[管理番号:5325]
性別:女性
年齢:46歳

はじめまして
お忙しい中、皆さんの質問に丁寧に答えられている先生がおられると知り、大変驚きました。

感謝いたします。

手術病理結果及びこれからの治療についてご相談させてください。
 
46歳、女性です。

昨年11月に乳癌のため右乳房全摘術を受けました。
私は
乳癌発覚まで
健診をうけていませんでした。

それが何よりの後悔です。

術前のMRI結果は、
「右乳房上方領域を主に濃染結節が多発しており、上縁部は区域性の広がりを思わせ、リング状の 濃染もみられる。
中部深部や乳頭近くには楕円形から
類円形の腫瘤形成もある。

他にも小結節がみられ広範な乳管内進展を伴う乳がんである。
胸筋浸潤も疑わしい部分がある」でした。
エコ-でも5個以上の腋下リンパ節転移が確認されました。
他、遠隔転移はありませんでした。

本来ならば術前化学療法を視野に入れたほうが良い症例だったのかもしれませんが、
乳癌発覚時、私は乳癌に関してあまりにも無知で先生の言われるままに手術先行を受け入れてしまいました。

病理結果です。

硬癌(浸潤癌)
腫瘍径:記載なし→右乳房殆ど全域が癌だったようです
ER(+):cancer cellの陽性率は100%
PgR(-):cancer cellの陽性率は10%未満
リンパ転移:11/16
Ly(+)→かなり高度、v(-)、EIC(+)
核異型度 3、MIB-1 30%程度、HER2(3+)
皮膚側断端部に熱変性の加わった浸潤性のcancer cellを認める→margin positive

あまりにも病理結果が悪く、なかなか受け入れることが出来ません。

手術後に判明したことですがこのような術前画像検査であったにも
かかわらず、リンパ郭清はレベル1しかしていなかったようです。

執刀医に確認したところ、当病院では昔から郭清はレベル1までしかしていないと言われました。

乳癌治療ガイドラインを見てもリンパ転移が確認されている場合はレベル2までは郭清することが推奨されているようです。

私は今回の手術方法に疑問をもっています。

しかし既に手術は終わっており、このような状況下、早期の再発、転移は免れない状況ではありますが
出来うる術後治療は確実に行いたいと思い、現在までに
EC 4回→weeklyパクリタキセル12回→放射線照射25回(胸壁及び鎖骨部分)→ハ-セプチン、ホルモン療法(タモキシフェン+LH-RHアゴニスト)をしています。

(ハ-セプチン、ホルモン療法は現在も継続中です)
質問事項としては
①私のようにリンパ転移の多い患者はレベル1郭清のみの場合と
 レベル2~3郭清をした場合とでは生存期間に違いがあるのか、
②この状況下で更なる治療(抗がん剤の上乗せ等)や他の治療方法はあるのか、あれば行ったほうがいいのか、またはハ-セプチン、ホルモン療法をしながらの経過観察しかないのか、また標準治療を全て行った場合の再発リスク及び生存期間はどのくらいあるのかです。

(術後5ヶ月で、リンパ転移の取り残しや胸筋部分に再発していないか気になりましのでPET-CTをとりました。
結果は異常なしでした)
 どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「本来ならば術前化学療法を視野に入れたほうが良い症例だったのかもしれません」
⇒「小さくして温存」以外に「術前化学療法の適応」はありません。

「手術先行を受け入れてしまいました。」
⇒それでよかったのです。

「①私のようにリンパ転移の多い患者はレベル1郭清のみの場合と レベル2~3郭清をした場合とでは生存期間に違いがあるのか」
⇒ありません。

 腋窩郭清は予後に影響しないことは解っています。
 局所再発のリスクは上がるかもしれません。

「②この状況下で更なる治療(抗がん剤の上乗せ等)や他の治療方法はあるのか。」
⇒ありません。
 すでに標準治療がなされています。

「標準治療を全て行った場合の再発リスク及び生存期間はどのくらい あるのかです。」
⇒3年のデータしかありませんが…

 再発率は33%
 3年生存率は83%
 となります。

 
 

