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ホルモン療法と妊娠

[管理番号:6263]
性別:女性
年齢:33歳
はじめまして。
的確かつ明瞭な情報提供をいつもありがとうございます。
3月に乳房温存手術(内視鏡)を受け、術後の治療(放射線+ノルバテックス5年)との診断を現在、受けておりますが 未婚で妊娠前ということもあり、ホルモン治療を実施することに迷いがあります。
術前の細胞診では充実性乳頭がん(solid-papillary carcinoma)15mm、
非浸潤がんとの判定でしたが術後の病理検査では一部、浸潤がんが見られる充実性乳頭がん 8mmとの判定でした。
詳しくは以下に記載いたします。
(病理レポート)
・Invasive and non-invasive ducal carcinoma surgical margin (-)
浸潤がんと非浸潤がん
・solid-papillary carcinoma(プロット赤)
充実性乳頭がん
・nuclear grade1(nuclear atype1-2,mitotic counts1)
核グレード1(核異形1-2、核分裂像数1)
*核異形スコアは1点、2点、3点と判定されるものだと思っていたのですが
1-2の判定はどのように解釈すべきでしょうか。
・8×8mm
・ly0 リンパ管侵襲なし
・v0 脈管侵襲なし
・ER 100%
・PgR 100%
・Her2 score1
*こちらはHer2 陰性ということでしょうか。
となりますと、ルミナールAということになりますでしょうか。
・Mib-1(5-10%)
*こちらは10%以下であれば再発リスクは低いといことでよろしいでしょうか。
・DCIS ADH G1-2, necrosis -
*こちらの意味を調べきれませんでした。
ご教授お願いいたします。
・断片陰性5mm以上
免疫染色結果追加
Slice d,eのメイン細胞にはごく一部にp63/CK14の縁取りが確認されますが
多くはまばらに陽性細胞を残す箇所と陽性細胞が見られない箇所が混在しており浸潤巣と考えます。
*こちらは、正常乳管を染色するマーカーも確認できたが、がん細胞が確認できる箇所と確認できない箇所が混在しているという解釈でいいでしょうか。
術前は非浸潤がんの判定でしたが、術後の検査で浸潤がんになりましたが、
その違いはどのようにして判定されたのでしょうか。
*こちらの内容からステージ1でがんの悪性度も低いと理解したのですが、術後の放射線治療及びホルモン治療について妊娠前ということも踏まえて、先生はどのようにお考えになりすか。
通院している病院では、手術後3か月以内にホルモン療法ははじめたほうがいいので、将来の妊娠を考えているなら卵子の凍結を早急にと専門医を紹介いただくことになっています。
先生の記事を拝見いたしますと、妊娠してからホルモン療法というパターンもあることを知りました。
また、出産授乳は再発のリスクを下げる可能性もあるとのこと。
私はまだ結婚していませんが、お付き合いしている方と結婚し2年以内に妊娠できたらと考えているところです。
*ただ、妊娠したいといってもできるかどうかわからないものなので、
乳がんの再発リスクが高い2~3年はホルモン療法を受けて一時、中断して妊娠すべきなのでしょうか。
*治療なし、放射線のみ、放射線+ホルモン治療この3パターンでの○年後の再発率も教えていただきたいです、
*また、術前しこりのサイズと術後では大きさが約半分になりました。
色々な方法でしこりが小さくなったというような方もおられるようですが、
このようなことはよくあるものでしょうか。
術前の画像検査から判断し難かったということでしょうか。
*また。
私のがんのレベルですと定期的な検査の頻度と手法は何が望ましいでしょうか。
通院している病院ではCT検査が盛んで術前もCTとPETーCTを受けました。
*主治医の先生が私が妊娠前であることを把握されておらず、ホルモン療法をスタートしはじめようとされたり、、病理検査の結果も詳しい説明がない状況で不安がいっぱいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「核グレード1(核異形1-2、核分裂像数1)*核異形スコアは1点、2点、3点と判定されるものだと思っていたのですが1-2の判定はどのように解釈すべきでしょうか。」
⇒核異型が「1と2の中間」なのだと思います。
 ただ、核異型が1にしても2にしても核グレードは1となります。
「・Her2 score1 *こちらはHer2 陰性ということでしょうか。」
⇒もちろん。
「となりますと、ルミナールAということになりますでしょうか。」
⇒その通りです。
「・Mib-1(5-10%) *こちらは10%以下であれば再発リスクは低いといことでよろしいでしょうか。」
⇒そう言う意味ではありません。
 Mib-1(Ki67)は(シンプルに)癌細胞のうち「細胞分裂期にある細胞の割合」を示します。
 低値が意味するのは(シンプルに)「化学療法のターゲットとなり難い=化学療法の上乗せがない=ホルモン療法単独でもよい」ということです。
「・DCIS ADH G1-2, necrosis -」
⇒(コメド壊死を伴わない)比較的グレードの低い(1-2)DCIS(非浸潤癌)やADH:atypical ductal hyperplasiaの部分があったということです。
*こちらの意味を調べきれませんでした。
ご教授お願いいたします。
「Slice d,eのメイン細胞にはごく一部にp63/CK14の縁取りが確認」
⇒slice d,eの部分は「基底細胞が残存している=乳管内病変(非浸潤癌)」はごく一部であり、多くは「陽性細胞が見られない=浸潤癌」の部分であり、この部分が浸潤巣であるということです。
「術前は非浸潤がんの判定でしたが、術後の検査で浸潤がんになりましたが、その違いはどのようにして判定されたのでしょうか。」
⇒上記の通り…
 免疫染色でみると「p63が陰性である部分=浸潤部分」が見つかったということです。
「術後の放射線治療及びホルモン治療について妊娠前ということも踏まえて、先生はどのようにお考えになりすか。」
「乳がんの再発リスクが高い2~3年はホルモン療法を受けて一時、中断して妊娠すべきなのでしょうか。」

⇒妊娠希望なら、 妊娠出産⇒ホルモン療法でいいでしょう。「お知らせ」の中の『術後の妊娠出産と治療についてお悩みの方は、管理番号5903『術後の治療と妊娠、出産について』をまずはご一読ください。』をご一読ください。
関連質問のページ
「*治療なし、放射線のみ、放射線+ホルモン治療この3パターンでの○年後の再発率も教えていただきたいです」
⇒そもそも放射線は温存乳房内再発のために行っている「局所療法」なので遠隔転移再発とは無関係です。
 また、ルミナールタイプの統計数字はAとBが混在してしまうため、(この2年間位は)「ルミナールタイプでの、それらの数字」は回答していません。
「*また、術前しこりのサイズと術後では大きさが約半分になりました。色々な方法でしこりが小さくなったというような方もおられるようですが、このようなことはよくあるものでしょうか。」
⇒そもそも、画像診断と病理診断では異なることが寧ろ当然です。
「私のがんのレベルですと定期的な検査の頻度と手法は何が望ましいでしょうか。」
⇒「癌のレベル」など無関係に
 半年に1回程度の診察、エコー採血マーカーでいいでしょう。
「通院している病院ではCT検査が盛んで術前もCTとPETーCTを受けました。」
⇒そもそも33歳の未婚女性にCTやPETを平気で撮影する様な医師の診療には(私は)全く興味がありません。
 しかも(術前診断では非浸潤癌だった)のに!!