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術後治療について

[管理番号:5371]
性別:女性
年齢:43歳
はじめまして。
お忙しいところ大変恐縮ですが、質問させて下さい。
6月に右胸に乳がん発覚、7月末に乳房温存手術を受け、先日病理結果が出ました。
~病理結果~
腫瘍の大きさ 2.2cm
リンパ節への転移 なし
核異形度 3
エストロゲン受容体 陽性
プロゲステロン受容体 陽性
HER2 陽性
~推奨される治療内容~
放射線治療25回
ホルモン療法の飲み薬を5年間、
ハーセプチン+抗ガン剤
~再発リスク~
・手術後に治療しなかった場合、10年間で30~40%の確率で再発。
ホルモン療法をする事で再発率が15~20%に減り、それにハーセプチン+抗ガン剤で再発率が~10%に減るとの説明を受けました。
・再発リスクは先生の見解と同じですか?
又、乳がん発覚前の良くない生活習慣(過度の飲酒、運動不足、ストレスなど)を全て改善した場合、再発リスクはこれより更に下がりますか?
(今は飲酒をきっぱりやめ、毎日4キロのウォーキング、バランスの良い食事やリラクゼーションを心がけており、体調も良く以前に比べ心身共に健康になったと実感しています。)
・核異形度3、HER2陽性とありますが、大変悪性度が強く、再発や転移をしやすい癌と考えてよろしいですか?
・正直、抗ガン剤にどうしても抵抗があり、放射線とホルモン療法のみの治療を考えていますが、薬の副作用が気になって仕方ありません。
(今が体調が良い分この状態を崩すのが怖いというのもあります。)
私の今の状態でホルモン治療も受けず放射線治療のみ、という選択は無謀過ぎますか?
・もしホルモン治療を開始したとして、副作用が耐えられなくて途中で薬の服用をストップした場合、薬を服用した期間はムダになりますか?
(5年なら5年きっちり服用しないと意味がないですか?)
もしくは1年でも2年でも、やらないよりはやった方が良いのでしょうか?
・また、途中で薬をやめたとしてその反動で再発や転移の確率が上がるということはありますか?
・「完治」とはどういう状態ですか?
5年再発や転移がなければ完治したことになるのでしょうか?
勉強不足で稚拙な質問ばかりで恥ずかしいのですが、お答え頂けると有難いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
いろいろな情報に踊らされる現状も解りますが…
☆最も重要なことは「腫瘍径2.2cmの早期癌」だということです。
「・再発リスクは先生の見解と同じですか?」
⇒最終的に(ホルモン療法及び抗HER2療法を行えば)10%を切るという結果には同意します。
「再発リスクはこれより更に下がりますか?」
⇒1~3%程度の違いは出るかも知れません。
 いいことです。
「・核異形度3、HER2陽性とありますが、大変悪性度が強く、再発や転移をしやすい癌と考えてよろしいですか?」
⇒冷静にかんがえてみてください。
 (治療すれば)「再発率が一桁になる」ような癌が、本当に「そんなに恐ろしい癌」だと思いますか??
「・正直、抗ガン剤にどうしても抵抗があり、放射線とホルモン療法のみの治療を考えています」
⇒全く賛成しません。
 抗HER2療法は「最善の治療」です。
 「耳年増」になって、「不愉快な副作用ばかりイメージを膨らませて」(tryもせずに)「諦める」など、全く勧められません。
「薬の副作用が気になって仕方ありません。」
⇒人生において「大きな挑戦」など、そう何回もありません。
 人には「絶対に、受けて立たなくてはならない挑戦がある」のではないでしょうか?
 この挑戦(抗HER2療法を行う事)が、人生のターニングポイントとなる可能性も低くはないのです。
 ☆実際に、行ってみれば解りますが、「途中でドロップアウトしてしまう」ケースは殆どないのです。
「私の今の状態でホルモン治療も受けず放射線治療のみ、という選択は無謀過ぎますか?」
⇒無謀というか…
 チャレンジせずに、(最初から)「自分には無理」という考え方は、止めましょう。
「副作用が耐えられなくて」
⇒そもそも・
 ネットの情報か何かしりませんが…
 「始める前から、副作用が耐えられない」などと想像する。そういう考え方から改めましょう。
「途中で薬の服用をストップした場合、薬を服用した期間はムダになりますか?(5年なら5年きっちり服用しないと意味がないですか?)」
⇒無駄にはなりません。
「もしくは1年でも2年でも、やらないよりはやった方が良いのでしょうか?」
⇒その通りです。
「・また、途中で薬をやめたとしてその反動で再発や転移の確率が上がるということはありますか?」
⇒ありません。
 考え過ぎです。(常識的に考えましょう)
「・「完治」とはどういう状態ですか?」
⇒癌の場合には…
 予想される「再発率が、限り無くゼロ」と判断される場合となります。
 例えば…
 「膵癌や肺癌など」の場合には、(癌細胞が体内にあるのに5年間も大人しくしている筈がない=増殖力が強い)ので「5年再発が無ければ、再発率が限り無くゼロ=完治」と言えますが…
 「乳がん」の場合には(癌細胞が体内にあっても5年どころか10年、15年も大人しくしている可能性がある=増殖力が非常に弱い)ので「5年再発が無くても、再発率はゼロにはならない=完治とは言えない」となるのです。
「5年再発や転移がなければ完治したことになるのでしょうか?」
⇒上記のように…
 乳がんの場合には「10年でも完治とは言えない」のです。(さすがに、10年を超えると確立は格段に低下「2~3%以下?」しますが、ゼロとはいえないのです。)
 15年では殆ど完治と言えますが、20年まで待ちましょう。
☆せっかく「貰ったチャンス」を(挑戦せずに)「始めから諦める」など、もったいない! そういうことです。