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放射線療法について

[管理番号:2878]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生
初めまして。
いつも拝読して大変参考になっております。
さっそく質問させて頂きます。
私は昨年7月に右乳がんと診断、腫瘍径が4cmで8月から術前化学療法を実施し約2cmになりました。
今年3月に温存手術を実施しました。
手術はセンチネルリンパ節生検実施も転移はなく、
術後の病理結果待ち(5月連休明けに受診予定)です。
今後は放射線、ホルモン療法の予定です。
【昨年7月;針生検】
 Stage ⅡA
 ホルモン受容体;陽性
 HER2;陰性
 Ki67;20%
【昨年7月の乳腺エコー、MRI】
 リンパ節腫脹はなし
【術前化学療法】
 昨年8月から開始、アブラキサン3コース
(肝機能障害のため)、FEC4コース
【月経について】
 抗がん剤開始後は9月頃にあったのみでした。
しかし、アブラキサンによる肝機能障害で休薬、12月中旬に月経が復活しています。
FEC投与以降は月経はありません。
よって、最終月経は昨年12月中旬になります。
 
【質問】
1.温存術の場合、原則放射線治療を実施するとガイドラインでは記載されています。
しかし、術後の病理検査結果によっては省略若しくは照射の強さや期間などが軽くなることはあるのでしょうか?
2.ホルモン療法は、抗エストロゲン薬+LH-RHアゴニスト製剤の使用が基本なのでしょうか?年齢や病理結果から様々なパターンがあるかと思いますが、教えて頂きたいです。
どうかよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術前化学療法としてアブラキサンを用いている事には疑問がありますが、「小さくして温存」という目的を達成していることは幸いでした。
 
「術後の病理検査結果によっては省略若しくは照射の強さや期間などが軽くなることはあるのでしょうか?」
⇒ありません。
 ただし「院内基準を設けて、照射省略を行っている(ガイドライン上は温存後の照射は必須です)」施設があるようですが…
 
「2.ホルモン療法は、抗エストロゲン薬+LH-RHアゴニスト製剤の使用が基本なのでしょうか?」
⇒基本は「あくまでもタモキシフェン単剤」です。
 ここにLH-RHagonistを併用するかが焦点なのです。
 ○現時点で参考になるのは
   SOFT試験
    ①35歳未満
    ②化学療法閉経となり月経が再開した群
   ASCOガイドライン(2016)
    ③ステージⅡ、Ⅲで化学療法が勧められる群
    ④ステージⅠ、Ⅱでも化学療法を考慮する様なハイリスク群
 ♯質問者の場合には抗ガン剤をしているとはいえ、「その理由が、化学療法の適応があるわけではなく、あくまでも温存するため」となっています。
 その意味ではASCOのガイドラインでは微妙なポジションだと思います。
 「化学療法を行った理由はどうあれ」②を考えれば、LH-RHagonistは考慮されるべきと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

いつも拝読して大変参考になっております。
前回質問後からの経過は下記のようになっております。
6月から25回50Gy放射線治療終了
7月中旬からホルモン療法(ノルバッテクス20mg)開始しています。
また、手術時の病理結果も追加分記載しました。
【手術時病理結果】
ホルモン受容体;陽性
HER2;陰性
Ki67;10%(抗がん剤の影響で多少変わるようです。)
腫瘍径約3cm
抗がん剤の効果判定は1a
断端陰性
センチネルリンパ節1個採取で陰性
【月経について】
最終月経は2015年12月中旬。
主治医からは月経が再開したらLH-RHアゴ
ニスト製剤の使用を考えているとのこと。
検査データ 8月時点
エストラジオール 20
FSH 55.4
閉経しつつあると言われました。
現在はノルバッテクスのみで検査データを見ながら考えていく予定となりました。
【質問】
1.ノルバッテクス服用による子宮体がんリスクと婦人科のフォローについて
 子宮体がんの検診は子宮頸がん検診よりも痛みを伴うと聞いております。
 正直あまりしたくありませんが、産婦人科の先生からは絶対に子宮体がん検診は受けなさいと強く言われております。
 フォローの頻度など教えていただきたいです。
 
2.閉経後のホルモン療法について
 閉経後はアロマターゼ阻害剤に変更して治療とガイドラインでは記載されております。
 私のような状況(化学療法をきっかけに閉経状態となっている)でも最終月経から1年と考えてもいいのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「子宮体がん検診は受けなさいと強く言われております。 フォローの頻度など教えていただきたいです。」
⇒タモキシフェン内服開始から「1年以内(可能なら半年以内)に1回受けるべき」です。
 その後の頻度は(その際の子宮内膜の厚さから)「婦人科医が判断」してくれるので、それに従えばいいのです。
「私のような状況(化学療法をきっかけに閉経状態となっている)でも最終月経から1年と考えてもいいのでしょうか。」
⇒化学療法閉経では通常の閉経とは異なり、(アロマターゼインヒビターへの変更には)十分な注意が必要です。
 その点についての細かいコンセンサスは存在しませんが…
 最低でも1年以上空けて、更にE2レベルに注視しながら「慎重に切り返すべき」です。
 ♯化学療法閉経で安易に「早期のアロマターゼインヒビターへの変更」することで「月経再開を促す」ケースがあり、その場合には「予後に悪影響がある」ことは間違いないのです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

ホルモン療法について[管理番号:2878]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生
いつも拝読して大変参考になっております。
2016年7月からノルバッテクス服用中です。
婦人科もトラブルなく、年に1回程度の検診で良いとのことですので安堵しています。
副作用としては、少しほてりがある程度で気楽に過ごしております。
月経も最終月経が2015年12月で以降ありません。
先日の診察で主治医から「アロマターゼ阻害剤も検討かな」といわれました。
ホルモン感受性がある場合の治療について10年程度服用する話もあるようですが、
いずれにしても服薬の種類や期間は主治医にお任せしようと考えております。
個人的には副作用もなく、再発しないなら半永久的に服用しておきたいという気持ちです。
ただ、現在も体重コントロールには気を付けており、ダイエットは継続しています。
身長164センチ、体重73キロでせめて60キロ目標です。
乳がんが診断される前からダイエットはしており、96キロから現在の体重までになりました。
ダイエットのメニューは毎日のウォーキング、ゆるい糖質制限をしております。
質問
ルミナールタイプの乳がんについて
1.ホルモン療法の一般的な種類や服用期間について
2.ホルモン療法による体重コントロールへの影響(治療終了後は減量しやすくなるのでしょうか)
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「1.ホルモン療法の一般的な種類や服用期間について」
⇒閉経前はタモキシフェン±LH-RHagonist
 
 閉経後はアロマターゼ阻害剤
 ○質問者の場合には
  タモキシフェン(何年であっても)⇒「アロマターゼ阻害剤に変更して5年間」
「2.ホルモン療法による体重コントロールへの影響(治療終了後は減量しやすくなるのでしょうか)」
⇒あまり変わりません。
 ♯ホルモン療法で太ると言うのは誤りであり、食欲をコントロールすればいいのです。