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乳がんの手術について 部分摘出か全摘出か

[管理番号:3844]
性別:女性
年齢:48歳
田澤先生
はじめまして。
先生に是非以前よりこちらを拝見しており、
先生の的確なご対応に敬服しております。
先日乳がんを宣告され、11/(上旬)に手術が迫っており、
本日医師より部分が、全摘出かどちらかを選択して下さいとのことでした。
1年前シコリに気付き、2ケ所の病院を受診し、針生検もしましたが、ガンがわかりませんでした。
大変ショックを受けております。
今分かっていることは、C領域に28ミリ、rapid washout pattern
硬ガンを考える、周囲に乳管内進展と思われる線状の造影効果が連続しているが、長さは1センチ程にとどまっており、腫瘍範囲は局限しているものと考えると書かれております。
MRI CT検査でリンパ転移なし、実際は手術してみないと分からないとのこと。
告知を受けた病院から(東海地方)大学病院、乳腺センター○○先生に診て頂いています。
告知を受けた病院からまだ生検の追加検査が届いてないとのことでした。
しこりが大きいので全摘出覚悟でしたが、○○先生の初診時、私はボリュームがあるバストで部分でもよいかもとのことでした。
検査後の結果、どちらでもよいとのことで、色んなことを考え頭がパニックになっています。
これだけの情報で申し訳ないのですが、田澤先生のご意見を伺えたらといてもたってもおられずメールさせて頂きました。
来週11/(下旬)にどちらかにするか伝えることになっております。
ご多忙を承知で大変申し訳ないのですが、是非宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
乳房温存術(部分切除)というのは(単発であれば)あとは整容性が基準になります。(十分にマージンをとっても形が保たれるのか?ということです)
これには以下の2点がかかわります。
①乳腺全体に対する「切除乳腺の割合」⇒つまり、同じ3cmの腫瘍でも「乳腺全体のvolumeが100立方センチ」と「乳腺全体のvolumeが300立方センチ」では、「volume
lossが全々違う」ということです。
②乳頭との距離⇒乳腺のvolumeを想像する際に重要なのは「立体的なイメージとして山(富士山のような感じ)」と捉えましょう。
         平面でみると、「腫瘍がどこにあっても切除するvolumeは一緒」に思えるかもしれませんが、
         立体(山のイメージ)で考えると、「頂上付近(実際には乳頭付近)では厚みがあるため、裾野(実際には乳腺の端)に比べ、volume lossは非常に大きくなる」ということです。
「今分かっていることは、C領域に28ミリ、周囲に乳管内進展と思われる線状の造影効果が連続しているが、長さは1センチ程にとどまっており、腫瘍範囲は局限」
⇒要は上記①及び②でどうかということです。
 それは、実際に画像で確認した上で診察しない限り回答は困難なのです。
「しこりが大きいので全摘出覚悟でしたが、○○先生の初診時、私はボリュームがあるバストで部分でもよいかもとのことでした。」
⇒これは上記①について、「同じ28mmでも(相対的に)volume lossが大きくない」ということのようです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生 管理番号3844
お世話になります。
先日は早速ご丁寧な返信を頂きましてありがとうございました。
お礼が遅くなり申し訳ございません。
全摘出か部分摘出を悩みましたが、左乳房温存手術をして先日病理検査結果が出ましたので、
再度ご質問させて頂きたく宜しくお願い致します。
Invasive ductal carcinoma scirrhous carcinoma ,pT2
(2.7cm),f,ly0,v0
Tubular formation 3,Nuclear polimorphism 3,Mitotic
counts2
Nottingham grade 3、Nuclear grade
 3
リンパ節n(0/6)センチネル(0/5),LevelI(0/1)
UICC;pT2,pNO(sn),MO
ER 90%
PgR90%
HER2 陰性(1+)
KI-67 33.2%
CK5/6 陰性
E-Cadherin/P120 Catenin 細胞膜に陽性
乳管内癌成分豊富、コメド壊死、石灰化が目立つ。
間質は中等量。
硬癌、主腫瘍とは別に偶発病変と思われる低異型度DISCを認めるが、
標本を再検討し診断に変更はない。
断端は陰性
以上の結果でした。
術前にステージⅡa 、LuminalAかBとのことでしたが、結果からLuminal Bとなりました。
そこで、田澤先生にご質問です。
放射線治療、ホルモン治療にプラス抗がん剤をするかで迷っています。
普通ならLuminalB、腫瘍の大きさ2.7cm、悪性度3、年齢を考えると抗がん剤治療が標準治療かと思いますが、オンコタイプDX検査をする価値はありますか?
