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突然のしこり

[管理番号:2469]
性別:女性
年齢:28歳
はじめまして。
先月、突然の胸の痛みで目が覚め、触ってみると右側乳房に大きなしこりを発見?
翌日近くのクリニックでエコーをし、石灰化ありとのことで総合病院を紹介してもらう?
マンモ、エコー、細胞診、針生検をし、細胞診の結果から悪性と診断される。
現時点で分かっている事
・しこりは5センチ以上あるのでステージはⅢ以上
・脇の下リンパ節転移あり(細い針で採った所、そのうちの一つで転移あり)
・癌の種類やグレードは不明。
ホルモンは効くタイプですとだけ言われました。
・MRI、CTの結果からは遠隔転移は無いとの事
主治医より
しこりを小さくするためと、抗がん剤の効き目を見るためで術前化学療法(EC×4)となります。
以下質問です。
①このように突然5センチをこえるしこりが出てくると言う事は相当進行が早いタイプの癌なのでしょうか。
しこりというより、胸の上部半分近くが全体的に硬くなっています。
気付かなかったのかとよく言われますが、11月末の時点では少なくともここまでの大きさのものはありませんでした…毎日下着をつけるときに手で触れるので、さすがに気が付くと思うのですが。
という程の大きさです。
②この場合は硬くなっている部分の全てが癌の可能性が高いですか?
実際手術してみないと、MRIやCTからではやはり分からないのでしょうか。
③今ステージⅢと言われていますが、硬い部分とリンパ付近?がズキズキ痛むのと、その範囲もかなり広いので胸筋にも浸透しているⅢb以上あたりではないかと思っています。
この後の、皮膚から顔を出してくる?
遠隔転移(ステージⅣ)への過程はとても進行の早い癌の場合、どのくらいで進んでいきますか?
(日単位なのか週単位なのか…)私としてはこの不気味な痛みから解放されたいのと、術前化学療法のリスクから温存にはそこまでこだわってはいません。
セカンドオピニオンも検討したいのですが、その間の進行が不安でなりません。
(なんとなく大きくなっているような気も……)
この歳で癌宣告され、先が真っ黒ですが、結果が悪いためある程度覚悟はしないとと思っております。
若年性乳癌となりますと余計不安です。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「抗がん剤の効き目を見るためで術前化学療法(EC×4)となります。」
⇒「術前化学療法を行う根拠」にはなりません。
 ○術前術後に行う(適応のある)抗癌剤は決まっている(「アンスラサイクリン」と「タキサン」だけ)ので、「抗がん剤の効き目を見る」意味は全くありません。
  
 術前抗がん剤の唯一の適応は「小さくして温存」なのです。
 
「①このように突然5センチをこえるしこりが出てくると言う事は相当進行が早いタイプの癌なのでしょうか。」
⇒そうではなく、「非浸潤癌として拡がり(この時点ではしこりとしては自覚できない)」全体に「浸潤を始めた」ケースだと思います。
 
「②この場合は硬くなっている部分の全てが癌の可能性が高いですか?実際手術してみないと、MRIやCTからではやはり分からないのでしょうか。」
⇒画像で「十分判断できる」筈です。
 
「③今ステージⅢと言われていますが、硬い部分とリンパ付近?がズキズキ痛むのと、その範囲もかなり広いので胸筋にも浸透しているⅢb以上あたりではないかと思っています。」
⇒胸筋浸潤は「ステージとは無関係」です。
 しかも「症状とも無関係」です。
 
「この後の、皮膚から顔を出してくる?」
⇒それは、おそらく(無治療でも)「1~2年はかかり」ます。
 
「遠隔転移(ステージⅣ)への過程はとても進行の早い癌の場合、どのくらいで進んでいきますか?」
⇒考え過ぎです(無理も無いのかもしれませんが…)
 遠隔転移が起こるのには(無治療でも)「1年以上かかる」と思います。
 
「私としてはこの不気味な痛みから解放されたいのと、術前化学療法のリスクから温存にはそこまでこだわってはいません。」
⇒それであれば、「術前化学療法を行う意味」は全くありません。
 
「この歳で癌宣告され、先が真っ黒ですが、結果が悪いためある程度覚悟はしないと
と思っております。」
⇒今のお気持ちは察するに余りありますが…
 ただ、「根治する可能性の方が高い」ことは間違いありません。
 きちんと治療することです。
 
