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今週のコラム 131回目 「進行しているから」と言う理由で「効かない筈の治療に我慢する」それでいいのですか? (付記)「ホルモン療法と抗癌剤」は全く別の作用であり、「強い、弱い」ではないのです。

13年を迎えた「阿部礼二」

今日から突然のリニューアル!(先週は本当に驚きました。普通やるとしたら、年度初めとかタイミングが違うのでは?)

 

でも解る気がします。

ここのところ、「マンネリ」化してきていることに、不満をもっていたリスナーも少なくなかったのでは?(私もその一人です。)

一番面白かったのは「加奈さん」との恋愛話であり、(改めて調べてみると)2006/7月だということだから、やっぱりリニューアル必要ですね。

 

今でも覚えているのは、「加奈さん父」の『つまらん。お前の話はつまらん』(大滝秀治 風に)

リニューアル。期待しています。

♯ 余談ですが、「マンボウやしろ」が脚本参加するようですね!(私は、Skyrocket Company好きなのです)

 

FMから流れたshort story

「ジョージ! 聞いてくれよ。」

「どうしたんだ? マイク。」

「うちの10ドルもする肉を、犬がくわえて逃げて行ったんだ!」

「えっ? それは災難だったな。それで飼い主は?」

「その犬の飼い主は弁護士だったんだ。それで俺は、そいつに言ったんだ。」

「飼い犬が盗みをした場合、その損害を飼い主に請求できるのか?」

すると、その弁護士は

「勿論、できるとも。」

そう答えたんだ。

「だから、ジョージ、俺はその弁護士から10ドル払ってもらったさ。」

「良かったじゃないか! マイク。 何が不満なんだい?」

「ところが次の日、相談料100ドルの請求が届いたんだよ。」

 

 

6348「術後化学療法の選択について」 質問2を回答していて、

『これは、今週のコラムで取り上げなくてはならない!』

 

 

まずは過去の『今週のコラム 98回目 ♯このグレーゾーンを「AとBに分ける」ためにOncotypeDXがあるのです。』をご一読ください。

その中の「Oncotype DX序章」の中で『当然、術後の薬物療法は単純なもので「リンパ節転移陰性ならタモキシフェン、陽性ならケモ(化学療法)でした。』という記載に注目ください。

○前時代の治療法は「サブタイプ(性質)」ではなく、「リンパ節転移の有無(進行度やステージと言い換えることができます)」で決めていたのです。

 

現在の(サブタイプの時代には)『あなたは抗癌剤が効くタイプだから、(上乗せが期待される)抗癌剤をすべきです』となるのですが、

過去には『(あなたに抗癌剤が有効なのかは不明ですが)リンパ節転移が有る以上、(上乗せなんか知らんけど)抗癌剤をしておきましょう』だったのです。

無論、今では「サブタイプを知らない」乳腺外科医は存在しません。(そんなことでは「専門医」どころか「認定医」の試験にも受かることは望めません)ただ、いまだに「リンパ節転移の呪縛(リンパ節転移があれば、無条件に抗癌剤をしていた)」が、ある種の乳腺外科医には「根強く」あるのです。

 

このQandAの6500を仔際に見ると、(質問者達の)主治医と私の「その点に対する認識の違い」が、論点の多くを占めている事が見て取れます。

 

☆これらを理解すると、今回の「6348「術後化学療法の選択について」 質問2」の中の

核グレードについて。先生は治療とは直接関わりがないとおっしゃっていましたがpredictでは、グレードを3と入力するだけで、生存率ががたんと落ちてしまいます。これはなぜですか。

 について、その誤りに気付くことでしょう。

 

つまり予後因子である「リンパ節転移、腫瘍径、核グレード(明らかな予後因子とまでは言えませんが)」は(予後因子なのだから)予後(生存率)に影響することは当然です。

 

ただ「生存率が下がる=ケモをした方が良い(ケモが良く効く)」という認識があるので、『核グレードが高いと生存率が下がるのだから、核グレードが高ければケモすべき』という発想になっているのでしょう。

 

これは、予後因子を治療法と結び付ける過去の過ち(リンパ節転移の呪縛)そのものなのです。

 

☆昔は(当然ながら)「どんな腫瘍には、どんな治療が効くのか?」全く解らない時代でした。

そうなると治療法の手掛かりは「予後因子(つまり、進行しているのだから抗癌剤すべき)」しか無かった。(その時代に「リンパ節転移=ケモ」という発想は仕方が無いことです。)

 

ただ、現在「サブタイプの時代」となり、「どんな性質だと、どんな治療が効くのか?」解ってきた以上、「進行しているから」と言う理由で「効かない筈の治療に我慢する」それでいいのですか?

 

(追記)

本日(5/7)のQandAを回答していて「追加説明しておいたほうが解り易いかな?」と思ったので付記します。

 

☆このコラムに登場する質問者6348「術後化学療法の選択について」も本日(5/7)の「乳房MRIについて【質問4】結果が出ました」の質問者も(おそらく)勘違いしていることは、「再発率が低ければホルモン療法で十分だが、リスクがあると抗癌剤をした方がいいのでは?」という認識のようです。

 

解り易く例えるなら…

軽い胃炎に「胃薬」を使い、重症の肺炎に「強力な抗生物質」を使うわけですが…

胃炎に「強力な抗生物質」を用いれば「胃薬」よりも効果があると思いますか??

 

☆お解りですか?

ホルモン療法では不十分だから(より強い薬である)「抗癌剤を用いる」という考え方が誤りなのです。

つまり、「ホルモン療法と抗癌剤」は全く別の作用であり、「強い、弱い」ではないのです。