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非浸潤がん

[管理番号:5971]
性別:女性
年齢:55歳
はじめまして。
昨年9月に健康診断のマンモグラフィー検査で石灰化が見つかり、10月に病院で生検をしたところ非浸潤がんとのことでした。
左の乳房の外側半分ほどに広がっているとのことで、画像では、白い線や点が細かい枝状に広がって見えました。
乳房を全部切除すれば100%大丈夫です、放射線治療も抗がん剤治療も必要ないとのことで、全部切除をお願いしました。
この時、手術の方法は脇の下7cmほどと、乳輪に沿って半分ほど開けて手術、同時再建でエキスパンダーを入れるとの説明でした(この方法が「全摘」なのだと私は思っていました)。
手術前に造影剤CTを受け、肺など他の臓器にがんはないとのことで、12月(下旬)日に手術を受けました。
手術直前の説明で、センチネルリンパ節でリンパへの転移をチェックし、転移があればリンパを切除、また、乳頭の近くにもがんがあるようだったら乳頭も切除するとの説明があり、同意しました。
手術直後、センチネルリンパ節でリンパへの転移はなかったこと、乳頭は残したとのことでした。
エキスパンダーは予定通り入れています。
手術から4週間後(今年1月(中旬)日)の外来診察で、組織診報告書を見せられました。
そこには下記のとおり書かれています。
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――――――
臓器・部位 乳腺
臨床診断 乳房上外側部乳K
診断 Breast, left (total mastectomy): Ductal carcinoma in situ, high grade
所見 左乳腺組織の#4,5,9,10,14,15,19,20,25,28,29切片に観察される、割面
で最大約41x21mm大の範囲にみられる乳管内腫瘍。
 乳管内に高度異型細胞(nuclear grade: high)が、面皰状、篩状、乳頭状構
造を示して増殖しており、複数の腺菅内に面皰壊死を伴っています。
明らかな間質浸潤はみられず、high grade DCISが考えられます。
乳管内に石灰化が
散見されます。
#4,15,20の断端には焼灼された腫瘍がみられており、断端陽性と判断されます。
UICC: pTis; NOMOとしますと、Stage 0 となります。
依頼内容
 臨床所見 :広範囲のDCISに対して乳輪乳頭温存皮下乳腺全摘を行い、同時再建した。
外側は腫瘍に近く感じられ追加で切除しておりますので断端は
大丈夫と思います。
cTis NO MO です。
 依頼材料 :左乳腺
そして医師からは、「乳房再建が終わったら放射線治療をしましょう」と言われましたが、この臨床診断結果が手術前の所見とどう異なるのか、なぜこの結果により放射線治療が必要になったと考えるようになったのか、乳房再建後に放射線治療をしていて時間的に大丈夫なのか、説明がなく不安になりました。
なお、今後エキスパンダーの生理食塩水を500ccまで増やしたのちにシリコンに入れ替える、それには最初の手術から約6か月かかると説明されています。
もし乳房再建までの6か月の間に浸潤がんに変化したり転移したりする可能性があるのであれば、追加切除やエキスパンダーを取り外す手術をしてでもその可能性を排除して欲しいと思っています。
手術にのぞむ最初の説明の時に乳輪乳頭温存と乳房同時再建を当然のことのように説明されて、乳房全摘や乳房再建の時期についての選択肢は提示されませんでした。
今回の臨床診断結果を見て、自分でインターネットで調べ、
乳房全摘の方が確実にがんを切除できることを知りました。
セカンドオピニオンを得ようとしなかったことを後悔しています。
乳房再建よりもがんの完治を最優先にして欲しいと思っています。
そこで今日、担当医師に乳房再建よりもがんの完治を最優先にして欲しい旨を伝えるとともに、乳房再建までの間のがん再発・転移の可能性や、乳頭切除や全摘をした場合としなかった場合の放射線治療について聞いてきました。
医師からは、乳頭付近にがんが残っているとすれば乳頭切除することにより完治の可能性は高まる、乳房全摘をすれば(がんがあったとして)100%がんを取ることができる、しかし、あくまで非浸潤がんであり転移の可能性はない、このようなケースではエキスパンダーをシリコンに入れ替えたのちの放射線治療で十分であるとの説明でした。
なお、放射線治療は5ヶ月以内にシリコンを入れる手術をしたのち5ヶ月にわたり(5週間の聞き間違えの可能性があります)土日を除く毎日行うとのことでした。
しかしやはり全摘手術は浸潤がんであれば必要だが非浸潤がんなので必要ないと思う、追加切除もしているしと。
私としては、全摘による身体への負担は大きいとしても完治の可能性が高いのであれば全摘をしたいと思います。
長期にわたる放射線治療も身体への影響は大きいのではないかと思いますし仕事への影響もあります(自宅から市立病院まで片道1時間かかります)。
なお、担当医師の年齢は60歳近くで、市立病院の中で唯一の乳腺担当医です。
先生のご所見と、今後の治療方針についてのご意見をいただけたらと思います。
どうかよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「先生のご所見と、今後の治療方針についてのご意見をいただけたらと思います。」
⇒焦点は2つあります。
1.放射線が必要か?
⇒非浸潤癌で全摘(乳頭乳輪温存だとしても)なのに、通常は放射線はしません。
(それが前提で手術しているのでは?)
 非浸潤癌では断端陽性は(普通に手術していれば)ありえないことです。
2.乳頭切除すべきか?
⇒本来「乳頭乳輪温存乳房全摘」は(浸潤/非浸潤にかかわりなく)「病変が極めて限局している、かつ乳頭からの距離がある」場合に行うべきものです。(適応拡大している医師も現実には多いですが)
 だから、(そもそも)「適応はどうだったのか?」という問題はありますし、(少なくとも)患者様の要求があれば「乳頭乳輪切除を追加」するべきです。