仮定しましょう。(この仮定には賛成ですね?)

 同じステージ1でみつかっても、「核グレード3」だと、「半年でステージ2」となり「2年でステージ3」となるとして、、「核グレード1」だと「2年でステージ2」となるとしましょう。

 ♯要は「核グレード1なら1年間放置しても大事に至らない(あくまでも比喩です)」に対し、「核グレード3だと半年間で進行してしまう」ということなのです。
  結果的に「早期で治療」すればいいことなのです。(「時間的余裕の違い」と考えましょう)

「核異型度3 ルミナールAということで、そんなことがあり得るのかなと思ってしまいました。」
⇒まず「核異型度」とは「核の形態に対する分類」です。

 一方ルミナールA(の本来のintrinsic subtypeは別として)とルミナールBを簡易的に分けている指標は「Ki67(MIB1)」です。
 これは「細胞分裂期にある細胞の割合」です。

 ○質問者のいう「核異型度=核の形態」と「細胞分裂期にある細胞の割合」とは全く別次元であることがお解りですか?

「先生も予後に大切なのはStageとお考えのようですが、御見解を伺えればと思います。」
⇒それについては「議論の余地なし」です。

 早期発見早期治療こそ、重要なことは「まっとうな医師」なら自ずと解るでしょう。

「③他が同条件として、核異型度が1ないし2の場合と比較し、どのようなリスクが考えられますか。」
⇒他が全く同条件であれば、「リスク因子の一つ」ですから、多少は再発率に反映されます。

「骨シンチを勧められたのも関係があると思われますか」
⇒無関係。その医師のルーティーンに過ぎないと思います。

「④放射線療法をいつ頃までには始めるべきか」
⇒手術後5カ月以内に開始することです(エビデンスがあります)

 
 

 

質問者様から 【質問2】

前略   田澤 篤 先生 御机下

 先日は過分なる御丁寧な御回答誠にありがとうございました。
特にに“そもそも、「核異型度が3が最悪」などということはありません。

~結果的に「早期で治療」すればいいことなのです。
(「時間的余裕の違違い」と考えましょう)”との大変解り易かった御説明に厚く感謝致します。
“核異型度3なのにルミナールA”というタイトル自体がいささか的外れであったのかもしれない、と思っているところです。
また文字の重複がところどころ目立ち読みにくい文章となってしまっていたことを深く御詫び申し上げます。
(今回は校正に気を付けたつもりです。)

 もう少しだけ質問を付け加えさせて頂ければと存じます。

①私の場合も、「早期で治療」が開始されたと考えていてよろしいのでしょうか。
もしそうならぜひ先生から改めて肯定の御言葉を頂きたいです。
(もしそうでなくてもはっきりそう仰って下さい。)

②骨シンチについてもう一度主治医に相談したところ、骨転移はない可能性のほうが高いのは確かだが本当にないことを一応確認というのをしなくても良いなら強制は勿論しない、といった旨の御回答を頂きました。
先生の御考えでは、少なくとも私のような場合は被爆してまでそのような確認をするのは有用とは言えない、ということなのでしょうか。

③“多少は再発率に反映されます”とのことでしたが、私のようなケースでは具体的には何%位の再発率および5年ないし10年生存率となるのか、もし可能なら教えて頂ければと存じます。
また、より再発率を下げる(生存率を上げる)ためには、このままタモキシフェンのみでなく
リューブリンの追加ないし切り換えをしたほうがより良い、など、何か良い御考えがありますか。
先生が主治医ならどうされますか。

④放射線治療は週に5回5週間と指示されていますが、都合にて、
1.術後2ヶ月後頃から開始し、まず3週間して1週間あけて残り2週間をする。

2.術後3.5ヶ月後頃から5週間連続でする。

のどちらかを選ばないといけないのですが、効果はどちらがより良いというのはありますか。

 御多忙の折重ねて申し訳ございませんが、どうぞよろしく御願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「①私の場合も、「早期で治療」が開始されたと考えていてよろしいのでしょうか。」
⇒腫瘍径「14mm」「ステージ1」が早期でないとすると「何が早期となるのですか?」
 冷静に考えましょう。

「先生の御考えでは、少なくとも私のような場合は被爆してまでそのような確認をするのは有用とは言えない、ということなのでしょうか。」
⇒私は、乳癌の術前や術後に骨シンチもCTも撮りません。
 
 私が、それらを撮影するとしたら、「腫瘍が広範に顔を出している(T4) ♯真上の皮膚に顔を出す位では行いません」「リンパ節が鎖骨上領域まで明らかに腫れている」場合位です。

「何故、撮影しないのか?」
 ⇒無駄(転移がない)だからです。
  ♯術後数年して再発することと、(初期治療の段階で)転移が既に存在することは「全く別次元の話」なのです。

「私のようなケースでは具体的には何%位の再発率および5年ないし10年生存率となるのか、もし可能なら教えて頂ければと存じます。」
⇒いずれもホルモン療法(タモキシフェン)単独で
 再発率は19%
 10年生存率は90%です。

「また、より再発率を下げる(生存率を上げる)ためには、このままタモキシフェンのみでなくリューブリンの追加ないし切り換えをしたほうがより良い、など、何か良い御考えがありますか。先生が主治医ならどうされますか。」
⇒(NCCN2016のガイドラインからすれば)リュープリンは適応外です。

 また、「Ki67の数値が不明」ですが、本当にルミナールAなら「化学療法も無用」です。
 ♯逆に言うと、本当にルミナールAなら(ホルモン療法単独で再発率19%ではなく)OncotypeDXをすれば、もっと低く(おそらく一桁)なると思います。
  上記統計ソフトでは「ルミナールAとBが混在しているから」です。

「効果はどちらがより良いというのはありますか。」
⇒殆ど変わらないでしょう。





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