乳がんプラザ|乳がんの手術は江戸川病院・東京


[管理番号:2540]
性別:女性
年齢:46歳

田澤先生、初めて質問させてただきます。

現在ドイツに滞在しており、乳がんの診断をもらいました。

いくつかしこりができており、もっとも大きいしこりの長さが2センチを超え、T2と言われています。

組織診断の結果は(すみません。ドイツ語ですけれど、お分かりになられるかと思います)

Mammakarzinom
mit Luminal B Ph?notyp
Gering differenziert invasives Mammakarzinom (NST,
G3) mit begleitender in situ Komponente (Komedo-Typ) ER 90% – IRS 12 – Allred 8 PgR 100% – IRS 12 – Allred 8
Her2 neg – Ki67 40%

細胞グレードが3、Ki67が40%で増殖力が高いので抗がん剤は必須。

ルミナル(Bですが)なのでホルモン剤は効果がある。

と医師から言われています。

ちょっとERとPgRの値が高すぎるような気がするのですが、これはあり得ることでしょうか。
またIRSとかAllredはどのような意味でしょう?

現在、MRTの結果待ち、来週センチネルリンパ生検を行います。

はじめに抗がん剤治療→全摘手術→10年のホルモン治療になるだろうということです。

日本では「手術後に抗がん剤が主流だ」と医師に伝えたところ、「こちらでは術前に抗がん剤の方が予後がいいという臨床結果が既に出ている」と言われました。

ネットを見てみると、G3は最も悪質だとか、コメド型は予後不良だと見受けられます。

去年の定期検診では異常がなく、この一年でこれだけのモノができてしまいました。

医師の意見だと、乳管の中を這うようにして増えていたガン細胞が(なので、見えなかった)突然外へ向かって爆発を起こしたようなもの、だそうです。

いろいろネットをさらに見てみますと、このような定期検診と定期検診の間に見つかるガンは中間ガンと言って予後がよくない、さらに出産後数年に発生した乳がんは予後がよくない、という書き込みもあり、私の場合はどちらにも該当するので非常に困惑しております。

先生のご見解をお聞かせいただけると幸いです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

ドイツと日本では「若干」の違いがあるかもしれません。

cT2, cN0(センチネルリンパ節生検予定), luminal B(Ki67=40%), NG3

「細胞グレードが3、Ki67が40%で増殖力が高いので抗がん剤は必須」
⇒luminal Bなので抗がん剤の適応となります。
 

「ちょっとERとPgRの値が高すぎるような気がするのですが、これはあり得ることでしょうか。」
⇒それは勘違いです。

 ERもPgRも「100%ということも珍しくありません」
 

「またIRSとかAllredはどのような意味でしょう?」
⇒IRS:immunoreactive score (12point)
0-1 negative
2-3 mild
4-8 moderate
9-12 strongly positive
と、なります。 

⇒Allred score
染色細胞割合(PS)
1:染色される細胞が0~1/100
2:染色される細胞が1/100~1/10
3:染色される細胞が1/10~1/3
4:染色される細胞が1/3~2/3
5:染色される細胞が2/3~1

染色強度(IS)
0:全く染まっていない
1:弱く染まっている
2:中間程度に染まっている
3:強く染まっている。

 ○染色細胞割合(PS)+染色強度(IS)=TSとして3以上を陽性とします。(最高点がPS5+IS3=TS8となります)

 ☆質問者はIRSもAllred scoreも最高点です。
 つまり、ホルモン感受性が「極めて高い=ホルモン療法が非常に期待できる」と言えます。
 

「ネットを見てみると、G3は最も悪質だとか、コメド型は予後不良だと見受けられます。」
⇒このような偏った記載は無視してください。

 結局、「何か分類を作る」と、「特徴を付けたがる」ものです。
 実際には、他の多くの因子があるので、「それだけを強調」しても仕方がありません。
 強いて言えば 他の全ての因子(例えば、浸潤径及びリンパ節転移の個数、サブタイプなど)が全て同一で比較すればG3<G1となると思いますが、「それ単体を引っ張り出しても無意味」なのです。
  

