乳がんプラザ|乳がんの手術は江戸川病院・東京


[管理番号:570]
性別:女性
年齢:76歳 

田澤先生、はじめまして。
76歳の母の事でご質問です。どうぞ宜しくお願いします。

まずは病状から説明させて下さい。

2015年2月に乳がん告知。
右乳房しこり2センチ位 リンパ節転移あり ステージ3A
ホルモン受容体 強陽性 HER2 陰性 Kⅰ-67 50%
(主治医には確認してませんが、サブタイプはルミナールbだと判断しています。)
脇のリンパ節に目で見えるしこりがあります。直径4センチ位。

脇のリンパ節への転移がボコボコと多いため、まずは術前ホルモン療法にてしこりの縮小を期待し、その後手術をすることになっています。
ホルモン療法2カ月目に経過を診てもらいましたが、しこりの変化はなく腫瘍マーカーが下がっていました。(フェマ―ラを服用してます。)

次回は7月に病院へ行くことになっています。

そこでいくつか教えてください。
①現在の病院では76歳と高齢の為、抗がん剤を進めていないようですが、母の症状から見てホルモン療法と手術だけで大丈夫なのでしょうか。
リンパ節に転移している場合は抗がん剤は必須ではないのでしょうか。

②手術をすることになった際、温存と全摘どちらが適しているのでしょうか。
又、放射線もした方が良いのでしょうか。

③リンパ節へ転移しているのでリンパ節を切除すると思うのですが、後遺症がとても
心配です。腕があがらなくなるほどの後遺症はレベル2まで切除しても起こるのでしょうか。もしレベル3まで癌が転移していたら、切除した方が良いのでしょうか。

とても大事な母です。まだまだ長生きしてもらいたいんです。
田澤先生の判断を宜しくお願いします。

 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 cT1(or cT2), cN2, cStageⅢA, luminal B(Ki67=50%) 76歳、術前ホルモン療法中ですね。

回答

「脇のリンパ節への転移がボコボコと多いため、まずは術前ホルモン療法にてしこりの縮小を期待」
⇒注意が必要です。

 「術前ホルモン療法」の有効性は確率されておらず、あくまでも「温存率を上げるために、(有効性が確率されてはいない事を)十分説明した上で)行っても良い」というレベルです。
 私は、(高齢者であっても)術前ホルモン療法は殆ど行いませんが、少なくとも『リンパ節を縮小させるために』行うことはありません。

 ♯「腫瘍を縮小させて温存したい」との希望でない限り、お勧めしません。
 そうでなければ、やはり『手術先行で術後にホルモン療法+放射線(±抗がん剤)』がスタンダードです。

 ◎有効性が確率されていない「術前ホルモン療法」を「安易にホルモン療法で小さくなればもうけもの」的な発想があるとしたら『ホルモン療法中に(逆に)進行させた場合には、(患者さん側には)著しい不利益になる』事を認識しなければなりません。
 

「腫瘍マーカーが下がっていました」
⇒あまり意味がありません。
 転移再発後の治療効果の指標とはなっても「初期治療での指標」にはなりません。
 

「①現在の病院では76歳と高齢の為、抗がん剤を進めていないようですが、母の症状から見てホルモン療法と手術だけで大丈夫なのでしょうか。リンパ節に転移している場合は抗がん剤は必須ではないのでしょうか。」
⇒必須ではありません。

 ◎70歳以上では「術後化学療法の有効性」は解っていません。

 術後化学療法の有効性は「年齢と共に低下」していき、特に「70歳以上の高齢者乳癌」においては「ホルモン感受性陽性(luminal type)」では有効性が更に低いとされています。
 ○それでは化学療法をしてはいけないか。というと
 一方で「証明されてはいないながら、実際に行うと有効である」という報告はあり、「効果と副作用(化学療法死というものも考える必要有)のバランス」を考えて行っても良い。とされています。(推奨度B)
 

「②手術をすることになった際、温存と全摘どちらが適しているのでしょうか。」
⇒乳腺にかんしては、「乳腺内での腫瘍の拡がり」で考えるべきです。
 リンパ節転移が高度でも乳房温存は可能です。

 ただし、一般には「リンパ節転移が高度だと、乳房切除が勧められる」ことが多いです。(しかしそれは根拠がありません)
 ♯ただ病状全体でのバランスを考えるべきであり「無理してまで温存」は勧めら得ません。
 

「放射線もした方が良いのでしょうか。」
⇒これは術式が「温存」でも「全切除」でも絶対に必要です。

 温存術後は「通常の温存乳房」(推奨度A)だけでなく「鎖骨上への照射」(推奨度B)も必要
 たとえ全切除しても、「胸壁及び鎖骨上への照射」(推奨度A)が必要
 

「リンパ節へ転移しているのでリンパ節を切除すると思うのですが、後遺症がとても心配です。腕があがらなくなるほどの後遺症はレベル2まで切除しても起こるのでしょうか。」
⇒「リンパ節郭清」で「腕が挙がらない」事はありません。
 心配ありません。
 ただ、将来的な「患肢浮腫」の可能性はあります。
 ○腋窩郭清は「術者の技術」でかなり差がでるところであり、一概には言えません。
 

「もしレベル3まで癌が転移していたら、切除した方が良いのでしょうか。」
⇒切除すべきです。
 転移しているリンパ節は手術で確実に取り除かなくてはありません。

●「リンパ節郭清をレベルⅢまでやる」ことが後遺症と繋がる訳ではありません。
 問題となるのは以下の2点です。
 ①レベル1などで、転移したリンパ節が「正常なリンパ網」を破壊している場合
 ②稚拙な手術手技で、本来不要な「リンパ網の損傷」をする場合
 
 つまり、「リンパ節か術者か」どちらかが「リンパ網を破壊しない限り」レベルⅢまで郭清しても「全く問題」ないのです。
 

◎腋窩郭清は「術者の技術」によって、かなり差がでます。
 是非、(有名大病院の執刀経験の少ない)医師ではなく、「執刀経験の豊富な」医師による手術をお勧めします。
 

 
 

 

質問者様から 【質問2 腋窩郭清について】

とても詳しい回答をありがとうございます。
感謝しております。

腋窩郭清をした場合の心配が少し和らぎました。
そこで質問です。

腋窩郭清は「術者の技術」によって、かなり差がでる。と教えて頂きましたが
患者は担当医の技術を知る事が難しいです。その判断材料として、年間手術を何回位行っている医師が「執刀経験の豊富」となりうるのでしょうか。

腋窩郭清を行う際、神経を損傷してしまう事があり重度の後遺症に悩まされ
ペインクリニックに通うといった話を聞いた事があります。
心配しすぎなのかもしれませんが、手術を行ってから後悔をしたくありません。

たまたま現在の病院が大学病院なので、やはり不安も残ります。
田澤先生のご意見としてお聞かせください。

 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 腋窩郭清ですね。
 ここは手術としては、技術が必要なところであり、未熟な者が行うと「不必要な操作によるリンパ網の破壊や、神経損傷」もしくは逆に「取るべきところが取れない:取り残し」が起こりえます。

 大学病院などでは、「若手医師が執刀」し一応「指導医」なる医師が「口や手を出しながら」補助をするわけですが、そもそもその『指導医なる者』が「自らの執刀経験の少ないままに、(研究などで)大学で偉くなっているだけ」なのが現状です。

回答

「年間手術を何回位行っている医師が「執刀経験の豊富」となりうるのでしょうか」
⇒これは私自身の経験でお話すると、

 ○年間100件(助手ではなく、執刀のみです)を超えると、完全に「今までとは一線を画す」と自覚するようになりました。
 かなり手術が見えてきて、取るべきものと残すべきものを、区別をしながら手術ができるようになります