 

質問者様から 【質問2 ホルモン療法について】

性別:女性
年齢:46歳

田澤先生の、根拠が明確な回答のお陰で、治療を続けることができている者です。

先日は、御回答いただきありがとうございました。

前回[管理番号:5325][術後の治療について]で質問させて頂いた者です。

お忙しい中申し訳ありませんが、再度質問させて下さい。

右乳癌全摘後です。
腫瘍径も大きく、リンパ節転移:11/16の為、stageⅢcになります。

もうすぐハ-セプチンを含めた1年の術後化学療法も終わりますが再発の不安をなかなか拭う事が出来ません。
ホルモン療法、放射線照射、抗がん剤、ハ-セプチンとフルコ-スでしたが高いstage故、治療が1つずつ終わっていくと不安に駆られます。

(ホルモン剤は継続します)
やるべき治療を終えた後も他に何かできる事があるのではないかと情報を集めてしまいます。

質問は、抗がん剤は体表面積あたりで投与量が決まりましたが、ホルモン剤にはそれがありません。
患者のstageや体表面積、病理診断のホルモン感受性割合によって服用量の加減等は無いのでしょうか。

(ER(+):cancer cellの陽性率は100%でした)
また、CYP2D6の結果は*1/*1でした。
タモキシフェンに関する代謝能は平均かと思われますが、血中エンドキシフェン濃度が高い方が再発を少しでも防げるのであれば、エビデンスが無い事は理解しておりますが、子宮内膜の影響を鑑みても増量したいと思ってしまいます。
現在、タモキシフェンを1日20mg服用中です。
30mg程度に増量するのは危険でしょうか。
田澤先生の個人的な感触でも宜しいですのでアドバイス頂けると光栄です。

また、早期癌の方とstageⅢ以上の患者で標準治療の内容や治療期間があまり代わらないのは何故でしょうか。
術後治療の限界と再発高リスクの現実に日々心が揺らぎます。

1日1日を大事に生き、それをつみ重ねていくしか無いのでしょうか。

拙い文章で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「したが、ホルモン剤にはそれがありません。患者のstageや体表面積、病理診断のホルモン感受性割合によって服用量の加減等は無いのでしょうか。」
⇒ありません。

 適応容量は「臨床試験の結果」で設定されますが、「細かい容量設定での細分化」を臨床試験で証明することは不可能だからです。(膨大なお金と時間をかけて行っても、有意差を出す事は不可能でしょう。)

「30mg程度に増量するのは危険でしょうか。」
⇒適応外です。

「早期癌の方とstageⅢ以上の患者で標準治療の内容や治療期間があまり代わらないのは何故でしょうか。」
⇒だいたい上記と同じ理由です。

 ステージごとに差がでるようなエビデンスを出すような臨床試験を設定することは「極めて困難」だからです。

★それと「もう一つ重要な観点」があります。
 治療にはバランスがあるのです。「もの凄く効果がある治療だとしても、それの経済的負担(個人ではなく、保険医療財政)があまりに高い」としたら、その治療は成り立たないのです。
 
 たとえば・
  (質問者のようにHER2陽性であれば)「pertuzumab」を用いることで生存率は上がるでしょう。
  ただし、(現状、手術不能・再発乳癌にしか適応が通っていないpertuzumab)を
「術後補助療法」として用いたら… 「高額であるpertuzumabの7割を負担している医療財政は破綻していまう」のです。

★世の中には平気で(効果があるからと)「適応外診療を勧める」医師がいることに私は憤りを感じています。

 例としては(術後補助療法なのに)カペシタビン(ゼローダ)を勧める医師が最近多いですね?(とんでもない大きな間違いなのです)





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