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適切な抗がん剤治療ついて

[管理番号:3928]
性別:女性
年齢:37歳
適切な抗がん剤治療ついて
はじめまして。
術後の治療法について何が適切なのか教えて頂きたきたく思っています。
右乳ガン発覚後、全摘手術を終え、病理結果により、抗がん剤治療が決まりました。
目的は進行性の乳ガン(三期)による再発や転移のリスクを減らすためだそうです。
(と入院計画に書いてありました)
しこりは3,5センチ、硬がんと実腺管がんが混じったもの(ステージ2)とのことでした。
ホルモン感受性 陰性
HER-2: 3+
Ki67 :50%
リンパ転移 1/5(特に気にしなくて良いと言われました)
自分が聞いた説明はこれだけなのですが、この結果、ハーセプチン+タキソテール4クール(ハーセプチンのみ1年)との説明を受け治療することにしました。
治療前日に入院し、看護師より貰った治療計画はパージェタ+ハーセプチン+タキソテールと言うものでした。
何か増えてたのでネット検索したところ追加した方が効果的で副作用も想定内のようだったので特に何も言いませんでした。
ですが当日の処方はハーセプチン+タキソテールに戻っていました。
看護師に確認したところ、先生の指示が変わったとのこと。
元に戻っただけなので特には気にしていませんでした。
点滴終了後に、主治医の先生に治療計画について説明したいと言われ説明を受けました。
ハーセプチン+タキソテールを4クール(治療前に受けた説明)に加え、続けてハーセプチン+エピルビシン+エンドキサンを4クールが追加になってました。
治療期間3ヶ月と聞いて受けたのにいきなり半年になってました。
治療を受ける前はハーセプチン+タキソテールだけだったのに、これだけでは足りなかったのでしょうか?
本当にハーセプチン+エピルビシン+エンドキサンを4クールは必要なのでしょうか?
(最初はなかったのに)
パージェタが追加されようとして無くすことと関係があるんでしょうか?
これらの治療の違いが分かりません。
治療法はどう違うのでしょうか?
普通に考えて有り得る変更なのでしょうか?
どれを選択したらどのように変わるのでしょうか?
適切な治療として、田澤先生ならばどのような治療を推奨するのか教えて頂きたいです。
出来ればEC療法までは受けたくないのが本音です。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
担当医の過ちが2つあります。
①パージェタは術後補助療法(質問者が行おうとしているのはコレです)には適応外です。
 あくまでも「手術不能または再発乳癌」にしか適応はありません。
 ♯途中で「誤り」に気付いて、変更(消去)したのでしょう。
②ハーセプチン+エピルビシン+エンドキサンを4クール
 ⇒ハーセプチンとエピルビシンは共に心毒性(ハーセプチンは可逆性でアンスラサイクリンは不可逆性ですが)があるため、同時併用は行いません。
  ♯もしもECを行うなら ECx4⇒HER+DTXx4⇒HER(単剤)x14 としなくてはなりません。
「適切な治療として、田澤先生ならばどのような治療を推奨するのか教えて頂きたいです。出来ればEC療法までは受けたくないのが本」
⇒それであれば、非アンスラサイクリンレジメンです。
 ①TC+HER
  ⇒(3週に1回)TC+HERx4⇒(3週に1回)HERx14
   ♯非アンスラサイクリンならばT(ドセタキセル=タキソテール)は単独ではなくTCとして用いるべきです。
 ②weekly PTX+HER
  ⇒(毎週)PTX+HERx12⇒(3週に1回)HERx14
 ③TCH
  ⇒(3週に1回)TCHx6⇒(3週に1回)HERx12
 以上、①~③がありますが、毎週通院可能なら②でそうでないなら①でいいでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号3928で、治療法について質問させて頂いたものです。
先日は回答ありがとうございました。
すみません、決断を迫られているので相談させてください。
前回は受ける予定の治療法について適切であるか質問させて頂きました。
担当医の治療計画は
ハーセプチン+タキソテール×4⇒ハーセプチン+エピルビシン+エンドキサン×4⇒ハーセプチン×10
と言うものでした。
先生に提示頂いたレジメンを元に、担当医に治療法を非アンスラサイクリンでお願いしたいと言ったところ、そう言う話ではないと言われました。
HER2+3にはハーセプチンを用いるが、ハーセプチンは単体では15%しか効果がない、でもタキソテールと組み合わせて60%効果がある。
でもハーセプチンとタキソテールの組み合わせは4回までで5回以降は効果が薄れるからエピルビシン+エンドキサンとの組み合わせに変える、との説明でした。