 ○今では年間200件を超えていますが、(余裕が出てきて)「副損傷が無いのは当たり前」手術のポイントが『術後の回復を最短にすること』に移っています。
 

 ある○研○明の医師が以前、「乳腺外科医1人当たり、せいぜい年間40件、50件は厳しい」と言っていました。(東京ではそんなものでしょう)
 そのようなレベルでは「一線を画す」事はできません。(私の経験です)

 ★年間100件以上の執刀をしている医師を見つけるのは結構困難かもしれませんが、「腋窩郭清」を考えれば大事なことです。
  
 

 
 

 

質問者様から 【質問3】

こんにちは。
田澤先生に明確なお答えをいただき、大変ありがたく、
この場を借りて御礼を言わせていただきます。
どうもありがとうございます。

「皆が気になる質問シリーズの 脇のしこり
を読ませていただきましたが、やはり田澤先生でもリンパ節にできたしこりは
ドキっとしてしまうものなんですね・・・。

様々なネットでの情報やブログを読んでは、気持ちが沈んだりしがちですが、
やはりリンパ節転移をした際の余後は良くないのでしょうか。

田澤先生の患者様の中でも75歳以上でリンパ節転移されている方は
おりましたでしょうか。高齢者なだけにこれからの事がとても心配です。

こんな質問ばかりで申し訳ありませんが、
ご意見をお聞かせください。

 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 「術前ホルモン療法を行っている方」ですね。
○効果が悪い際には、「手術不能」となる前に「迅速に手術に切り替える」必要があります。(そのような事態にならない事を願っていますが…)

回答

「田澤先生でもリンパ節にできたしこりはドキっとしてしまうものなんですね」
⇒これは少しニュアンスが違います。

 あくまでも「脇のしこり」として「良性疾患を前提」として診察している際に、「その正体が、腋窩リンパ節」だった場合には『間違い無く癌が(おそらく乳腺にも)ある』という「癌の宣告」をするという意味で「ドキッとする」という意味です。

 最初から「乳癌として診察」している際に「リンパ節が腫れていても」ドキッとはしません。
 乳癌は「腋窩へのリンパの流れ」があるので、「ある程度大きくなれば、腋窩リンパ節転移をする」事は想定内なのです。
 

「リンパ節転移をした際の余後は良くないのでしょうか。」
⇒「リンパ節転移」は「腫瘍の大きさ」と共に「予後因子」である事は間違いありません。
 
 ただし、「リンパ節転移があったら予後不良」という訳ではありません。

 「リンパ節転移個数別10年生存率」では0個:92%, 1個:86%、4個:84%というデータがあります。
 それ程極端に生存率が落ちる訳では無いのです。
 

「田澤先生の患者様の中でも75歳以上でリンパ節転移されている方はおりましたでしょうか」
⇒沢山いらっしゃいました。
 何ら特別な事ではありません。

 80代でも90代でもいらっしゃいました。
 私の印象では「高齢者は比較的、再発しにくい」印象を持っています。

 
 

 

質問者様から 【質問4 助間上腕神経】

田澤先生、こんにちは。

母が乳がんと告知され、5ヵ月。
様々なブログの情報、ネットで検索ばかりをしてきましたが
こうして田澤先生に相談出来る場に出会えて本当によかったです。

5ヵ月がたち、乳がんについてや母のおかれている症状について
理解ができてきました。

ですが、術前ホルモン療法を5ヵ月続けてきたことが
本当に正しい選択だったのだろうか…。と疑問もあります。
こちらから温存の望んだわけではないのに。。

今は、しこりが大きくなっていない事を祈るばかりです。

本日、検査に行ってきます。
1週間後、結果を聞いてきます。
その際にまたご質問等させて頂きますので宜しくお願いします。

1点お伺いします。

リンパ節を切除する際に、助間上腕神経という大事な神経を
切ってしまったり傷つけてしまうと、後遺症が残ってしまうのでしょうか。
転移の数に関係なくこの神経を残すことは可能なんでしょうか。
やはりこの部分も、執刀医の技量によって変わるのでしょうか。

お忙しい中申し訳ありません。
田澤先生のご意見をお待ちしております。

 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「術前ホルモン療法」を行っている方(の娘さん)ですね。
 担当医は(リンパ節転移もあり、手術も大変そうだから)とりあえずホルモン療法でもして… 的な安易な発想かもしれません。 注意が必要です。

回答

「リンパ節を切除する際に、助間上腕神経という大事な神経を切ってしまったり傷つけてしまうと、後遺症が残ってしまうのでしょうか」
⇒肋間上腕神経は「上腕内側の知覚神経」です。
 これが失われると「脇の下にボールを挟んだような」感覚となります。
 
 但し「運動神経」ではないので、腕の動きには関係しません。「浮腫み」にも関係しません。
 

「転移の数に関係なくこの神経を残すことは可能なんでしょうか。」
⇒(技術的には)残す事も可能ですが、根治性を考えると「リンパ節転移がある一定以上」の場合には、敢えて残しません。

 おそらく、「リンパ節郭清」というものを「リンパ節という豆をひとつずつ」摘出するイメージなのだと思いますが…
 実際は違います。

 リンパ節は、「ある区画」を一塊として摘出するのです。(一塊として摘出しないと、間に癌細胞を残す可能性があるからです)
 つまり、リンパ節転移が複数となり、これを「一塊として摘出」しようとすると、(その間を通っている)肋間上腕神経も含まざるをえないのです。
 

「やはりこの部分も、執刀医の技量によって変わるのでしょうか。」
⇒肋間上腕神経については、(リンパ節の状況にもよりますが)残す事にこだわるのは厳に慎むべきです。
 無論、肋間上腕神経とは無関係な転移であれば、残す事は(技量があれば)全く問題ありません(ただ、根治性はあくまでも優先なのです)

 ただし、本来(根治性を損なわずに)残せるものを「めちゃくちゃに」破壊する執刀医がいることも事実です。
○手術の中でも「腋窩郭清」ほど、「技量により差」がでる分野はありません。
 なぜなら、そこで起こりえる後遺症(一番問題となるのは患肢浮腫)は一生付きまとうのです。

 
 

 

質問者様から 【質問5】

文章が長くなってしまい、大変申し訳ありません。

今後について①では、超音波検査報告書をお伝えしました。

本日、経過観察を聞いてきたのですが、
まず腫瘍マーカーが4月に一度下がったのに、上がっているそうで
フェマ―ラの効果がな薄れているようだと言われました。

又、右乳癌リンパ節転移有とは診断をされていたのですが、
左のリンパ節にも転移していると、本日初めて聞きました。
担当医は、1月の時点で左リンパ節転移は疑い。4月の時点では無くなっていて、
今回は転移が確認されたような説明をしていました。

今後の治療ですが、手術をすることも可能であるが、フェマ―ラを違う薬に変更をして
少しの間経過を診ることを勧められた。ですが、更にしこりが大きくなった場合の不安を
伝えたところ、来週CTの検査などをして他の臓器に転移がないか確認、
その後手術をするか、再度話合う事になっています。

田澤先生にご質問です。
右乳癌 リンパ節転移有(両側) と本日診断をされたのですが、
この場合どのように治療を進めていくことが正しいのでしょうか。
左の胸には癌がないのに、左のリンパ節に転移してしまうのでしょうか。

右だけだと思っていたのですが、左リンパ節にも転移しているとわかり、
とても動揺しております。

もし手術する場合は、右の胸とリンパ節、左のリンパ節を切除するのでしょうか。

又、担当医に対しての不信感もあります。
フェマ―ラの効果がなくなったというのも心配です。

現在通っている病院は、バスで行ける為、今後の事を考えると病院を変更することは
難しいのですが、もし田澤先生に1度母を診て頂きたい場合は、可能なのでしょうか。

文章にまとまりがなく大変申し訳ありません。
どうぞご意見をお待ちしております。

 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。

 「対側腋窩リンパ節に転移が確認」されているのに、漫然と「術前ホルモン療法を継続」は全く賛成できません。
 「手術不能となる前に」手術をしないと、根治の可能性が失われます。