「去年の定期検診では異常がなく、この一年でこれだけのモノができてしまいました。医師の意見だと、乳管の中を這うようにして増えていたガン細胞が(なので、見えなかった)突然外へ向かって爆発を起こしたようなもの、だそうです。」
⇒全く同意見です。

 「非浸潤癌として広範囲に拡がって」から、複数個所で浸潤を始めるとそのように「あたかも急にできた」かのように見えるのです。
 

「いろいろネットをさらに見てみますと、このような定期検診と定期検診の間に見つかるガンは中間ガンと言って予後がよくない」
⇒ネットの見過ぎです。

 中間期癌は、たまたま検診をすりぬけただけのものです。
 

「さらに出産後数年に発生した乳がんは予後がよくない」
⇒全くの事実無根です。
 気にしないでください。
 

「先生のご見解をお聞かせいただけると幸いです。」
⇒普通のluminalBの乳癌です。

 余計な情報に惑わされずに局所療法(手術±放射線:温存の場合には必須)と全身療法(ホルモン療法+化学療法)を行えばいいのです。

 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、先日は私の質問にご回答くださり、ありがとうございました。

異国におりますと(慣れ親しんだ国ではありますがやはり母語で説明でいただけると本当に心強いです。

本日は追加で質問させてください。

私の診断内容は先日の質問の通り
Mammakarzinommit Luminal B Ph?notyp
Gering differenziert invasives Mammakarzinom (NST,
G3) mit begleitender in situ Komponente (Komedo-Typ) komedo Typ ER 90% – IRS
12 – Allred 8 PgR 100% – IRS 12 – Allred 8
Her2 neg – Ki67 40%
cT2(m), cN0
でしたが、術前抗がん剤投与の為、鎖骨下にポートを設置する手術と同時にセンチネルリンパ生検が行われ、リンパ腺が一つ摘出されました。

そしてその中に0.9ミリの微小転移が見つかったため、治療法に若干の変更が生じました。

nN0だったときはEC療法は3週間間隔の予定でしたが、微小転移のため2週間間隔となりPeg-G-CSFという白血球を増強する薬が追加です。

2週間ごと4回のEC療法+増強剤、その後はパクリタキセル毎週を12回、場合によっては10回、そして手術です。

微小とはいえども転移であり、それによって治療内容が変わりました。

「転移なし」と言われてた時よりも予後の予測に変化はあるのでしょうか。

また、再発度はどうでしょうか。

がん細胞の悪性度が再発度に関係するという記述を読みました。

私はN3ですので、ということは、N1やN2より再発しやすいと言うことだと理解していますが、再発するかしないかは一体なにによって決まるのでしょうか?

どれだけ治療をしてもは再発する時はする、となると本当に運なのでしょうか?

なお、私のガンはT2ですがエコーの診断では左乳房9時に17x11mm、10時に直径10mm、マンモでは7時から10時にかけて石灰化の集簇、となっており、その後のMRTでは7時から8時にかけて1.0×1.4×1.4cm、9時に0.6×0.8×0.9cm、と0.3×0.5×0.6cm、さらにその周辺一帯に石灰化、全体として7時から11時にかけて4×2.7×3.8の所見が見受けられる、と診断書に書いてありました。

腫瘍が一つではない時は、その際には一番大きな腫瘍の大きさを測るそうですが、それだと私の癌はT1思われますが、なにかほかに理由があるのでしょうか。
以上の診断内容から田沢先生はご推測できますでしょうか。

またこのような多発性の場合の予後は腫瘍が一つの場合と比べて、予後に差はありますでしょうか。

子供がまだ小さいため、どうしても予後ばかり考えてしまいます。

ちなみに、先回も書きましたが、全摘予定ですが術前抗がん剤なのは「その方が予後がいい」という理由です。
これはセカンドをとった他の医師でも同じでした。

ガンの診断後、治療に入る前に、胸部レントゲン・腹部エコー・骨シンチ・MRT・抗がん剤ポート設置・センチネルリンパ生検が一連の流れでしたが、これはこの国の全く標準だそうです。
(自己負担金なしです)

