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針生検時、CNB / VABの選択基準、使う針の太さの選択基準とは

[管理番号:4546]
性別:女性
年齢:54歳
田澤先生、針生検について教えてください。
超音波検査でクラス4の所見が出て、半年ほどの間に、左右あわせて3回の針生検を受けました。
(左右とも、しこりが小さすぎて、手で触ってもわかりません)
最初は左右ともCNBで細い針(たぶん14G? 診療点数 1,011点)を使用。
先にやった「右」は鑑別困難(異型増殖。要経過観察)、
5か月後にやった「左」はDCISという結果が出ました。
「左」で悪性が出たので、再度「右」をCNBの太い針(11G? 診療点数 6,231点)で生検。
相変わらず、鑑別困難(小葉新生物、ALHの疑い/LCISを必ずしも否定できず、要経過観察)という結果でした。
以下、ちょっと欲張りですみません! 5つの質問があります。
【Q1:針生検時のツール選択の基準】
針生検を行う場合、最初から太い針は刺さないものなのでしょうか。
対象となる部分が小さいから細い針を使用したのでしょうか。
また、バネ式か吸引式かは、どのような観点で選択されるのでしょうか。
それぞれのメリット、デメリットとは?
*受診した病院のHPにはマンモトーム設備はあるとしています。
【Q2:病理検査で「malignant(悪性)」の所見が出た後に、再検査を希望できるでしょうか】
私としては、DCISとされた「左」をもう一度、もっと太い針/マンモトームでしっかり組織を採っていただき、本当に「非浸潤」かどうかハッキリさせたいのです。
いったんDCISの診断がついたあとに、患者側からそういったことをお願いできるものなのでしょうか。
というのは、現状、ER、PGR陽性ということでタモキシフェンを処方されているのですが、2か月服用して、副作用がきつくなり(船酔いのようなひどい頭痛・腹痛・吐き気、食欲減退、体の痛み、中途覚醒、下痢など)、仕事や日常生活にかなり支障をきたしています。
あまりにひどいので、ここ数日飲まないでいたら、ホットフラッシュなどの軽いものは除いて、ほとんど不快な症状が出なくなったので、服用するのが怖くなってしまいました。
(「ツムラ24」も処方されていますが、今のところ効果なし)
「非浸潤」であれば、タモキシフェンはマストではないと聞いています。
ならやめたい。
一人暮らしなので自分で心身のコントロールができないと、まともに生活できるかどうか、不安です。
ネコの面倒もみなくてはいけませんし。。。
【Q3:患部を針生検で採取することにより、ガンの増殖を遅らせることは可能でしょうか】
マンモトームで、しっかり該当部分の組織を採取できれば、がんの進行をいくらかでも遅らせることができるのではないか、というのが素人考えなのですが、
効果はないのでしょうか。
【Q4:経過観察でMRIは必要でしょうか】
がんの拡がり具合を把握するためにMRIは有効とのことですが、手術を先延ばししているせいか、主治医は、タモキシフェンの効果を見るために、超音波だけでなく、3~4か月ごとに、MRIでがんの実質を観察したいと言っています。
左は悪性確定、右は?という現状で、経過観察としてやる必要はあるのでしょうか。
できればやりたくないと思っています。
【Q5:今年のザンクトガレン国際会議で、何か新たな展開はあったのでしょうか】
最新の動向は、乳がん患者みなが知りたいことだと思います。
現状、ご存じのことがありましたら、ここでなくても、コラムなどでご紹介いただければ幸いです。
以下、これまでの簡単な経緯です。
10年ほど前より右乳頭から、頻繁に血性分泌があり、母乳パッドが手放せないほど量が増えてきたので不安になり、昨夏、近所にある市立総合病院の乳腺外科を受診しました。
(出産、授乳経験なし。乳がん検診も受けたことはありません。)
血性分泌は単孔性ではなく、2箇所から出ていますが、主治医はそのことについては、気にしていないようです。
自分では、悪性の所見が出ていないので、完全に閉経すれば「出血」は収まるのでは、と楽観視しています。
実際、生理がない最近は絞ってもほとんど出血がありません。
