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術後の診療方針についてのご相談

[管理番号:3549]
性別:女性
年齢:49歳
はじめまして、お世話になります。
2016年6月上旬に左胸にしこりを触れ、7月下旬に○○にある大学病院で左乳房全摘出およびエキスパンダー挿入術を行いました。
針生検ではDCIS、おとなしいタイプのものでホルモンには効くタイプと、診断を受けました。
その後のMRIでは、しこりのあった2cmの部分の1ヵ所ではなく、他にも小さいものが映っていると伝えられ、充分温存術が可能であるとのことでしたが、全摘出術でお願いし、無事に手術をしていただきました。
術中のセンチネル生検では問題は無く、リンパを1つ取り出したと聞いております。
病理の結果を8月下旬(先日)に聞きに行き、ほとんどが非浸潤がんでしたが1部に1mmの浸潤がんが見つかり、その箇所をより詳しく調べているので、2週間後に再度受診しその時にホルモン剤を飲むかどうするのかを決めましょうと言われました。
術前に聞いていた大きさより大きく6.5cmの広がりがあったそうです。
95%は治癒したと思って大丈夫ですと言われました。
田澤先生のご相談内容を術前より読ませて頂いており、大変勇気づけられておりました。
今後の治療について是非ご相談をさせていただきたいと思い、ご連絡いたしました。
1mmの浸潤がんが見つかった場合、今後の治療はどう行っていくのがベストか、先生のご判断をお聞かせ下さい。
反対側の乳房のことも含め、内服したほうが5%(95%は大丈夫)のためにメリットがあるのかどうかをお教え頂けたらと考えております。
がんのグレードや核異形度等、詳しい病理結果は聞いておりませんが、詳しく聞いたほうが良いでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1mi, pN0
全摘なのだから当然、無治療です。(根治ということです)
サブタイプなど、全く無意味です。
「1mmの浸潤がんが見つかった場合、今後の治療はどう行っていくのがベストか、先生のご判断をお聞かせ下さい。」
⇒無治療です。
 サブタイプなど無意味です。
「反対側の乳房のことも含め、内服したほうが5%(95%は大丈夫)のためにメリットがあるのかどうかをお教え頂けたらと考えております。」
⇒全くお勧めしません。
 体側の予防目的では「子宮体がんのリスク、その他ホットフラッシュなど有害事象、医療経済学的な問題」とはバランスしません。
「がんのグレードや核異形度等、詳しい病理結果は聞いておりませんが、詳しく聞いたほうが良いでしょうか。」
⇒不要です。
 非浸潤癌と同義と考えましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお返事をいただき、ありがとうございました。
DCISとの術前診断でしたが6.5cmの広がりがあって、1mmの浸潤がんも見つかり、腫瘍マーカーを調べた結果でホルモン剤を内服するかどうかを決めるということで、先日、その結果を聞いていきました。
1mmでも浸潤していれば、0期からⅠ期になってしまうのでしょうか?
又、1mmと病理で出ましたが、断面以外ではそれ以上の浸潤があったということもかんがえられるのでしょうか?
先生がおっしゃるには、「一部近いところがあって追加して取ってきていて…可能性があるので…大丈夫じゃないかと思うんだけどちょっと断言できないので、まぁ、その点では飲んでもいいかもしれない…」とおっしゃられて、その言葉にとても不安になってしまいました。
1mmの浸潤したところが皮膚に近いということでしたが、取り残しや皮膚へなどへの再発、そして全身への転移の可能性があるということなのでしょうか?
1mmくらいの浸潤の場合、全摘で根治だとほっとしていましたが、乳がんは全身がんであるため、全摘した左側も今後も気を付けて診ていく必要があると言われました。
これは、転移のことを仰っているのでしょうか?
子宮は筋腫で全摘しているのですが、田澤先生が前回の回答で仰ってくださったので、内服をしないことにして帰ってきたのですが、主治医の言葉を聞き不安になりました。
心配だったら飲んでも良いし、絶対に飲まなければいけないわけでもないと言われ、その言葉に飲まないと決めたにもかかわらず、これで良かったのだろうかとくよくよ悩んでしまっています。
次回の外来は半年後ということになりましたが、半年後からホルモン剤を開始するということもありでしょうか?
当初、主治医は充分温存でいける仰っていたのですが、
実際にはかなりの大きさに広がっており浸潤もしたので、浸潤が皮膚のほうまで広がっていたらと不安になり、連絡をさせて頂きました。
1mmの浸潤の場所で内服した方が良い場合はありますか?
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
前回の回答に変更は全くありません。
1mmの微小浸潤で全摘であれば、「ほぼ根治」として「ホルモン療法を勧める」ことは(私は)絶対にありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつも丁寧なご回答、ありがとうございます。
追加で、ご質問をさせて頂きます。
