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手術後治療

[管理番号:2200]
性別:女性
年齢:43歳
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こんにちは。
先日は早急のお返事ありがとうございました。
おかげで前向きに手術にのぞむことができました。
腫瘍が下側にあり、中心から乳頭の方へ伸びている(小葉がん)ので全摘出に決めました。
昨日、無事に手術も終わり、痛みもあまりありません。
後悔もしていません。
でも、7ミリの腫瘍でエコーやMRIで大丈夫と言われていたのに、センチネルリンパ節生検で3個のうち1個に転移があったため、全部?とったといわれました。
病理検査中です。
肉眼的にも大丈夫だと思ってたけど…小葉がんはリンパにとびやすいから…と言われました。
ホルモン受容体は共に陽 性でHER2はfish検査後陰性です。
先生の膨大な経験から、センチネルリンパ節生検で1個でも転移していたらやっぱりもっと数は増えるのでしょうか?
1個のままならホルモン内服治療と生理を止める注射をしましょうと。
3個以上あったらプラス抗がん剤と言われました。
先生も同じお考えですか?抗がん剤の場合の種類、回数、副作用の度合なども教えて下さい。
あと、放射線は必要ないのですか?
3月4月は子供の学校行事が続くので心配です。
手術が終わったばかりですがちょっと不安です。
先生に相談することで前向きになれます。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「7ミリの腫瘍でエコーやMRIで大丈夫と言われていたのに、センチネルリンパ節生検で3個のうち1個に転移があったため、全部?とった」
⇒「腋窩郭清」をしたということです。
 
「センチネルリンパ節生検で1個でも転移していたらやっぱりもっと数は増えるのでしょうか?」
⇒「本物のセンチネルリンパ節が転移陽性」でしたが、(残りの)「2個のリンパ節は転移陰性」だったわけですから「大丈夫」です。
 
「1個のままならホルモン内服治療と生理を止める注射をしましょうと。」
⇒(私であれば)タモキシフェン(内服治療)単剤とします 。
 SOFT試験ではLH-RHagonist(生理を止める注射)の併用が有効なのは
 ①35歳未満
 ②化学療法後に「月経再開」したもの
 だけなのです。
「3個以上あったらプラス抗がん剤と言われました。先生も同じお考えですか?」
⇒違います。
 私が「ルミナールAに抗がん剤を行う条件は「リンパ節転移4個以上」です。
 
「抗がん剤の場合の種類、回数、副作用の度合なども教えて下さい。」
⇒TC療法、4回、副作用は軽度です。
 
「放射線は必要ないのですか?」
⇒「乳房切除術後の放射線照射の条件」も「リンパ節転移4個以上」(乳癌診療 ガイドライン 推奨度A)となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

こんにちは。
いつもありがとうございます。
病理結果がでましたので相談させて下さい。
とても悩んでいます。
よろしくお願いします。
PT1N1M0 StageⅡa
小葉癌 2cm弱
リンパ管侵襲+
静脈管侵襲+
リンパ節転移1/19
Ki67 15~20%
ホルモンは共に陽性
HER2タンパクfish後陰性
この結果からルミナールAですか?Bですか?
手術前は大人しい7㎜の小葉癌だと思っていたのに、ステージⅠからⅡaになり不安です。
主治医からは、静脈管侵襲+とKi67値がグレーで少し気になると言われました。
ホルモン治療単独かプラス抗がん剤(TC法3週間おき4回)かどちらでもよいと言われました。
相談したら、私レベルの患者さんで半々くらいとのこと。
何に重きをおくかと…脱毛が絶対嫌だと言う人は単独だし、少しでも(5%くらいとのこと)低リスクをと思う人はプラス抗がん剤を選択されていると。
あと、オンコタイプの話もして下さいましたが費用や中間リスクがあるということを考えると踏み切れません。
私は少しでも低リスクと思って全摘出しました。
だからそこに重きをおくとしたらプラス抗がん剤をしようかと悩んでいます。
脱毛は避けられないけど副作用は比較的軽く
白血球減少の予防薬も注射するからその点は大丈夫と言われました。
友達は白血球が減少して熱がでて困っていましたが予防薬という方法もあるのですか?
田澤先生なら私にどのような治療をまず進めて下さいますか?そしてプラス抗がん剤をしようかと悩んでいたら後押しして下さいますか?
私はかなり静脈管侵入襲が気になって仕方ありません。
癌細胞が体中巡っている悪いイメージしかわきません…遠隔転移の可能性が大きくなるのですか?
あと、私は5年前からバセドウ病でメルカゾールを服用中です。
今後の治療に影響しますか?
服用して大丈夫ですか。
お忙しい中、たくさん質問してしまあ申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
pT1c, pN1, luminal type(Ki67=15-20%)
「この結果からルミナールAですか?Bですか?」
⇒Ki67=15-20%の解釈ですが…
 確かに担当医の言う様にSt. Gallen 2015では「10-30%がグレーゾーン」となっています。
 ただし、実際のvoting(専門家の投票結果)では、その境界は「20-30%」となっているのです。
 つまり、本当のグレーゾーンは「20-30%になる」と私は認識していますので、その意味で質問者は「ルミナールA」と解釈します。
 ♯ちなみに核グレードの記載はありませんが、どうなのでしょう?
 もしも「核グレード1なら(文句無しで)ルミナールA」とすべきだと思います。
 
「主治医からは、静脈管侵襲+とKi67値がグレーで少し気になると言われました。」
⇒私なら、そのどちらも気にしません。
 
「ホルモン治療単独かプラス抗がん剤(TC法3週間おき4回)かどちらでもよいと言われました。」
⇒「ホルモン療法単剤」>「ホルモン療法+TC」と思います。
 
「予防薬という方法もあるのですか?」
⇒ペグフィルグラスチム(ジーラスタ)です。
 これは唯一「骨髄抑制に対する予防投与の有効性が確認されている(保険で認められている)」薬剤です。
 ちなみに当院でTC行っている患者さんは皆さんペグフィルグラスチムを投与していますが、「発熱性好中球減少症はありません」
 
「田澤先生なら私にどのような治療をまず進めて下さいますか?」
⇒「ルミナールAでリンパ節転移1個」なので、「ホルモン療法単剤」の話をします。
 ただし、「核グレード3」の場合には「化学療法による上乗せが10%」となるので、(ご本人とその点について)お話します。
 
「私はかなり静脈管侵入襲が気になって仕方ありません。癌細胞が体中巡っている悪いイメージしかわきません…遠隔転移の可能性が大きくなるのですか?」
⇒エビデンスがありません。
 参考程度と考えてください。
  
「あと、私は5年前からバセドウ病でメルカゾールを服用中です。今後の治療に影響しますか?服用して大丈夫ですか」
⇒コントロール良好ならば、問題ありません。