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葉状腫瘍の追加手術について

[管理番号:5863]
性別:女性
年齢:39歳
初めまして。
よろしくお願いします。
15年前から右胸にしこりがあります。
見つけた当時、婦人科でエコーを受け、9㎜程度の扁平なしこりがあることを確認。
その後しばらく間があき、27歳より1年~1年半の間隔でエコーとマンモによる定期チェックを行っています(妊娠~授乳期は除く)。
27歳の時点で、しこりの大きさは1.7cm、多結節とのことでしたが、線維腺腫であるとのことでした。
定期チェックを開始以降、大きさに変化はありませんでした。
授乳後、初めての健診(2012年頃)では1.2cmまで小さくなっていました。
その後、1.4cmまで大きくなりましたが、誤差の範囲ということでした。
ところが、2016年秋の定期検査でしこりが2.45cmと大きくなりました。
ここからはあまり大きくなる様なら摘出することも視野に入れ、健診間隔を半年に1度に。
2017年3月の時点で大きさは変わらないものの、厚みが増しているので、やはり大きくなっているのかもとの事。
ここで初めて組織診をしました。
線維腺腫か葉状腫瘍かを確認したいとこ事でした。
組織診で大体はわかるのでということでした。
PCの画面上で結果を見せられただけなのですが、線維腺腫でよくみられる細胞が増殖している。
悪性所見はなし。
葉状腫瘍でよくみられる細胞も増殖。
どちらかは不明という内容でした。
まぁ線維腺腫かなぁ、葉状腫瘍だったとしても良性よりでしょうと言われました。
3cmを越えるようなら摘出ということでした。
2017年8月の時点では、2.9まで大きくなったため、やはりこれは摘出となり、11月(下旬)日に局所麻酔で摘出しました。
先日、結果を聞きに行った所、病理の先生が
PCに打ち込んだ内容では葉状腫瘍のボーダーという内容でした。
しかし、間質細胞の分裂はマイナスとなっていた事で、担当の先生が再度病理医に確認するとの事で待ちとなっています。
葉状腫瘍だとしても良性よりと聞いていたので、ボーダーかもしれないことに驚きました。
担当医はこんなことは繰り返したくないのでマージンをつけると言っていましたが、
どうもそれが不十分なようで気になります。
葉状腫瘍の説明をする際は教科書通りで、手強いことは話をするのですが、手術のマージンについてはそうではないのです。
私は胸に多少傷や変形があっても構わないので、繰り返さないように大きくとってほしいと言っていたのですが、1cmとかとったら変形するから変形をきたさない範囲で5㎜位多くと言っていました。
ボーダーかもしれない今、そこが心配でなりません。
6歳の子供がおり後悔はしたくない
ため、追加手術を希望しています。
担当医に言っても「しっかりエコーをして経過を」と
いう状態なので、平行線のままです。
私は関西在住ですが、追加手術をしていただけるの
であれば田澤先生にお願いしたいです。
もうじき手術から1ヶ月になります。
今から追加手術は可能ですか?
していただける場合、日帰りで可能ですか?
それとも入院が必要になりますか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
私が葉状腫瘍をみて感じること。
患者さんは「葉状腫瘍」という耳慣れない言葉を聞くと(医師の言葉を鵜呑みにすることなく)「ネット」で調べます。
すると、(極端な例が多くなるのはネットの性格上、仕方がないとして)「怖い情報」に出くわします。
その一方で、(肉芽腫性乳腺炎とは異なり)葉状腫瘍を知らない乳腺外科医はさすがに居ないのですが、実際に手術をしたことがある乳腺外科医は以外に少ない。(特に境界悪性以上となると、相当少ないです)
それで(葉状腫瘍と聞いても)「悪性葉状腫瘍は極めてまれだから、自分にあたることはないだろう」みたいに人ごとになっているのです。
癌とは異なり「取り残したら、再発を繰り返して、将来的に悪性になるかもしれない」という言葉は頭では解っていても患者さんが心配するほどには、それらの医師達(の心)には響かずに「癌でもないのに、癌みたいに気をつかった手術ができるか!」というのが現状のようです。
☆このような背景で、医師と患者さん側での「意識の乖離」が生じます。
 当院では(あくまでも癌優先ですが…)葉状腫瘍も多いので(他院で医師との意識の乖離が埋められずに)転院してくる患者さんから生の声を聞く事が多いのです。
「線維腺腫でよくみられる細胞が増殖」「葉状腫瘍でよくみられる細胞も増殖」「どちらかは不明という内容」
⇒「葉状腫瘍でよくみられる細胞も増殖」に注目すると、(どちらか解らないというよりも)「葉状腫瘍が確定」としてもいいように思います。
「3cmを越えるようなら摘出」
⇒そもそも、ここが甘い(教科書的には線維腺腫は3cm以上で摘出を考慮となっていますが)
 増殖傾向が強くて葉状腫瘍を疑う場合は、より積極的に「葉状腫瘍はより小さいうちに摘出」というスタンスでいいと思います。
「局所麻酔で摘出」「こんなことは繰り返したくないのでマージンをつけると言っていましたが、どうもそれが不十分」
⇒3cmの腫瘍をマージンを十分につけるのは局所麻酔では(そもそも)困難と思います。
 癌の手術を思い浮かべてください。
 3cmの癌の温存手術は比較的大きめの部分切除となりますが、局麻で安全にはできません。
 
 ☆3cmの葉状腫瘍を(癌なみに)安全なマージンをつけるには全麻が必要と思います。
  (癌は放射線や薬物療法でも効果がありますが)葉状腫瘍は「手術が唯一の治療」なのです。
  その意味では(癌でもないのに、癌みたいな手術ができるか!ではなく)むしろ「葉状腫瘍は癌以上に手術に気を使うべき」と医師側の意識改革が必要です。
「私は胸に多少傷や変形があっても構わないので、繰り返さないように大きくとってほしいと言っていたのですが、1cmとかとったら変形するから変形をきたさない範囲で5㎜位多くと言っていました。」
⇒この辺の意識の乖離が…
 (医師自身の価値観ではなく)「患者さんの価値観(それが医学的に誤りでは無い限り)を尊重する」ようにしなくてはいけません。
「追加手術を希望」「担当医に言っても「しっかりエコーをして経過を」
⇒医学的に誤りではないのですから、患者さんの希望通りに動くべきでしょう。
「私は関西在住ですが、追加手術をしていただけるのであれば田澤先生にお願いしたいです。」
⇒当然、(葉状腫瘍は)手術するからには「1回で終わらせる」ことが前提なので、(癌のように術後治療をどうするか?みたいな事を考える必要はないので)遠隔地であることは全く問題はないと思います。
「今から追加手術は可能ですか?していただける場合、日帰りで可能ですか?それとも入院が必要になりますか?」
⇒本来ならば追加手術は実際に執刀した医師がすべき(手術所見が頭にあるから)ですが、実際はこのような(他院で行った)葉状腫瘍の再手術は(私にとっては)めずらしくありません。(実際に、何度もしています。)
 ただし、その際には「全身麻酔」「傷の大きさは許容」という条件があります。
 私は(葉状腫瘍の恐ろしさを知っているので)決して妥協した手術はしません。
 全身麻酔(前日入院、翌日退院の2泊3日)で、きっちりとした手術をのぞむのであれば秘書メールしてみてください。

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