術後の外来で病理結果を聞いたときに、DCISで1mmの浸潤、全摘であるにもかかわらず、担当医から「全身がんであるので、この先、患側もきちんと診ていきましょう」と言われた事が気になり、自分なりに色々病理結果のことなども調べ、断端の判断が重要と書いてあったので、先日の外来時に、主治医に「断端陽性はあったのか」を聞いてみました。
すると全く疑ってもいなかった「陽性でした」という言葉を聞かされ、術後半年も経って今さらなぜ?という気持ちで頭の中が真っ白になってしまいました。
断端の結果は病理でもとても重要な項目であると知り、以下のことがことが心配で、何も手につきません。
 ①全摘でこのような断端陽性となってしまう場合があるものなのでしょうか?
 主治医に極まれなケースと言われ、ショックでなりません。
 ②これはがんを取り残されてきてしまったということなのでしょうか?
 1mmの浸潤部分が皮膚に残っている可能性があるということでしょうか?
 ③残されてしまったがんが再発・遠隔転移として現れてくる可能性はどのくらいの確率としてありますか?
 その場合は浸潤がんに変わってくることが多いのでしょうか?
 体のどの部位にどのような形で残ったがんは現れてくるのでしょうか?
 ④前回、田澤先生から「1mmの浸潤はあっても、全摘で根治」と回答をいただき、とても気持ちが明るく前向きに過ごしておりましたが、一転して断端陽性だったという事実に、ずっとこのことが頭から離れずに、ひと時も忘れられなくなってしまいました。
  主治医は「仮に残っていたとしてほんのちょっと、わずかである」という表現をされていましたが、「大丈夫とは断定できない」と言われて、いつ再発・遠隔転移
するか不安で気持ちで落ち込んでおります。
  このようなことは、ありうることなのでしょうか?
 ⑤乳房再建中で、春にインプラントを入れ替える予定ですが、部分切除の方でしたら追加切除術や放射線治療を行うという方法がありますが、私の場合、どのようにするのが第一選択になるのでしょうか?
  放射線を当てるのがよいのか、あるいはほかにも必要な選択肢はありますか?
 ⑥生存率は最初に聞いていたのもより下がりますか?
  どれくらい下がるものなでしょうか?
 ⑦DCIS、1mmの浸潤で、乳房全摘で断端陽性の場合、
残っているがんが出て来るとしたら、それは皮膚に現れるのでしょうか?
  その場合は浸潤がんとして現れるのでしょうか?
  もしインプラントの下側部分にがんが出てきてら自分では気づくのが不可能に思え、ますます不安になってします。
主治医の先生は、聞かなければ説明は無く、
はっきりおっしゃらないため、良く理解が出来ていない状況です。
 ⑧今回手術を行ったのは左乳房ですが、実は右乳房にしこりを何年も前から指摘されていて、右のしこりで紹介状が出て、今回手術した病院で3ヶ月ごとに経過を診てもらっていたのですが、左の乳房のしこりに自分で気づき、手術に至りました。
  右乳房のしこりは今もあり、左乳房にあったしこり部の違和感のような鈍い同じ痛みがあり、そちらも心配で不安な気持ちでおります。
  すぐにでも田澤先生をお尋ねして右乳房のしこりを診て頂きたいという気持ちでいっぱいですが、それは可能でしょうか?
  診て頂けるとしたら、現在の主治医から入手しておくべきデータとしては、何が必要でしょうか?
以上、お忙しいところ申し訳ございませんが、①~⑧について、
ご返答を宜しくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「 ①全摘でこのような断端陽性となってしまう場合があるものなのでしょうか?」
⇒通常はありません。
「1mmの浸潤部分が皮膚に残っている可能性があるということでしょうか?」
⇒それは無いと思います。
 病理医は「実際に手術しているわけではない」ので、「摘出した標本」でしか評価できないのです。
 実際のところは「執刀医」に確認すべきでしょう。
「 ③残されてしまったがんが再発・遠隔転移として現れてくる可能性はどのくらいの確率としてありますか?」
⇒局所再発についてはデータなど存在しません。
 ♯全摘後の局所再発など、通常はありません。
「その場合は浸潤がんに変わってくることが多いのでしょうか? 」
⇒そんなに「殆ど無い」ことについて「多い」など言えるようなデータは存在しません
「  体のどの部位にどのような形で残ったがんは現れてくるのでしょうか?」
「⑦DCIS、1mmの浸潤で、乳房全摘で断端陽性の場合、残っているがんが出て来るとしたら、それは皮膚に現れるのでしょうか?」「その場合は浸潤がんとして現れるのでしょうか?」

⇒もしも局所再発が起こるとしたら…
 それは「胸壁」です。
「追加切除術や放射線治療を行うという方法がありますが、私の場合、どのようにするのが第一選択になるのでしょうか?」
「  放射線を当てるのがよいのか、あるいはほかにも必要な選択肢はありますか?」

⇒追加切除など不可能でしょう。
 唯一可能なのは「放射線照射」となりますが…
「 ⑥生存率は最初に聞いていたのもより下がりますか?  どれくらい下がるものなでしょうか?」
⇒断端陽性に「生存率」などのデータはありません。
「右乳房のしこりを診て頂きたいという気持ちでいっぱいですが、それは可能でしょうか?」
⇒可能です。
 急ぐ必要はありませんので、「市川に予約」がいいでしょう。
メディカルプラザ市川駅
「 診て頂けるとしたら、現在の主治医から入手しておくべきデータとしては、何が必要でしょうか?」
⇒特に必要はありません。
 私が診て、「必要なら組織診をする」「不要なら何もしない」ただそれだけです。
(シンプルな話です)