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予後(再発率、生存率)について

[管理番号:3272]
性別:女性
年齢:40歳
よろしくお願いします。
検診で要検査となり、これから考えられる可能性について
情報収集するなかで、こちらを知りました。
乳がんの予後について教えていただければと思います。
1.乳がんの手術には、全摘と温存があり、温存後の局所再発は全摘の場合と予後が変わらないと知りました。
これは、局所再発は恐るるに足らないと考えて良いのか、
それとも再発する程の病勢の場合は全摘のメリットがあまりないからと考えるべきなのか、
どちらなのでしょうか。
2.再発に、局所、リンパ節、遠隔転移の3種類あるようですが、
一般的に再発率と呼ばれているものは、この3つの再発を
合わせたものでしょうか?
私の印象では、局所再発は根治可能、
リンパ節&遠隔転移は根治が難しいという印象ですが、
例えば再発率10%生存率96%とされている場合、
局所再発が6%、リンパ節&遠隔転移が4%と理解して
よろしいのでしょうか。
3.リンパ節転移と遠隔転移は別物と理解しましたが、
頻度としてはどちらが多いですか?
また、両者で予後に違いはありますか?
4.例えば生存率96%という場合、
死亡率は4%となると思うのですが、
これは他病死も含まれた割合ですか?
ご多忙中恐縮ですが、予後については
大変気になるところですので、ご教示くださればありがたく存じます。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「1.乳がんの手術には、全摘と温存があり、温存後の局所再発は全摘の場合と予後が変わらないと知りました。」「これは、局所再発は恐るるに足らないと考えて良いのか、」
⇒その通りです。
 「温存後の乳房内再発」は「その時点で全摘すれば、最初から全摘と同じ」ということなのです。(つまり遠隔転移再発とは全く無関係)
 
「それとも再発する程の病勢の場合は全摘のメリットがあまりないからと考えるべきなのか、」
⇒違います。
 
「2.再発に、局所、リンパ節、遠隔転移の3種類あるようですが、 」
⇒違います。
 2つに分けてください
 ①局所再発 ここに「温存なら乳房内再発、全摘なら胸壁再発」と「領域リンパ節再発」が含まれます。
 ②遠隔転移再発(領域以外のリンパ節転移 例えば縦隔なども含む)
「一般的に再発率と呼ばれているものは、この3つの再発を合わせたものでしょうか?」
⇒これも違います。
 「再発率」とは「遠隔転移再発」だけの事です。
 
「局所再発は根治可能 リンパ節&遠隔転移は根治が難しいという印象」
⇒これも微妙に違います。
 ①であれば(つまり領域リンパ節再発も)根治可能
 ②は難しいとなります。
 
「再発率10%生存率96%とされている場合、局所再発が6%、リンパ節&遠隔転移が
4%と理解してよろしいのでしょうか。」

⇒これも違います。
 「再発しても生存している(この例えで言えば4%)」は「縦隔リンパ節や骨転移などの致命的でない遠隔転移再発」が含まれます。
 
「3.リンパ節転移と遠隔転移は別物と理解しましたが、頻度としてはどちらが多いですか?」
⇒これを「領域リンパ節再発」と「(領域リンパ節以外の)リンパ節転移を含めた遠隔転移再発」に修正すると…
 圧倒的に後者「遠隔転移再発」の方が多いです。
 ○局所再発(領域リンパ節再発も含む)はかなり少ないのです。
 
「また、両者で予後に違いはありますか?」
⇒大違いです。
 「領域リンパ節再発では致死的ではない」のです。
 
「4.例えば生存率96%という場合、死亡率は4%となると思うのですが、これは他病死も含まれた割合ですか?」
⇒その通りです。
 だから高齢(70以上)となればなるほど(生存率に)「他病死が影響する」のです。