田澤先生のご活躍を拝見させていただくと、本当に頭が下がるばかりです。
私も完治して人のお役に立ちたいと思います。

以上よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「そしてその中に0.9ミリの微小転移が見つかったため、治療法に若干の変更が生じました。」
⇒「微小転移は予後に影響を及ぼさない」ことが臨床試験の結果で出ています。
 

「nN0だったときはEC療法は3週間間隔の予定でしたが、微小転移のため2週間間隔となりPeg-G-CSFという白血球を増強する薬が追加」
「2週間ごと4回のEC療法+増
強剤、その後はパクリタキセル毎週を12回、場合によっては10回、そして手術」
⇒dose denseですね。

 日本では一般的とは言えません。
 微小転移で「dose dense」 根拠が不明ですが、「ドイツ流」なのでしょうか。
(効果が落ちると言う事は無いと思いますが、副作用が大変だと思います)
 

「「転移なし」と言われてた時よりも予後の予測に変化はあるのでしょうか。」
「また、再発度はどうでしょうか。」
⇒微小転移は「予後に影響ない」のです。
 

「がん細胞の悪性度が再発度に関係するという記述を読みました。」
「私はN3ですので、ということは、N1やN2より再発しやすいと言うことだと理解しています」

⇒前回の回答でも述べたように「核グレードだけ単体で議論」しても全く無意味です。

 最も有効な「予後因子」が「腫瘍径(浸潤径)」と「リンパ節転移個数」なのです。
  だからステージは、これらの組み合わせで決まるのです。
 

「再発するかしないかは一体なにによって決まるのでしょうか?」
「どれだけ治療をしてもは再発する時はする、となると本当に運なのでしょうか?」
⇒医学が、どれだけ発達しても「究極的には解明できない」のではないかと思います。あまりにも複雑な要素が影響しているのです。
 
 ○だから、(無駄かもしれないけど)「やるべき事をやる」のです。
 

「腫瘍が一つではない時は、その際には一番大きな腫瘍の大きさを測るそうですが、それだと私の癌はT1思われますが、なにかほかに理由があるのでしょうか。」
「以上の診断内容から田沢先生はご推測できますでしょうか。」
⇒画像での「腫瘍径の診断」は曖昧なものです。

 「超音波」「MRI]「マンモグラフィー」など、担当医が経験と照らし合わせて判断するのです。
 担当医が(どれかの)画像所見から「最大浸潤径を予想」してT2としているのだと思います。
 

「またこのような多発性の場合の予後は腫瘍が一つの場合と比べて、予後に差はありますでしょうか。」
⇒ありません。
 

「ちなみに、先回も書きましたが、全摘予定ですが術前抗がん剤なのは「その方が予後がいい」という理由」
⇒私は『予後は同等」だと思います。

 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、いつもありがとうございます。

また質問させてください。

DD方式(?)で4回のEC療法、その後12回のパクリタキセルの術前療法に入ったのですが、白血球減少や帯状疱疹によりなかなか進みません。

抗がん剤投与の期間が予定より開いてしまう場合、その間にガン細胞が増えてしまうとか、そういったことはあり得ますでしょうか。

もともとDDで2週間間隔だったECが、2回先送りになって4週間開いてしまいました。
こちらの医師は「4週間で次のを必ず投与したい」と
のことで、G-CSFを投与され、なんとか4週間で次を受けることができましたが。

また、私の乳がんは、組織を診る以前に、マンモとエコーだけで95%以上の確率でガンだと診断を下されています。
このように明らかに見た目で分かるガンがそうでないものより予後はよくないのでしょうか。

(これは私の想像です)

それからセンチネルリンパ生検で微小転移が見つかって、現在の診断が
cT2(m) pN1a(mi) G3です。
5年、10年の生存率を教えてください。

pN1a(mi)のaは何の意味でしょうか?(mi)は微小転移ですね?

