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トリプルネガティブ浸潤性小葉癌 右乳房全摘術後化学療法中です。使用する抗がん剤の種類(タキサン系の使用)についてご相談させてください。

[管理番号:5259]
性別:女性
年齢:54歳
このような質問の場を設けていただき感謝しております。
トリプルネガティブ浸潤性小葉癌 右乳房全摘術後化学療法中です。
使用する抗がん剤の種類(タキサン系の使用)についてご相談させてください。
2月に診療所の針生検にて右乳房非浸潤性乳管癌の診断で、○○病院を紹介、病院からは乳房温存手術を勧められましたが、全摘+センチネルリンパ節生検の選択肢を希望して、5月(上旬)日に手術をうけました。
最終病理診断が、トリプルネガティブのinvasive lobular ca.(浸潤性小葉癌)となったため、外来化学療法でECを4クール
の予定で現在2クールが終了したところですが、治療方針はECのみで終了の予定と聞かされております。
いろいろ調べると、トリプルネガティブの場合、タキサン系薬剤を追加で用いることが標準的なのではないかと思われ、タキサン系を使わないことで再発のリスクが高くなるのではないか心配です。
EC療法のみの場合とEC+タキサンの場合で再発率に
どの程度の差があるのか教えていただけますでしょうか。
また、田澤先生でしたら、私のようなケースの場合どのような選択をされますでしょうか。
病理診断結果と現病歴を以下に記しました。
ご教示のほど、どうぞよろしくお願い致します。
2つの乳腺線維腺腫に挟まれた形で存在し、線維腺腫に一部involveする浸潤性小葉癌で、主病巣17×10×13mmと離れて2つ浸潤性小葉癌の小病巣もあり。
※癌取り扱い規約※
右A、浸潤巣複数、最大浸潤域18×10(×13)mm
特殊型、invasive lobular ca., gfl, lyl, sly(-), pn(+), v0, with LCIS and
DCIS(cribriform)
HG(B-R)II(321), NG(N-SAS)I, Mitotic figures: 0/10HPFs
乳管内成分0, 乳管内進展(-)[但しLCIS(+)], EIC(-), PIC(-), Margin(-).
ER(-): PS2(<10%), IS2, PS+IS=4, PgR(-): PS0, IS0, PS+IS=0,
HER2: score1+, Ki-67 index: <10%
リンパ節転移(-): Sentinel(0/1)
追加免疫染色結果 AR(+): PS5(90%), IS3, PS+IS=8, GCDFP15(+), CK5/6(-),
EGFR(+)
(弱)
コメントとして、invasive lobular ca.の核異型はclassical typeにしては強すぎpleomorphic typeとしては弱すぎで、分類するとすればhistiocytoid variantが最も妥当
<現病歴>
2005年に右乳房のしこりを自覚し右硬化性腺症+MMTで6年間フォロー歴
2017年2月 しこりの増大に気づき、2月21日にN診療所受診しCNBを施行、非浸潤性乳管癌の診断にて、
3月(上旬)日 がんセンター新潟病院を紹介受診
右乳癌 cTisN0M0、cStage0の術前診断で
5月(上旬)日 右乳房全摘+センチネルLN生検施行
6月(上旬)日 外来受診にて上記永久病理診断結果と化学療法の方針の説明をうける
6月(下旬)日 EC1クール目施行(エピルビシン130㎎、エンドキサン900㎎)
7月(下旬)日 EC2クール目施行(白血球の減少あり1週間延期になった)
以上、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
そもそもトリプルネガティブは「単一の集団」ではありません。(「抗癌剤が効くタイプ」と「抗癌剤が効かないタイプ」、「その中間のタイプ」など様々なものが含まれます)
Ki67=10%から質問者は「典型的な大人しい小葉癌」として無治療という選択肢もあるでしょう。
 ♯ガイドラインでは、(そこまで細分化できないので)トリプルネガティブ=抗癌剤と一括りにされますが…
「EC療法のみの場合とEC+タキサンの場合で再発率にどの程度の差があるのか教えていただけますでしょうか。」
⇒殆ど違いはないと思います。
「また、田澤先生でしたら、私のようなケースの場合どのような選択をされますでしょうか。」
⇒上記コメント通り…
 化学療法による上乗せは(そもそも)殆どないと推測されるので…
 最初から「アンスラサイクリン+タキサン」は提示しません。
 いちおう「TCを勧めた」とは思います。