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今週のコラム 82回目 この小胸筋を(大胸筋から)剥がして、外側へ引っ張りだす操作が(視野が悪い事もあり)結構慣れが必要なのです。

こんにちは。田澤です。

昨日のFMから「夏の歌、男性ver.」というランキングが流れてきました。

(何とはなしに聞いていましたが)1位はゆずの「夏色」でした。

「大差をつけて」トップだということですが、意外に感じました。

さすがに、私も知ってはいましたが「1位か?」という印象が正直なところです。

 

やはり世代の違いかな?

私が選べば…

「め組のひと」(ラッツ&スター)ですね。

未だに「夏の日差し」を感じると、心に流れてきます。

いなせだね。夏を連れてきた女(ヒト) 渚まで噂走るよ めッ!

皆さんはどうでしょうか??

 

 

 

○腋窩リンパ節

術前に患者さんに説明する際に、「どうも説明しにくいんだよなぁ」といつも思うことがあります。

「腋窩リンパ節(レベルⅠ)がどこにあるのか?」はイメージし易いのですが、「レベルⅡ」とか「レベルⅢ」となると、漠然とレベルⅠの「奥」という説明。

まぁ、それでもいいのですが、自分の身体のことなので、「筋肉との具体的な位置関係」を知ってもらうことで、より正しい理解をしてもらおうと説明を試みることにしました。

 

1.乳房と筋肉(大胸筋、小胸筋)、血管(腋窩静脈)の位置関係

まず、正面から見てみましょう。

乳房がありますね。

そのすぐ裏が「大胸筋」です。大胸筋は乳房の裏側に全面的に存在します。

その裏に「小胸筋」が縦方向に走ります。

小胸筋が大胸筋の裏にあることを頭に入れてください。

☆この小胸筋が腋窩リンパ節の分類に重要な役割を果たします。(後述)

そして大血管(腋窩静脈)が横方向(腕から心臓へ向う)に走っています。

 

2.リンパ節

☆この筋肉の裏側の血管沿いに、リンパ節は存在します。

小胸筋より外側(表面側)がレベルⅠ

小胸筋の裏側がレベルⅡ

小胸筋の内側(奥)がレベルⅢとなります。

 

つまり手術をする際には

(レベルⅠ郭清)

大胸筋を端(外側)から、めくり上げると、すぐにレベルⅠに到達します。

レベルⅠの郭清が簡単なことが容易に想像できますね?

 

(レベルⅡ郭清)

ここで、「レベルⅡを郭清するには?」どうするのか。

(大胸筋をめくりあげた状態で)更に「小胸筋」をめくり上げる必要があるのです。

♯小胸筋は大胸筋の裏側に存在し(表面からは見えない)小胸筋を完全にめくりあげ、その裏側のリンパ節(レベルⅡ)に到達するわけです。

 

(レベルⅢ郭清)

それではレベルⅢは?

小胸筋の更に内側(奥)にあるので、小胸筋の外側からでは、どうやったって到達できません。

ということで、大胸筋と(その裏にある)小胸筋を(無理やり)剥がして、

(大胸筋を内側方向へめくり上げながら)小胸筋を(逆に)外側へ引っ張るのです。

この小胸筋を(大胸筋から)剥がして、外側へ引っ張りだす操作が(視野が悪い事もあり)結構慣れが必要なのです。

最近の乳腺外科医は(リンパ節転移があると)すぐに術前抗がん剤を使ってしまうので、レベルⅢを郭清する機会が極端に少ないようです。

☆逆にいうと、(レベルⅢまで郭清する手技に自信がないから)術前抗がん剤頼りにして手術をしたがらないという背景もあるようです。

 

 

○実際の超音波像

(レベルⅠ)

大胸筋(赤)とその裏の小胸筋(青)

その外側がレベルⅠリンパ節です。

 

 

 

 

(レベルⅡ)


大胸筋(赤)とその裏側の小胸筋(青)

その小胸筋の裏側にあるのがレベルⅡリンパ節です。

 

 

 

 

(レベルⅢ)

小胸筋が終わり、その内側端よりも「更に内側」が

レベルⅢリンパ節です。

 

 

 

 

(Rotter)

小胸筋(青)の裏ではなく、大胸筋(赤)と小胸筋(青)の間に存在

通常は殆ど認識できない(転移が起こる事が少ない)が、左図では

転移して著明に腫大(4cm)しています。

☆このRotterリンパ節再発については、次回のコラムで紹介します。