回答

「まず腫瘍マーカーが4月に一度下がったのに、上がっているそうでフェマ―ラの効果がな薄れているようだと言われました」
⇒遠隔転移でもないのにマーカーなど全く無用です。
 

「右乳癌 リンパ節転移有(両側) と本日診断をされたのですが、この場合どのように治療を進めていくことが正しいのでしょうか。」
⇒漫然とホルモン療法などしている場合ではありません。

右乳房切除+右腋窩郭清+左腋窩郭清を行うべきです。
♯胸骨傍リンパ節に対してはトモセラピーで対処できます。
 

「左の胸には癌がないのに、左のリンパ節に転移してしまうのでしょうか。」
⇒これは「対側リンパ節転移」といい、規約上は「遠隔転移扱い」されます。

 ただし、実際は「リンパ行性転移」の訳ですから、「局所」です。
 右のリンパ管から「左のリンパ管を通って左リンパ節転移を起こした」のです。
 

「もし手術する場合は、右の胸とリンパ節、左のリンパ節を切除するのでしょうか。」
⇒その通りです。
 

「もし田澤先生に1度母を診て頂きたい場合は、可能なのでしょうか。」
⇒可能です。
 
 実際に「診察」しないと状況は正確には伝わらないのです。

 
 

 

質問者様から 【質問6】

明確な回答をありがとうございます。
昨日は動揺しており、文章もまとまりがなく申し訳ございませんでした。

田澤先生から言われているように、
担当医は、リンパ節転移もあり手術も大変そうだから、
まずホルモン療法をして…的な考えがあるようです。

広範囲に手術をしたからといって、何年後に再発するかもしれない。
ならば、高齢でもあるので生活の質を守る為にも、とれる分だけとる。
手術をしても癌は全部とりきれないという意味だと感じました。

私は乳房全摘の方が良いのでは、と考えているのですが、
担当医は乳房温存を考えております。

母の事を考えてくれている、と考えればそうなんですが、
76歳まだまだ元気です。あと10年楽しく生きたいと言っています。

田澤先生のご意見で、
右乳房切除+右腋窩郭清+左腋窩郭清を行うべきとありましたが、
これは全摘という事でしょうか。それとも温存でしょうか。
全摘であれば、その理由を教えてください。

又、フェマーラの効果がなくなったと場合、
今後手術などを終えた後に飲むホルモンの薬は、何が適しているのでしょうか。

毎回小さなご質問にもお答えいただき、ありがとうございます。
とても感謝しております。

 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 「対側腋窩リンパ節転移」は要注意です。

 ただ、(担当医のいうように)勝負(根治)を諦めるべきではないと思います。
 「どうせ、根治できないのだから、ホルモン療法でお茶を濁して」的な発想は私は反対です。
 「リンパ節転移は、あくまでも局所」なのです。

 私の豊富な経験では「局所制御」が驚くほど効果的な事が多いのです。(勿論,みんなが根治する訳ではありませんが、諦めるべきではないと私は思います)

回答

「これは全摘という事でしょうか。それとも温存でしょうか。」
⇒全摘です。
 ちなみに「乳房切除」という用語は「乳房全切除」を表しています。
 
 
「全摘であれば、その理由を教えてください。」
⇒対側腋窩に転移するということは、「乳腺内にリンパ管を介した拡がり」があってもおかしくはありません。
 
 局所制御のために「対側腋窩リンパ節を郭清」するのに、『元凶である、乳腺自体を残す』事は本末転倒と言えなくもありません。
 ♯局所制御をどう捉えるか?という考え方の違いです。
 

「今後手術などを終えた後に飲むホルモンの薬は、何が適しているのでしょうか」
⇒通常は、「同じアロマターゼインヒビターである、アロマシン」でしょう。

 ただ、「対側腋窩リンパ節は遠隔転移との位置づけなので」転移再発乳癌の適応である「フルベストラント(フェソロデックス)」を用いる手もあります。

 
 

 

質問者様から 【質問7 今後について】

田澤先生。
お忙しい中、お答えいただきありがとうございます。

術前ホルモン療法を行い、5カ月がたちました。
いよいよ手術だと思っており、その際担当医に聞くべき事を
田澤先生に質問をしながら自分の中でまとめていたところ、
逆側のリンパ節に転移が認められ、すごく心配で心配でたまりません。

来週、他の臓器に転移していないかの検査結果がでます。
もし転移していたら、もう手術ができない。
そうなったら母はもう延命の為の治療になってしまうのか、
そんな事ばかり考えてしまいます。

田澤先生の豊富なご経験の中で、母の様な患者さまはおりましたでしょうか。
その際、余命のようなもの。この後はどのような余後が予測されますでしょうか。

まずは、これ以上転移しないようにすることが一番だと
願っております。

すみません。どうぞ田澤先生のお考えを聞かせてください。

 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
 「両側腋窩リンパ節転移」だけであれば、「対側腋窩リンパ節転移を局所の延長」と捉えて手術をするべきだと思います。
 ただ、「別の薬に変えて…」などという担当医の姿勢からは「手術で根治を狙う」という熱意が感じられないのが残念なところです。

回答

「そうなったら母はもう延命の為の治療になってしまうのか」
⇒担当医の診療は最初から、そのスタンスだったように思えます。
 

「田澤先生の豊富なご経験の中で、母の様な患者さまはおりましたでしょうか」
⇒勿論、沢山いらっしゃいました。

 ただ私の場合は、「積極的に局所は取る」方針なので、「患者さん側で手術を拒否」した場合でしたが…
 

「その際、余命のようなもの。この後はどのような余後が予測されますでしょうか」
⇒ここはターニングポイントとなるので、様々なケースがあります。

○他に転移が無ければ…手術により再発無く経過している患者さんは一杯います。
♯ 乳癌は基本的に予後良好なのです。(どんなに進行癌でも半数は治癒します)
○他に転移があった場合
 ①今すぐ命に関わる様な転移の場合…ホルモン療法などでQOLを重視した治療
 ②コントロールできそうな転移の場合…局所だけでも手術する意味があります。そして「できるだけ遠隔転移巣を少量の薬剤でコントロール」します。

 
 

 

質問者様から 【質問8 治療方針などについて】

田澤先生、本日もお疲れ様です。
患者様の外来、手術、そしてこちらのサイトでの回答など。
田澤先生はいつ休んでいらっしゃるんだろう…と思ってしまいます。
ですが、多くの方が田澤先生によって励まされていると感じます。

前回、担当医に言われたことを聞いてください。
フェマーラではない薬に変えた場合、効果はあるのか?と伺ったところ、
「正直、ばくちのようなもので、効果があるかどうかは3か月位たたないとわからない」

母の命がかかっているのに、「ばくち」という表現を使われたことに対して
とても理解ができませんでした。

あと10年長生きしたいと伝えたのですが、10年の内寝たきりの5年があるならば、
元気な5年でお迎えがきたほうが良いと思います。と、担当医の考えです。

もちろん76歳ともなれば、あと何年の寿命かは、わかりません。
ですが、10年長生きできるようにと願っている患者に寄り添っていただけないと
母の命を安心して預けることが出来ないのです。

田澤先生に言われたように、
担当医は最初から延命の為の治療をしていたようにも感じてしまいます。
担当医への不安などを、田澤先生に申し上げてしまって、申し訳ありません。

お医者様も人間です。いろいろな考えや方針があって当たり前です。
ただ、何回か田澤先生に質問をして回答を得るなかで
田澤先生のお答えが、私が考えている治療方針、求めているものにとても近いのです。