いつもお忙しい中をありがとうございます。

よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

Dose Denseは大変でしたね。
微小転移で「Dose Denseとする根拠は不明」ですが…

「このように明らかに見た目で分かるガンがそうでないものより予後はよくないのでしょうか。」
⇒全く無関係です。
 

「それからセンチネルリンパ生検で微小転移が見つかって、現在の診断がcT2(m)
pN1a(mi) G3です。5年、10年の生存率を教えてください。」

⇒5年生存率は不明ですが…

 10年生存率は(抗癌剤+ホルモン療法をやることになるので)89%となります。

 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生、いつもありがとうございます。

3月半ばより術前DDでのECに入っておりますが、体調不良や血液の値の不良で2週間おきのECが3週間あいたり4週間あいたりしております。

腫瘍の大きさは先回の検診では「若干縮小傾向にあり」というだけで、あまり効果が出ていないようです。

あまりにも抗がん剤の投与期間が開いてしまうと、予後が悪くなってしまうのではないかと心配です。
先生の御見解ではいかがでしょうか。

最終のECは今日の予定でしたが血液検査の結果、来週になりました。

(先回から4週間弱開いてしまいます)
その後は毎週パクリタキセルの予定です。

また、どうしても予後が気になります。
5年10年での再発率を教えてくださいませ。

「無病生存率」とは再発していないで生存していることでしょうか。

よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

術前化学療法をしてしまうと、結局「最大浸潤径(もともとの)が不明」となるため正確な数字が出せなくなります。

「腫瘍の大きさは先回の検診では「若干縮小傾向にあり」というだけで、あまり効果が出ていない」
「あまりにも抗がん剤の投与期間が開いてしまうと、予後が悪くなってしまうのではないかと心配」
⇒そんな事よりも…

 効果がないのに「いたずらに」術前抗がん剤をだらだらと続けることはリスクです。
 潔く、手術にして「抗ガン剤は術後にする」という判断も必要です。
 

「また、どうしても予後が気になります。5年10年での再発率を教えてくださいませ。」
⇒上記コメント通りです。

 本来手術をしないと、解らない数字なのです。
 

「「無病生存率」とは再発していないで生存していることでしょうか。」
⇒その通りです。

 
 

 

質問者様から 【質問5】

コメド型、予後不良とは?
性別:女性
年齢:46

田澤先生、以前にもQ&Aでお世話になりました。
また質問させてください。

①先回は術前抗がん剤であまり効果が出ていないのでは?ということで
質問させていただきました。
その後。
EC療法が終わった段階での腫瘍
のチェックでは、EC療法半分終了の段階に比べて、
10時にある腫瘍:20㎜x18㎜x8㎜→11㎜x6㎜x8㎜
9時にある腫瘍:20㎜x17㎜x10㎜→9㎜x8㎜x5㎜と、どちらも半分ほどの大きさになりました。

ネット等の情報では術前抗がん剤が効くときは、ほぼ初回の抗がん剤から効果が出る、という書き込みがありますが、このように途中から効き目が出ることは、それなりにあることでしょうか?

②EC療法の後、現在は毎週パクリタキセル投与を受けています。
前半6回終了時のチェックでは、今度は先のチェックのときと腫瘍の大きさはほぼ変わらず、という診断ですが、触診ではほとんど触れなくなっています。
(先回はまだ明らかに触れました)
これはどのような意味でしょうか。
腫瘍が軟化して触診は難しくなった
けれど、そのままの大きさでまだ存在している、ということだと思いますが、これは抗がん剤の効果でしょうか?。

③通常はウイークリーパクリタキセルだと副作用は少ない、とのことですが、私の場合は一回目の投与から白血球が減少を始め、3回目の投与からNeupogenという3日連続で打つ白血球増強剤を追加することになりました。
これはパクリタキセル最終回まで毎回とのことです。
このような処置はよくあることでしょうか?。
医師曰く「細身のアジア人には比較的よく見られる症状で、適切な処置」ということですが・・・。

(あらゆる人種の乳がんの患者さんが来ている病院なので、それを踏まえて言ってるとは思います)

④当初の組織診では私の腫瘍はNST(NonSpecialType)ということでそれ以上は分類せず、付け加えてコメド型ということでした。
この通常
型(?)は乳頭腺管ガン・充実腺管ガン・硬ガンに分類される、とことですが、コメド型はどれ分類されますか?。
突然腫瘍が現われたことか
らも乳頭腺管ガンではないかと自分は思いますが、このガンだとNG3,
Ki64=40という悪性度はあり得ることでしょうか? 一般的に乳頭腺管ガンは「おとなしい」そうですね。

