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今後の治療について

[管理番号:5745]
性別:女性
年齢:50歳
日頃 ご多忙な中、このような形でも ご尽力頂いて 大変感謝しております。
2017年5月 右乳がん診断 生検にてトリプルネガティブ、腋窩リンパ節転移1~3(1個は ありそう、残り2個は不明瞭なのでハッキリしないが…との説明でした)、遠隔転移なし、MRIにて腫瘤径48×52㎜のう胞形成あり 病理結果でT3N1M0ステージⅢa
同6月より FEC4C施行
10月 右乳房切除術(全摘)リンパ節郭清レベル1
術後の病理検査結果は以下の通りです。
化学療法の効果 グレード2b
検索範囲ほぼ全域に不自然な繊維化・脂肪化がみられ浸潤ガンが存在していたと考えられます。
A領域には低グレードの核所見
を伴う非浸潤ガンを認めます。
非浸潤部分
の免疫染色は ER 90%、HER2 2+、
Ki67 1%でした。
大きさ13×7㎜ がん
波及度g
術後にドセタキセル4C施行予定でしたが、今後の治療方針は決まっていません。
①術後ドセタキセルは必要でしょうか?
上乗せ効果は どのくらいあると考えられるのでしょうか?(アルコール過敏症があり、治療病院が遠方なためドセタキセル予定でした)術後にタキサン系の薬剤を使用しないのは、非常に不安です。
②非浸潤部分のHER2 2+の治療はどのようになるのでしょうか?
③ホルモン療法は必要でしょうか?
私の場合どのような薬剤を使用していくのでしょうか?妊娠・出産歴が無く 体がんの検査は困難だと思うので心配です。
子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症の既往がありますが大丈夫でしょうか?(最終月経2017年3月でした)
④腫瘤径が大きかったのですが放射線療法は必要でしょうか?
先生なら どのような治療をお考えか、お聞かせいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
質問者が何故「術前抗がん剤」をしたのかは、この際おいておくとして(本来、術前抗がん剤の適応は「小さくして温存」のみです)
○トリプルネガティブでは(術前にしろ、術後にしろ)「アンスラサイクリン+タキサン」が標準治療であり、術前にアンスラサイクリン(FEC)をして手術をしたのなら、術後はタキサン(質問者の場合にはドセタキセル)をすればいいのです。(この際、病理結果は無関係です)
「①術後ドセタキセルは必要でしょうか?」
⇒上記通りです。
 本来、トリプルネガティブの補助療法は「アンスラサイクリン+タキサン」なのです。
「上乗せ効果は どのくらいあると考えられるのでしょうか?」
⇒おそらく3%前後だと思います。
「②非浸潤部分のHER2 2+の治療はどのようになるのでしょうか?」
⇒非浸潤癌でHER2を測定する事自体、全く無意味であり保険適応自体ありません。

「③ホルモン療法は必要でしょうか?」

⇒トリプルネガティブには不要です。
 非浸潤癌のサブタイプなど(今すぐ)忘れましょう。(全く無意味)
「④腫瘤径が大きかったのですが放射線療法は必要でしょうか?」
⇒あくまでも「化学療法前の状態」で判断します。
 「リンパ節転移4個以上の転移はない」という判断なら不要です。
「先生なら どのような治療をお考えか」
⇒トリプルネガティブなのだから…
 (極めてシンプルに)タキサンです。