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浸潤性癌の予後

[管理番号:1151]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生
いつもQ&Aを拝見しております。
先生の真摯な受け答え、自分のことに置き換えて参考にさせて頂いております。
先日乳房温存手術を受け、病理の結果が出ました。
手術前には非浸潤癌ということでしたが、病理の結果は1cmほどの浸潤部分が見られ
るということでした。
担当の先生からは、性質として浸潤性癌(硬癌?)ではあるが、乳管内に留まってい
るので非浸潤と同等に転移の恐れは殆どないので安心して良いと説明を受けました。
浸潤の大きさからはステージ1にあたると思うのですが、浸潤部が乳管内に留まって
いるかどうかで予後の成績は変わるものでしょうか。
担当の先生は、念のためにホルモン治療は行うとおっしゃっておられます。
お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。
術前針生検で「非浸潤癌」との診断であったが、術後標本では「最大浸潤径が1cm
だった」ということですね。

回答

「性質として浸潤性癌(硬癌?)ではあるが、乳管内に留まっているので非浸潤と同
等に転移の恐れは殆どないので安心して良いと説明を受けました」
⇒少々、意味不明な表現です。
 1cmの浸潤部分は「乳管内に留まってはいません」(乳管から周囲の間質に浸潤し
ているから)浸潤癌というのです。
 先のコメントは「1cmの浸潤部分はあるけど、殆どは非浸潤癌だから、転移の恐れ
は殆ど無いので安心して良い」と言いかえるのが正しい表現だと思います。
 
「浸潤部が乳管内に留まっているかどうかで予後の成績は変わるものでしょうか」
⇒浸潤部は「乳管内に留まってはいません」
 間質浸潤があるから「浸潤癌」なのです。
 
「担当の先生は、念のためにホルモン治療は行うとおっしゃっておられます」
⇒浸潤癌なので、(感受性陽性ならば)当然ホルモン療法をしなくてはなりません。
 
★「性質として浸潤性癌(硬癌?)ではあるが、乳管内に留まっている」という表現
は誤りですが、もしかすると「乳管内⇒乳腺内」の勘違いかもしれません。(それで
あれば、意味は通ります)
 乳癌が「乳管から周囲の間質へ浸潤」しても「乳腺組織内に留まっている=これを
波及度g(乳腺)」といいます。
 乳腺組織から皮下脂肪層に拡がると「波及度f(脂肪)」となります。
 同様に波及度s(皮膚)や波及度p(大胸筋)もあります。
★波及度gであっても「乳管周囲の間質内の血管やリンパ管に入り込む=転移の可能
性」はありますが、脂肪織浸潤(f)よりは程度が軽いと考えられます。(そのデータ
はありません)