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今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています

みなさん、昨日は本当、暑かったですね。

ここ東京で32℃!

市川外来終了して午後2時すぎ(丁度暑い時間帯です)、私は江戸川堤防の上のコースを走っていましたが、とにかく「暑い!」

そして、今年初めての裸のランナー登場!(私では、ありません。因みに私は長袖でした)

 

 

 

 

 

 

 

 

FMから流れたshort story

「ジェーン、君って酔うとなんて美しいんだ!」

「あら、マイク。私、酔ってないわよ。」

「違うよ。僕が酔っぱらっているんだ。」

 

 

 

☆適応外診療

皆さん、私はQandAの回答でも再三「適応外診療は絶対に行ってはいけない」という立場を明らかにしていますが、『今週のコラム76回目 「手術不能乳癌と転移再発乳癌」は添付文章では「手術不能又は再発乳癌」と一括りにされていることからも解るように、『手術不能乳癌と転移再発乳癌の扱いは一緒』なのです。』にも取り上げています。

今までも、ある種の医師達(特に大学病院や大病院など)は、まるでそれが自分達の特権かのように平気で「○○の臨床試験では有意差があったから…」などという理由で平気で保険外診療を行っているケースは多々あり、苦々しくは思っていました。

まぁ、医師個人が(こっそりと)適応外診療することはまだいいとしても、それを乳癌学会として『ガイドラインとして(弱くとはなってはいますが)推奨する』とは何事だ!!その「怒り」を原動力として、このコラムを今回は書きあげたのです。

 

1.カペシタビンの術後補助療法での使用

私は、2018年版「乳癌診療ガイドライン」を見て「目を疑った」ものでした。

『行う事を弱く推奨する』だと???

 

しかも、こう記載があります。

乳癌診療ガイドライン 治療編2018年版 p48より抜粋

『コストに関して、わが国ではカペシタビンの術後療法としての使用は保険適応外であるため、患者負担の医療費は著しく増加する(利用した2つのRCTレジメンで試算を行った。体表面積1.5m2の場合、全治療期間で薬剤費として約16万円及び約24万円となった)』

 

何たる、馬鹿な記載!

自費診療は保険診療と併用できないから、実際にはカペシタビンを使おうとすれば「○○転移」みたいな(本当は転移がないのに)病名を詐称して使用する医療機関が出てくることが想定されます。

これは、犯罪であり(その犯罪を助長するかのような)乳癌学会の行く末は…

 

♯この件について「担当製薬会社」の担当の者に問いただしましたが「弊社としては、決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています」とのこと。

 

2.閉経前患者に対する(LH-RHagonist併用下の)アロマターゼ阻害剤の使用

これもガイドラインには『弱く推奨する』となっています。

 

アロマターゼ阻害剤の適応は「閉経後乳癌」です。

LH-RHagonistと併用下であっても、決して閉経前に使用してはいけないのです。