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非浸潤がん 温存か全摘出か

[管理番号:224]
性別:女性
年齢:43才
はじめまして。
マンモトーム検査を受け、左胸非浸潤がんと診断されました。
温存可能かを調べるため、MRIを受けました。
結果は、針を刺したところが写っているだけで、癌の拡がりはわからないとのでした。
マンモグラフィーには、マンモトームで検査した石灰化の部分と、そのすぐ左下に淡い石灰化があり、温存手術をした場合に取り残しがあるかもしれないと言われました。
やはり、このような場合は、温存は難しいのでしょうか?
MRIにも写らない癌をどのように手術するのでしょうか?
来週の診察までに、温存か全摘出かを決めなくてはならず、先生のご意見をお聞きできればと思います。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「石灰化要精査でステレオガイド下マンモトーム生検」を行い「非浸潤癌の診断」ですね。
 私は、このようなケースを相当数手術してますので経験をもとに回答します。

回答

「このような場合は、温存は難しいのでしょうか?」
⇒全く問題ありません。
 相当な誤解があるようです。
 そもそも「石灰化で見つかった非浸潤癌」は超音波では所見がないことも多く「MRIで病変が確認されない」事は特別なことではありません。
 
◎手術(温存手術)は、そもそも「マンモグラフィーの石灰化をターゲット」として、それらの「石灰化部分を十分な余裕を持って」切除するように、切除範囲を設定します。
※MRIは(そもそも)必須ではなく、(あくまでも)参考程度です。
 
★今回の「質問者の場合」 普通に「石灰化の範囲を十分余裕を持った切除ライン」を設定した「乳房温存術」を行うというだけの話です。
 
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ご返答ありがとうございました。
再度質問ですが、先生のご経験上、私のようなケースで、取り残しや再手術はよくあることなのでしょうか?
再発や取り残しを考えると温存手術に不安があります。
先生の患者さんで、温存手術に不安を持たれる方がいた場合、どのように説明されますか?
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 前回「石灰化病変で非浸潤癌の診断、MRIで病変範囲が不明」との事でご質問いただいた方ですね。
 再度のご質問ありがとうございます。

回答

「先生のご経験上、私のようなケースで、取り残しや再手術はよくあることなのでしょうか?」
⇒(正直なところ)殆どありません。
 もちろん「質問者の、石灰化の分布」を見てみなくては正確な事は不明です。
 「乳腺の1/4以上を占めるような広範囲な区域性石灰化」であれば、厳しいリスクがありますが(それでも再手術になることは極めて稀です)
 「一般的な程度の石灰化」であれば、「マンモグラフィーでの石灰化」の位置をきちんと把握して手術⇒(術中の)「標本マンモで(石灰化が安全な距離で切除されている事を)確認」すれば通常は大丈夫です。
 
「先生の患者さんで、温存手術に不安を持たれる方がいた場合、どのように説明されますか?」
⇒(基本的には)無理には勧めませんが、
 私の過去の経験をお話して、「術中に標本マンモできっちり確認するので通常は心配ない」とお話します。
 ただ、「何事にも100%は無いので、不安が有る場合には」乳房切除±(乳房再建)の選択肢も示して、(当たり前なことですが)最終的には患者さん自身に決断してもらいます。
 
 
◎特に「非浸潤癌」の場合は、「乳房全切除=根治」となるので、「乳房(全)切除は、大変理にかなった治療」でもあるのです。