医師は図を書いて、大きな全体としての変化の中に虫(ガン)がたくさん飛んでいるようなタイプ、という説明をしてくれました。
それとも散らばっていることから考えて硬ガンでしょうか。
これまたネット情報で
すが、それぞれ悪性度が違い予後も違うようなので気にしてしまいます。
医師にはNSTである以上、治療は同じなので分類には意味がない、
と教えていただけませんでした。

⑤手術は全摘予定です。
腫瘍が複数なのでやむを得ないということは分かっていますが、術前抗がん剤で仮に腫瘍が全くなくなったとしても、
全摘はまぬかれませんか?
全摘した場合は傷口の大きさはどのくらいでしょうか。

私はケロイド体質です。
家族的なケロイドと認められており、今回の治療にあたっても特記事項でケロイド体質が付け加えられています。
手術跡がケロイドになって苦しむののではないか?という心配が大きいです。

田澤先生がご執刀された患者さんの中にケロイド体質の方はいらっしゃいましたか?。
いらしゃったのであれば、特別に留意した点(が、あれば)を教えてください。

⑥抗がん剤前のセンチネルリンパ精研で0.9の微小転移が見つかりました。
医師は「実際には手術をしてみなければわからないけれど、おそらく追加廓清・放射線はしない」と言っています。
本当にそうでしょうか?。
田澤先生のご意見を教えてください。

大変申し訳ございません。
ながなが質問してしまいました。

お暑い中も、乳がん患者のために力を尽くしてくださる田澤先生に、あらかじめお礼を申し上げます。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「このように途中から効き目が出ることは、それなりにあることでしょうか?」
⇒あります。

「腫瘍が軟化して触診は難しくなったけれど、そのままの大きさでまだ存在している、ということだと思いますが、これは抗がん剤の効果でしょうか?」
⇒そうだと思います。

「パクリタキセル最終回まで毎回とのことです。このような処置はよくあることでしょうか?。」
⇒殆どありません。

「通常型(?)は乳頭腺管ガン・充実腺管ガン・硬ガンに分類される、とことですが、コメド型はどれ分類されますか?。」
⇒組織型は「見た目」なので、気にしないようにしましょう。
 コメドは乳管内での増殖を示しています。一般的には乳頭腺管癌を想定します。

「医師にはNSTである以上、治療は同じなので分類には意味がない」
⇒その通りです。
 治療には無関係です。

「全摘はまぬかれませんか?」
⇒多発の場合は(同じ乳管系で無い限りは)全摘の適応となります。

 術前抗がん剤で「それぞれが」小さくなっても「点在するだけ」なので、結局「その範囲は変わらない」のです。
 ということで「多発では、そもそも術前抗がん剤の適応外」です。

「全摘した場合は傷口の大きさはどのくらいでしょうか。」
⇒それは体格によって異なります。(乳腺の面積、体積など)

「田澤先生がご執刀された患者さんの中にケロイド体質の方はいらっしゃいましたか?。」
⇒程度は様々ですが、当然いらっしゃいました。

「特別に留意した点(が、あれば)を教えてください。」
⇒創縁にテンションがかからないように縫います。

 それは「細かく縫う」ということではなく、むしろ「縫合糸は少なくして(間隔は空けて)、創縁にテンションがかからないように」緩やかに、そして隙間なく合わせるということです。

「⑥抗がん剤前のセンチネルリンパ精研で0.9の微小転移が見つかりました。」
⇒微小転移で「追加郭清」はしません。

 
 

 

質問者様から 【質問6】

田澤先生、連日の報道等も相まってますますご多忙のことと存じます。

本当に頭の下がる思いです。

術前化学療法後、先日上旬に全摘手術を受けました。

そして先週、最終的な病理診断と今後の治療についての方針を提示されましたので、その件に関して質問させてください。

2月の診断時 cT2(m), cN0, ER:90%, PgR:100%, Ki-67:40%, Her2:0, NST, G3
最終病理 ypT1b(m), pN1a(mi), ER:70%, PgR:20%, Ki- 67:2%, Her2:0, NST, G2, L0, R0
     Invasiv+in situ: 8+50mm, CPS-EG:1, RCB- Score:1.834(RCB Klasse:2)
9月下旬の血液検査 FSH:109.8, LH:32.4, E2:27.7

