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浸潤性小葉癌左全摘後の治療について

[管理番号:1240]
性別:女性
年齢:48才

はじめまして。どうぞよろしくお願いします。
先月8月(中旬)日に浸潤性小葉癌で左の乳房を全摘出しました。
病理結果がでまして
脈管侵 襲無し
大きさ 14×10㎜
断端 陰性
リンパ節転移 なし(センチネルリンパ節への転移なし)
悪性度 グレード1
ki67 5%以下
ホルモン受容体あり ER8 PGR0
HER2 なし
ステージ1  でした。

血液検査の結果閉経前という事で(かなり不定期で昨年末より生理なしで、以前子宮
筋腫卵巣のう腫が小さいのがあり、経過観察で2、3年経過してます)、昨日よりノ
ルバデックス10ミリを2錠毎日服用で、最低5年間とのことでした。(9月29日より服
用開始)
2週間後に副作用などを確認のため診察にいきます。その際にゾラデックスかリプ
チューンを行うか決めるそうなのですが、先生でしたら、単独もしくは併用のどちら
を進めますでしょうか?(次回から担当医が転勤のため変わられますが、どちらでも
良いという感じでしたので)
あと術後から背中全体、肩、腰が異常に凝り、姿勢も悪いです。これは手術によりる
ものと考えて良いでしょうか?湿布などで対処する以外何か対策はありますでしょう
か?あとサプリメント(カルシウム、ビタミン群、亜鉛など)はすべて中止するべき
でしょうか?宜しくお願いします
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN0, luminalA(NG1)文句なしの低リスクです。 小葉癌の典型のような
「大人しい」癌と言えます。
LH-RHの上乗せについてはSOFT試験の結果、以下の2群以外には「全体として上乗せは
ない」という結論となっています。
○化学療法後に「化学療法閉経となっていない」群
○35歳未満の群

回答

「先生でしたら、単独もしくは併用のどちらを進めますでしょうか?」
⇒単独です。
 質問者にLH-RHagonistを併用する根拠がありません。
 「低リスク」だし、「35歳以上」なのです。
 
「あと術後から背中全体、肩、腰が異常に凝り、姿勢も悪いです。これは手術により
るものと考えて良いでしょうか?」
⇒それは間違い無さそうです。
 
「湿布などで対処する以外何か対策はありますでしょうか?」
⇒「姿勢」を意識するということでしょう。
 痛みや違和感が減ってくれば、普通に戻ると思います。
 
「あとサプリメント(カルシウム、ビタミン群、亜鉛など)はすべて中止するべきで
しょうか?」
⇒中止する必要はありません。
 それらが不足しているのであれば、補ってください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお忙しい中、早々のご回答いただきありがとうございました。
すみません。さらにお聞きしたいのですが、右の方の乳房についてです。
左の乳房全摘後一ヶ月半になりますが、反対の右の乳首および乳輪あたりがヒリヒリ
するような、たまに熱をもったように感じます。また乳房の上の辺りの筋が張ってい
るような、肋骨なのかわかりませんが、押すと多少圧迫された感があるます。上手く
表現できません。
あまり検索しないようにしておりますが、小葉癌は反対の乳房にうつりやすいとあり
非常に不安で落ち着きません。乳がん確定から(4ヵ月位)数回マンモ、エコーは
やって異常は無いようですが、左がメインでしたのでざっと見た感じもしなくもない
のですが。私はぜんそくの持病があり、造影剤を使えない状態での検査になります。
早々にまた検査をした方が良いのでしょうか?
たびたびお手数おかけしますが、どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「小葉癌は反対の乳房にうつりやすい」
この表現は「正しく」ありません。
小葉癌は反対の乳房にも『新規で発生』しやすい。が正しい表現です。
小葉癌は「多中心性多発」つまり、同側にも対側にも『新規で発生』し易いのです。
同じように聞こえるかもしれませんが、「大違い」です。
「乳癌は右胸から左胸の様に、決して反対側へ転移することはない」のです(小葉癌
に限らず、全ての乳癌に共通)

回答

「反対の右の乳首および乳輪あたりがヒリヒリするような、たまに熱をもったように
感じます」
⇒質問者に限らず、術後患者さんの多くは「反対側は大丈夫か?」と心配になりま
す。
 ★更に、今回は「タモキシフェン」の影響がありそうです。
 「ホルモンによる刺激」は乳房(特に乳頭付近に)痛をおこすことが多いのです。
 
「早々にまた検査をした方が良いのでしょうか?」
⇒大丈夫です。
 心配ありません。
 通常通りでいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先生、前回はありがとうございました。
前回と重複になってしまう個所もありますが、すみません。
①ノルバデックス10㎎を2錠服用して3ヶ月になります。
副作用なのかのどのつまり感や、胸のズキズキ、肩コリ背中痛などがあり、ツムラの半夏厚朴湯エキスを一日三回のんでおりますが、ノルバデックスと併用しても問題ないでしょうか?
②先生のご回答で私の症例ではゾラデックスの注射はしなくて大丈夫といって頂き、主治医の先生の方針も同じで、今まで単独使用しておりますが、昨日の検診で生理が来ると良くない癌?再発する癌なのでゾラックスどうするか検討してみてくださいと言われました。
私は小葉癌です。
生理=再発のような癌はあるのでしょうか?
初めていわれてとても混乱しております。
術後のホルモン値の検査で閉経はまだしていないそうです。
でもここ10ヶ月くらいは生理は来ておりません。
(記憶が定かでないですが)
先生でしたらどのような治療をされますか?もし生理が来てしまったらどうすればよいのでしょうか?やっと慣れてきて、仕事も再開したのにまた恐怖がよみがえり居てもたってもいられません。
③血液検査でRBCの値が5.02でHと出てしまいました。
この異常は何でしょうか? お手数ですがご回答宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「①ノルバデックス10㎎を2錠服用して3ヶ月になります。副作用なのかのどのつまり感や、胸のズキズキ、肩コリ背中痛などがあり、ツムラの半夏厚朴湯エキスを一日三回のんでおりますが、ノルバデックスと併用しても問題ないでしょうか?」
⇒問題ありません。
 副作用のようですね。
 
