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乳房温存手術後の抗がん剤治療について

[管理番号:772]
性別:女性
年齢:44歳
初めまして。
今年の4月に乳がんと診断されました。
がんの大きさは、12mmとの事で温存療法を選択しその後放射線治療とホルモン剤治療をする予定でした。先日、治療計画が出て、TC療法を勧められました。
(リンパ節転移はありませんでした)
【質問内容】
勧められるままTC療法を受け入れるべきでしょうか。
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術後の顕微鏡検査の結果が返ってきて
??浸潤がんでステージは1
??ホルモンタイプは1+ネガティブ
??皮膚にがん細胞が露出している→放射線治療で対応
??増殖スピードの早い細胞が20%以上
※その病院は、20%以上でTC療法を勧めているとの事です。最終的に何%かは不明です。
と言われ、先述の通りTC療法を治療計画として勧められました。
抗がん剤は
①グラニセトロン 1mgバッグ50ml
 デキサート 16.5mg
②ドセタキセル(75mg/m2)
 生理食塩水 250ml
③エンドキサン(600mg/m2)
 生理食塩水 100mg
です。
自分自身、もともと体力がなく、抗がん剤治療によるベネフィットより、副作用によるダメージの方が大きいのではないかと思い迷っています。
主治医も、セカンドオピニオンを受けてもいいと言ってくれています。
どうぞ、アドバイスをよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 病理結果の表記が「解り難い」のですが、「その病院は、20%以上でTC療法を勧めている」という事実から、類推すると
pT1c(12mm), pN0, luminal typeであることがわかります。

回答

「??増殖スピードの早い細胞が20%以上」
⇒これは間違いなく「Ki67≧20%」という意味です。
 「最終的に何%かは不明」ということからも、病理側でも「それ以上の評価はしない」方針なのでしょう。
 
「その病院は、20%以上でTC療法を勧めている」
⇒Ki67のカットオフ値は「各病院により異なっている」のが現状です。
 
「勧められるままTC療法を受け入れるべきでしょうか。」
⇒質問者がluminal AかBかは不明(一般にluminal Bは化学療法の適応と言われています)ですが、
 「pT1c(12mm), pN0」という早期乳癌でホルモン療法が効くタイプ(ホルモンタイプは1+ネガティブとはER+, PR+, HER2-の意味ですよね?)なのだから、
 自分に無理してまでも「化学療法を受ける必要はありません」
 
「ホルモン療法」の話はされているのでしょうか?
 
 

 

質問者様から 【質問2 乳房温存手術後の抗がん剤治療について】

田澤先生
本当に早くにご回答いただきありがとうございました。いろいろ不安ばかり募る中具体的なアドバイスをいただけ、心が落ち着いてきました。
主治医からの説明そのままを記述させていただいたのですが医学的な言葉が使われなかったためわかりづらい言い方になってしまい申し訳ありませんでした。
ホルモン剤についても具体的な薬剤の名前は説明ありませんでしたが
閉経前なので月経をとめる薬を5年間服用し、最初の2年間は注射も併用する予定とのことでした。
ルミナールBかどうかの説明もなかったのですが増殖スピードが早い細胞が20%以上とのことでしたのタイプBなのではないかと思います。
その場合も抗がん剤治療ではなく放射線治療とホルモン療法で大丈夫でしょうか。
お忙しいところ何度もすみませんが田澤先生のご見解を伺えれば心強いです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 本日の内容は「前回のメールで推測した」内容を裏付けるものでした。

回答

「月経をとめる薬を5年間服用し、最初の2年間は注射も併用する予定」
⇒これは、質問者が勘違いしています。
 「5年間服用する薬剤」はタモキシフェンですが、これは「月経を止める作用はありません」
 「2年間の注射(皮下)」はLH-RHagonist(ゾラデックスもしくはリュープリン)であり、これが「月経を止めます」
 
「その場合も抗がん剤治療ではなく放射線治療とホルモン療法で大丈夫でしょうか」
⇒質問者の腫瘍の「(核)グレードが不明」なのですが、
 化学療法による「上乗せ」は『4-7%』程度です。
 この数字を「どう見るか?」です。
 ○私なら「質問者が化学療法による副作用を懸念している状況では」無理に勧めません。
 
 

 

質問者様から 【質問3 乳房温存手術後の抗がん剤治療について】

この度もすぐにご回答いただけ、本当にありがとうございました。
抗がん剤治療が4-7%の上乗せ効果という具体的な数字がわかり、判断の一つとさせて
いただけそうです。
ただ、この数字はグレードが低かったらということでしょうか。
また、抗がん剤治療についての他の質問者様からの先生のご回答も大変参考になりました。
その方とも比較させていただくと私の場合、主治医からの病理検査の結果の説明が
グレードなどという言葉も出てきませんでしたし、それで抗がん剤治療を受けるかどうか自分で決めてくださいと言われたのですが判断材料があまりなく決められませんでした。もう少し具体的な検査結果を確認したほうがよいでしょうか。
毎日不安が多い中、田澤先生の「早期でホルモン療法が効くタイプなら無理に抗がん剤治療を勧めません」という言葉が本当に心強く前向きな気持ちになれました。
今後ともよろしくお願いします。
ありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは田澤です。
「抗がん剤治療が4-7%の上乗せ効果という具体的な数字」「ただ、この数字はグレードが低かったらということでしょうか」
⇒これはグレードが1の場合は4%、2の場合は7%という数字です。
 
「もう少し具体的な検査結果を確認したほうがよいでしょうか」
⇒病理レポートをもらうべきです。
 QandAでの質問者の多くの方が「レポートを貰えない」のは何故なのでしょうか?
 当然の権利です。
 是非、「病理レポート」をもらってください。