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ステージ1全摘でも、HER2陽性だと抗癌剤は必須ですか?

[管理番号:2732]
性別:女性
年齢:45歳
2月に右乳房全摘手術を受けました。
術前の検査では、腫瘍1.7センチ〈浸潤がん〉ホルモン陽性、HER2陽性と説明をうけました。
1.7センチの腫瘍は、内側にあり、他に乳頭上部の下あたりに、転移したでであろう、影が小さいけどあるから、全摘を勧められ、全摘を決心しました。
手術前の時点では、抗癌剤もするべきで、しなければならないと、不安ながら思っていました。
でも、術後の結果では、腫瘍1.4センチ、リンパ節転移なし言う結果で、ステージ1でした。
温存ではなく、全摘してしまったのだから、再発の可能性は、低いと思うのですが、HER2陽性で、あるがために、抗癌剤、ハーセプチン治療が必要ということです。
現在は、私の希望で、家族の事が理由で、先生にお願いして、半年後まで、抗癌剤治療を始めることを待ってもらっています。
ホルモン陽性もあるので、ホルモン治療を先に始めています。
担当医は、とても、優しく、私の不安な事は、すべて、ちゃんときいてくれます。
入院中も1日に2度3度と、様子を見にきてくれて、とても、信頼できる先生だと、思っています。
ホルモン治療を始めて1ヶ月が経とうとしていますが、仕事にも復帰して、穏やかに過ごすことができているのですが、もう直ぐ、抗癌剤治療が始まると思うと、気分が落ち込み、今までの田澤先生の質問コーナーで、私と同じような、質問がないかと、毎日、見てしまいます。
そこで、田澤先生に質問させて頂くことにしました。
お忙しい中、恐縮ですが、よろしくお願いします。
乱文で申し訳ありません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
最も重要なことは乳癌治療は「局所療法」と「全身療法」に分けて考える。と言う事です。
○局所療法 手術±放射線 「乳腺を部分的に摘出して放射線を照射するのか」「乳腺を全摘出するのか」
○全身療法 ホルモン療法、抗ガン剤 分子標的薬(ハーセプチン) これは「サブタイプに応じて」行います。
 そして、「局所をどうするか(温存して放射線照射するのか? 全摘出するのか?」と全身療法とは全く無関係(独立したこと)なのです。
pT1c(14mm), pN0, pStage1, luminalB(HER2陽性)
十分な早期癌ですが、抗HER2療法(ハーセプチン+抗ガン剤)の適応があります。
 
「温存ではなく、全摘してしまったのだから、再発の可能性は、低いと思うのですが」
⇒ここで言う再発は「局所再発」ですか?
「局所再発」は全摘すれば「ほぼゼロ」となります。
 
 ★しかし一方で「遠隔転移再発」は「温存でも全摘でも一緒」です。
 
「HER2陽性で、あるがために、抗癌剤、ハーセプチン治療が必要ということです。」
⇒冒頭でコメントした通りです。
 HER2陽性なのだから、当然「抗HER2療法(抗癌剤+ハーセプチン)」の適応となります。(例外は腫瘍径が5mm以下では適応なし、5mm<腫瘍径≦10mmでは考慮するとなります)  抗HER2療法は非常に有効なものなので(再発率を半分にします)必ずするべきです。