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術前と術後の大きさと癌の種類

[管理番号:2195]
性別:女性
年齢:44歳
はじめまして、とある年配の患者さんの質問内容があやふやにも拘らず
的確な回答を拝見して凄く尊敬しました。
もし私の質問を見て頂きお答えいただけたら幸いです。
2年前に乳がんのオペをしました44歳女性です。
2年に1度の感じで定期検診をしていましたが
前回の健診から1年半の時に乳頭分泌があり受診しました。
マンモとエコーで直径1.2センチの、ほぼ浸潤性乳癌と言われました。
その後にオペをする病院でもエコーにて同じ大きさを言われました。
術前検査では喘息があるので造影はしませんでした。
術前細胞診の結果を頂いて自分で調べてみたのですが解らない所が。
「少数の炎症性細胞と泡沫細胞を背景に結合性の低下した上皮細胞が大小の集塊状に多数収集されています。
核の腫大や淡明なクロマチンの増量、不規則な重積性が観察され筋上皮細胞の
付着もほとんど見られません。
細胞内微小空胞がややunusualですが充実性~乳頭状増殖を示す乳管癌を疑います。」
というものでした。
ややunusualという珍しい事になってるのか?と思うと怖くて未だ気になります。
初めてで長文を送り大変申し訳ありません。
幸いにしてオペ後の結果は直径6ミリの非浸潤癌でした。
結果的にはありがたいのですが半分も小さいという誤差もあるものでしょうか?
なにか珍しい感じの癌じゃないのかとか怖くて・・・。
宜しければ教えて頂けると大変ありがたく思います。
あと、重ね重ねお聞きして申し訳ありませんが術後の癌のサブタイプを聞くとホルモン感受性の検査しかしていないと言われました。
皆さんはHER2やKi67を見て頂いてますがドクターは抗がん剤をしないし、
してもホルモン治療なのでホルモン感受性だけしか調べていないと言っていました。
これって大丈夫ですか?
抗がん剤をしないとわかっていたら調べないものなのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「細胞内微小空胞がややunusualですが充実性~乳頭状増殖を示す乳管癌を疑います。ややunusualという珍しい事になってるのか?と思うと怖くて未だ気になります。」
⇒全く問題ありません。
 気にするポイントではありません。あくまでも「細胞診を判定した病理医の印象」というだけです。
 
「幸いにしてオペ後の結果は直径6ミリの非浸潤癌でした。結果的にはありがたいのですが半分も小さいという誤差もあるものでしょうか?なにか珍しい感じの癌じゃないのかとか怖くて・・・。」
⇒(画像上)12mmに見えたというのは「非浸潤癌周囲のadenosisやfibrosisなどで硬
くなっている部分を含めての計測」かもしれませんし(乳頭分泌があった)ことから
「乳頭腫を伴っていて、乳頭腫を含めた大きさが12mmだった」という可能性もあります。
 
「皆さんはHER2やKi67を見て頂いてますがドクターは抗がん剤をしないししてもホルモン治療なのでホルモン感受性だけしか調べていないと言っていました。これって大丈夫ですか?」
⇒大丈夫です。
 と、いうよりも「本来、非浸潤癌でHER2やKi67は適応が無い」のです。(時々、非浸潤癌なのにHER2やKi67を測定している施設を見かけますが、)全く無意味です。
 もちろん、江戸川病院でも非浸潤癌では「ERとPgRしか」調べていません。
 
「抗がん剤をしないとわかっていたら調べないものなのでしょうか?」
⇒非浸潤癌で「HER2やKi67」は測定してはならないのです。
 『サブタイプは浸潤癌の治療方針のためにある』のです。