「若年性乳癌となりますと余計不安です。」
⇒若年性乳癌が予後が悪いというのは「ネットの誤った情報」です。
 ○精神衛生上、「ネットの余計な情報は見ない」ことをお勧めします。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中お答えいただきありがとうございます。
乳癌で5センチ以上のしこりという方はなかなか居ないため、とても不安でなりません。
でも遠隔転移は週単位では起きないと聞けて少し安心しました。
突然出たしこりは非浸潤?全体に浸潤を始めたためとありますが、①これは数年前から癌があり、ここ2ヶ月程で突然一気に浸潤し始め(=しこりとなる)、その後リンパ節転移したという考えで良いですか?
よく乳癌は1センチのしこりになるのに10年かかる…などと聞きます。
10代の頃には既に癌があり、非浸潤の範囲が5センチ以上であったため、しこりもその大きさで現れたという事ですか?
②腫瘍径と浸潤径という言葉を聞きますが、浸潤をし始めリンパ節転移もある事から、この場合しこり全体が浸潤径の可能性が高いと考えて良いですか?(MRIかCTの画像では真っ白に写っていました)
③リンパ節転移と血管侵襲は別ですか?
リンパ節転移がある時点で体の中に癌細胞が回っているのでしょうが、血管にも入り込んでいたらやはり予後は変わるのでしょうか…
若年性の予後が悪いという情報は誤りだったんですね。
どうしても悪い方ばかり考えてしまいます。
(進行している状態のため、全摘して辛い抗がん剤治療をしてもすぐに再発転移してしまうのか……など)でも先生から根治の可能性もあるという言葉をいただいたので、少しでも前向きに考えて治療に励んでいきたいと思います。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「突然出たしこりは非浸潤?全体に浸潤を始めたためとありますが、①これは数年前から癌があり、ここ2ヶ月程で突然一気に浸潤し始め(=しこりとなる)、その後リンパ節転移したという考えで良いですか?」
⇒画像も何も見ていないので、あくまでも参考程度ですが、「臨床経過からは」そのように「想像」します。
 
「よく乳癌は1センチのしこりになるのに10年かかる…などと聞きます。」
⇒そんなにはかからないでしょう。
 
「非浸潤の範囲が5センチ以上であったため、しこりもその大きさで現れたという事ですか?」
⇒そのように「想像」しています。
 
「②腫瘍径と浸潤径という言葉を聞きますが、浸潤をし始めリンパ節転移もある事から、この場合しこり全体が浸潤径の可能性が高いと考えて良いですか?(MRIかCTの画像では真っ白に写っていました)」
⇒そこは(画像を見ていないので)不明です。
 ただし(画像を見ても)予測する事は、結構困難だと思います。
 
「③リンパ節転移と血管侵襲は別ですか?リンパ節転移がある時点で体の中に癌細胞が回っているのでしょうが、血管にも入り込んでいたらやはり予後は変わるのでしょうか…」
⇒考え過ぎです。
 「リンパ節転移が有る時点で体の中に癌細胞が回っている」としたら、「リンパ節転移有=再発必須」となってしまいますが、現実には『全くそんなことはありません』
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先日は丁寧にお答えいただきありがとうございました。
前回の質問で、突然現れた5センチのしこりは「ここ2ヶ月程で浸潤してリンパ節転移を起こした可能性」が分かったのですが、それほど短期間でリンパ節転移が起こっているという事は、今現在もリンパ転移の数が増えているという事もあり得ますか?
遠隔転移の心配は週単位では無いと聞いて安心したのですが、こうしている間にもやはりリンパ節への転移は割りと起こりやすいですか?
現在しこりのあるところに痛みがあるので不安も増してしまいます。
(何故か反対側の胸も痛む時があります……)
痛みと癌の進行は関係はないとこちらのQ&A
で拝見しておりますが、痛みが強いためとても不安です。
乳頭の真下がズキズキします。
「乳ガンで痛みがある事は稀」とありますが、私はこの「稀」な部類に入ってしまったのでしょうか?
痛みのある乳ガンと無い乳ガンの違いはありますか?
また、しこりが5センチ以上のため術前化学療法をすすめられています。
今分かっている事は「ホルモンが効くタイプ」ということのみです。
この事からルミナールタイプになると思うのですが、しこりの大きさと、リンパ節転移のある事から(細胞診で2個採った内の1つ陽性)どちらにせよ抗がん剤治療と放射線治療は必須と考えて良いですか?
長文で申し訳ありません。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「癌と診断」されると、(今までは気にならなかった)「全身のどこかの痛みが、癌が関係しているのではないか?」と想像しがちです。(決してそんなことはありません)
ただ、悲しい事に、インターネット時代においては「私は、痛くてそこに転移をみつけた」みたいなブログがいくらでもあるのでしょう(想像ですが)
そのような「少数例」を見て、いたずらに心配を増幅させる事が「いい結果に繋がらない」だろうことは(質問者自身にも)解ってはいる筈です。自虐的にならず、事実だけを見つめていきましょう。
「それほど短期間でリンパ節転移が起こっているという事は、今現在もリンパ転移の数が増えているという事もあり得ますか?」
⇒考え過ぎです。
 乳癌は「そんなに急激な経過」ではありません。
 