現在の担当医は、年間150症例の手術をしていると言っていました。
なので、経験は豊富だと思うのですが…。大学病院なので外来はとても混んでいます。

3つほど質問です。

①病院内でカンファレンスというものがあるかと思うのですが、
母の治療方針は複数の医師で話し合い、決めているのでしょうか。
担当医だけの判断ではないのでしょうか。

②「手術で根治をねらう」というのは、やはり乳がんは手術が需要という
ことでしょうか。

③両側のリンパ節に転移してしまったので、ステージ3Aではないのでしょうか。

いつもいつも回答をいただき、ありがとうございます。

神奈川県○○市に住んでおります。
入院をした際の事、その後放射線治療などで通院をする場合の事を考えると
76歳の母が通院しやすい現在の病院を変えるのはなかなか難しいのですが、
セカンドオピニオンとして田澤先生にお願いしようかと考えております。

その際は、どうぞ宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答8】

 こんにちは。田澤です。
 乳癌は「全身病」という言葉が独り歩きをしています。

 勿論そういう側面もあるのが事実ですが、本来「局所制御が重要」なのです。
 それは多くの患者さんを実際に診療していると見えてくる事実です。
 机上で論文を幾らひっくり返しても見えてこないでしょう。

回答

「10年の内寝たきりの5年があるならば、元気な5年でお迎えがきたほうが良いと思います。と、担当医の考え」
⇒最初から「手術を否定」するようでは「乳腺外科医は辞めて、乳腺内科医」へ転職してはどうでしょうか?

 私に言わせれば「乳癌の手術は何らQOLを損なう面はない」のです。
 そこに自信が無いようでは、手術をする資格はありません。

 実際のところ、たとえば「乳房切除+両側腋窩郭清」を行ったとしても、私であれば「術翌々日退院」退院後も何ら不便を感じることは無い筈です。
 局所をきっちり手術して、「患者さんにあった全身療法」これがシンプルですが一番なのです。
  

「現在の担当医は、年間150症例の手術をしている」
⇒大学病院に所属していて「年間150症例の執刀は無理」でしょう。
 おそらく、「助手も含めた話」だと思います。
 
 自らの執刀でなければ、「手術は上手くなりません」
 

「母の治療方針は複数の医師で話し合い、決めているのでしょうか。担当医だけの判断ではないのでしょうか」
⇒外来治療患者さんをカンファレンスにかける事は無いと思います。

 カンファレンスは手術症例などだけでしょう。
 

「「手術で根治をねらう」というのは、やはり乳がんは手術が需要ということでしょうか」
⇒「手術不能」に追いこまれてしまうと、決して「根治」はありえません。

 手術で摘出してこそ、「根治の可能性」がでてくるのです。
 

「両側のリンパ節に転移してしまったので、ステージ3Aではないのでしょうか」
⇒ステージ4となります。

 ただ、「内臓転移のステージ4」とは根本的に違います。
 

「神奈川県○○市に住んでおります」
⇒神奈川県であれば、それ程遠くは無いように思います。

 関西などからも来ていますので、大丈夫です。

 
 

 

質問者様から 【質問9】

田澤先生、おはようございます。

術前ホルモン療法を行っている76歳母の娘です。
今回もまたご質問をさせてください。宜しくお願い致します。

昨日「右乳房温存、両側リンパ節郭清」の手術を終えました。
目に見える悪いものはすべて取ったそうですが、
放射線治療とホルモン療法を行うことは決まっております。

医師からの説明の中で、もしかすると
「オカルト乳癌」かもしれないと言われました。

母の場合、乳房の中にある腫瘍はとても小さい。
なのに両側のリンパにはかなりの腫瘍があったそうです。
確実に4個以上だと言っておりました。
リンパにある腫瘍を取っても、またリンパに転移する可能性の高い
たちの悪い癌かもしれないとも言われました。

オカルト乳癌とは聞いたことがなく、調べてみると「潜在性乳癌」の事なのか?
と思い、田澤先生に伺いたいと思います。

①オカルト乳癌とは潜在性乳癌の事でしょうか。
②田澤先生の患者さまの中で、このような乳癌の方はおりましたのでしょうか。
③もし、いらした場合の治療方法などはどうされましたか。
又、何か注意する点などがありましたら教えてください。

ようやく手術も終わり、母もほっとしております。
これから前向きに母と一緒に頑張っていこうと思います。

転移しやすいかもしれない。けれど、くよくよしていられません。
今はそう考えております。

病理結果が出ましたら、またご相談させてください。
どうぞ宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答9】

こんにちは。田澤です。
手術が終わったのですね。
変に、「ホルモン療法を継続」することで「手術不能に追い込まれずに済んだ」と言
う事です。
いい決断だと思います。
幸いでした。

回答

「①オカルト乳癌とは潜在性乳癌の事でしょうか」
⇒その通りです。
 

「②田澤先生の患者さまの中で、このような乳癌の方はおりましたのでしょうか。」
⇒いらっしゃいました。

 物凄く珍しいという訳ではありません。
 

「もし、いらした場合の治療方法などはどうされましたか。」
⇒全身検索で「乳腺以外に原発巣が疑われない」場合には、「特別な治療などしませ
ん」

 通常通りの「術後補助療法」です。

 
 

 

質問者様から 【質問10】

田澤先生、こんにちは。
「右乳房温存、両側腋窩郭清」を行い、術後の病理結果が出ました。
長い文章になりますが、どうか田澤先生のご意見をお聞かせください。

【所見】
乳房切除検体:3.8×3.4×1.7cm
組織学的には、リンパ管内に微小な癌の残像を認めます。
治療効果判定:Grade2b

腫瘍径(浸潤部):0.5×0.3cm
腫瘍の広がり:0.5×0.3cm
組織型:invasive ductal carcinoma,solid tubular carcinoma
切除断端:cut surface -(約5mm以内-)
リンパ管浸潤:+、静脈浸潤:-
Intraductal spreading:-、EIC:-、壊死comedo:-、punctuate:-、石炭化:

リンパ節転移:左LevelⅠ:13/13、右LevelⅠ:15/15、LevelⅡ:6/6  合計34/34
ホルモン受容体ER:0%,PgR:0%,Ki-67:約50%
Herceptest:1+

【今後の治療方針】
両側乳房+鎖骨上への放射線治療25回

まず、病理結果を聞いてとてもショックでした。
リンパ節転移の数の多さもそうですが、トリプルネガティブだったんです。
針生検の結果ではホルモン受容体約80%、ルミナールBだったので
術前ホルモン療法を行っておりました。
術後は放射線治療+ホルモン療法を行うとばかり思っておりました。

質問①
針生検ホルモン受容体80%、術後の病理結果ホルモン受容体0%
こんなにも結果が変わってしまうのはなぜでしょうか。
針生検を行った時には確かにホルモン感受性があったが、
この半年でなくなったという事でしょうか。

質問②
リンパ節転移数34個からわかる事を教えてください。
腫瘍の広がりは1cmもなく小さいのに、リンパ節転移の数が合計34個と多かった為、
たちの悪い癌だと言われました。やはり、リンパ節転移の数を考えると
母の予後は悪いのでしょうか。遠隔転移をする可能性も高いのでしょうか。

質問③
トリプルネガティブの治療方法について教えてください。
母は76歳と高齢の為、病院では化学療法を行うべきではないと言われております。
私も、母の生活の質を落とさない事が1番大事だと思っております。
実際、70歳以上の術後化学療法の有効性は解っていないのですよね。
ですが、放射線治療を終えた後は無治療になってしまうのでしょうか。

トリプルネガティブとは異なるグループの集まりだと、Q&Aで読みました。
①化学療法をすると予後が劇的に改善するグループ
②化学療法をしても効果がないグループ
③化学療法をしなくても最初から予後が良いグループ

