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はじめまして

[管理番号:5204]
性別:女性
年齢:65歳
65才の母についてです。
ぜひ田澤先生のご意見を聞かせていただきたいです。
よろしくお願い致します。
5月にしこりに気付いてから受診し、これまで検査を進めてきました。
浸潤性乳管癌?
ステージⅡB
しこりの大きさ4.6cm(T2)
リンパ節転移あり(腋窩に3~4個)(N1)
多臓器転移なし(M0)
ホルモン需要体陽性
HER2陽性
核グレード3
小胸筋と大胸筋に合わせて3~4個転移あり
悪性とわかった時点で、母の希望もあり、
全摘出をする予定で8月末に手術室を予約していましたが、
上記の検査結果が出たところで主治医より「化学療法後、部分切除で済みそう。」と言われ、
術前化学療法6ヶ月後(1月)に手術の予定となりました。
ただ、初回の化学療法をした日(7月(下旬)日)に、
最後に行ったMRIの結果についての説明があり、
「大きい癌の他に乳房に数個(3~4個)の小さい癌があって
全摘出をすることになるかもしれない」と言われたそうです。
質問です。
①先生なら抗がん剤後に部分切除ですむ可能性に賭けますか?
それとも今すぐにでも全摘出を勧めますか?
②母は乳房がかなり大きいのですが、
主治医から大きい乳房は再建が難しいと言われたそうです。
これはどういった理由からなのでしょうか?
乳房再建は諦めるべきでしょうか?
現在通院している病院は自家組織による乳房再建ができる病院だそうです。
③大きい乳房を全摘出するとバランスが取りづらくなる、
肩こりがひどくなると主治医に言われたそうです。
実際にそうなることはありますか?
何か予防策はあるのでしょうか?
④抗がん剤が尿から排泄され、揮発性のある成分が不妊の原因になると薬剤師から説明を受けたようです。
尿や便だけでなく、汗や涙からも成分の排泄はあるのでしょうか?
お盆に2歳と4歳の娘を連れて帰省しようと考えていたのですが、
抗がん剤治療中は同じトイレの使用を避けたり、
洗濯物を分けたりしないといけないのでしょうか?
大変お忙しいところ恐縮ですが、ご回答いただけると幸いです。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
多発であれば、そもそも(どんなに化学療法が著効しても)「絶対に温存はしてはいけない」のです。
 (もし、「化学療法が効けば温存できる」と思っているとしたら、それは大きな勘違いです)
「1つの大きな腫瘍が縮小」と「複数の腫瘍がそれぞれ縮小」する様を想像してみてください。
前者では「小さくなった分、温存可能となる」のですが、後者では(1つ1つが十分に小さくなっても)「星座のようになるだけ」で「切除しなくてはならない範囲は同じ」なのです。
 ♯もともと有った腫瘍が(抗癌剤で見えなくなったとしても)「それをそのままにする」ことは絶対にやってはいけないことなのです。(画像で見えなくなったことと、細胞レベルで消失することは次元が異なるのです)
「①先生なら抗がん剤後に部分切除ですむ可能性に賭けますか?」
⇒それは『絶対に』行ってはいけないことです。
「それとも今すぐにでも全摘出を勧めますか?」
⇒その通りです。
「大きい乳房は再建が難しい」「これはどういった理由からなのでしょうか?」
⇒大きいと(対側乳房にバランスするような)大きな再建乳房となるからです。
 シリコンインプラントにそのサイズが無い事が多く、自家組織でも「腹直筋皮弁」でないと、volume的に不可能となります。
 ♯腹直筋皮弁は、乳房再建の中では最も侵襲が大きいのです。
「乳房再建は諦めるべきでしょうか?」
⇒諦める必要はありません。
 ただ、侵襲が大きいので2次再建がいいでしょう。
「実際にそうなることはありますか?何か予防策はあるのでしょうか?」
⇒慣れしかありません。
「尿や便だけでなく、汗や涙からも成分の排泄はあるのでしょうか?」
⇒ありますが、あくまでも「微量」です。
「抗がん剤治療中は同じトイレの使用を避けたり、洗濯物を分けたりしないといけないのでしょうか?」
⇒そんな必要は有りません。