*今後もひどい出血が続くようであれば、「左」の乳がんの手術と同時に、切除生検もしくは、乳管造影をして、乳管区域切除手術することは可能とのこと。
最初の検査では、マンモグラフィは左右とも異常なし。
MRI、超音波の後、症状(出血)のある「右」をCNBしたものの、病理検査で鑑別困難だったため、3か月の経過観察後、超音波で「左」もクラス4で怪しいからと針生検したら、思いがけずDCISが発見されてしまったというわけです。
ちなみに左のDCISのデータは
● NG1:3点(NA;2 + MC;1)
● ly-、v-、f-
● ER;90%、PGR;90%、HER2スコア;0、Ki-67;5-10%
(壊死は見られません)
大きさは5~6mm程度と聞いています。
超音波では、当初(昨夏)から、大きさほとんど変わっていないとのこと。
以上、長々と失礼しました。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
御事情がおありなのでしょうが、「非浸潤癌の診断」なのに「ホルモン療法内服」で治療していると後悔すると思うので、可及的速やかに手術をしてください。
○本来は病変に応じて「100%確定診断がつく」手技を「最初から」選択すべきです。
 「腫瘤非形成性病変」のような「病変がある程度広範囲で一様ではない(金太郎飴のように、どこから切っても同じではない)」ものであれば、「最初からマンモトームを(何の躊躇もなく)選択すべき」です。
「針生検を行う場合、最初から太い針は刺さないものなのでしょうか。」
⇒(躊躇なく)必要なら最初から「太い針(マンモトーム)」刺します。
「対象となる部分が小さいから細い針を使用したのでしょうか。」
⇒担当医の考えている事は、正確には解りませんが…
 「太い針は(出血が)こわい」などの「何らかの(彼なりの)理由があった」のでしょう。(正確に想像することはできません)
「また、バネ式か吸引式かは、どのような観点で選択されるのでしょうか。」
⇒「病変が均一で、どこから採取しても一緒=組織採取が一部で良い」場合には「バネ式」
 「腫瘤非形成性病変など、病変が一様ではなく、ある程度広範囲の組織採取が必要」な場合には「吸引式=マンモトーム」を(私なら)最初から選択します。
「それぞれのメリット、デメリットとは?」
⇒吸引式
 「組織採取量が大きいので診断能力が高いかわりに(針が太い分)内出血のリスクがある」
 それに対しバネ式は
 「組織採取が少量であり、広範囲の採取ができないかわりに(針が細い分)内出血のリスクが少ない」
「いったんDCISの診断がついたあとに、患者側からそういったことをお願いできるものなのでしょうか。」
⇒「どうしても」というのであれば、可能ですが通常は行いません。
「タモキシフェンを処方されているのですが、2か月服用して、副作用がきつくなり」
⇒そもそも「非浸潤癌にホルモン療法など不要」です。
 可及的速やかに「手術」して病変を取り除けば「ホルモン療法で悩む必要などない」のです。
 どちら(手術とホルモン療法)が楽なのか? もう一度考えてみましょう。
「「非浸潤」であれば、タモキシフェンはマストではない」
⇒局所療法でいいのです。
「マンモトームで、しっかり該当部分の組織を採取できれば、がんの進行をいくらかでも遅らせることができるのではないか」
⇒危険です。
 癌を甘く見ていると(質問者には「その気はない」のかもしれませんが…)とんでもないことになります。
 癌は進行性なのです。『一度進んだ針は戻せない』 多くの人が後悔していることです。
「超音波だけでなく、3~4か月ごとに、MRIでがんの実質を観察したい」
⇒超音波で十分でしょう。
「今年のザンクトガレン国際会議で、何か新たな展開はあったのでしょうか】ここでなくても、コラムなどでご紹介いただければ幸いです。」
⇒いずれ紹介します。
 ただ、質問者の場合「手術すべき」であることには「議論の余地がない」ことです。
「以下、これまでの簡単な経緯です。」
⇒診断に難があったため(質問者が)「正しい治療(手術)に踏み切れていない」としたら、大変残念なことです。
 是非、正しい治療に踏み出しましょう。
 ♯この乳がんプラザに関する限り、「それ以外の選択肢」はありません。