母の場合は②にあてはまるのでしょうか。
田澤先生ならば、母にどのような治療を勧めますでしょうか。

術前ホルモン療法を行い、「手術不能」となる前にここまでこれた事、
本当によかったと思います。 
先生のサイトに出会えなければ、効果があるかわからない術前ホルモン療法を
続けていたかもしれません。ですが、私と同じようにこちらのサイトがあるおかげで
「手術先行」を選ぶ方が増えていることに大変嬉しく思っております。

今は、右乳房を温存で本当によかったのか、腫瘍が小さいのにリンパ節転移数が
多いならば全摘した方がよかったのでは…と考えてばかりですが。
遠隔転移さえなければ、局所転移ならば、まだまだ根治の可能性はある。
そう田澤先生に教わりました。

「根治を狙ってください」と田澤先生は皆様に言ってくれます。
先生からのその言葉でとても励まされ生きる気力になるはずです。私も母もそうで
す。
根治を狙って、母のサポートしていきたいと思います。

病理結果が出てから数日たち少し冷静になってきましたが、
まだ気持ちが動揺しており文章にまとまりがないかもしれませんがお許しください。

 

田澤先生から 【回答10】

こんにちは。田澤です。

このままでは「術前ホルモン療法」という名のもとに「体のいい、消極的治療」に引
きずり込まれてしまうところでした。
本来、「患者さん自身ないし、御家族が積極的治療を望まない」という状況でのみ
「術前ホルモン療法は選択されるべき」です。
それを医療機関が[勝手に、消極的治療されてしまう」ことはあってはならないと私
は思います。
乳癌の手術は「少なくとも私が手術すれば」高齢者だからといっても「体に対する負
担は殆どない」のです。

質問者が「積極的に、医療者側に働きかけて」今回手術が行われた事に「大変安心」
しています。本当に良かったです。

回答

「針生検ホルモン受容体80%、術後の病理結果ホルモン受容体0%こんなにも結果が
変わってしまうのはなぜでしょうか」
⇒この原因は「術前ホルモン療法」以外には考えられません。

 おそらく、「癌細胞の中で大部分を占めていたホルモン陽性の細胞」が術前ホルモ
ン療法で消滅し、「小数を占めていたホルモン陰性の細胞」が生き残ったのだと思います。
 がん組織は本来、1個の細胞がクローン増殖してできるわけですが、増殖(細胞分
裂)の過程で「遺伝子変異が起こり」性質が異なる集団となるのです。
 

「リンパ節転移の数を考えると母の予後は悪いのでしょうか。遠隔転移をする可能性
も高いのでしょうか」
⇒もちろん、「リンパ節転移の数は予後と無関係」というつもりはありません。

 「リンパ節転移数」が「浸潤径」と同様に、「予後予測因子」であることは事実です。
 ただ、「リンパ行性転移」が直接「血行性転移」に繋がる訳では無いのです。

 「リンパ節転移の数が多かった」患者さんでも「再発しない」ケースはいくらでも
あります。
 決して「諦める必要」はありません。
 

「実際、70歳以上の術後化学療法の有効性は解っていないのですよね。」
⇒その通りです。

 ただ、「そのような臨床試験が組まれていない」だけの話であり、「トリプルネガ
ティブであれば」おそらく効果はかなりあると推測します。
 70歳以上では
 「ルミナールBでの化学療法は不要」
 「ステージ1や2での化学療法は不要」
 としても、「有る程度のハイリスク(ステージ3)」であり、かつ「トリプルネガ
ティブ」であれば「化学療法も検討すべき」と思います。(85歳以上では適応外と思
いますが…)
 

「母の場合は②にあてはまるのでしょうか」
⇒①か②となります。

 この「どちらに当てはまるのかが不明」であることが「現代医学の限界」なのです。
 もし、この区別ができれば「無駄な化学療法がなくせる」訳ですが…

 ③は「リンパ節転移は起こし難い」ので③ではないと思います。
 

「田澤先生ならば、母にどのような治療を勧めますでしょうか」
⇒難しいところです。

 ただ「76歳というだけ」で、最初から「化学療法を除外」することはありません。
 大事なのは「ご本人と家族の想い」です。

 「できる事はしたい」のであれば「化学療法を行います」
 例えば「減量投与のECとweekly PTX」ならば完遂できます。
 

「根治を狙って、母のサポートしていきたいと思います」
⇒その気持ちが「お母さんご本人」にも強ければ「化学療法すべき」です。

 せっかく得られた「根治のチャンス」をものにしましょう。

 
 

 

質問者様から 【質問11】

田澤先生、こんにちは。
前回のご質問に対して、明確なお返事をいただきありがとうございます。

田澤先生は、患者やその家族の気持ちを落ち着かせ、
冷静に考えられるように導いてくださいますね。とても感謝しております。

「術前ホルモン療法」を行った結果、「ホルモンの感受性」がなくなってしまった。
この回答を本来ならば現担当医に説明をしてほしかったのですが、
なかなか難しいものです。
疑問が解けてすっきりしました。
担当医の言うがままに治療をするのではなく、わからない事があればしっかりと
質問をして、その為には患者も乳がんについてある程度知識を持たなければ、と思い
ました。

今回は、「乳房の発赤」について教えてください。

乳房温存術後1カ月が経ちましたが、乳房全体の赤みが消えません。
真っ赤ではないのですが、少しまだらな赤い斑点のようなものもあり、
お風呂に入り温まるとその赤みが増します。

脇を切除してリンパ節と胸の腫瘍を取った為、脇に傷痕が残っていますが、
脇の下、乳房共に痛みはありません。腫れや熱もないようです。

病理結果を聞いた際、リンパ液がたまっているようには見えないので、
念の為、何かの感染をおこしている可能性もあると飲み薬を処方され、
問題はないということでした。

ですが、やはり赤みが消えないままでは心配です。
何か考えられる原因はあるのでしょうか。術後1カ月ではよくある症状なのでしょうか。

田澤先生のご意見をお聞かせください。宜しくお願いします。

某芸能人の件以来、過剰にニュースでとりあげられ余命の事など耳にすると、
やはりいろいろ考えてしまいがちですが…。
あまり気にせずに前を向いていこう思っております。

 

田澤先生から 【回答11】

こんにちは。田澤です。

「温存術後の乳房の赤み」ですね。
考えられるケースとしては
 皮膚の血流障害(皮弁が薄すぎることによる)
 感染
となります。

回答

「何かの感染をおこしている可能性もあると飲み薬を処方され、問題はないというこ
とでした」
⇒抗生物質ですね。

 やれることは、それくらいしか無いと思います。
 もしも皮膚の血流障害だとしても、「自然軽快を期待」するしかないからです。
 

「何か考えられる原因はあるのでしょうか。術後1カ月ではよくある症状なのでしょうか」
⇒上記コメント通りです。

 良くある症状ではありません。

 
 

 

質問者様から 【質問12】

性別:女性
年齢:78才

田澤先生、おはようございます。

以前「術前ホルモン療法」を行った母親の事でご相談させていただいた娘です。

先日、78才の誕生日を迎える事が出来ました。

母はとても元気です。

今回は「皮膚転移」について田澤先生のお声をお聞かせください。

昨年11月末にて放射線治療が無事終わりました。

抗がん剤をするべきかとても悩んだのですが、現在は行っていない為、経過観察中です。

放射線をかける範囲について乳腺外科と放射線科で話し合いの結果、胸壁・鎖骨近辺・脇の下にかけることになり、腫瘍があった胸にはかけておりません。

乳房に再発をした場合は手術することができる。

手術困難な場所へ重点的に放射線治療をしておこうという医師の意見でした。
(手術前より画像上、胸壁などに転移が見られた為)