「②先生のご回答で私の症例ではゾラデックスの注射はしなくて大丈夫といって頂き、主治医の先生の方針も同じで、今まで単独使用しておりますが、昨日の検診で生理が来ると良くない癌?
再発する癌なのでゾラックスどうするか検討してみてくださいと言われました。
私は小葉癌です。生理=再発のような癌はあるのでしょうか?」
⇒不要です。
 SOFT試験では「35歳未満」「化学療法後に月経が再開した群」にのみ「LH-RHagonistが有効」という結果でした。
 質問者には、どちらもあてはまりません。
 
「術後のホルモン値の検査で閉経はまだしていないそうです。でもここ10ヶ月くらいは生理は来ておりません。(記憶が定かでないですが)」
⇒最終月経から「1年以上経っている」際に「閉経」と定義されます。
 
「先生でしたらどのような治療をされますか?もし生理が来てしまったらどうすればよいのでしょうか?やっと慣れてきて、仕事も再開したのにまた恐怖がよみがえり居てもたってもいられません。」
⇒タモキシフェン単独です。
 「月経がくる」ことは「リスクではありません」
「③血液検査でRBCの値が5.02でHと出てしまいました。この異常は何でしょうか? お手数ですがご回答宜しくお願いします。」
⇒「貧血ではない」ということです。
 とてもいいことです。
 
○質問者は無駄な心配をしています。
 心身ともに健全な生活を心がけましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

先日ご回答いただきありがとうございました。
先生の心身ともに健全な生活をのお言葉で安心を頂きました。
再度質問させていただきたいのですが、2年くらい前まで子宮筋腫と卵巣のう腫(ともに漢方薬で経過観察)でその後検査にいっていないまま、今年8月に乳がんの手術を受けました。
その後ノルバデックス単独の服用で、3ヶ月経過しておりますが、子宮頸癌体癌および筋腫の大きさなどの検査は早く行った方が良いのでしょうか?また検査によって刺激され、生理が来てしまったりすることはありますでしょうか?
あと他の病院で手術と治療を行っておりますが、先生をとても信頼でき、安心して治療を受けたいので、今の状態で先生の病院に転院することは可能でしょうか?
何度もすみませんが、ご回答宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「ノルバデックス単独の服用で、3ヶ月経過しておりますが、子宮頸癌体癌および筋腫の大きさなどの検査は早く行った方が良いのでしょうか?また検査によって刺激され、生理が来てしまったりすることはありますでしょうか?」
⇒慌てる必要はありませんが、「タモキシフェンによる子宮への刺激作用」により「月経様の出血」が見られる事はあります。
 ただ、それは「月経が再開すること」とは全く別物です。(ホルモンが正常になる訳ではなく、ただの直接刺激です)
 
「あと他の病院で手術と治療を行っておりますが、先生をとても信頼でき、安心して治療を受けたいので、今の状態で先生の病院に転院することは可能でしょうか?」
⇒可能です。
 質問者の状況は、全く慌てるようなものではありません。
 余裕を持ってのぞんでください。

 
 

 

質問者様から 【質問5 】

ホルモン治療について
性別:女性
年齢:52歳
病名:浸潤性小葉癌
症状:

今も治療で先制に3カ月ごとにお世話になっております。

ホルモン治療についてです。
先日子宮けいがんの検査を受けた際に、血液検査も一緒にやっていただき、エストラジオールの値が131ありました。
半年くらい前から3年のノルバデックス使用後、アリミデックスに変えていただき現在に至ります。
半年ほど前に先生のところでエストラジオール5以下だったのに、こんなに上がりこのままアリミデックスを飲んでいてよいのもかとても心配になりました。
二週間後に先生の診察がありますが、それまでの期間薬をお休みしたほうが良いのでしょうか。

子宮検査の際に多少検査による出血は数日ありましたが、現在はありません。
しかし生理前のような下腹部痛があります。
ご回答よろしくお願いたします。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「エストラジオールの値が131」
「二週間後に先生の診察がありますが、それまでの期間薬をお休みしたほうが良いのでしょうか。」

→休薬してください。
 タモキシフェンで再開としましょう(2週間後)

★厳密に言うと…
 通常、TAM→(最終月経から1年以上+E2<5)→AN
 としたケースでは、その後E2の測定は(通常)しません。

 もしかすると(同様にスイッチした)他の患者さんたちも、E2が高値となってはいるが、知らずに継続しているかもしれません。
 ただ、わかった以上変更すべきでしょう。