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今週のコラム 140回目 特にトリプルネガティブの場合には「ホルモン療法やパルボシクリブの選択肢が無い」以上、必須となるのです。

こんにちは。また大雨です。

ここ東京では想像ができないのですが、テレビ画像を見ると「愕然」とします。

被害が拡大しないことを、心より願っています。

 

 

オラパリブ(リムパーザ)が適応承認されました。

この薬剤が(他の薬剤と)決定的に異なるのは適応条件として「BRCA遺伝子変異があること=BRACAnalysis検査をする必要」があることです。

☆これを「コンパニオン診断」といいますが、オラパリブを使用するには必須の検査となります。(薬剤より先に、検査の方が保険承認されています)

 

今回、オラパリブに「特別感」を感じるのは、このコンパニオン診断があるからでしょう。

(前回も例えましたが)HER2陽性にハーセプチンが効くように、「BRCA遺伝子変異陽性ならば、オラパリブは効く」これが心理的に重要なことだと思います。

○この薬剤の本領発揮は「OlympiAにより、術後補助療法に適応承認がされてから」だとは思います。

術後補助療法への追加こそ、心待ちにしているのです。

 

そのため、オラパリブについてアストラゼネカの担当者だけでなく、BRACAnalysis(米Myriad社)の日本代理店であるSRLの担当者からも説明を受け江戸川病院でスムーズに処方ができるように、(承認前から)準備をしてきました。

 

適応条件

・手術不能または再発乳癌で以下を全て満たすもの

アンスラサイクリン及びタキサンの使用歴がある。

HER2陰性である。

BRACAnalysisでBRCA遺伝子変異が確認されている(以下の1.2)

1.病的変異(BRCA1/2遺伝子に病的な変異がある)

2.病的変異疑い(BRCA1/2遺伝子に病的と疑われる変異がある)

3.臨床的意義不明のバリアント(現在は遺伝子の変異が病的かどうか不明)

4.遺伝子多型の可能性(病的な変異がない可能性が高い)

5.遺伝子多型(病的な変異がない)

 

実際の使いどころ

・トリプルネガティブ

この場合には、術後補助療法としてアンスラタキサンを通常行っています。(①を満たす)

そうなると、再発したら間髪おかず「BRACAnalysis」を行い、オラパリブ投与となります。

♯オラパリブ投与群と医師選択群(eriblinなど)でこれだけの差があるからです。

(OlympiADより)

 

 

 

 

 

 

 

・ルミナールタイプ

選択肢として

①ホルモン療法の変更

②ホルモン療法+パルボシクリブ

③「BRACAnalysis」→陽性ならオラパリブ (ただし、アンスラサイクリンやタキサンを術後に行っていなければ、それを先行させる必要あり)

陰性であった場合には「別の抗がん剤(eriblinやbevazicumab+PTX)」とするか①または②にするか選択することになります。

 

・HER2陽性(オラパリブの適応なし)

 

☆上記のように再発した場合には(HER2タイプ以外であれば)、BRACAnalysisが選択肢となります。(すぐにオラパリブをするのか?は別として)

特にトリプルネガティブの場合には「ホルモン療法やパルボシクリブの選択肢が無い」以上、必須となるのです。