前回、ご相談をした乳房の発赤はその後良くなりました。
放射線による皮膚障害も少しひりひりする位。
首のまわりと脇の下周辺はうっすら黒ずみ皮が剥けています。
食道炎のような喉の痛みはありましたが良くなっております。
この症状は放射線治療の副作用としてよくある症状だと理解しております。

ここからが質問です。

「皮膚転移の初期症状」とはどのようになるのでしょうか。

進行をすると、皮膚からしこりのようなものが膨れて最終的には出血をする、痛みも伴う。
というのは本などで読んだことがありますが、
初期の症状について調べることが出来ませんでした。

10日位前から、乳房に蚊にさされたような赤い湿疹があります。

前回の発赤は乳房全体が赤かったのですが、今回は症状が違うようです。

まず、手術をした右胸は蚊にさされたような少し大き目の赤い痕が4個位。
左胸は細かい湿疹が6個位うっすらとあります。
今のところ痛くもかゆくもありません。
膨れ上がってもいなく固いという変化もありません。

湿疹の場所は胸と胸の内側ふくらみのある上側(左右とも同じ場所)手術をした傷口付近でもありません。
首などに放射線をかけた為、汗が出にくくなった事による汗疹や何かのアレルギーなのかと思ったのですが、ついつい皮膚転移じゃないかと不安になってしまいました。

変化があると転移かと疑ってしまうのはよくないですね。

このような症状から田澤先生はどう思われますか。

また、病院を受診する際は皮膚科の方が良いのでしょうか。

こちらのサイトで皮膚転移を探してみたのですが、あまり詳しいことを探すことが出来ずご質問致しました。

乳がんのブログ等を見て余計な心配をしたくはないので…。

いつも申し訳ございません。
どうぞ宜しくお願いします。

 

田澤先生から 【回答12】

こんにちは。田澤です。

「放射線をかける範囲について乳腺外科と放射線科で話し合いの結果、胸壁・鎖骨近辺・脇の下にかけることになり、腫瘍があった胸にはかけておりません。」
⇒これは「理解できない」表現です。

 「胸壁に照射」とありますが、
 通常「胸壁照射」といえば、「乳房切除(全摘)」後に、その部位に照射する場合を言います。(同じ部位でも乳房温存術後であれば、乳房が照射野に入る筈」です。

 ○乳房が照射野に入らない様に、「わざと(その奥にある)大胸筋だけを狙った」ということですか?
 どうも「やっている事の意味」が理解できません。
 どうせ、照射するならば「乳房も照射野に入る」方がいいのではないかと思ってしまいます(もう終了したようだから、今更ですが…率直な感想です)
 

「手術前より画像上、胸壁などに転移が見られた為」
⇒この場合の「胸壁」とは何を指しているのでしょうか?

 「大胸筋?」なのでしょうか。
 

「前回、ご相談をした乳房の発赤はその後良くなりました。放射線による皮膚障害も少しひりひりする位。首のまわりと脇の下周辺はうっすら黒ずみ皮が剥けています。
食道炎のような喉の痛みはありましたが良くなっております。この症状は放射線治療の副作用としてよくある症状だと理解しております。」
⇒まさに、その通りです。
 

『「皮膚転移の初期症状」とはどのようになるのでしょうか。』
⇒「皮膚転移」に初期症状などありません。

 「皮膚転移」は、見れば「一目で解り」ます。「皮膚に結節が出現」するのです。
 

「10日位前から、乳房に蚊にさされたような赤い湿疹があります。前回の発赤は乳房全体が赤かったのですが、今回は症状が違うようです。」
⇒「赤い湿疹」は診てみなければ解りませんが…

 ただ、「手術」して「術後照射したばかり」で「皮膚転移が出現」するなど、とんでもないことです。 ありえません。
 

「手術をした右胸は蚊にさされたような少し大き目の赤い痕が4個位。左胸は細かい湿疹が6個位うっすらとあります。今のところ痛くもかゆくもありません。膨れ上がってもいなく固いという変化もありません。」
⇒実際に見てみなくては解りませんが…

 その「湿疹」は「放射線照射野に入っている」のでしょうか?
 ○放射線照射野に入っている部分から(放射線照射後、そんなに短期間で皮膚転移などありえません)
 参考のために言うと「典型的な皮膚転移」は「照射野の中」には出ません。「きれいに、照射野を囲む」ように、その外側に出ます(少なくとも、照射後そんなに短期間で出るとするならば)
 

「湿疹の場所は胸と胸の内側ふくらみのある上側(左右とも同じ場所)」
⇒「鎖骨上下の照射野」と重なるようであれば、質問者自身が想像しているように
「首などに放射線をかけた為、汗が出にくくなった事による」湿疹ではないでしょうか。
 

「このような症状から田澤先生はどう思われますか。」
⇒前述した通りです。

 「術後照射している」のに、そんなに短期間の「皮膚転移などありえない」と思います。
 

「また、病院を受診する際は皮膚科の方が良いのでしょうか。」
⇒まずは「担当医に見てもらう」べきです。

○皮膚転移は「かなり特殊な状態」です。
 術後、(ましてや放射線照射後に)そんなにすぐに出るものではありません。
 一般的には「相当な局所再発」や「遠隔転移」など、「大変な状況」にならない限り「起こらない事」と考えてください。

 (私は、その発疹を見ていないので)想像でしかないですが、「放射線照射そのものによる影響」ではないでしょうか。

 
 

 

質問者様から 【質問13】

田澤先生、こんにちは。

術前ホルモン療法をしていた母の娘です。

今回もどうぞ宜しくお願い致します。

●皮膚転移について、高齢者への抗がん剤についてご質問です。

まず、前回ご質問をした乳房の発疹に変化はなく、皮膚科を受診したのですが、やはり原因がわからないと言われ、皮膚生検をすることになりました。
11月下旬に放射線治療が終わり1月上旬から発疹がでました。

ここで放射線照射の範囲について訂正を致します。

腋窩リンパ節、鎖骨上リンパ節、胸骨傍リンパ節に照射をしており、
胸壁と両胸にはしていませんでした。
申し訳ありません。
手術前より画像所見にて胸骨傍や鎖骨上リンパ節に転移が見られたことを踏まえ、乳腺外科と放射線科での悩んだ末の判断だったそうです。

乳房への照射もしたかったが、領域リンパ節と両胸への照射は範囲が広い為、年齢的なこともあり(心臓への負担も考慮)、領域リンパ節への手術は不可能、万が一胸に再発をしたら手術をすることができるという医師の意見に私も同意をしました。

その為、発疹ができている個所は放射線照射野には入っていないんです。
ここからは、万が一皮膚転移だったと仮定してお伺いします。

①放射線を照射していない個所に発疹が出来たので、こちらも心配になり、今後両方の胸へ放射線を照射できないのか、と放射線科に聞いたところ前回照射をした個所と重なってしまう為、出来ないと言われました。
皮膚転移していた場合、照射は無理なのでしょうか。

又、トモセラピーはどうでしょうか。
乳房切除もできないのでしょうか。

②皮膚転移というのは血行性転移になるのでしょうか。

③前回、田澤先生のご意見で、皮膚転移は照射野をきれいに囲む
ようにと表現されてましたが、これはどういう意味でしょうか。
例えば両胸に照射をした場合両胸の外に皮膚転移がおこるという事でしょうか。

④現在、77歳です。
あと5年、10年生きたいと言っています。

以前も質問しましたが、田澤先生は母に抗がん剤をすすめますか。
もしも抗がん剤をするならば、どのような抗がん剤をすすめますか。

抗がん剤は副作用が強い、免疫力を低下させてしまうと言われていますよね。
もちろん副作用も個人差がありますがとても悩むところです。
抗がん剤をしても副作用が強くやめてしまっても良いのでしょうか。
途中でやめてしまうとガン細胞が増えてしまうような(うまく説明できなくてすみません)事はないのでしょうか。