当初dd方式の予定だったECx4は副作用の為、平均して通常の3週おき
(2週でできた時も4週あいてしまった時もあり)。
その後の
weeklyPTXでも骨髄抑制・帯状疱疹等の副作用が強く、ついには咳が
止まらなくなりレントゲン画像でも陰影が認められたため(転移ではない)、これ以上の投与は危険だということで、7回目を終えたところで中止となりました。
その7回も毎週ではなく2回2週間間をあけたことがあります。

今までの画像診断では2センチほどの腫瘍が二つ、手術2週間前のエコーでも11x13x6, 16x12x6(こちらは若干増大の疑いあり)でしたが、
実際の腫瘍は先のモノが約8mm
後のモノは1~2mmの小さな腫瘍がたくさん集まって見えたもの、だったとのことです。
尚、後者はEC終了時には触診では医師でさえほとんどわからなくなっておりました。

医師いわく、抗がん剤の効き目は中程度(RCB-Score:2)、予後は悪くない(CPS-EG:1)とのこと。

① 2年間はタモキシフェン服用、その後閉経が確認できた段階でアロマターゼに変更し最低3年服用。
ゾラデックスは不要。
今後2年間は3か月ごとにエコーと血液検査、健常側は一年に一回のマンモ、CTやMRTは
必要に応じて、とのことです。

田澤先生の過去の回答を拝見させていただくと、この方針で問題ないと思いますがいかがでしょうか。

② 私自身としてはPTXが途中で終わったことが心残りです。
最後まで遂行できればもっと効果があったのでは?と思うと非常に悔しいのですが、医師は追加は不要、というよりも「してはいけない」と言います。

これについては田澤先生はどう思われますか。

③ 触診で分からなくなったしこりは上記のように、小さな腫瘍?が集結していたそうです。
これは本来は小さな腫瘍が結合して一つのしこりのように感じたのでしょうか。
それとも大きなひとつの腫瘍が抗がん剤でバラバラにされたのでしょうか?。

いろいろ調べてみましても同じような例が見つかりません。
予後等にはあまり関係ないと思いますが、少し意外だったため気になります。

④ Ki-67は40%から2%に激減しました。
これは抗がん剤で38%が死滅したのでしょうか。
それとも最初から腫瘍全体ではそれほどKi-67は高くなかったのでしょうか。

⑤ 組織グレードがG3→G2になりました。
Ki-67等が変化するのは理解できるのですが、顔つきが変化する理由がわかりません。
細胞の顔つきも変化するものですか?。

ちなみに医師は「今後の治療の際に参考にするのは術前のG3の方であって、術後のG2ではない」と言います。
(EG,PgRの値についても同じこ
とを言います)

⑥ RCB-Score と CPS-EGについて教えてください。

前者が抗がん剤の効き目の指針、後者が予後推測指針のようなことを聞きましたが、よく分かりません。
日本では採用されていないのでしょうか?

⑥ 術後2週間後くらい(まだホルモン療法を始める前)から、左の目の周囲を周辺に痛み、こめかみにかけて頭痛、下を向くと軽い眩暈がします。
脳転移が心配です。
大丈夫だとは思いますが、CTや脳のMRTを一度も撮っていないので(田澤先生も『不要』だということは分かってはおりますが、それでも)気になります。

⑦ 貴病院での診察・治療に加えて、Q&Aへのご回答で、先生の仕事以外の(ご趣味・ご家族等)のお時間を奪ってしまっているのでは?と申し訳なく思ってしまいます。

大丈夫でしょうか。

以上です。
何卒よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。

質問者には悪いですが…
何故「術前抗がん剤」をしているのかが不明です。
文面からは「腫瘍は多発」であり、「そもそも(例え術前抗がん剤でちいさくなったとしても)温存適応外」のようです。実際、結局「全摘」となっていますね。
○理由も無く「術前抗がん剤を多用する医師が多い」ことには辟易しています。