併用による心不全に関しては高血圧や元々心臓疾患のある人だけ注意すれば問題ないから気にしなくて良いと言われました。
それでもアンスラサイクリンは嫌だったので
TC+ハーセプチン×4⇒ハーセプチン×14にしてほしいと頼んだところ、何の根拠を持って治療法を変えるのかと言われ、(別の先生に聞いたとは言いづらかったので)調べたと答えたら、素人が調べたレジメンに意味はない、詳しくない人が遣ってほしいと言う治療法を遣れるわけがないと言われました。
パクリタキセル+ハーセプチン×12⇒ハーセプチン×14ではダメなのかと聞いたらタキソテールしか効果がないと言われ、タキソテールとパクリタキセルはほぼ一緒なのでは、と聞いたら、全く違う、そんなことを言う医者は何処にも居ない、と言われました。
タキソテールを使わなきゃ行けないのならそこにエンドキサンをプラスすることの何がダメなのかと聞いたら、そんなにタキソテールの量を増やしたいのか、と言われ、増やさなきゃいけないのか聞いたら、エンドキサンと一緒に使うなら量を増やさないといけない、そんなことも知らないのにレジメンを提案するのかと言われました。
私には、知識がないので何も言い返せません。
それでもハーセプチン+エピルビシン+エンドキサン併用は嫌だと言い続けたら、どうしても嫌ならハーセプチン+タキソテール×4⇒ハーセプチン×14しかやる気はないと言われました。
田澤先生は前回、非アンスラサイクリンならばタキソテールは単独ではなくTCとして用いるべき、と回答下さいました。
担当医には単独のレジメンでしか治療する気はないと言われました。
単独で治療してはならない理由があるのでしょうか?このまま単独で治療してしまったら問題がありますか?
もう病院を変えてしまった方が良いのでしょうか。
既に一回目のハーセプチン+タキソテールは終了しています。
もうどうしていいのか分かりません。
担当医と言い合った後に病室に戻ってずっと泣いてしまいました。
明後日には退院します。
それまでにどうするか決断しなくてはなりません。
何が最善か教えてください。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
担当医は大分「意地」になっていますね。
それか、
TC+HERを行わない理由には(その病院で)「レジメン登録されていない=薬局管理で薬を使う事ができない」などの理由があるかもしれません。
それにしても「weekly PTX + HER」を知らないとは…
どうしてもpertuzumabとの組み合わせでドセタキセルが用いられている事から頭が離れないようです。
「単独で治療してはならない理由があるのでしょうか?このまま単独で治療してしまったら問題がありますか?」
⇒もともとタキサンは「アンスラサイクリン」の後に登場したので
 歴史的に「アンスラサイクリンと組み合わせるもの」としての認識から始まりました。
 その後「脱アンスラサイクリン」としてTCや(抗HER2療法としての)weekly
PTXが「アンスラサイクリンと組み合わされない」形でエビデンスを築いたのです。
 抗HER2療法における「ドセタキセル単独」はエビデンスはありませんが(パクリタキセル単独が有効であることから類推するに)有効性はあるとは思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

管理番号3928で、治療法について質問させて頂いたものです。
前回は回答ありがとうございました。
正しい治療が行えているのか、たとえ正しくても不安しかなかった所、田澤先生のおかげでやるべき治療をやれていると思えるようになりました。
ありがとうございます。
現在ハーセプチン+タキソテール(単独でエンドキサンなし)×4⇒ハーセプチン×14の8回目が無事終了したところなのですが、心配なことがあったので質問させてください。
今のところ
1回目(11月(上旬)日)ハーセプチン+タキソテール
2回目(12月(上旬)日)ハーセプチン+タキソテール
3回目(12月(下旬)日)ハーセプチン+タキソテール
4回目(1月(下旬)日)ハーセプチン+タキソテール
5回目(2月(中旬)日)ハーセプチ
6回目(3月(上旬)日)ハーセプチン
7回目(3月(下旬)日)ハーセプチン
8回目(4月(中旬)日)ハーセプチン
と治療を行ってきたのですが、12月から生理が止まってしまっています。
担当医に聞いたところハーセプチンとタキソテールでは副作用に閉経と言うのは無いので
精神的なものといわれたのですが副作用ではないのでしょうか?
同じ病院の婦人科(大きな病院なので多くの科があります)に案内され
とりあえず、とデュファストンを処方されたのですがこれは飲んで問題ないですか?
