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腫瘍径と放射線照射の適応

[管理番号:1001]
性別:女性
年齢:72歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:971「浸潤性小葉癌の術後補助療法について」

 
 
お忙しい中、丁寧な回答をいただきありがとうございます。
抗がん剤投与については、田澤先生のご意見を聞き、しない方向で考えています。
たびたびの質問で恐縮ですが、母は浸潤性小葉癌の全摘術後ですが、浸潤径が大きいこととリンパ節転移(センチネルに一個)もあったため、放射線療法もすすめられています。
放射線療法をした場合としなかった場合、再発転移率はどのくらいの差があるのでしょうか?
また、ホルモン療法単独で術後治療をした場合、今後の再発転移率や5年?10年生存率はどのくらいなのでしょうか?
今、現在 遠隔転移している可能性も高いのでしょうか?(術前の骨シンチで骨転移はありませんでした)
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT3(62mm), pN1, luminalA 72歳ですね。

回答

「浸潤径が大きいこととリンパ節転移(センチネルに一個)もあったため、放射線療法もすすめられています。」
⇒リンパ節に関しては、追加郭清でリンパ節を10個も取っているので、あまり問題は無いと思いますが、浸潤径が大きいので放射線治療はした方がいいと思います。
 St.Gallen 2015では「腫瘍径=浸潤径」が5cm以上では「実に90%の専門家が放射線照射すべき」と回答しています。
 
 
「放射線療法をした場合としなかった場合、再発転移率はどのくらいの差があるのでしょうか?」
⇒リンパ節転移1~3個では10%程度のデータが多いようですが、「かなり昔のデータ」であり、全身療法が発達した現代では「再検討が必要」とされています。
 
「ホルモン療法単独で術後治療をした場合、今後の再発転移率や5年?10年生存率はどのくらいなのでしょうか?」
⇒10年生存率は62%です。
 但し、「乳癌再発の死亡は20%以下であり、年齢的に他病死の率が20%程度あるので、この数字となる」のです。
 
「現在 遠隔転移している可能性も高いのでしょうか?」
⇒術後短期間で、遠隔転移することは殆どありません。
 乳癌が再発するにしても「ある程度の年数がかかる」のが普通です。