閉経前でリンパ転移はなかったので適応されるかとは思いますが、抗がん剤をできることなら回避したいと思っており、勝手ながらその期待があるのなら受けてみたいと思っています。
悪性度が3と高いと検査をしても高リスクになる可能性が高いといったことはありますか?
結果が何%だった場合私の場合、抗がん剤を回避できるのでしょうか?
または、オンコタイプDXをするより抗がん剤でしょうか?
オンコタイプDXをしないのなら、田澤先生ならどのような治療、抗がん剤をされますか?
田澤先生のお考えをお聞かせ頂きたくお願い致します。
また、主腫瘍とは別に偶発病変があったことも気になっております。
再発を考えると全摘出した方が良かったのか?悪性度3というのも今後の予後に関わるものですか?
根治を目指して頑張りたいですが不安になっております。
目指せるものか?ですが、、
勉強不足で失礼があるかと思います。
長々と色々大変申し訳ありません。
お忙しいところ大変恐縮ですが宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
質問者は『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』を読んでいないのですか?
まだなら、是非読んでください。
「普通ならLuminalB、腫瘍の大きさ2.7cm、悪性度3、年齢を考えると抗がん剤治療が標準治療かと思いますが、オンコタイプDX検査をする価値はありますか?」
⇒「今週のコラム53回目」を是非読んでください。
 私ならOncotypeDXを勧めます。
「悪性度が3と高いと検査をしても高リスクになる可能性が高いといったことはありますか?」
⇒核グレードとの相関がないことは明らかとなっています。
「結果が何%だった場合私の場合、抗がん剤を回避できるのでしょうか?」
⇒やってみれば解ります。
 「Tam Alone」と「Tam + Chemo」の差で「上乗せ」が解ります。 
 上乗せが小さければ、やる必要はないのです。
「または、オンコタイプDXをするより抗がん剤でしょうか?」
⇒「今週のコラム53回目」を是非読んでください。
「オンコタイプDXをしないのなら、田澤先生ならどのような治療、抗がん剤をされますか?」
⇒TCです。
「また、主腫瘍とは別に偶発病変があったことも気になっております。」
⇒私なら「全く」気にしません。
「再発を考えると全摘出した方が良かったのか?」
⇒断端陰性ならば、温存でいいでしょう。
「悪性度3というのも今後の予後に関わるものですか?」
⇒あまり関係ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生
先日は沢山の質問に的確なご回答を下さり、ありがとうございました。
色々な不安が解消され感謝申し上げます。
勉強不足で申し訳ございませんでした。
Oncotype DXの結果が出ましたので再度ご質問させて下さい。
Oncotype DX Score 22
Tam Alone 14%(95% Cl:11%-17%)
ER=10.7 PR=8.0 HER2=9.1
以上の結果でした。
結果が22と30以下であったことから、田澤先生のコラムと日頃のQ&Aか
ら私は抗がん剤を回避出来ると思ったのですが、主治医の先生は微妙な結果と仰り、KI-67 33.2%と高値、腫瘍径も2.7cmと大きめ、
悪性度3、年齢もまだ若いことから22と低リスクでなかった為、
抗がん剤をしなくて良いとは言えないとのことでした。
術後の病理検査の結果だけなら抗がん剤適応でしょうが、
だからOncotype DXの検査の意味があると私は理解しているのですが、、、
次回腫瘍内科を受診します。
抗がん剤と言われるのではと不安です。
低リスクではなかったですが、22というスコアに私は抗がん剤を回避できると数字を見て良かったと思ったのですが、抗がん剤を回避してよろしいでしょうか?
迷って不安になってしまい、個別に質問してすみません。
田澤先生なら以上の結果どういった治療をなさいますか?
ホルモン治療単独ならお薬、期間を教えて頂けますでしょうか?
根治はのぞめますか?
いつも申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
OncotypeDX RS=22
実際の結果には「Tam + Chemo」の数字も出ていますよね?
おそらく、「Tam Aloneの14%」とそれ程変わらないと思いますが… 『「Tam
Alone」-「Tam + Chemo」=「上乗せ効果」』となります。
○これで化学療法を勧める担当医について私からコメントは敢えてしません。
「抗がん剤を回避してよろしいでしょうか?」
⇒当然です。
「田澤先生なら以上の結果どういった治療をなさいますか?」
⇒勿論(1000%)ホルモン療法単独です。
「ホルモン治療単独ならお薬、期間を教えて頂けますでしょうか?」
⇒タモキシフェン5年です。(現時点で10年が必須とは思いません)
「根治はのぞめますか?」
⇒勿論です。
 質問者は「Tam Alone 14%」なのですよ??
 86%は無再発生存するわけです。
 それなのに「根治が望めない」など…
 冷静になってください。