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浸潤性乳癌を食事療法で治したい

[管理番号:98]
性別:女性
年齢:54歳
はじめまして。
2月始め乳癌 2センチ以内転移なし 
と診断を受けました。
 
食事療法で癌と生きて行けたらと思うのですが難しいでしょうか?
よろしくお願いします。

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「食事療法で癌と共存したい」という事ですね。
 大変、残念に思います。
 この件に関しては、私こそ「何故、治療を受けたくないのか?」「どういう理由なのか?」疑問でいっぱいになります。
 「回答」の後に「私からの疑問」を投げかけたいと思います。

回答

「食事療法で癌と生きて行けたらと思うのですが?」
⇒不可能です。
 乳癌に効く(他の癌も同様ですが)食事療法はありません。
 (少し厳しく書きますが、以下が現実です)
 通常の治療をしなければ、今は2cm以下でも1~2年の内には「間違い無く」増大し、やがてリンパ節や全身転移を起こすでしょう。
 全身転移を起こすのには3年以上かかるかもしれませんが。
 

状況

「2cm以下で転移無し」
⇒ステージⅠ期の早期乳癌
(もし私が治療するとすれば)とにかく手術です。
腫瘍径が2cm以下なので、無論「乳房温存術(部分切除)」
通常の(センチネルリンパ節生検を行っても)40分位で終わるし、(センチネルリンパ節生検をしないなら)30分位で終わってしまします。
○入院期間は3泊4日が通常コースですが(希望があれば2泊3日で何ら問題ありません)
術後に何か不自由する事もありません(腕も勿論動くし、むくむ事もありません)
 

私からの疑問

「治療をしない理由は何でしょうか?」
 
宗教的なもの?
⇒この場合には、お互いどうしようもないかもしれません。
 
仕事が忙しい?
⇒2泊3日の手術なら「インフルエンザなどの体調不良で休む」ことと大差ありません。
 ちなみに、退院直後に仕事復帰も何ら問題ありません。
 
乳房に傷をつけたくない?
⇒「先生は男だから、女性にとって乳房に傷をつけたくない気持ち、解らないわよね。」
 たまに、患者さんからそのように言われます。なかなか反論はできませんが、(このまま治療をしなければ)確実に「しこりが増大し、乳房は変形し皮膚を突き破り出血」をし始めます。
 手術創なんて比較にならない位、醜い状態となります。
 
お金をかけたくない?
⇒保険制度があるので、「べらぼうに高い」ことはありません。
 むしろ「あやしげな健康食品」の方が高額となりそうです。
 また、進行すればするほど、「その後の治療が大変になる(身体的にも、金銭的にも)」事は間違いありません。
 

参考までに

 「乳癌の治療」となると、インターネットをみたりすると、「逃げたくなる」ような事が書いてあるかもしれません。
 間違ってもらいたくないのは、乳癌の治療は楽(早期であればなおの事)という事実です。
 
 早期であれば最低限「手術」だけでも治療は成り立ちます。
 術後の放射線や内分泌療法(時に抗癌剤)などは、あくまでも再発予防のために行うものであり必須のものではありません。(つまりどうしてもしたくないなら、しなくても許容範囲内です)
 
 ただ、進行してしまうとそうはいきません。
 手術だけでは治療自体が不十分となったり、すぐに再発してしまったりするので他の治療(放射線、内分泌療法、化学療法など)の併用が必須となってしまいます。
 
◎楽に乳癌を治療したいなら、是非とも今のうちに手術をしてください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

 
御丁寧なお返事ありがとうございました。
腫瘍の場所が乳頭に近いこともあり
場合によっては残すことが難しと言われたことと
癌は転移ではなく新に出来るという情報により、
どちらにしても他に癌が出来る可能性があるなら切るリスクを避けたいと思いました。
田舎住まいでこちらの医療にも信頼が薄く悩んでいます。
オペ後のわたしの乳房が悲惨なことになるのではと・・・・
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 以前、「浸潤性乳癌を食事療法で治したい」とメールをいただいた方ですね。
 今回のメールで「何故、食事療法に逃げるのか?(失礼な表現で申し訳ありません)」が解りました。
 私なりの意見を書きます。

回答

「腫瘍の場所が乳頭に近いこともあり、場合によっては残すことが難しい」
⇒乳頭に直接浸潤していない限り、乳房温存術は可能です。
 「乳頭に近い」だけでは「温存術が不可能」ということにはなりません。
 主治医に確認した方がいいでしょう。
 
「癌は転移ではなく新に出来るという情報、どちらにしても他に癌が出来る可能性があるなら切るリスクを避けたい」
⇒(癌が手術後の乳房内に新たにできたり、体側乳房にできたりすることは確かにあります)が、決してリスクが高いわけではありません。
 
 
◎術後、何事もなく過ごされている方の方が圧倒的に多いことを強調しておきます。
 今の時代、インターネットで「再発している方の情報が溢れすぎている」ために、過剰に不安に思う方が多いことを残念に思っています。
 
「田舎住まいでこちらの医療にも信頼が薄く悩んでいます。オペ後のわたしの乳房が悲惨なことになるのではと」
⇒決して東京や大学病院の医師の手術技術が高いわけではありません。
 手術は「病院ではなく、執刀医個人の技量」に左右されます。
 地方に住んでいても、「しっかりした手術技術の医師」がいると思います。情報を集めることです。
 

是非とも

 必ず手術を受けてください。
 医師としてのお願いです。
 私は「手術を何らかの理由で避けて」数年後に大変な状態(末期)になって、病院に現れた方を数多くみています。
 本当に悲惨です。
 決して逃げてはいけません。
 早期治療に勝る治療は決してありません。
 
 

 

質問者様から 【3】

 
度々の丁寧なお返事ありがとうございます。
手術を受ける様に背中を優しく押していただいた気持ちです。
揺らいでいましたが逃げずにオペを受けたいと思います。
丁寧に説明していただき良く解りました。
これからも悩める乳癌患者の支えになって下さいますように。
本当にありがとうございました。
 

田澤先生から 【3】

 こんにちは。田澤です。
 治療に前向きなご様子、うれしく思います。
 早期乳癌の治療は何らおそれる必要はありません。
 
 このチャンスを逃さずに、治療がんばってください。
 
 
 
 
 
 

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