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治療について

[管理番号:6303]
性別:女性
年齢:71歳
田澤先生
時系列を下記の記載致しました。
質問についてご確認いただけますと助かります。
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乳がん診断から現在までの時系列:
2016-5 左乳腺生検で非浸潤乳癌と診断される
ER発現 陰性
PgR発現 陰性
Her2発現 陰性
MIB-1 index 20%
2016-6 乳房部分切除術 リンパ節郭清
病理検査結果:
Left breast cancer, Bp.
– site and size: DB, 50x15mm in dimension (inv.16mm dimension),
– invasive carcinoma with apocrine differentiation, f,ly0, v0, pT1c, pNO,
pMx,
– intraductal spreading marked, nuclear grade 3 (nuclear atypia: score 3,
mitotic count: score 3),
– surgical margin negative
Immunohistochemistry
ER expression: Negative
PgR expression Negative
Herceptest: Positive(score 3+)
Ki-67 labeling index: 45%
AR expression: positive
GCDFP-15: positive
再発予防の治療として 
TC療法(ドキタキセル+シクロホスファミド)(3か月)
ハーセプチン(1年)
放射線治療(30回)を実施。
2017-12中旬 胸の痛み発生
2018-1中旬 痛みが引かず、主治医に相談。
別の病院(内科)を紹介される。
心電図、レントゲンで異常なし。
数日後、再び主治医に相談、痛み止め処方のみ。
2018-2中旬 まだ痛み引かず、主治医に相談。
MRIのできる病院を紹介される。
MRIの結果、癌の骨転移の可能性が高いと診断される。
2018-3初旬 PET-CT検査により、胸骨、右肺、肝臓に癌が転移している事がわかる。
2018-3中旬~ 胸骨部に放射線治療(10回)実施。痛みは改善されず。
その後、4月中旬から抗がん剤治療(カペシタビン or パクリタキセル、
ハーセプチン、パージェタ)スタート予定だったが、2016-6月に摘出したがん組織を遺伝子検査を行った結果、Her2陰性という結果だったため、ハーセプチン、パージェタではなく、アバスチンに変更するとの連絡があった。
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質問1 最初の生検と病理検査で診断結果が変わるのは良くある事のようですが、病理検査と遺伝子検査で、Her2陽性→陰性と結果が変わるというのは良く有る事なのでしょうか。
質問2 遺伝子検査の結果は、現時点で主治医からの電話での速報しかもらっていませんが、遺伝子検査ではERやPgRの陰性/陽性は判断出来ないという理解でよいでしょうか。
質問3 上記を考慮すると、最初の病理検査の結果が間違っている可能性があるのでは、と疑ってしまいます。
もしそうであればERやPgRの陰性/陽性を確認するため、再度、保存している摘出したがん細胞で病理検査を行った方が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「原発巣 HER2陽性」⇒「転移再発巣 HER2陰性」 の可能性は2つ
1.(術後補助療法で行った抗HER2療法で)HER2陽性の癌細胞が死滅し、「HER2陰性の癌細胞(少量存在していた)だけが選択して増殖」した。
2.そもそも最初からHER2陰性だった。(最初のHER2 3+というのが病理医の「読み過ぎ」であり、実際は2+とすべきだった。そしてHER2-FISHを行えば陰性だった)
「質問1 最初の生検と病理検査で診断結果が変わるのは良くある事のようですが、病理検査と遺伝子検査で、Her2陽性→陰性と結果が変わるというのは良く有る事なのでしょうか。」
⇒「よく」はありませんが…
 質問者のケースでは2だったようです。 その遺伝子検査とは「HER2-FISH]のことでしょう。
「質問2 遺伝子検査の結果は、現時点で主治医からの電話での速報しかもらっていませんが、遺伝子検査ではERやPgRの陰性/陽性は判断出来ないという理解でよいでしょうか。」
⇒この場合の遺伝子検査とはHER2-FISHなのでER, PgRは対象外です。
「ERやPgRの陰性/陽性を確認するため、再度、保存している摘出したがん細胞で病理検査を行った方が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。」
⇒確認してもいいでしょう。