「遠隔転移の心配は週単位では無いと聞いて安心した」
⇒「週単位」ではなく、「年単位」です。
 
「こうしている間にもやはりリンパ節への転移は割りと起こりやすいですか?」
⇒そんなことはありません。
 考え過ぎです。
 
「現在しこりのあるところに痛みがあるので不安も増してしまいます。」
⇒無関係です。
 
「乳ガンで痛みがある事は稀」とありますが、私はこの「稀」な部類に入ってしまったのでしょうか?」
⇒全く無意味な発想です。
 
「痛みのある乳ガンと無い乳ガンの違いはありますか?」
⇒ありまえん。
 
「また、しこりが5センチ以上のため術前化学療法をすすめられています。」
⇒前回もコメントした様に「大きいからとか、リンパ節に転移があるから」などという「本来あるまじき理由での術前化学療法」には全く反対の立場です。
 
 術前化学療法自体に反対な訳ではありません。
 「小さくして温存」という目的であればいいのです。(最初から全摘ありき、では全く無意味です)
 
「ルミナールタイプになると思うのですが、しこりの大きさと、リンパ節転移のある事から(細胞診で2個採った内の1つ陽性)どちらにせよ抗がん剤治療と放射線治療は必須と考えて良いですか?」
⇒仮に「ルミナールA]であれば「リンパ節転移3個以内」であれば、「抗がん剤が必須」とは思いません。
○質問者は(なかば自虐的に)「自分は、こんなにも…」的な質問をぶつけてきていますが(不安な気持ちは解りますが…)私が、(それに対して)「期待通りの回答」をすることはないでしょう。
 誤解しないで欲しいのですが
 乳癌は「急速に大きくなることはない」し、「急速にリンパ節に拡がる」こともなく、「そう簡単には遠隔転移はおこさない」ものなのです。
 私は経験的に、そのような実感をもっていますし、それを変える必要も感じません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

先日は丁寧にお答えいただきありがとうございました。
また質問なのですが、手術先行を申し出た所、しこりが大きく胸の半分位が腫瘍のため、このまま手術すると植皮が必要だと言われました。
かなり傷痕も大きくなるとの事。
なので術前化学療法で小さくしてから全摘をすすめられました。
術前化学療法6ヶ月(EC?パクリタキセル)?手術?
放射線治療+ホルモン療法とのことです。
ホルモン陽性
Her2陰性
硬癌
グレード3
ki67の数値は分かっておりません。
リンパ節転移…画像上では一つ以上の事からルミナールタイプだが、(若いのでBの可能性が高い)AでもBでも化学療法はした方が良いとの事でした。
しこりが大きすぎると植皮が必要な時もありますか?
つまりこれは今の時点で手術不可能という事でしょうか。
ルミナールAかBかはっきり判明しておりませんが、術前化学療法は必要ですか?
手術までの6ヶ月間、不安です。
宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「また質問なのですが、手術先行を申し出た所、しこりが大きく胸の半分位が腫瘍のため、このまま手術すると植皮が必要だと言われました。」
⇒実際には「腫瘍がいくら大きくても」乳腺は全切除すれば手術の支障にはなりません。
 ただ、皮膚自体が(腫瘍の影響で)肥厚したり発赤したりしていれば、その部分の皮膚を取らなければなりません。
 「皮膚の切除範囲が大きい」と、「乳腺を全摘出」した後に皮膚を閉じれなくなってしまいます。
 ○担当医は「その事を言っている」のでしょうか?
 質問者は自分の皮膚を良くみてください。
 「皮膚に変化」がでていますか?
 
