Site Overlay

再発を繰り返す肉芽種性乳腺炎について

[管理番号:6279]
性別:女性
年齢:40歳
2年程前に肉芽種性乳腺炎と診断されました。
シコリは複数個あり、1年半ほどステロイドを使用しましたが効果なく、新しいシコリが出来たりしていました。
2か月ほど前にシートン法を試し、いくらか効果が現れ、ゴムを通した付近のシコリは小さくなりました。
ところがゴムを外して数日、別の場所に新たなシコリが出来ました。
ステロイドが効かず、多発、再発を繰り返す肉芽種性乳腺炎に対して主治医もお手上げの様子です。
現在、もう一度シートン法を試すかどうか考えているところです。
先生なら、どのような治療を考えますか?
是非ご回答願います。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このQandAをやっているせいか、肉芽腫性乳腺炎の患者さんが非常に多い私ですが、ステロイドが奏功しない症例は皆無です。
「先生なら、どのような治療を考えますか?」
⇒肉芽腫性乳腺炎のポイントは「volume reduction」です。
 「肉芽のvolumeを減らすには?」
 勿論、手術でもいいですが、(この数年は手術をすることなく)「MMTEで可能な限り削りながら、ステロイドを継続」します。
 
★肉芽腫性乳腺炎は、あくまでも良性疾患です。
 (削りながら)上手にステロイドを使えば、必ず治る筈。
 
 

 

質問者様から 【質問2 肉芽腫瘍性乳腺炎でのマンモトームについて】

性別:女性
年齢:40歳
田澤先生、先日はご回答ありがとうございました。
改めて検査をするというていで、
マンモトーム生検で可能な限り取ってもらえるよう主治医に相談してみようと思います。
そこで質問なのですが、
①マンモトームで全て削りきるというのは難しいものですか?あまり正常な部分まで削らない方がいいのでしょうか。
素人考えですが、敢えて少し残すことで、
肉芽腫の自己融解のような反応が起こる…
とか?
②プレドニンを使用する場合、今週のコラムNo.43で表にされていたものを参考に様子を見ながら調整していくのがよろしいでしょうか?
前回、副作用が辛かったので出来れば使いたくないという気持ちもありますが…
③プレドニン20~30mm服用中でもシコリが増大したり新しく発生したりしましたが、
ステロイドが効かないタイプの肉芽腫というよりは、ステロイドが足りなかった、増減の仕方の問題というのが先生のお考えでしょうか。
④コリネバクテリウムが原因だと考えられることもあるようですが、その菌が検出された場合は抗生物質の方が良いこともありますか?
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
肉芽腫性乳腺炎のステロイド導入期には、「一見かえって、病状が悪化?」と見えることがあります。その事は『今週のコラム112回目 このようにステロイド治療開始後「最初期」には一見病状が悪化して見え、心配される事も少なくありません』をご参照ください。
★私が想像するに…
 肉芽腫性乳腺炎に慣れていない乳腺外科医は、この「一時的な悪化期」にビビってしまい、ステロイドを中止したりして失敗しているのではないでしょうか?(私は、大量の成功体験があるので全く動揺しません。 ♯たまに患者さんに焦れられますが…)
「①マンモトームで全て削りきるというのは難しいものですか?」
⇒(肉芽の)大きさによります。
 小さい肉芽では「取りきることも可能」かもしれません。(患者さんと医師の双方に我慢が必要ですが…)
 MMTEの充電切れにることが多いです。
 因みに、当院では2台常備しているのですが、2代の充電切れまで粘った事があります(当院以外で2台常備している施設はないでしょう)
「あまり正常な部分まで削らない方がいいのでしょうか。素人考えですが、敢えて少し残すことで、肉芽腫の自己融解のような反応が起こる…とか?」
⇒考え過ぎです。
「②プレドニンを使用する場合、様子を見ながら調整していくのがよろしいでしょうか?」
⇒勿論!
 冒頭でコメントした通りです。
「③プレドニン20~30mm服用中でもシコリが増大したり新しく発生したりしました」
⇒冒頭で示した様に『今週のコラム112回目 このようにステロイド治療開始後「最初期」には一見病状が悪化して見え、心配される事も少なくありません』に当て嵌まります。
「ステロイドが効かないタイプの肉芽腫というよりは、ステロイドが足りなかった、増減の仕方の問題というのが先生のお考えでしょうか。」
⇒まさに「その通り」
 私が、どの位の症例を治療しているとお考えでしょうか?
「④コリネバクテリウムが原因だと考えられることもあるようですが、その菌が検出された場合は抗生物質の方が良いこともあり」
⇒抗生物質が有効だとは「到底」思えません。