「① 2年間はタモキシフェン服用、その後閉経が確認できた段階でアロマターゼに変更し最低3年服用。ゾラデックスは不要。」
⇒これは「化学療法閉経から回復しない」ことが前提となっていますね。

 もしも化学療法閉経から回復(つまり月経再開)した場合には「速やかにLH-RH
agonist]追加が必要です。
 1年以上「化学療法閉経が持続」しているのを確認したら、「E2を測定」して「閉経を確認」したら、「アロマターゼインヒビターへ変更して5年間」です。
 ♯タモキシフェン⇒アロマターゼインヒビターへのスイッチは(タモキシフェンが
何年であろうと)「アロマターゼインヒビターとして5年間」がいいと思います。

「今後2年間は3か月ごとにエコーと血液検査、健常側は一年に一回のマンモ、CTやMRTは必要に応じて、とのことです。」
⇒確かに私と同じです。

「② 私自身としてはPTXが途中で終わったことが心残りです。最後まで遂行できればもっと効果があったのでは?と思うと非常に悔しいのですが、医師は追加は不要、
というよりも「してはいけない」と言います。これについては田澤先生はどう思われますか。」

⇒(化学療法起因性の)間質性肺炎(ですよね?)が起こった以上、投与中止は当然です。術後補助療法としての再開はありえません。

「③ 触診で分からなくなったしこりは上記のように、小さな腫瘍?が集結していたそうです。
これは本来は小さな腫瘍が結合して一つのしこりのように感じたのでしょうか。それとも大きなひとつの腫瘍が抗がん剤でバラバラにされたのでしょうか?。」

⇒経験的に言うと…

 1つの腫瘍が抗癌剤により「島状に浸潤巣が残存」しているのではないかと想像します。

「④ Ki-67は40%から2%に激減しました。これは抗がん剤で38%が死滅したのでしょうか。それとも最初から腫瘍全体ではそれほどKi-67は高くなかったのでしょうか。」
⇒術前抗がん剤を用いた場合、術後に「Ki67が極端に低下」することは、しばしば経験します。

 これの解釈としては「適者生存」でしょう。
 つまり、(もともと)「①細胞分裂の盛んな癌細胞(Ki67高値)」と「②比較的おとなしい癌細胞(Ki67低値)」が混在していて、『術前抗がん剤により①が選択的に破壊されて相対的に②が生き残る』ということです。
 ♯これは抗癌剤の作用点が「DNA合成や細胞分裂」にあるので、①に対して効果が強いということです。

「⑤ 組織グレードがG3→G2になりました。Ki-67等が変化するのは理解できるのですが、顔つきが変化する理由がわかりません。細胞の顔つきも変化するものですか?。」
⇒上記と全く同じ理由です。

 G3とG2の中身(nuclear atypiaとmitotic counts)が不明ですが、結局G3の方が「より選択的に破壊される」と解釈できます。

「ちなみに医師は「今後の治療の際に参考にするのは術前のG3の方であって、術後のG2ではない」と言います。
⇒術前抗がん剤の場合には全て「化学療法前」となります。(画像所見も同様です)

「前者が抗がん剤の効き目の指針、後者が予後推測指針のようなことを聞きましたが、よく分かりません。日本では採用されていないのでしょうか?」
⇒日本では「化学療法効果 グレード1~3まで」で表現します。

「脳転移が心配です。」
⇒脳転移は単独ででることは基本的にはありません。

 明らかに「化学療法による症状」です。

「貴病院での診察・治療に加えて、Q&Aへのご回答で、先生の仕事以外の(ご趣味・ご家族等)のお時間を奪ってしまっているのでは?と申し訳なく思ってしまいます。」
⇒お気づかいありがとうございます。
 確かに(全く時間が採れない際には)焦燥感が強く、「追い込まれ感」が強くなることも、しばしばありますが…

 ただ、(アクセスの問題などで一時的に休止となった際など)「QandAが無い時」の「物足りなさ感」は、それ以上となります。

 ○「忙しい中での、たまの休息」は「暇な中での、だらだらした休息」よりも、充実感があることは間違いありません。





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