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石灰化・多発嚢胞・濃縮嚢胞・乳管拡張

[管理番号:1130]
性別:女性
年齢:43歳
まず、このような患者本位のQAを運営していただきありがとうございます。
ご回答いただけましたら幸いですが、重要度や緊急度の高い質問をどうぞ優先なさっ
てください。
妊娠、出産経験なし。
自身の手で強く乳房をはさんだところ、乳頭から分泌あり。
左:3カ所。透明や黄色っぽい。
右:2カ所?(ほぼ1カ所のみ)色は左同様。
乳腺クリニックで視触診、トモシンセス、エコー受検。(過去、検診受検なし)
左乳房撮影時、割と多量の白っぽい分泌あり。
検査結果
視触診は初見なし。
小さな石灰化あり。良性所見。(左右、個数は聞き忘れ)
左右とも多発嚢胞あり。
一部、濃縮嚢胞。
乳管拡張あり。
心配ありません。6か月後、再度エコーをしましょうとのことで終了。
1 こちらのQAで両側性多孔性分泌は問題なしとのこと拝見しましたが、分泌以外に
も複数の所見がある場合も同じでしょうか。これは乳腺症でしょうか。
2 6か月後のエコー検査は妥当でしょうか。(組織診をしていないので、100%良性
とは診断できないと思いますが、いわゆる良性所見であればフォローなし、1年毎の
定期検査が妥当かなと。)
3 Q2に係わりますが、他の積極的な検査は不要でしょうか。(乳管造影ができる施
設でした。)
4 乳腺外科初受診で、終始、うなづくのみで終わりました。勉強不足です。乳腺外
科受診時には、なにをポイントに聴くべき(質問すべき)なのでしょうか。次回の参
考にさせてください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「良性石灰化(おそらく乳腺症に伴うものと推定)」「多発のう胞」「乳管拡張」
「両側多孔性分泌」全て「乳腺症で説明可能」な所見です。

回答

「こちらのQAで両側性多孔性分泌は問題なしとのこと拝見しましたが、分泌以外にも
複数の所見がある場合も同じでしょうか。これは乳腺症でしょうか」
⇒その通りです。
 「全てが乳腺症」として矛盾しない所見です。
 
「6か月後のエコー検査は妥当でしょうか。(組織診をしていないので、100%良性
とは診断できないと思いますが、いわゆる良性所見であればフォローなし、1年毎の
定期検査が妥当かなと。)」
⇒質問者の言う通りだと思います。
 完全な「良性所見」です。
 診断に自信があれば、「1年後、一般検診受けてください」とするべきです。
 
「Q2に係わりますが、他の積極的な検査は不要でしょうか。(乳管造影ができる施設
でした。)」
⇒ターゲットがありません。
 
 
「乳頭分泌」も多孔性であり、適応とはなりません(全く無駄です)
「嚢胞や濃縮嚢胞」と判断できるものも「組織検査する必要」ありません。
 ♯一番危険なのは「一見、乳腺症と間違える硬い結節」です。
 これが「どれほどの誤診」となっているか、「このQandAを紐解く」だけでわか
ります。
 その場合には「組織検査してもらう」ことが「転ばぬ先の杖」となります。
 
「乳腺外科受診時には、なにをポイントに聴くべき(質問すべき)なのでしょうか」
⇒難しい質問です。
 一番大事なのは「良悪の鑑別ができずに(無駄に)フォローとなっている」所見が
ないか?です。
 全てが良性と断定できる所見なのか?
 それで例えば「小さいから(癌かもしれないけれど)様子を見ましょう」とか、
 今の時点では「乳腺症でいいと思うから、様子を見ましょう」で納得しないことで
す。
 「医師側」からすれば、「いよいよ確実になってから診断すればいいさ」でも
 「患者さん側」からすれば、「もしも癌だったら、できるだけ小さい方が間違いな
く根治性が上がる」のです。
 
★良性と断定できないものがあるのであれば、「診断できる方法が無いのか?」聞く
事です。
 「早期発見で絶大な利益を得る」のは「医師ではなく、患者さん本人」なのです。
 このギャップを知っておく事が重要です。