Site Overlay

今週のコラム134回目  これでADHならば「ADHは確定診断」してもいいのです。(FEAも同様)

power food

この間・

水曜日、木曜日と外来が混んでいて(特に、予約時間から2h以上遅れてくると「胃」もキリキリしてきます)金曜日1日手術三昧⇒(文字通り走って)金曜日夕方市川外来⇒土曜日市川外来⇒(終わっての)河原を遠回りしての江戸川へのランニング

結構、身体が疲れているのに気づいていました。

「体調崩さない様にしないと…。マズいな。」

そう思った矢先。

「あっ、そういえば。 アレがあった!」

宮崎から通ってくる患者さんから、いただいた「マンゴー」

「あれっ? 力が漲る!」

なんと、マンゴーの「瑞瑞しい甘さ」が疲れた身体に滲みわたっていったのです。

これから(ここぞという時には)「マンゴーにしよう」

power foodに出会った、そんな瞬間でした。(患者さんに感謝です。)

 

 

FMから流れたshort story

「昨日さ、午前3:30にピンポーンって、鳴ってさ。」

「えー。まじかよ! 午前3:30?」

「そうなんだよ。ドアののぞき穴から見たら隣の住人でさー。」

「それで、どうした?」

「勿論、そんな時間に出ないさ。むかついたから、無視してやったよ。」

「そりゃ、そうだよなー。それにしても迷惑だよな。そんな時間に起こされちゃったわけだろ?」

「それがさー。たまたまドラムの練習していたから、起きてたんだよ。」

 

QandA 「6409非浸潤がんと病理診断について」を回答していて…

「incisional biopcyとexcisional biopsyの説明をしなくては!」

ただ、その違いだけ説明しても「用語解説だけで終わる」わけですが、(今回のケースのように)FEAやADHと絡めると、多くの閲覧者達に当て嵌まる問題だということがわかります。

 

まずは、(聞き慣れないであろう)FEA(flat epithelial atypia)とADH(atypical ductal hyperplasia)について

○乳管内増殖性病変

WHO(2003)  ductal intraepithelial neoplasia(DIN)分類

UDH    Usual ductal hyperplasia(UDH) 通常型乳管過形成

DIN1A  Flat epithelial atypia(FEA) 平坦上皮異型

DIN1B  Atypical ductal hyperplasia(ADH) 異型乳管過形成

DIN1C  Low grade DCIS(grade 1) 非浸潤性乳管癌・低度異型

DIN2   Intermediate grade DCIS(grade 2) 中度異型

DIN3   High grade DCIS(grade 3) 高度異型

 

WHO(2012) Intraductal proliferative lesions

Usual ductal hyperplasia(UDH)

Columnar cell lesions(CCL) – flat epithelial atypia(FEA) =CCL with atypia

Atypical ductal hyperplasia(ADH)

Ductal carcinoma in situ(DCIS)

乳管内増殖性病変は、理解が難しく(癌との鑑別など)病理医の間にもその理解に変遷があるのです。(2003-2012)

 

○遺伝子・分子学的研究による「乳腺腫瘍進展モデル」

(FEAを含む)low-grade pathwayとhigh-grade pathwayの提唱(Abdel-Fatah, Ellis IO et al. Am J Surg pathol 2007)

このモデルが正しいのかは勿論不明ですが、一つのstoryを示唆します。

FEA⇒ADH⇒low grade DCIS⇒low grade 浸潤癌へと進展(low grade pathway)

♯一方で、high rade DCIS⇒high gradeの浸潤癌(HER2 subtypeやbasal like subtype)へと進展(high grade pathway)

 

 

○病理医ではない私が、これ以上の(病理学的な)解説をこころみるのは不適切です。(興味がある方は「乳腺病理の専門家」のホームページなどで勉強するのもいいでしょう)

 

○あくまでも臨床医としての立場からコメントします。

このモデルで示唆されるのが、「病変の連続性」です。

実際に「非浸潤癌」の周囲に「ADH」や「FEA」をしばしば認めます。

 

「病変全体での評価」

つまり、病変を1つの山(富士山)としてイメージすると、その頂上から8合目あたりまで「非浸潤癌」、その下5合目あたりまでがADH、その裾野にFEAが有るイメージです。

 

FEA:病変の一部を採取してFEAと診断しても、それより「標高が高い部分」が存在しているかもしれないのです。

ADH:この病変自体、(範囲が狭いだけの)「非浸潤癌」と言えるので、当然「病変全体」の評価が求められるのです。

 

☆以下に、この乳がんプラザの「トップページ」にある「ADH」から引用します。

 

「DCISとADHの違いは?」

 

 

 

異型乳管の範囲(ADHは2mm以内)の違いだけです。
実はlow grade DCIS(低悪性度の非浸潤性乳管癌)とは、それ以外の性質は全て同一です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○以上のことを理解された上で「incisional biopsyとexcisional biopsy」に戻すと…

1.針を用いた組織診(CNB/CELERO/MMTE)

あくまでも病変の一部(MMTEはかなり広範囲も採取できるとはいえ)の検査なので、これら(ADH/FEA)の確定診断にはなりえないことは一目瞭然です。

2.Incisional biopsy

これは、どの程度の量(全体の範囲の1/5なのか、1/3なのか、はたまた1/10なのか)その切除範囲によっては「1よりにも3よりにも」解釈できます。

3.Excisional biopsy

これは文句なしです。 病変の「ほぼ全て」の採取ですから。

これでADHならば「ADHは確定診断」してもいいのです。(FEAも同様)

♯乳腺部分切除(乳房温存術)との違いは(癌であっても大丈夫なように)「surgical marginをどの程度とるのか?(excisional biopsyは原則margin無です)だけとなります。