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手術までの不安

[管理番号:4055]
性別:女性
年齢:28歳
1ヶ月前に右乳房外側のしこりに気づき受診。
結果、浸潤癌ホルモン陽性、HER2陰性、1~1.5cmのステージI、多少のリンパの腫れがCTであるが、多分問題ないでしょう。
と診断されました。
あと6日後が手術予定ですが、右乳房の内側にズキズキした痛みがあることがあります。
これが乳がんである可能性は高いですか?
初診の時に、しこりがあると訴えた箇所以外のエコーは
さぁ~っと流すように見ただけなので不安です。
右脚太もものしびれをこの3年ほど感じていますが、
今の病状で骨転移はあり得ますか?
太もものしびれも主治医に訴えましたが、
CT画像をさぁ~っと見て何もないけどね?とのこと。
CTやエコー画像は流すように見るだけで診断できるものですか?
手術前にもう一度受診してもいいものでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
皆さんが、手術までにどんなに不安をかかえているかは肌で感じてはいます。
ただ、手術まであと6日であれば「余計なことは考えずに」体調だけ気をつけて過ごしましょう。
「右乳房の内側にズキズキした痛みがあることがあります。
これが乳がんである可能性は高いですか?」

⇒文面から推測するに…
 温存手術ですよね?
 それであれば必ず「MRIを撮影している筈」です。
 MRIでも確認しているのだから大丈夫です。
「右脚太もものしびれをこの3年ほど感じていますが、今の病状で骨転移はあり得ますか?」
⇒ありません。
「CTやエコー画像は流すように見るだけで診断できるものですか?」
⇒エコーはじっくり見るべきですが(ただ、この場合にはMRIで確認している筈だから問題ありません)
 CTは「さーと」でも解ります。
「手術前にもう一度受診してもいいものでしょうか?」
⇒不要です。
 入院してから「手術前の超音波」する筈です。
 その際に確認してもらいましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は私の質問に回答してくださり、ありがとうございました。
先生のおかげで、前を向いて手術に挑むことができました。
今回は術後の病理検査の結果について、先生の見解を聞きたいと思い、質問させて頂きました。
術前検査は、マンモ、エコー、細い針の細胞診、太い針の細胞診、乳房MRI、首から脚の付け根までのCT。
その結果、右乳房に1~1.5cmの浸潤癌、ホルモン陽性、HER2陰性と診断。
温存手術、センチネルリンパ節生検。
術後の病理検査で、良性の腫瘍と診断。
今後悪性に変わることのない腫瘍だったとのこと。
術前と術後の病理検査の先生が違う。
術後の先生は、他の病理検査の先生にもみてもらい判断した。
主治医はホルモン治療を2年程するか、半年ごとの検査で経過観察するかと言っています。
以下質問です。
術前に陽性だったのに、術後に陰性のケースに先生は出会ったことがありますか?
なぜ違う結果が出てしまうのでしょうか?
良性腫瘍なのに、術前検査でホルモン陽性と出たのはなぜですか?
私が先生の患者なら、今後どのように治療しますか?
術後9日目ですが、腕を上げると脇が引っ張られかなり痛み、若干腕も腫れています。
リハビリを続ければ痛みなく上げれるようになりますか?
また、その期間の目安はありますか?
長文になりましたが、お答え頂ければ幸いです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
これは少々驚く内容です。
術前診断が誤りだったということですか?
○癌で無かったことは「文句なしの幸運」であることは間違いありません。それは大いに喜びましょう。
 ただし、(癌では無かったのに)余計な治療をされてしまったことは残念なことです。
更に、気になるのは「そもそも早期である(結果、癌では無かったので尚更)のに、
28歳の女性にCTをルーチンとして行うセンス」です。
今後、妊娠出産する予定があるかどうかは勿論解りませんが、医療者としての配慮は必要なことです。
「主治医はホルモン治療を2年程するか、半年ごとの検査で経過観察するかと言っています」
⇒(寝不足がちな)私の目のせいですよね?
 まさか、「まっとうな乳腺外科医が、良性疾患とわかってもホルモン療法を勧めている」ように見えるのは、私の「疲れ目のせい」ですよね?
