Site Overlay

対側の不安

[管理番号:3172]
性別:女性
年齢:47歳
2月に検診で左側乳ガンが発覚し、3月に全摘、4月に病理が確定し、5月からTC療法を開始し、現在3回目が終了したところです。
病理では、ホルモン受容体強陽性、her2?、腫瘍径2.1センチ、ki67-18%、センチネルリンパ節に転移一つ(他に転移なし)、level2まで郭清して現在に至ります。
子供も4人おり、一番下はまだ小学三年生で、乳ガンが確定してから不安で散々情報を探しましたが、鬱を発症しそうになり、こちらのネットを頼りになんとか安定を取り戻させて頂きました。
どのようなlevelの質問にも誠意を持って回答されるお姿に、このような場がありましたことを、心から感謝して今回の質問をさせて頂きます。
これまでのQandoAを勉強させて頂き、私は先生が仰る“化学療法の適応のほぼないルミナールA"だと思います。
また、一期再建も強く希望していたのですが、とにかく早くトラブルなく切除手術とまた1%でも上乗せがあるなら化学療法を、と心配する主人の不安を少しでも減らせるなら、と手術時期が延びる一期再建を諦め、副作用も受け入れることにしました。
術前のMRIの画像から、はじめは部分切除も視野に入れていましたが、娘結節が二つ、また他にもパラパラした微小な広がりが乳房内に広範囲にあり、全摘は納得しています。
ただ、はじめは再発の心配がなくなった頃、いつかは二期再建、と考えて心を落ち着かせていましたが、こちらの情報から、もし運悪く完治しない群にいたとしても、私は早期の再発より晩期の再発の可能性が高そうなので、化学療法が終了し、ホルモン療法が落ち着いたら二期再建にむかって動き出していいのではないかと考えるようになりました。
 
家族全員、銭湯が大好きで休日はよく通いましたが、私のことがわかってから誰も銭湯に行きたいと言わなくなりました。
命の心配に比べれば小さなこと、と理解してくれているのだとは思いますが、出来ればまだ幼い娘が大きくなる前にまた、手をつないで連れて行ってやりたい。
、、、ただ、どうしても気になることがあり、先生のご意見を伺いたく、貴重な質問枠を取らせて頂きました。
術前MRIで、術側ではない、右乳房にもパラパラした光るものが散在していました。
主治医は光が集積しているあたりを指差しながら「なにかわからないけど、たしかに増殖してるな、、」「標的がエコーではわからないので、細胞診?はできない」「ガンでないとはいえない」
また、左術側の画像より、広範囲の右と同じ光る所見については、主要腫瘍がガンと確定している為、術後病理より「全摘でよかった。パラパラしていたのは非浸潤がんで、温存にしていたら取り残しになっていました」
といわれました。
それでは、素人考えでは、右もけんさしなくていいの?!と思いますが、一度標的にするところがないので無理といわれ、それ以来、一度も対側の話も先生からなく、言い出せないまま今になってしまいました。
希望している再建は、自家組織の方法なので、もしも両側であるなら考えないといけない気がします。
このまま再建にむかっていいものでしょうか。
それとも、両側の診断が出ていない状態でも、左二期再建と同時に右乳房予防切除、一期再建は可能でしょうか。
予防切除でも、ガン細胞が出た場合には、保険適応はされるのでしょうか。
もう一つ、お尋ねします。
もしもみぎも今見えているものが非浸潤がん
の初期だった場合、今回のTC療法に反応してくれる可能性はあるのでしょうか。
これから再建に動いたとしても、実施時期は一二年は後になると思います。
先生の推奨される、エコーでは確認できなくても、もしその間にMRIを撮る機会があれば、この右側のわからないし検査もできないと言われた増殖細胞が今回の化学療法に反応して減っていたなら、ほぼ確定と思っていいのでしょうか。
それとも非浸潤がんには関係ないのでやはり細胞診などができるようになるまでわからないのでしょうか。
拙い文章にくわえ、主治医に確認すれば良いようなことですが、とっても外科!という先生で、詳しい説明も一応してくださるのですが、とても面倒そうだったので、診察室ではいつも何も言い出せず帰ってきてしまいます。
本当に申し訳ありませんが、切にご回答いただけることとお待ちしています。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
早期乳癌で(2次再建を前提として)全摘手術をされたとのこと。
いくつか「勘違い」されていることがあるようです。
「私は早期の再発より晩期の再発の可能性が高そうなので、化学療法が終了し、ホルモン療法が落ち着いたら二期再建にむかって動き出していい」
⇒「局所再発」と「遠隔転移再発」を混同しているようです。
 「ルミナールタイプだから(大人しいから)晩期再発」というのは「あくまでも遠隔転移再発」に対してのものです。
 ○乳房切除しているのだから「局所再発はほぼゼロ」です。
  2次再建は「抗ガン剤は終了したら、いつでもOK」です。
 
「主治医は光が集積しているあたりを指差しながら「なにかわからないけど、たしかに増殖してるな、、」
「標的がエコーではわからないので、細胞診?はできない」
「ガンでないとはいえない」
⇒MRIは「乳腺症」でも「線維腺腫」でも「造影増強」されるので「診断に用いることはできない」のです(あくまでも「参考程度」としましょう)
 
 
「それでは、素人考えでは、右もけんさしなくていいの?!と思いますが、一度標的にするところがないので無理といわれ、それ以来、一度も対側の話も先生からなく、言い出せないまま今になってしまいました。」
⇒化学療法が終了すると、(ホルモン療法を処方しながら、処方日数である3カ月毎の)定期通院があります。
 その際に「毎回、対側の超音波をしてもらう」ことでいいのです。
 
「このまま再建にむかっていいものでしょうか。」
⇒その通りです。
 
「それとも、両側の診断が出ていない状態でも、左二期再建と同時に右乳房予防切除、一期再建は可能でしょうか。」「予防切除でも、ガン細胞が出た場合には、保険適応はされるのでしょうか。」
⇒不可能です。
 予防切除は「保険適応外」です。
 MRIの所見だけで「癌かもしれない」というのは「過剰反応」です。
 
「MRIを撮る機会があれば、この右側のわからないし検査もできないと言われた増殖細胞が今回の化学療法に反応して減っていたなら、ほぼ確定と思っていいのでしょうか。」
⇒違います。
 「乳腺症」なども(化学療法とは無関係に)ホルモンバランスの影響をうけて「大きくなったり、小さくなったり」します。
 
「それとも非浸潤がんには関係ないのでやはり細胞診などができるようになるまでわからないのでしょうか。」
⇒MRI所見に過剰反応はしないようにしましょう。
 定期的な超音波検査で「異常所見があれば」組織検査すればいいのです。