こちらのサイトの中で、皮膚転移をした場合の写真を見ました。
あの写真はかなり進行した状態だと思いますが、痛みだけでなく出血や悪臭も伴ってしまう状態になることは避けたいです。

皮膚転移はかなり特殊な状態だと田澤先生は言っていましたね。

術後そんなにすぐ出るものでもなく、遠隔転移など大変な状況にならない限り起こらない事だと。
私もそう信じています。
ですが、母は浸潤径がとても小さかったのに逆側のリンパ節にも転移をしており、転移の数がとても多かったこと等を考えるとやはりとても心配をしてしまいます。

実際に診ていないので回答は難しいと思いますが、田澤先生のご意見を教えてください。

いつもありがとうございます。
どうぞ宜しくお願いします。

 

田澤先生から 【回答13】

こんにちは。田澤です。

皮膚転移は「かなり特殊な状況」と考えてください。
基本的には局所です。

実際に「皮膚転移が現れる部位」は「局所」なのです。
つまり、「乳房切除後」ならば、「術後の皮膚(しかも典型的なものは創部沿い)」であり、「温存乳房」ならば、(基本的に照射しているので)「最初は(照射野にはできず)それを囲むような部位」から始まります。

○私が見てきた中で、(局所と全く無関係に)「遠隔部位(例えば体側乳房の皮膚とか、お腹とか手足など)にでることはありませんでした。(背中に出る場合も、必ず局所と連続し、そこから拡がる形でした)
 

「腋窩リンパ節、鎖骨上リンパ節、胸骨傍リンパ節に照射をしており、胸壁と両胸にはしていません」
⇒-そうすると、発疹が出ている部位は「照射していないところ」という事になりますね。
 

「その為、発疹ができている個所は放射線照射野には入っていない」
⇒そう言う事ですね。
 

「ここからは、万が一皮膚転移だったと仮定」
⇒了解しました。

 「皮膚転移と仮定」して、お答えします。
 

「前回照射をした個所と重なってしまう為、出来ない」「皮膚転移していた場合、照射は無理なのでしょうか。又、トモセラピーはどうでしょうか。」
⇒「正確には」照射野は重なってはいない筈です。

 ただ、「通常照射(リニアック)」では「重ならない様に照射野を設定する事が困難」なのです。
 こう言う時こそ「トモセラピーが適任」です。「重ならない様な細かい照射野の設定が可能」です。
 

「乳房切除もできないのでしょうか。」
⇒それは問題無く、できます。
 乳腺を切除する時に、その(皮膚転移と仮定した部分の)皮膚も一緒に切除して縫合し直すことが可能です。
 

「②皮膚転移というのは血行性転移になるのでしょうか。」
⇒これは「皮下のリンパ管を通っての」転移だと思います。
 

 ○もしも「血行性転移」であれば、「体の何処に出てもおかしくはない」のに、「実際は、局所だけに出る」のです。
 

「③前回、田澤先生のご意見で、皮膚転移は照射野をきれいに囲むようにと表現されてましたが、これはどういう意味でしょうか。」
⇒「照射部位は通常、癌細胞が抑え込まれる」ため、(油が水をはじく様に)「照射野には皮膚転移は現れず」その周囲に「きれいに現れる」のです。
 

「例えば両胸に照射をした場合両胸の外に皮膚転移がおこるという事でしょうか。」
⇒その通りです。
 照射野の「枠の外」ということです。
 

「現在、77歳です。あと5年、10年生きたいと言っています。以前も質問しましたが、田澤先生は母に抗がん剤をすすめますか。」
⇒勧めます。
 

「もしも抗がん剤をするならば、どのような抗がん剤をすすめますか。」
⇒bevacizumab(アバスチン)+PTXです。

 副作用が弱く、その代わり「効果が強力」という最たるものです。(効果と副作用のバランスが非常によい)
 

「抗がん剤は副作用が強い、免疫力を低下させてしまうと言われていますよね。」
⇒おっしゃる事は勿論わかります。

 ただ、「癌が体に増殖している状態」は(化学療法の副作用と比べられない位)「体に負担」なのです。
 

「抗がん剤をしても副作用が強くやめてしまっても良いのでしょうか。途中でやめてしまうとガン細胞が増えてしまうような(うまく説明できなくてすみません)事はないのでしょうか。」
⇒抗ガン剤は「いつでも」止められます。

 一番いいのは、「有る程度、きっちり効かせて」から止めることです。

 
 

 

質問者様から 【質問14】

田澤先生、こんにちは。

今回も勉強をさせてください。
宜しくお願いします。

トモセラピー、乳房切除、抗がん剤と選択できる治療法がまだ残っている事に気持ちが楽になりました。
田澤先生のとてもわかりやすい答え、本当に感謝しています。

現在の主治医に皮膚の発疹で受診した際、万が一皮膚転移ならば治療法は抗がん剤しかないと言われたことがあります。
まだ皮膚転移と確定していない中での意見でしたが、主治医は乳房切除という方法を考えていない可能性があります。
今後の話し合いの中でしっかりと意見を伝えていきたいので、事前に質問をさせていただきます。

今回も、皮膚転移と仮定して質問させていただきます。

現在、発疹(紅班)は乳房の上側半分くらいにあり、昨日突然、水泡がひとつできました。

①皮膚転移の場合、乳房切除はした方がよいのでしょうか。

もしも、切除した方がよければその理由なども教えてください。

(一時的な局所のコントロール等でしょうか)

温存した乳房内に再発した場合、乳房切除をするというのは理解しているのですが、皮膚転移の場合に乳房切除をした方が良いのか、明確な理由がわからない為…。

②乳腺を切除する時に、その(皮膚転移と仮定した部分の)皮膚も一緒に切除して縫合し直すことが可能。
と田澤先生からの回答にありましたが、この技術は高度でしょうか。

乳房切除の経験のある医師ならば可能な技術でしょうか。

③皮膚に転移すると、乳房の赤みの後、しこりやびらんや潰瘍となり抽出液や出血の後、悪臭を伴う。
という情報をネットで見ました。
※ネットの情報は、あまり信用してはいけませんね。

これは一般的な進行具合であって、こうなるとは限らないのでしょうか。

④現在の病院に通いながら江戸川病院でトモセラピーを受ける場合は、現在の主治医に紹介をしてもらえばよいのでしょうか。

田澤先生、いつもありがとうございます。

皮膚に転移していた場合の最善の治療方法を教えてください。
宜しくお願いします。

 

田澤先生から 【回答14】

こんにちは。田澤です。

「①皮膚転移の場合、乳房切除はした方がよいのでしょうか。もしも、切除した方がよければその理由なども教えてください。」
⇒これは、「皮膚転移の状況」によります。

 「どの程度の範囲なのか、実際に見ていないので不明ですが」
 ○十分に手術的に摘出できる範囲ならば、「局所コントロール目的で」乳房切除をした方がいいでしょう。
 ♯本来「局所治療の対象となるべき、乳腺をのこしたまま皮膚だけ取る」というのは「本末転倒」と思います。

 ただ、「皮膚転移が広範囲であり、根治にはならない」と言う場合、あくまで「姑息的治療という位置づけ」となり、「放射線や抗がん剤のみ」となります。
 

「②乳腺を切除する時に、その(皮膚転移と仮定した部分の)皮膚も一緒に切除して縫合し直すことが可能。と田澤先生からの回答にありましたが、この技術は高度でしょうか。乳房切除の経験のある医師ならば可能な技術でしょうか。」
⇒高度ではないですが、「皮膚転移の範囲」によります。
 

「③皮膚に転移すると、乳房の赤みの後、しこりやびらんや潰瘍となり抽出液や出血の後、悪臭を伴う。」
⇒皮膚転移は進行すれば、このようになります。
 

「④現在の病院に通いながら江戸川病院でトモセラピーを受ける場合は、現在の主治医に紹介をしてもらえばよいのでしょうか。」
⇒その通りです。

 
 