 ○もしも本当に「良性なのにホルモン療法を勧めているとしたら、その医師の医師免許証を取り上げなくてはならない」ことです。
「術前に陽性だったのに、術後に陰性のケースに先生は出会ったことがありますか?」
⇒ありえないことです。(そしてあってはいけないことです)
 (10年以上前の)「細胞診しか無かった時代」には残念ながらありました。(私の患者さんには幸いありませんでしたが、かなり昔ですが、身近に2例ほどみています。)
「なぜ違う結果が出てしまうのでしょうか?」
⇒(そもそも)微妙な病理所見だったのだとは思いますが…
 きちんと(針生検で採取した)病変を手術で摘出しているのか?を含めて、担当医に確認すべきです。
「良性腫瘍なのに、術前検査でホルモン陽性と出たのはなぜですか?」
⇒質問者は大きな勘違いをしています。
 「正常乳腺組織は、当然ホルモン陽性」です。
 ♯乳腺組織が、(遺伝子変異して)癌細胞となっていく段階で「ホルモン感受性の性質を残している場合にはホルモン感受性陽性乳癌(ルミナール乳癌)」となるし、
「ホルモン感受性の性質を失うと、ホルモン感受性陰性乳癌(非ルミナール)乳癌」となるのです。
「私が先生の患者なら、今後どのように治療しますか?」
⇒良性なのに、治療するなど言語道断です。
 1000%無治療です。
「リハビリを続ければ痛みなく上げれるようになりますか?」
「また、その期間の目安はありますか?」

⇒これは執刀医に聞く事です。
 手術精度で随分異なる領域だからです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつも親身に答えてくださりありがとうございます。
3度目ですが、質問に答えて頂けると嬉しいです。
その後、癌ではなかったと言われても納得できず、病理診断のセカンドオピニオンも受け、病理医に詳しく説明してもらい、私の腫瘍は硬化性腺症であったことを理解しました。
嬉しいことのはずですが、正直辛いです。
私の主治医は、今後私に必要なことは半年に一回の検診と言いました。
硬化性腺症を腫瘍部分以外も大きく切除しているのに、半年に一回の検診は必要なのでしょうか?
もちろん私が乳がんにならない保証はないので、検診するに越したことはないと思いますが、年齢も考えて半年に一回本当に必要なのか疑問です。
以下質問です。
1.私に必要な検診頻度はどのくらいでしょうか?
2.今後の検診は、気持ちとしては転院したいですが、今後もし乳がんになった場合を考えると、切除範囲など分かっている今の主治医の方がいいのでしょうか?
3.術後は力を使うことは避けるべきとネットで知りましたが、避けるべき期間の目安はありますか?(一般的にで結構です。
温存手術とセンチネルリンパ節生検の場合)
最後に、色々な後悔があるので先生の診断を受けさせて下さい。
4.下の検査結果が返ってきたら先生は何と診断しますか?
3本の右乳腺針生検組織材料です。
組織学的には、量の多少の不同はありますが、いずれも腫瘍組織がみられます。
腫瘍は乳腺組織に胞巣状、策状配列を示すinvasive ductal
carcinomaが浸潤しています。
乳頭腺管caです。
部分的には硬caと充実
腺管ca様な像がみられます。
核異型度:Nuclear grade2(核異型Score2+ 核分裂像の数Score2=4)
Malignancy!
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
結局、硬化性腺症だったということですね。
術前針生検の方は見なおしたのでしょうか?
