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今後の治療について

[管理番号:5255]
性別:女性
年齢:76歳
田澤篤先生、はじめまして。
宜しくお願い致します。
私の母(76歳)の今後の治療について質問させてください。
7月(中旬)日に右乳房全摘手術を受けました。
ドレーンなしの6日間の入院でした。
一週間後の病理結果にて、浸潤性乳管ガン(乳頭腺管ガン)
ガンの大きさ30ミリ×28ミリ、リンパ節転移なし、ホルモン受容体
ER陽性、PgR陽性、HER2タンパク陽性、リンパ管浸襲あり、核異形度2、Ki-67 36%、これらの情報から再発のリスクは高病期はⅡA(T2N0M0)と診断されました。
今後の治療方針としては、年齢を考えると、化学療法アンスラサイクリン系ECはせずに、タキサン系TC、分子標的薬、内分泌療法と勧めると言われました。
ただし、TCも副作用があるため、本人の希望ならば、ゼローダかTS1、どうしても抗がん剤が嫌ならば分子標的薬、内分泌療法だけという方法もあると言われ一週間後に返事をすることになっています。
76歳という高齢なので何が一番良い治療なのか判断しかねます。
再発は早ければ半年から1年と言われてますので、母本人は飲む抗がん剤(ゼローダかTS1)の副作用が軽いのならそのほうが良いのではないか言っています。
TCとゼローダ・TS1を比べたときの効果はどうでしょうか?
それと76歳という年齢で抗がん剤をした場合、しない場合では再発に変化はあるのでしょうか?
大変お忙しいところ、申し訳ありません。
先生ならどのような治療が最適と考えますか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
70歳以上での術後化学療法のエビデンスはありません。
「TCも副作用があるため、本人の希望ならば、ゼローダかTS1、どうしても抗がん剤が嫌ならば分子標的薬、内分泌療法だけ」
⇒これらは全て「誤った治療」です。
 「ゼローダもTS-1も適応外」です。
 添付文章を読んでみてください(ネットで見れます)
 これらの薬剤の適応は「転移再発乳癌」であり、「術後補助療法には使えない」のです。
 更に(抗癌剤抜きの)「ハーセプチン単独」は(効果のエビデンスが無く)「決して行ってはならない」治療です。
「TCとゼローダ・TS1を比べたときの効果はどうでしょうか?」
⇒そもそも「ゼローダもTS1も適応外」なので比べることさえできません。
「それと76歳という年齢で抗がん剤をした場合、しない場合では再発に変化はあるのでしょうか?」
⇒わかりません。
 其のエビデンスがないのです(70歳以上では)
 ☆私であれば(適応外治療の提案など、もっての外です)「ホルモン療法単独」とすることに1秒も迷いはありません。」
  但し、一応「抗HER2療法も(エビデンスは無いが)適応はある。希望が強ければ行います。」とお話はします。(その場合にはweeklyPTX+HERとします)