 

質問者様から 【質問15】

田澤先生、こんにちは。

皮膚生検の結果、皮膚転移が確定しました。

とても残念な気持ちでたまりませんが、現在の状況にしっかりと向き合いたいと思います。
結節を伴う皮膚転移というよりは、乳房全体が赤くなる炎症性の皮膚転移のようです。

まず、広範囲に赤い発疹があるので、乳房切除をしても効果がないと言われました。

(植皮などを行う手術を行っても、その周りに赤い発疹がまた出てくる可能性が高い)

今回の病理結果は、ER(-)PR(-)HER2(2+)Ki67 40%
今までHER2陰性でしたので陽性になる可能性は極めて低いと思いますが、現在FISH法の結果待ちです。

■主治医に提案された今後の治療を聞いてください。

・万が一HER2陽性と出た場合は、抗HER2療法を行う。
※多分陰性とでるだろうと言われていますが…。

・抗HER2療法が適用でない場合は、抗がん剤を検討。

ですが、77歳という年齢を考えると通常の抗がん剤はあまり勧められない。
抗がん剤をするならば、副作用が軽い経口抗がん剤(UFT又はTS-1)もある。

※皮膚転移はしていますが痛みなどの症状が全くないので、まず経口から試してみたらどうかという主治医の意見でした。
  

質問①
田澤先生は経口抗がん剤を勧めることはまずないようですが、このような母の状況での使用はどう思いますか。
UFTは以前から治療として使用されてきた抗がん剤、でもTS-1は標準治療ではないのですよね。
再発・転移した場合は適用される薬なのでしょうか。

質問②
経口抗がん剤UFTによる術後補助療法が、標準治療CMFと
同等の効果が見られたと主治医に言われました。
これは本当なのでしょうか。
詳しく教えてください。

質問③
田澤先生は、母に抗がん剤をするならbevacizumab(アバスチン)+
PTXと言っていましたが、
これは何回投与すれば良いのでしょうか。
パクリタキセルだけではなく、アバスチンを使用する理由も教えてください。

又、田澤先生が他の方に回答していた中で、
「高齢なのでパクリタキセルは6回を目標にしましょう。
 6回までなら、殆ど副作用ありません。
心配ならば、通常投与量の80%にします。」と言っていました。

これは母にも適用されることでしょうか。

質問④
●局所再発
●遠隔転移再発(命を脅かさない):リンパ節、骨、肺(小範囲、単発など)
●遠隔転移再発(命を脅かす):肝、多発肺転移、癌性胸膜炎

田澤先生が「再発、転移」を分けて他の方に回答してたものですが、皮膚転移はどこに分けられるのでしょうか。

母は通常の抗がん剤をする気持ちでおります。
後になって後悔しない為に頑張ると言っています。
やれるところまでやって、あまりにも副作用が強ければ経口抗がん剤(UFT)を検討しようと思っています。

田澤先生、このサイトを見ていても「抗がん剤をどうするべきか」と悩んでいる方が大変多いのですが、やはり副作用を心配して悩むのだと思います。

あまりネットの情報を見たくなくても、抗がん剤の使用について患者側も調べたくなると思います。
ネットで抗がん剤を検索するだけで、
否定する意見の多さにきっと皆、抗がん剤を受けるべきか考えてしまうのだと思います。
 なぜこのように抗がん剤を否定する意見が多いのでしょうか。
 

こちらのサイトで抗がん剤をのりこえた方々の意見などがもっと聞けると、これから抗がん剤を受ける方の励みになると思います。
迷うことなく治療に専念できると思います。

今回もまた長々とありがとうございました。

まだまだ母をサポートしていきます。
最後まであきらめません。

また何かありましたらご質問させてください。

 

田澤先生から 【回答15】

こんにちは。田澤です。

「皮膚転移」でしたか。
とても残念です。
質問者の残念な気持ちも良く解ります。

ただ、「今までのメール」で感じていたことですが、「皮膚転移の部位は照射していない」のですよね?
今更ですが「尤も肝心な部位を照射野から外した」り、「局所治療として最も重要な乳腺を残して乳房温存術にした」り、どうも「担当医の考えている治療」が理解しにくいです。(わざとピントを外しているかのようです)

○今回も「乳房を温存したり、照射野から外したりした理由」が「そこに出たら手術で取れるから」と言っておきながら、結局(局所療法ではなく)「抗がん剤しかない」みたいな治療方針となっているのが、どうも理解不能です。
 

「質問①田澤先生は経口抗がん剤を勧めることはまずないようですが、このような母の状況での使用はどう思いますか。」
⇒私は、今まで経験上「実に様々なケース」で再発に対する抗ガン剤治療をしてきました。

 その中で「抗がん剤の優先度(どの抗がん剤を先に使うか)」について自分なりの「考え方」を持っています。

 ケース①経口抗がん剤で始めた場合
 経口抗がん剤のような「効き目の弱い」ものを用いても、「病勢をおさえられないまま」じり貧となってしまうことがあります。
 そこで、改めて「効果の有る抗がん剤」へ変更しても、「病勢が強くなりすぎてしまった」癌にあまり効果的でないのです。

 ケース②まず強力な抗がん剤で「寛解を得た」後に、経口抗がん剤などで「維持を図る」
 ★まず、「十分に効果が期待できる抗がん剤(しかも副作用も十分許容範囲である)bevacizumab+PTX」を使用すると、「病変が(きれいさっぱり)消失する可能性」があります。
 その時点で、「経口抗がん剤やホルモン療法(フルベストラントなど)」で維持を図ることができます。

「UFTは以前から治療として使用されてきた抗がん剤、でもTS-1は標準治療ではないのです 再発・転移した場合は適用される薬なのでしょうか。」
⇒転移再発乳癌には「それらの薬剤にも適応」があります。
 

「質問②経口抗がん剤UFTによる術後補助療法が、標準治療CMFと同等の効果が見られたと主治医に言われました。これは本当なのでしょうか。詳しく教えてください。」
⇒これは「正確には」誤りです。

 かつて「UFTを標準治療とする目的」で「CMFに対して非劣勢を証明」しようとした臨床試験がありました。
 しかし、結果は『UFTはCMFに対して非劣勢を証明できなかった=UFTはCMFより劣勢である』ということです。
 

「質問③田澤先生は、母に抗がん剤をするならbevacizumab(アバスチン)+PTXと言っていましたが、これは何回投与すれば良いのでしょうか。」
⇒再発治療に(術後補助療法のような)「回数を限定する」ことはできません。

 ただ、私の経験上、3クール(毎週投与の3投1休で1クールを3回:つまり3カ月間)行うと「かなりの効果」が出ます。
 その状態で、「経口抗がん剤やホルモン療法(フルベストラント)」への変更で「維持を図る」ということです。
 

「パクリタキセルだけではなく、アバスチンを使用する理由も教えてください。」
⇒ただ一言「強力だから」です。
 

「高齢なのでパクリタキセルは6回を目標にしましょう。 これは母にも適用されることでしょうか。」
⇒再発治療となると「容量」が異なります。
 

「皮膚転移はどこに分けられるのでしょうか。」
⇒局所再発です。

 ただし、「皮膚転移が厄介」なところは「皮膚は全身につながっている」ので「局所療法としては、追いかけっことなる」可能性があるのです。
 その意味では「全身につながっている」リンパ節に近いとも言えます。
 

「なぜこのように抗がん剤を否定する意見が多いのでしょうか。」
⇒それは(私がよくいう)ネットで意見を言う人は(何事もなく、大丈夫だった人よりも)「とても大変で、悔しい思いをしている人に多い」からだと思います。





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