「1.私に必要な検診頻度はどのくらいでしょうか?」
⇒ご本人のおっしゃるように…
 1年に1回です。
「2.今後の検診は、気持ちとしては転院したいですが、今後もし乳がんになった場合を考えると、切除範囲など分かっている今の主治医の方がいいのでしょうか?」
⇒地理的な利便性などの問題があるので一概には言えません。
 ただ「28歳の早期癌(という診断だった)の女性」にルーティンでCTを撮影するセンスは私なら耐えられません。
「3.術後は力を使うことは避けるべきとネットで知りましたが、避けるべき期間の目安はありますか?(一般的にで結構です。温存手術とセンチネルリンパ節生検の場合)」
⇒制限はありません(きちんとしたセンチネルリンパ節生検であれば)
「4.下の検査結果が返ってきたら先生は何と診断しますか?」
⇒画像所見が無いので、(本来は総合的に診断すべきなので)正確では無いですが…
 針生検の所見には「迷いは無い」ように見えるので「乳癌と診断」する可能性が高いと思います。
3本の右乳腺針生検組織材料です。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生。
何度もすみません。
自分の体に起きたことを誤りなく理解したいと思っています。
長文になりますが、質問に答えて頂けると幸いです。
受診しないと答えられない様であれば言ってください。
私は前回、硬化性腺症でしたと言いましたが、針生検の時点では浸潤癌と診断されたので、なぜ、浸潤していると捉えられたのか、の説明をA病院の病理医さんにして頂きました。
だから、硬化性腺症だと思い込んでいたのですが、病理診断のコピーをもらい、読んでみると違うことも書いてある様に思います。
下記A病院の病理診断
乳管乳頭腫症とアポクリン化生、嚢胞、硬化性腺症、小葉増生症が混在した乳腺症の病巣を認めます。
長径がおよそ1cmで、放射状の形態を示しています。
免疫染色ではCytokeratin5/6が乳管乳頭腫症に陽性です。
Ki-67の陽性率も低く、悪性を積極的に示唆する所見がありません。
術前の針生検で行われたER(70%中等度)、PgR(70%中等度)、HER2(1+)
の染色結果が同様であることを、切除検体でも行い、確認しますが、保険点数請求はしません。
針生検の所見と照合するために、スライドガラス標本の借用をお願いします。
充実性から篩状の構築を示す大小の乳管内病変を認めます。
他院での病理診断報告では浸潤癌と診断されていましたが、胞巣の辺縁に筋上皮が
残存しており胞巣の周囲に基底膜様の好酸性の領域があり、増生している間質が乳腺小葉の固有間質であることから、硬化性腺症と考えます。
充実性胞巣の周辺部に不明瞭な管腔様の裂隙が形成されており、構成細胞の形態が多彩であり、乳頭腫症と考えられます。
アポクリン化生と小葉増生症も認めます。
免疫染色の陽性頻度なども含めて、切除検体と所見が共通しており、切除されたのはこの針生検が採取された病変と考えられます。
B病院の病理診断
Duct papillomatosis of the right breast,partial mastectomy.
針生検でも部分切除でも問題となるのは充実性、ないしは一部篩状様構造を示す上皮の乳管内増殖病変かと思われます。
いずれも乳管内の増生上皮の核クロマチンは淡明で、核形不整と核の大小不同を示し、細胞境界が不明瞭で核や細胞が重なって見られる像は、
良性細胞としての所見です。
良性病変で悪性を示唆する所見は見られません。
以下質問です。
1.A病院とB病院の結果は同じことが書かれていますか?B病院の結果にも偽浸潤?していることが書かれているのでしょうか?
2.乳管乳頭腫症と乳管内乳頭腫は同じものですか?
3.乳管乳頭腫症ががん化することはないが、近くに癌ができることがある。
という私の解釈は合っていますか?だとすれば、私は癌ができる可能性が高いという事ですか?
4.上記の病理診断の場合、治療や手術は必要なのでしょうか?
必要な場合どのような治療と手術が必要なのか教えて下さい。
(田澤先生に質問を書いていて、私は主治医から何も聞かされていないのかな?と思いました。
やはり今後は違う病院を探そうと思います。)
5.田澤先生のような良い先生を見つけるにはどうすれば良いのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「1.A病院とB病院の結果は同じことが書かれていますか?B病院の結果にも偽浸潤?していることが書かれているのでしょうか?」
⇒若干、書き方は異なっていますが…
 共通するのは「乳管乳頭腫症duct papillomatosis」です。
 これが、「充実性、ないしは一部篩状様構造を示す上皮の乳管内増殖病変」として癌との鑑別を要するものでした。
「2.乳管乳頭腫症と乳管内乳頭腫は同じものですか?」
⇒違います。
 乳管内乳頭腫は上皮性「腫瘍」ですが、乳管乳頭腫症は(腫瘍ではなく)あくまでも「乳管上皮の過形成」の範疇で、乳腺症の「部分症」にすぎないのです。
「3.乳管乳頭腫症ががん化することはないが、近くに癌ができることがある。という私の解釈は合っていますか?」
⇒それは「乳管内乳頭腫」のことですね?
「私は癌ができる可能性が高いという事ですか?」
⇒高くありません。
「4.上記の病理診断の場合、治療や手術は必要なのでしょうか?
必要な場合どのような治療と手術が必要なのか教えて下さい。」

⇒良性なのだから…
 治療は不要です。