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小葉癌の抗がん剤について

[管理番号:3248]
性別:女性
年齢:54歳
 
初めまして、どうぞよろしくお願いします。
 
5月下旬に左乳房全摘手術を受けました。
ステージ1、腫瘍の大きさ 15mm、ki67は12.6、ルミナールAタイプ リンパ転移なしの小葉癌で、リンパ管浸潤と脈管浸潤はありませんでした。
オンコタイプの結果は28でした。
 
主治医はとてもいい先生で後悔のないようにと、
小葉癌は転移しやすい予後の悪い癌で
オンコタイプが中間リスク高値なので抗がん剤をしたほうがいいとの考えでした。
主人が抗がん剤の副作用の影響をいろいろ調べよく話し合い抗がん剤を受けない苦渋の選択をしました。
先生の意見をお聞かせ下さい。
 
又BIG1-98の論文を読み6か月生理がなかったので
閉経と思いレトロゾールを処方してもらい1週間飲みました。
1日飲まなかったら生理になったため主治医に相談してタモキシフエンを処方してもらい継続しています。
タモキシフエン継続後レトロゾールに変更はいつ頃がよいのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
申し訳ありませんが小葉癌を「転移しやすい予後の悪い癌」と称するような医師を私は認めません。
pT1c(15mm), pN0, luminalA
完璧な早期癌です。
 
そもそも「ルミナールA」であり「ホルモン療法単独」で何も迷う事がない筈です。
(そう言う意味ではOncotypeをする意義は非常に薄いと感じます。私なら勧めることは絶対にありません)
 
「オンコタイプが中間リスク高値なので抗がん剤をしたほうがいいとの考え」
⇒全く賛成できません。
 Oncotype DXの「中間リスク」では「化学療法による上乗せがない」ことは明白です。
 ○実際、質問者が受け取ったレポートでも「Tam Alone」と「Tam + Chemo」に違いは殆ど無い筈です。
 
「抗がん剤を受けない苦渋の選択をしました。先生の意見をお聞かせ下さい。」
⇒抗ガン剤は不要です。(上記コメントの通りです)
 それにしても担当医は「とんでもない先入感」で診療を捻じ曲げているようにしか思えません。
 質問者の(苦渋の)「化学療法をしないという選択」は「至極当然な選択」なのです。
 
「6か月生理がなかったので閉経と思いレトロゾールを処方してもらい1週間飲みました。1日飲まなかったら生理になった」
⇒全く「誤った」診療です。
 本来の「閉経の定義」は「1年間の無月経」です。
 そもそも「レトロゾールを処方したことは」誤っています。
 
「タモキシフエン継続後レトロゾールに変更はいつ頃がよいのでしょうか?」
⇒無月経を1年間確認した上で(必要ならば)「血中エストラジオールの測定で確認」することです。

 
 

 

質問者様から 【質問2 抗がん剤の必要性】

性別:女性
年齢:57歳
病名:左乳癌術後局所再発疑い
症状:

三年前左乳癌(小葉癌)全摘し抗がん剤はせずタモキシフェンを服用してました。

今年2月CT検査で異常なし、3月乳腺エコーで 左胸部に結節あるが、通常の乳がんエコーの所見とは異なるため、再度CTを行ないました。
結節はあるが乳癌の所見とは違うということで、4月にPET CTを行ないました。
結果は陰性でしたが結節は何かという事で、4/(中旬)に生検をしました。

その結果N/C比が非常に高く核腫大及びクロマチン増量を伴うやや大型の類円形細胞が孤立散在性に出現しており、小葉癌などの悪性病変を疑います。
というClass Ⅲbの診断で連休前にもう一度生検しました。
(結果はまだ)
この時から薬はタモキシフェンからレトロゾールに変更され服用中です。

3、4月の血液検査では主な腫瘍マーカーは正常範囲内でした。

今後の治療として放射線治療と抗がん剤を勧められています。
体力が無いので抗がん剤の副作用による生活の質の低下が心配です。

以前も抗がん剤を勧められましたが田澤先生にお答え頂き抗がん剤をせず、3年間充実した日々を過ごせましたので、今回も抗がん剤をしない方向で検討したいと考えています。
ご回答どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

局所再発で腫瘍マーカーが上がらないのは「当たり前」だし、PETで局所への取り込みを見ても仕方がありません(遠隔転移の有無を確認の意味はあり)

「Class Ⅲbの診断で連休前にもう一度生検」
⇒この所見は限りなく「黒」のようです。

 細胞診の精度が良くないようなので(失礼!) 今回の生検でも、きちんとした結果がでるか怪しいですが…
 きちんと手術(マージンをつけて摘出)すべきです。

「今後の治療として放射線治療と抗がん剤を勧められています。」
⇒?
 ピンボケな治療です。

 あくまでも「局所再発」なのだから、やるべきは「局所療法」です。
 全身療法である「ホルモン療法の変更」や「抗がん剤の追加」は、あくまでも「おまけ」であり必須ではありません。

 ★きちんと手術(マージンをつけた摘出)すること。
  そのうえで「放射線も追加すべきか?」が焦点となるでしょう。(放射線も局所療法としては重要な位置づけなので、質問者が積極的であれば「したほうが安心」だとは思います。

 ★★ホルモン療法の変更は「本質的ではない」ですが、(質問者への)負担も少ないので、行っても問題ありません。(特に閉経後なのであれば、タモキシフェンから「この機会」にアロマターゼ阻害剤への変更は妥当とは言えます)
 

「体力が無いので抗がん剤の副作用による生活の質の低下が心配です。」
⇒患者さんが積極的でないのに「抗がん剤を勧める」理由はありません。(あくまでも重要なのは「局所」だからです)