「しこりが大きすぎると植皮が必要な時もありますか?」
⇒上記コメント通りです。
 大事な事は「しこりが大きくても、植皮とは無関係」であることです。
 あくまでも「皮膚に(発赤や浮腫性の)変化が有る場合には、(その部分の皮膚を大きく切除する必要が生じるため)皮膚が足りなくなる=植皮が必要」となるのです。
 
「つまりこれは今の時点で手術不可能という事でしょうか。」
⇒もしも「皮膚変化が広い場合」には、そういうこととなります。
 実際どうですか?
 質問者は自分で見てみてください。
 
「ルミナールAかBかはっきり判明しておりませんが、術前化学療法は必要ですか?」
⇒再三コメントしているように…
 「皮膚所見」姿第です。
 ♯「腫瘍の大きさは無関係」なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

お忙しい中お答えいただきありがとうございます。
皮膚ですが、色が赤くなっているという事はありません。
皮膚の変化というのか、もう片方と比べるとしこりの部分が少し盛り上がっている?ように感じます。
全体的に大きくなったイメージです。
腫瘍が皮膚近くに接しているため、皮膚を大きく切除しなければならない
⇒そのため植皮が必要という考え方で良いですか?
これは触診と画像上で判断出来る事なのでしょうか?
皮膚から腫瘍が顔を出している方は手術先行
⇒植皮を行っているのですか?
かなりの、大きな傷跡さえ覚悟すれば手術先行でもいけるのでしょうか…
また悲観的な表現になってしまいますが、現在植皮が必要な程、皮膚に接近しているとなると、これがいつ顔を出してくるのか…しこりを自覚してからまだ間もないのに、その間でそこまでなってしまうのかと思うと、不安で仕方ありません。
術前化学療法をした場合、抗がん剤治療中に顔を出してくる可能性もありますか?
また、先生がよく言われている「腫瘍径は最大のリスク要因」という事を考えると、私の腫瘍径6センチを超えている場合の再発率など分かりましたら教えていただきたいです。
・T3N1M0
・ホルモン陽性(どちらも90%)
・Her2陰性
・リンパ節 画像上確認できるのは1つ
・硬癌
・グレード3
・ki67不明
長文申し訳ありません。
宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「皮膚ですが、色が赤くなっているという事はありません。皮膚の変化というのか、もう片方と比べるとしこりの部分が少し盛り上がっている?ように感じます。全体的に大きくなったイメージ」
⇒これであれば、「担当医の判断は誤り」と言えます。
 皮膚に所見が無ければ、「乳腺内の腫瘍が幾ら大きくても」手術には全く問題無です。
 
「腫瘍が皮膚近くに接しているため、皮膚を大きく切除しなければならない⇒そのため植皮が必要という考え方で良いですか?」
⇒おおよそ、その通りです。
 皮膚が「赤くなっている=その部分の皮膚自体に癌細胞が存在している可能性を考慮=その範囲の皮膚も手術時に切除が必要=その範囲が広すぎると皮膚が足りなくなる=植皮が必要」ということです。
「これは触診と画像上で判断出来る事なのでしょうか?」
⇒無論、それで判断します。
 
「皮膚から腫瘍が顔を出している方は手術先行⇒植皮を行っているのですか?」
⇒腫瘍が顔を出していても、その範囲の皮膚を切除しても(皮膚が足りなくない範囲であれば)植皮は行いません。
 もしも「顔を出している範囲が広い=そこまで皮膚を取りきると皮膚が足りなくなる」場合には、手術先行⇒植皮ではなく、それこそ「手術不能乳癌」として術前抗がん剤の適応となるのです。
 
「かなりの、大きな傷跡さえ覚悟すれば手術先行でもいけるのでしょうか…」
⇒皮膚が足りなくならない範囲であれば、手術先行できます。
 
「また悲観的な表現になってしまいますが、現在植皮が必要な程、皮膚に接近している」
⇒皮膚に発赤が無ければ、そんな状況ではないと思います。
 担当医は単に「術前抗がん剤を勧める理由」にしているだけではないかと思います。
 
「術前化学療法をした場合、抗がん剤治療中に顔を出してくる可能性もありますか?」
⇒術前化学療法が効果が無いと仮定しても、「そう簡単には、腫瘍が顔を出す事はありません」
 相当な時間がかかることは間違いありません。
 
「私の腫瘍径6センチを超えている場合の再発率など分かりましたら教えていただきたいです。」
⇒実際に手術をしてからではないと解りません。
 治療が進んだら、再度相談してください。