婦人科の先生は私がどういう治療を受けてきているかを全て知っているので
悪い薬ではないとは思うのですが、抗がん剤の副作用ではないと言われて居るので
もし副作用だった場合に問題ないのか心配になってしまいました。
病院の先生の言うことは信じるべきなのかもしれませんが、過去に担当医とやりとりした
ことを思い出して毎日乳がんプラザを読みふけって居たら田澤先生の言葉でなければ
本当に大丈夫と思えなくて、先生の考えを聞かせてください。
ちなみに抗がん剤を始めるまで過去に生理不順はありませんでした。
田澤先生ならばどのような治療をされますか?婦人科の範囲でしたらすみません。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「担当医に聞いたところハーセプチンとタキソテールでは副作用に閉経と言うのは無いので精神的なものといわれたのですが副作用ではないのでしょうか?」
⇒化学療法閉経です。
 ドセタキセルによる化学療法閉経は普通にあります。(トラスツズマブにはありません)
「デュファストンを処方されたのですがこれは飲んで問題ないですか?」
⇒特に問題はありませんが…
 合成プロゲステロンであり、(もしかすると)「化学療法閉経からの改善」に効果があるかもしれませんが…
 そもそも「化学療法閉経では無い」という認識から誤りがあるので、どうも「ちぐはぐな印象」です。
「田澤先生ならばどのような治療をされますか?婦人科の範囲でしたらすみません。」
⇒化学療法閉経することは通常のことです。
 それを「ホルモン療法で正常化する」という認識は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

治療後の定期検査について
性別:女性
年齢:38歳
こんにちは。
以前、管理番号3928「適切な抗ガン剤治療法について」質問させて頂いたものです。
自分は去年8月に手術をし(その際にCT、MRIもしています)現在ハーセプチンを投与している最中です。
今後の定期検査について担当医から話があり、分からなくなってしまったので教えてください。
過去のQ&Aを見る限り、治療後の定期検査としては
・3カ月に1回の診察超音波
・3~6ヵ月に1回の採血マーカー
・1年に1回のマンモ
とは把握していますが、どうあった時にどうすべきか、が分からないので教えてください。
担当医いわく、ハーセプチンを投与している人は脳への転移の確立が高く、脳のMRIでしか見つけることができないので年1回(毎年)脳のMRIを受けるように言われました。
採血マーカーで異常があれば調べるのではダメなのか聞いたのですが、採血マーカーで
は脳の転移は調べられないとのことでしたが、そうなのでしょうか?
過去の質問を大体読んではいるのですがイマイチ掴みきれなくて…。
結局何が聞きたいかと言いますと
MRIを断ったら、「受けたい時に言ってくれればMRIの検査をするのでいつでも言ってください」という話になりました。
ではいつ、どういう状況の時に、MRIが必要と判断すべきなのか教えて欲しいのです。
半年に1回の採血マーカーで数値に変化があった時だけでしょうか?
でもその時はMRIではなくCT?ではないのですか?
結局どの検査でどの結果の時に次に何を受けるべきかが分かってないんです。
担当医に従うと毎年MRIとCTになりそうで、自分で受ける時にだけ言うことにしたら必要な時がわからなくて困ってしまいました。
どうするのがベストなのか教えてください。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「ハーセプチンを投与している人は脳への転移の確立が高く」
⇒これは誤解を与える表現です。
 ハーセプチン投与により脳転移のリスクが増えるということではなく、(抗HER2療法が強力なので)「内臓転移が抑え込まれる分、(薬剤が届かない領域である)脳転移の割合が相対的に上がる」ということです。
「脳のMRIでしか見つけることができないので年1回(毎年)脳のMRIを受けるように言われました。」
⇒推奨するほどのエビデンスはありません。
 
「採血マーカーでは脳の転移は調べられないとのこと」
⇒volume的に小さいうちはマーカーの上昇がないので、(小さいうちにみるけるには)脳MRIしか方法はありません。
 ただ、そういうことを言っていると(質問者がいうように)「毎年MRIとCTになりそう」ということになるのです。
☆検査はすればするほどいいものではありません。
 「自分のお金だからいいではないか?」と思うかもしれませんが… 実際は7割は税金から出ているのです。
○画像診断は1年に1回のマンモグラフィーしかエビデンスがありません。
 腫瘍マーカーもエビデンスがありませんが、「許容される範囲内」だと思っています。