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遠隔転移や再発について

[管理番号:3540]
性別:女性
年齢:48歳
リンパ節転移が大きいため術前化学療法です。
ルミナールAですがリンパ節の影響で化学療法しています。
これから辛い半年になるのですが、
こちらのQ&Aでも再発の質問を読むと怖くなります。
化学療法中でも途中で遠隔転移したり、他から再発などの可能性も高いのですか?
病院の示した治療
方法通り進めていますが、再発や遠隔転移を予防するための方法は無いのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「リンパ節転移が大きいため術前化学療法です。ルミナールAですがリンパ節の影響で化学療法しています。」
⇒本当に「術前化学療法が必要か?」大いに疑問があります。
 もしも「手術可能な状態」であれば「手術先行の方が安心」です。
 何故なら、ご本人が危惧しているように(そもそもluminalAでは確実な効果が期待できないのに)「効かない抗ガン剤をしているうちに、転移が拡がる可能性」は考えなくてはならないからです。
「化学療法中でも途中で遠隔転移したり、他から再発などの可能性も高いのですか?」
⇒その可能性は決して高くはありません。
 ルミナールAと言えども「抗ガン剤は有る程度の効果は期待できる」からです。
 ただし、「全く効果が無くて、(そのまま置いてある)腫瘍から転移する可能性」も考えなくてはなりません。
 ♯もしも効果が不十分ならば(やってみないと解らないのです)、そん場合はすぐにでも「手術先行へ切り替えるべき」です。
「再発や遠隔転移を予防するための方法は無いのでしょうか?」
⇒本当は「手術先行」にして、(転移の源となるかもしれない)腫瘍は切除した上で、『再発予防としての全身療法(抗癌剤も含む)をすることが最も安全』なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

いつも読ませていただいております。
半年前に相談させていただきましたが、再度質問させてください。
先日、手術まで終わりました。
抗がん剤が少し効いて全摘から部分切除になりました。
術前の説明では以下の通りでした。
ER+、PgR+、HER2-、Ki67 15%、NG1
腫瘍28mm×23mm⇒13mm×13mm
腋窩リンパ転移あり
cT2N1MO、ステージⅡB、薬物療法後の変化:縮小
左乳房部分切除術、+センチネルリンパ節生検+腋窩リンパ廓清
しかし術後に言われたのは、リンパ節の転移が、1個と微小なものが3個、計4個との事。
最終結果は3週間後になりますが、医師の話しではリンパ節4個だとステージⅢになるかも知れないとの事でした。
術前説明ではステージⅡBだから予後は悪くないとの話しから状況が変わりつつあり、医師の回答も3週間後と歯切れが悪いです。
せっかく手術を乗り切りましたが、悪い結果が出てしまいショックを受けています。
今後は放射線、ホルモン治療に加えて、飲むタイプの抗がん剤も検討されるとの事です。
リンパ節転移1~3はステージⅡB、4個以上は有無を言わさずステージⅢで決定でしょうか?
ステージⅢとなると予後が悪くなると言われていますが、放射線、ホルモンで再発率はどれだけ下げられますか?生存率もステージⅡとⅢではかなり違うようです。
もし次に再発したら、もう根治は無いのでしょうか?
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
術前化学療法について誤った理解がされているようです。
「左乳房部分切除術、+センチネルリンパ節生検+腋窩リンパ廓清」
⇒「化学療法前の段階で、画像上リンパ節転移が疑われる」場合には(化学療法後に、画像上縮小したからといっても)「センチネルリンパ節生検はしてはいけない」ことを理解していなかったようです。
 結果として(センチネルリンパ節転移が陽性で)「腋窩郭清」しているから「大事に至らなかった」ことは幸いでしたが…(もしも、たまたま「センチネルリンパ節転移陰性」となっていたら、転移したリンパ節を残す事態となるところでした)
「リンパ節転移1~3はステージⅡB、4個以上は有無を言わさずステージⅢで決定でしょうか?」
⇒違います。(浸潤径が2cm以下ならば)
 腫瘍径が(化学療法後、術前計測の)13x13mmだとすれば…
 1~3個だと ypT1c(13mm), ypN1, ypStage2Aとなり、4個~9個はypT1c(13mm),ypN2, ypStage3Aとなります。
 
「ステージⅢとなると予後が悪くなると言われていますが、放射線、ホルモンで再発率はどれだけ下げられますか?」
⇒「局所療法」と「全身療法」に分けましょう。
 放射線は、あくまでも「温存乳房内再発のリスクを下げるため(1/3に下げます)」であり、殆ど「全身の転移再発率」を下げる効果はありません。
 それに対し、ホルモン療法は全身療法であるため「全身の転移再発率を下げる効果」は期待できます。
 ただし、術前化学療法をしているので「%」は不明です。
「今後は放射線、ホルモン治療に加えて、飲むタイプの抗がん剤も検討」
⇒放射線は「温存乳房内再発の抑制」に必須であり、ホルモン療法は「全身(遠隔転移再発)リスクの低減」に必須ですが…
 「経口抗がん剤」は標準治療ではありません。
  しかも唯一適応があるのは「UFTのみ」です。
  ♯もしも担当医がカペシタビン(ゼローダ)やTS-1、エンドキサンなどを用いようとしたら、それは「適応外使用」となり非難されるべきものとなります。
「もし再発したら、もう根治は無いのでしょうか?」
⇒再発と「一括り」にしないようにしましょう。
 たとえば「純粋な局所再発」は全く別物で「局所療法」で根治は十分狙えますし、(腋窩以外の)「リンパ節再発」も可能性はあります。
 「臓器転移」となると、難しいのが現状です。